最適なCDP(顧客データプラットフォーム)の選び方
顧客を理解する方法は無数にあります。アプリ内の行動、ソーシャルメディアのコメント、顧客が反応したプロモーション、カスタマーサポートへの問い合わせなど、さまざまなチャネルから顧客の興味や関心を把握することができます。
しかし、ビジネスインテリジェンス部門やIT部門にとって、こうした顧客データをひとつにまとめて管理することは容易ではありません。しかし、そうした顧客をさまざまな面から把握できる貴重なデータがなくては、マーケティング部門が施策をパーソナライズし、顧客の期待に応えることは、ほぼ不可能です。
そこで、CDP(顧客データプラットフォーム)の出番です。CDPとは、オーディエンスに関するインサイトを集めて保存、管理するリポジトリのことです。これを利用することで、企業は、よりパーソナライズされた魅力的な顧客体験を構築できるようになります。
CRM(顧客関係管理)やDMP(データ管理プラットフォーム)のように、顧客データを収集および管理するツールは他にもありますが、顧客の全体像を把握できるのは、CDPだけです。実際、多くのCDPは、DMPやCRMからデータを取り込み、他のチャネルから収集した既存データをさらに強化できます。
最適なCDPを選ぶのは、大変な作業です。無数にある選択肢の中から、自社のニーズに対応できるCDPを見つけ出すには多くの苦労を伴います。
そこで、この記事では、最適なCDPを選ぶための6つのステップを紹介します。
最適なCDPの選び方
自社に適したCDPを見つけるためには、体系化された評価プロセスに従って選定を進めることが重要です。
1.関係者の特定
大規模なプロジェクトを進める場合と同様に、意思決定プロセスに関わる関係者を特定することが、最適なCDPを選ぶための出発点となります。一般的には、マーケティング部門、営業部門、カスタマーサクセス部門から、それぞれ代表者を選出します。さらに、日々の業務でCDPを利用したり、CDP上で業務の管理やレポートの分析をおこなう従業員も、意思決定プロセスに関わる必要があります。早い段階で各関係者からの情報や意見を収集することで、より的確な判断を下すことができます。
2.ユースケースの明確化
CDPを利用する目的をリスト化することで、自社のニーズに対応するベンダーを絞り込むことができます。CDPの一般的なユースケースを以下に示します。
- 顧客の全体像の把握: CDPを利用する利点のひとつは、あらゆるデータを一元管理できることです。顧客データを包括的に管理し、詳細に分析することで、部門やシステムごとに分断されていたレポートでは見落とされていたインサイトを明らかにすることができます。さらに、マーケティング施策やカスタマーサクセスにおける手続き、営業部門による顧客対応など、さまざまな業務でデータをすばやく活用することが可能になります。
- パーソナライズされた体験の構築: 顧客は、マーケティングかセールスかに関わらず、詳細にパーソナライズされた体験を求めています。CDPを活用すれば、カスタマージャーニーの各段階で、顧客のニーズに即してパーソナライズされたコンテンツとコミュニケーションを提供できます。優れたCDPは、B2CとB2Bの両方に対応し、実践的かつリアルタイムのインサイトを提供します。
- マルチチャネル/オムニチャネルマーケティングの強化: 広告、電子メール、マーケティングコンテンツ、アプリ内通知など、顧客とエンゲージメントする方法は数多くあります。CDPを活用すれば、あらゆるチャネルをまたいで顧客とやり取りし、その反応を追跡して、常に一貫性のある体験をシームレスに提供できます。
- 分析の統合: 複数のチャネルやプラットフォームをまたいでデータを収集、分析するには、多くの時間を要します。CDPを利用すれば、オンラインとオフラインのさまざまなソースからデータを収集して保管し、分析に活用できます。
- データの管理: あらゆる企業にとって、プライバシーとセキュリティは最重要課題となっています。GDPRやCCPAといったプライバシー法に対応しているCDPを利用すれば、現在および将来のデータプライバシー法を確実に遵守できます。
3.必要なツールの特定
