アジャイルCMSの選定基準は?選び方のポイントを解説
優れたCMS(コンテンツ管理システム)とは、単なるwebサイト制作ツールではありません。さまざまなチャネルをまたいでシームレスなデジタル体験を提供するための基盤が、すぐれたCMSの条件です。しかし、市場には数多くのCMSベンダーがさまざまな機能を提供しており、適切なCMSを選択するのは容易なことではありません。最適なCMSは、企業のニーズ、目標、ユースケースに応じて異なります。
Forrester Researchは、「モダンなデジタル体験は、アジャイルCMSによって実現する」という認識を示しています。この記事では、アジャイルCMSを選ぶための方法とその利点について解説します。
目次
- アジャイルCMSとは?
- アジャイルCMSの選び方と7つの基準
- 選定基準1. 大規模コンテンツの包括的な管理
- 選定基準2. 共同作業と計画策定
- 選定基準3. 柔軟な導入オプションとユーザビリティ
- 選定基準4. 洗練されたパーソナライゼーション能力
- 選定基準5. 拡張可能なアーキテクチャと統合
- 選定基準6. 市場における圧倒的なプレゼンス
- 選定基準7. グローバルなパートナーネットワーク
- CMS選定のための情報源
アジャイルCMSとは?
「アジャイルCMS」は、Forrester Researchによって提唱された、CMSの分類のひとつです。同社の定義によれば、アジャイルCMSとは、開発者とマーケターの協働を促進し、コンテンツを繰り返し制作、キュレーション、配信できるようにする共通ワークフローを提供する、柔軟性と拡張性に優れたCMSです。
https://main--bacom-blog--adobecom.hlx.page/jp/blog/fragments/offer-003369-5-points-of-agile-cms
アジャイルCMSの選び方と7つの基準
従来のCMSでは、多くの場合、マーケティングやITなどのさまざまな部門の担当者が、それぞれ異なるツールやプラットフォームを利用して、連携することなく作業していました。部門の分断という課題に対応するために、アジャイルCMSは登場しました。アジャイルCMSが備えるべき基準は、次の7つに整理できます。
この要件は、そのままアジャイルCMSの選定基準に該当します。それでは、アジャイルCMSの選定基準とは何か、具体的に解説します。
選定基準1. 大規模コンテンツの包括的な管理
コンテンツを包括的に管理するには、各部門が複数の場所で、さまざまなコンテンツを管理する必要があることを理解しなければなりません。
コンテンツに関するさまざまな作業に対応するCMSを探しましょう。そのようなCMSは、あらゆる部門がコンテンツを検索および管理できる、単一のコンテンツ基盤としての役割を果たします。例えば、マーケティング部門は、新商品を発表する際に、webサイト、モバイルアプリ、施策ツール、コマースツール、社内システム、サポートポータル、ナレッジベースなどをまたいでコンテンツ配信を一元管理し、一貫性のあるプロモーションをおこなうことができます。こうしたアプローチを採用すれば、自社全体の業務効率とコンテンツの再利用を強化し、各部門が既存のコンテンツを容易に検索して利用できるようになります。
選定基準2. 共同作業と計画策定
ビジネスの俊敏性を確保するためには、マーケティング部門とIT部門のツールを統合し、コンテンツ制作プロセスのあらゆる段階における共同作業を促進する、単一の基盤を構築する必要があります。
そのような基盤では、コンテンツ制作、プロジェクト管理、DAM(デジタルアセット管理)、配信ツールおよびプロセスなど、さまざまなワークフローを自動化できなければなりません。
あらゆる部門が単一の基盤で施策を計画、実行、確認、配信できるようにすることで、部門横断的な連携を促進するCMSを選びましょう。
選定基準3. 柔軟な導入オプションとユーザビリティ
アジャイルCMSは、既存のチャネルと新興チャネルの両方でコンテンツを配信できる柔軟性を備えている必要があります。
ここ数年間で、ヘッドレスCMSが、大きな注目を集めるようになりました。バックエンドシステムとフロントエンドシステムを切り離すことで、APIを通じて、コンテンツをより迅速かつ大規模に配信することが容易になりました。IT部門と開発部門の連携を強化している企業の多くは、このアプローチを採用しています。言語やフレームワークに捉われず、顧客体験を自在に管理できるからです。その一方で、ヘッドレスCMSを導入するには、高度な技術的知識が必要となるため、そのプロセスはより複雑になります。また、フロントエンドのユーザーインターフェイスを備えていないため、マーケティング部門は、たとえ単純な作業であっても、技術部門に大きく依存せざるを得なくなります。
