B2Bマーケティング

B2Bマーケティングとは、個々の消費者を顧客としてターゲティングするマーケティング(B2Cまたは企業対消費者マーケティング)ではなく、個々の企業とその意思決定者を顧客としてターゲティングするマーケティング(企業対企業マーケティング)のことです。

もくじ

  • B2BマーケティングとB2Cマーケティングの違いは何ですか?
  • B2BとB2Cのバイヤージャーニーの違いは何ですか?
  • B2CとB2Bの顧客が期待することに違いはありますか?
  • B2BとB2Cのマーケターがブランドや商品の認知を高める方法にはどのような違いがありますか?
  • B2BとB2Cでは、データの利用方法や分析の方法に違いがありますか?
  • B2BのビジネスモデルはB2Cよりも難しいのでしょうか?

ポイント

B2Bマーケティングに関する様々な疑問に、Mitch Folksが回答します。Mitchは、Marketo EngageやAdobe Experience Platformなど、複数のAdobe Experience Cloud製品のGo To Market戦略を管理しています。これらの製品のアナリストリレーション戦略、競合分析、需要創出コンテンツを担当しています。マーケティングコンサルティングとリーダーシップにおいて10年以上の経験を有しています。

B2BマーケティングとB2Cマーケティングの違いは何ですか?

多くの場合、B2BとB2Cのマーケターは、同じようなマーケティングツールと戦術を利用していますが、異なる用語を使っていたり、若干異なる方法でアプローチすることがよくあります。

例えば、B2Bバイヤーは、リード、コンタクト、アカウントなどと呼ばれます。一方、B2Cマーケティングでは通常、消費者と呼ばれます。どちらも人をターゲットとしたマーケティングですが、B2BとB2Cでの呼び方は異なります。

また、顧客を惹きつけて維持することも、それぞれ異なる呼び方をします。B2Cマーケターは一般的に「顧客維持」と呼ぶのに対し、B2Bマーケターは「リードジェネレーション」や「ナーチャリング」、または「リードナーチャリング」や「アカウントナーチャリング」と呼びます。リードナーチャリングの例としては、特定の個人に定期的にメールを送ることが挙げられます。一方、アカウントナーチャリングは、個人が勤務している会社を対象とします。B2Bマーケターは、同じ企業内の5人の意思決定者に対してコンテンツマーケティング戦略を実施する場合もありますが、本当の顧客は企業であり、連絡を取る人々ではありません。

B2BとB2Cのバイヤージャーニーの違いは何ですか?

B2BとB2Cのバイヤージャーニー、すなわちカスタマージャーニーには、いくつかの重要な違いがあります。まず、B2Bの販売サイクルはB2Cよりもはるかに長くなることがあります。また、B2C顧客は高い頻度で商品を購入するので、購入の意思決定の回数も若干多くなります。

また、バイヤージャーニーにおいて、マーケターが顧客と関わる方法や頻度にも違いがあります。例えば、B2B顧客は、B2B製品のプロモーションに関するプッシュ通知をあまり受け取らず、B2C顧客は多くを受け入れます。

また、B2BとB2Cでは、マーケティングの取り組みや戦術も異なります。例えば、イベントやウェビナーのマーケティングは、B2Bに特化したマーケティング戦術です。B2Bマーケティング代理店のマーケターであれば、新しい顧客体験プラットフォームを披露するためにウェビナーをローンチするかもしれません。一方、B2Cの小売ブランドのマーケターであれば、新たな靴の発表に関するウェビナーを、顧客がわざわざ視聴することがないことを理解しています。

また、B2BとB2Cのセールスチームでは、関係者の数、購買力、取引やオファーの規模などが異なるため、行動も異なります。B2Cのセールスは、店頭で商品を販売する人たちを指します。B2Bでは、セールスチームはもう少し積極的に行動する必要があります。より積極的に潜在的な顧客に働きかけ、購入するように働きかける必要があります。これが、B2Bの販売サイクルが長くなる理由のひとつです。

また、B2Bのカスタマージャーニーは、長くて複雑なことから、関係者の数も多く、ひとつのアカウントに複数の購買グループが存在することもよくあります。そのため、ひとつの企業内の3つの部署に働きかけるようなこともあります。

B2CとB2Bの顧客が期待することに違いはありますか?

