コンテンツ創出を加速し、ブランドの一貫性を担保するデザインシステムとは

パソコンの画面 中程度の精度で自動的に生成された説明

複数ブランドのサイトや地域ごとのサイトを運営する多くのチームにおいては、いかにして効率的にサイトをまたいだデザインの一貫性とブランドアイデンティティを維持するかという課題があります。

この課題を解決する手法として今回は「デザインシステム」を取り上げ、デザインシステムの概要やデザインシステムの活用方法などをご紹介します。

もくじ

  • デザインシステムとは
  • デザインシステムが解決する課題
  • デザインシステムの運用に役立つアドビソリューション

デザインシステムとは

まずは、デザインシステムそのものについて簡単にご紹介します。

デザインシステムとは、ガイドラインと再利用可能なコンポーネントの集合体であり、サイトやコンテンツを設計、構築する際に利用します。アドビにおいても、プロダクトチームがより効率的に作業し、アドビのアプリケーションの一貫性を維持するためのコンポーネントとツールを提供する"Spectrum"という独自のデザインシステムを作成・公開しています。他にも様々な企業がデザインシステムを作成し運用しています。

デザインシステムは、デザイン原則という「良い体験」という上位概念からそれぞれのコンポーネントを利用する際のルールまで具体的に定義されます。

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例えば、アドビのデザインシステムであるSpectrumでは「デザインシステムの考え方や価値」を以下のように示しています。左から、考え抜かれたテストやリサーチに基づいた合理性に基づくものであること、カスタマーのニーズを第一優先にしていること、最後に、必要なものに絞り、不要な装飾等を優先しないことを原理・原則(principles)として整理しています。

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デザインシステムの主要な要素とそのメリットの伝え方」などの記事も是非参考にしてみてください。

デザインシステムが解決する課題

デザインシステムは、デザインエレメントとエレメント利用の際のルールが、具体的に提示されるべきとされ、閲覧者にアクションを迷わせないことや目的ファーストであることを重要なポイントとしています。

デザインシステムの運用によって、解決できる課題には、主に次の3つが挙げられます。

(1)デザインの再設計に時間がかかりすぎてしまう

デザインシステムはこのような課題も解決します。重複した作業を減らし、ビジネスアイディアやイノベーションに時間を費やすことができ、最適なUIを持つ高品質なサービスを高速に開発することができます。デザイナーは戦略的な問題の解決に労力を使えるようになり、困難なユースケースやパターンに対するクリエイティビティを発揮できる立場となっていきます。

(2)ブランドガバナンスを守れていない

サイトの管理部署やチームの違いによってデザイン、コンポーネントの利用方法、用語の選び方などに同じブランドの中でもずれが出てしまうことはないでしょうか?

情報やUIの表現方法のベストプラクティスを凝縮したデザインシステムでは、ほしい情報に辿り着きやすいだけでなく、一貫した顧客体験の提供に貢献し、ブランドに対する世界観・安心感を提供することができます。総じてサイト訪問者の体験向上につながります。

また、情報整理の明確さ、UI体験の統一により、サイト訪問者はサイト訪問の目的を果たしやすくなり、資料ダウンロードや問い合わせなどのCV数増加などのビジネスインパクトへのつながりも見込むことができます。

(3)コラボレーションしにくい組織になっている

デザインシステムという確実な情報ソースを確保することにより、ウェブデザイナーなどのWebサイト開発の当事者だけでなく、マーケティング、営業、製品開発など、誰にとっても立ち返る場所ができることで、よりよいサービスの実現に向けた議論がしやすくなります。デザインシステムは、目指す姿や各要素の背景や意味についてチーム間で共通認識を持たせることができるのです。

つまり、デザインシステムには、社内のマーケティング、プロダクト戦略、プロダクト管理チームの全ての取り組みや目的を吸い上げて具体化する必要があることもわかります。デザインシステムを軸にした社内のコミュニケーションや共通の目的理解の促進にも貢献するでしょう。

デザインシステムの運用に役立つアドビソリューション

最後に、デザインシステムをより効果的且つ拡張性高く構築・運用するために役立つアドビソリューションをご紹介します。


現在の顧客体験管理において重要となっているのが「コンテンツ」と「コラボレーション」です。

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顧客は、適切で説得力のあるコンテンツを、あらゆるデバイス、あらゆるチャネルで利用できることを期待しています。しかし、認知から支持に至る過程で顧客の期待に応えることは簡単なことではありません。タッチポイントが爆発的に増え、体験をパーソナライズできるようになった今、ベテランのマーケティングチームでさえ、必要とされるペースでコンテンツマーケティングを行うことに苦労しています。

コンテンツマーケティングにおける最初のステップとして効果的なのが、Adobe XDによるデザインシステムの作成です。

デザインシステムにより、クリエイティブ部門や代理店とのコラボレーションに時間がかかる点を解消するだけでなく、ブランドの一貫性を保ちながらクリエイティブの自由を提供することができます。

その上で、さまざまなソースからコンテンツをキュレーションし、マーケティング活動に必要な大量のコンテンツを管理する際に効果的なのが、Adobe Experience Manager (CMS/DAM)の活用です。

これにより、大量のコンテンツを作成・配信するだけでなく、適切な承認ワークフローやバージョン管理、多言語対応や、規制および法律への柔軟な対応を可能にし、マーケター自身が、さまざまな体験を簡単に保存、検索、構成することができるようになります。

さらに、昨今の顧客体験管理においてはパーソナライゼーションの実行が欠かせません。パーソナライゼーションを実現するためのエンジンとしてAdobe Targetを、顧客に関するデータを統合してAI/MLを活用したセグメンテーションを行う仕組みとしてAdobe Experience Platformを組み合わせることで、大量のコンテンツを最大活用し、より多くの顧客に対して最適なコンテンツを配信できるようになります。

これらのコンテンツをWebサイト上に限らずメールやソーシャルなどあらゆるチャネルにおいて活用・配信することで、チャネルをまたいだ一貫性のあるパーソナライゼーションが実現できるようになります。デザインシステムは、このようなクロスチャネルキャンペーンを展開し、あらゆるメディアで魅力的なコンテンツを公開するためのガイドラインおよびツールとして、効果的に機能します。

アドビでは、デザインシステムを軸としてコンテンツライフサイクルを最適化するための様々な機能を提供し、エンタープライズワークフローに支えられたコンテンツの作成、管理、組み立て、配信を加速させるご支援をしています。