そうした理由から、多くの企業は、従来のCMSとヘッドレスCMSの利点を融合させた、柔軟な導入モデルを求めるようになっています。つまり、大規模なコンテンツ配信を可能にするAPIファーストのコンテンツサービスと、WYSIWYGインターフェイスでシングルページアプリケーションを編集できるなど、容易な編集ツールを提供し、マーケターと開発者の両方のニーズに対応するハイブリッド型CMSです。しかし、ベンダーが発表している資料の中で、そのようなCMSを謳っていたとしても、真に統合されたハイブリッドな能力を提供しているベンダーはほとんどありません。
アジャイルCMSは、さまざまな導入オプションに対応し、あらゆる部門が利便性を損なうことなく、柔軟性とスケーラビリティを確保しながら、コンテンツ業務のコストを削減できる必要があります。
選定基準4. 洗練されたパーソナライゼーション能力
ここ数年にわたって議論が進められているにもかかわらず、コンテンツのパーソナライゼーションは依然として、企業にとって大きな課題となっています。一部のCMSでは、ルールベースの基本的なパーソナライゼーション機能を提供しています。しかし、こうしたアプローチでは、数百ものオーディエンスセグメントや、数千人から数百万人規模の顧客に対応することはできません。
大規模なパーソナライゼーションを実現するには、AI(人工知能)を利用して膨大なデータを自動的に分析し、施策を展開する必要があります。A/Bテストを実行し、より効果の高い施策にトラフィックを動的に割り当てる、詳細にパーソナライズされたオファーを買い物客に提供する、絶えず変化するセグメンテーションにもとづいて顧客体験を調整するなど、優れたAI能力を備えたCMSを利用すれば、あらゆる部門が分析、設定、最適化を手作業でおこなう必要がなくなり、業務スピードを大幅に向上させながら成果を向上させることができます。
選定基準5. 拡張可能なアーキテクチャと統合
アジャイルCMSは、既存のツールと統合し、ビジネスニーズに合わせて設定を詳細にカスタマイズできなければなりません。コンテンツ制作基盤、データ基盤、分析ツール、MA(マーケティングオートメーション)、施策管理、広告プラットフォーム、業務管理ツール、コマースエンジンなど、さまざまなツールと統合できる必要があります。
拡張可能なアーキテクチャを基盤として構築されたCMSなら、ビジネスの成長や変化に応じた拡張が容易で、将来にわたって使い続けることができます。そのため、コストと時間を大幅に削減できます。
ユーザーインターフェイスやロジックなどの設定を柔軟に変更できるだけでなく、システムの仕様に何らかの変更が生じた場合は、定期的にアップデートを受け取ることができるCMSを選びましょう。
選定基準6. 市場における圧倒的なプレゼンス
強固な顧客基盤は、あらゆるベンダー評価に欠かせない要件のひとつであり、CMSの選定では特に重要です。CMSの導入プロセスは複雑で、企業ごとに異なります。大規模な顧客基盤を有し、複数の地域や市場で導入実績のあるベンダーは、独自の課題に対応するためのツール、プロセス、サポートを提供しています。さまざまな事例に対応できるCMSを利用すれば、長期にわたり時間と労力を大幅に削減し、俊敏性を維持できます。
選定基準7. グローバルなパートナーネットワーク
グローバルなパートナーネットワークでは、困難な課題の解決に必要なカスタマーサクセスの実績、戦略的知識、技術を有する、世界中の信頼性の高いアドバイザーから支援を受けることができます。
アジャイルCMSを選定する際は、資格を有する専門家が在籍している販売代理店やシステムインテグレーター、拡張機能を提供しているソフトウェアベンダーをはじめとしたテクノロジーパートナーなど、優れたパートナーエコシステムを提供しているかどうかを確認しましょう。
CMS選定のための情報源
今日の市場には、数百ものCMSが存在しています。そのような膨大な選択肢の中から最適なCMSを見つけ出すのは、容易なことではありません。自社固有のビジネス目標に対応し、ビジネスの成長をサポートするだけでなく、部門横断的なコンテンツ管理を促進し、複数のチャネルにわたってシームレスな顧客体験を提供するのに役立つCMSを選ぶことが重要です。
自社に最適なCMSを選定するには、アドビのガイドを参考にしましょう。
https://main--bacom-blog--adobecom.hlx.page/jp/blog/fragments/offer-003141-for-buyers-cms
CMS市場の最新トレンドと主要CMSベンダーの評価については、Forresterを始めとするリサーチ会社のベンダー評価レポートをご覧ください。
https://main--bacom-blog--adobecom.hlx.page/jp/blog/fragments/page-resources-leader-in-experiences
次のステップ
CMS分野のリーダーであるAdobe Experience Managerについてより詳しく知りたい場合は、アドビにお問い合わせください。