B2Bマーケターは、B2B顧客もまず消費者であることを忘れてはなりません。他の人たちと同じように、雑貨店に行ったり、小売店で買い物をしたり、ソーシャルメディアプラットフォームを利用したりします。ビジネスバイヤーの役割を担う人々は、一般消費者が抱く期待をB2Bの購買体験に持ち込むことが多く、そのため、B2B顧客の期待とB2C顧客の期待の境界線が曖昧になっています。これは、B2Bのマーケターが常に頭に入れておく必要があることです。いずれにしても、どちらの業界でも期待値は高く、B2BとB2Cのマーケターは、その点を考慮して顧客体験戦略を立てる必要があります。

B2BとB2Cのマーケターがブランドや商品の認知を高める方法にはどのような違いがありますか?

B2Bの顧客層はB2Cの顧客層よりもはるかに細分化しているため、B2Bの認知度を高めるのは非常に困難です。

自社製品に適したオーディエンスをターゲティングするという考え方は、B2BでもB2Cでも同じです。異なる点は、B2Bの場合、ターゲットオーディエンスは、ビジネス全体のために製品を購入するかどうかを選択する関係者で構成されていることです。購入が決まれば、何十万ドルもの売上をもたらす可能性があります。これらの関係者は、CEO、CMO、CIOなどの役割を担う人々です。そして、それぞれの意思決定者の期待に応えられなければ、瞬時に売上を失うことになります。

しかし、B2Cでは、ブランド認知を広めるために、ソーシャルメディアを利用したマーケティングキャンペーンや、検索エンジン最適化(SEO)などの戦略を用いて、数百万人に向けて商品を紹介することができます。このような潜在顧客は、様々な種類の仕事に就いていて、おそらく特定の層に特化してはいないでしょう。そして、数十万ドルの売上を得るためには、そのうちの1万人か2万人が商品を購入してくれればよいのです。

B2BとB2Cでは、データの利用方法や分析の方法に違いがありますか?

B2Bマーケティング戦略では、ブランドはひとつの組織の中の複数の人とつながる可能性があります。B2B企業は、データと分析の観点から、意思決定者のタイプをセグメント化し、特定のセグメントに対してより重点的にマーケティングを実施します。セグメントによって、分析の必要性も変化します。そこでアカウントベースドマーケティングと呼ばれるものが重要になります。

アカウントベースドマーケティングをよりよく理解するために、そして、なぜ分析が不要な場合があるのかを理解するために、大企業の顧客を有する大手B2Bデジタルマーケティング代理店を例に説明します。マーケティングチームは、その企業の3つの異なる層のターゲットアカウントリストを追跡管理します。最初の層は、20から50程度の非常に小さなアカウントセットです。これらの顧客は、ダイレクトマーケティングの対象となる戦略性の高い顧客になります。マーケティングチームとセールスチームが協力して、これらのアカウントに集中的かつ個人的にマーケティングをおこないます。これらの顧客には直接マーケティングをおこなうため、ほとんどの場合、AIモデルを実行する必要はありません。誰が顧客であるかも、その適合性についても既に把握しています。この時点では、彼らの信頼を勝ち取るだけです。

2番目の層は、数百から数千のアカウントで構成されています。これらのアカウントがブランドに適合していることは把握していますが、それほど重要ではないため、第1層のアカウントほど個人に注意を払いません。この場合、これらのアカウントに対して分析をおこない、商品を購入する確率が高いアカウントを特定することができます。第3階層のアカウントについても同様で、さらに大きな集団の中から潜在的な顧客を発見するためには、さらに多くの分析が必要になります。

B2BのビジネスモデルはB2Cよりも難しいのでしょうか?

B2BとB2Cでは、それぞれに課題があり、購入プロセスも異なります。

B2Bの場合、バイヤーのペルソナが、初期の段階ではターゲットオーディエンスの中にひとつのチームしかないように見えるかもしれません。やがて、そのチームが、アプローチしている企業の意思決定者の3つのチームのうちのひとつであることに気づきます。この発見は、ターゲティングする企業内の何千人ものB2Bバイヤーを確認しているあいだ続きます。一方、セールスチームは、コンテンツマーケティングを利用して、それらのあらゆる層の人々にリーチします。

B2Bマーケティングで最も難しいのは、あるドアがようやく開いても、同じ人がいるとは限らないことです。人は退職します。つまり、半年間かけてCEOに自社製品を採用してもらうように働きかけても、そのCEOが退任することがわかり、最初からやり直す必要が生じることもあるのです。このように考えると、B2Bの方がはるかに複雑で、リスクも高いと言えます。

しかし、B2Cもまた別の理由で簡単ではありません。商品を購入してもらえないことや、流行りの新興企業の参入によって、小さな店は閉店に追いやられるかもしれません。大規模なB2Cビジネスであっても、トレンドや期待が変化する中で、顧客層を維持するのに苦労することがあります。どちらのモデルにも、それぞれの課題とチャンスがあります。

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