このステップでは、既存のテクノロジースタックを検証する必要があります。フロントエンドでは、CRM、BI(ビジネスインテリジェンス)ツール、データウェアハウスなど、さまざまな顧客データとCDPを接続することが求められます。
バックエンドでは、CDPを下流工程のシステムと連携させて、マーケティングメッセージや営業担当者とのやり取り、カスタマーサポートをパーソナライズする必要があります。また、広告プラットフォーム、カスタマーサクセスシステム、ライブチャットツール、顧客エンゲージメントツールとの連携も不可欠です。
CDPベンダーのAPIドキュメントを確認したり、営業担当エンジニアに問い合わせることで、自社の開発に必要なAPIが組み込まれていることを確認しましょう。大規模なシステム統合は、先行投資が必要となるだけでなく、その後もアップデートを定期的におこなうことになります。そのため、既存のツールと連携できるCDPを選ぶことが望ましいと言えます。
この段階で、関係者と話し合いの場を持つことも重要です。CDPと既存システムの連携に関するアイデアや、思いもよらない優れた機能を提案してくれる可能性があります。これらの意見を参考に、CDPの要件をまとめましょう。
4.課題の優先順位付け
残念ながら、あらゆるニーズに対応できる、唯一の万能なCDPは存在しません。そのため、自社が最も必要としている機能の優先順位を明確にする必要があります。たとえば、利用頻度の低いシステム向けの事前構築されたAPIを導入するよりも、GDPRやCCPAなどのプライバシー法を遵守するほうが重要であると言えます。カスタマーサービスの改善や、優れたネットワークサービスの実装を支援するパートナーとの提携も欠かせません。
CDPの要件を「必須要素」、「望ましい要素」、「必須ではない要素」に分類して、優先順位を明らかにします。容易な作業ではありませんが、それぞれの要件が将来もたらす価値を比較し、最も価値のあるものを優先することが重要です。各ベンダーの料金プランも参考になるでしょう。自社のビジネスに欠かすことのできない機能やサービスがあれば、「必須要素」に加えましょう。
5.ベンダーの比較
前のステップで優先順位を付けた要件をもとに、各ベンダーの評価をおこないます。まず、表の行に要件、列にベンダーを入力します。次に、5段階評価など、単純な評価基準を策定します。
関係者に、各CDP製品の機能が自社の要件に対応しているかどうか評価してもらいます。その際、アドビのCDP製品の比較レビューを参考にしてください。また、それぞれのCDP製品について、関係者にデモをおこないます。スコアを集計して、最もスコアの高いCDP製品を特定します。そのCDP製品が、すべての必須要素と一部の望ましい要素を備えていることを確認します。
6.CDPの選出
ベンダーの評価が完了したら、関係者との話し合いをおこないます。各ベンダーがどの程度自社の要件に対応しているかを検証し、関係者と意見を交換します。関係者からのフィードバックをもとに、必要に応じてCDPベンダーに不明点を問い合わせます。また、予算についても話し合い、経営陣の同意を得られるようにビジネスケースを強化します。
CDPを実際に導入できるかどうかについて、IT部門に相談することも重要です。自社で導入できる準備が整っていない場合は、CDPベンダーやパートナー企業の導入サポートを受けられるかどうか確認します。CDPの導入がビジネスの成功につながることを裏付けるために、他社の導入事例を入念に検証する必要があります。
このような6つのステップに及ぶ意思決定プロセスは、長い道のりに感じるかもしれません。しかし、適切な情報を収集し、関係者の意見をすり合わせることで、CDPの選出がはるかに容易になります。
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パーソナライゼーションの促進、データ分析の強化、データ管理の改善など、企業がCDPを必要とする理由は多岐にわたります。最も重要な目的に焦点を当て、各要件に対応できるベンダーを明らかにすることで、自社に最適なCDPをすばやく見つけ出すことができます。
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