データクレンジングとは?MA運用に欠かせない理由や実施方法を解説

マーケティングやコンテンツの配信、顧客管理などを行うためには、さまざまなデータが必要です。しかし、収集したデータを活用するためにはデータクレンジングを行い、データを整理する必要があります。 データクレンジングは、MA(マーケティングオートメーション)の運用にあたって最初に行うべき作業です。また、MA運用開始後も、新しく取得したデータに対してデータクレンジングを続けなければなりません。 ここでは、データクレンジングが必要な理由や実施方法を解説します。

目次

  • データクレンジングとは顧客情報を整理すること
  • データクレンジングの対象となるもの
  • データクレンジングが必要な理由
  • データクレンジングの方法
  • データクレンジングを自動でできるAdobe Marketo Engage
  • データクレンジングでマーケティングの品質を上げよう

データクレンジングとは顧客情報を整理すること

企業に蓄積されたデータをマーケティングに利用する上で、カギを握るのがデータの品質です。どんなに優れたツールを使って施策を展開しようとしても、基となるデータの品質に難があれば望むような結果は得られません。
特に、2つ以上のツールを連携させる場合、必ずといっていいほどデータに表記ゆれや情報の抜け、漏れ、重複、誤記などが発生します。こうした不具合のあるデータを放置していると、無駄なコストの発生や、顧客とのトラブルにつながることにもなりかねません。

そこで、必要になるのがデータクレンジングです。データクレンジングとは、顧客情報のデータベースを整理することで、データクリーニングと呼ばれることもあります。
あちこちから無作為に寄せ集められただけのデータを、マーケティング活動や営業活動にそのまま利用できる、「生きたデータ」に変換するプロセスと言い換えることもできるでしょう。

データクレンジングの対象となるもの

続いては、データクレンジングの対象となるデータについてご説明します。下記のようなデータがあると、データを利用した施策の妨げになるため注意が必要です。

重複

重複したデータは、データクレンジングの対象です。同じ顧客の情報が複数登録されていないか確認しましょう。

同じ顧客の情報が複数登録されている場合、2パターンの状況が考えられます。1つは、氏名やメールアドレスなどすべての項目で同じデータが複数登録されている状況です。もう1つは、一部の項目で同じデータが、複数登録されている状況です。例えば、メールアドレスのように本来重複せず管理できるはずの情報が同じで、氏名や電話番号の異なるデータが複数登録されているといった場合が考えられます。
このような状況に対応するために、どのような基準で重複とみなすのかを決めておくことが重要です。

また、複数のデータ管理システムを連携させて使用している場合、データの重複は発生しやすくなります。データ管理システムの中には、重複を許容するように設計されているものもあります。データが重複している場合、意図的に発生させた許容可能な重複なのか、意図的でない整理が必要な重複なのか、確認が必要です。

誤記

「山本」と「山元」、「斎藤」と「斉藤」といった人名のほか、法人名、部署名、メールアドレス、番地、ビル名などの表記ミスも、データクレンジングの対象です。

表記ゆれ

表記ゆれも、データクレンジングが必要です。「(株)」と「株式会社」、番地の「1-3」と「1丁目3番地」、電話番号のハイフンの有無、西暦と和暦の混在などを統一します。

古い情報

担当者の所属部署名、担当者名、会社の所在地などが更新されていなかったり、統合や倒産、休業などの情報が反映されていなかったりする古い情報も、データクレンジングを行います。

データクレンジングが必要な理由

データクレンジングを行わないままデータを利用すると、マーケティングにおいて深刻なトラブルにつながる可能性があります。データに不具合があるとどのような問題を引き起こすのか、具体的に見ていきましょう。

迷惑メールとして判定される可能性がある

誤ったメールアドレスにメールを送信し続けるとメールの顧客への到達率が下がり、メールソフトやプロバイダーに迷惑メールとして判定される可能性があります。
迷惑メールとして判定されてしまうと、送信したメールが迷惑メールフォルダに入れられてしまい、顧客に開封してもらえません。

メールの到達率については、下記のページから無料でダウンロードできるeBookで詳しく説明しています。

https://main--bacom-blog--adobecom.hlx.live/jp/blog/fragments/offer-ma-email-deliverability

顧客との信頼関係を損なうおそれがある

品質の悪いデータを基にマーケティングをすると、長く付き合いのある既存顧客を新規顧客と認識して誤ったメッセージを送ったり、昔の担当者名で連絡をしてしまったりする可能性があります。
その結果、成果を挙げるどころか、顧客との関係性を悪化させてしまうことも考えられるでしょう。

業務効率が落ちる

住所やメールアドレスが間違っていれば、そもそもコミュニケーションをとることができず、エラーが出るたびに情報の正誤を調べなくてはなりません。また、検索するたびに重複データが複数表示される場合も、どのデータが合っているのかを確認する手間が生じ、業務効率が著しく低下します。

このような問題をクリアするために、重複を排除して最新かつ正確な情報にアップデートするデータクレンジングが必要なのです。

カスタマージャーニーマップに沿ったコミュニケーションができない

顧客の心理をつかむために、ペルソナ(象徴的な顧客モデル)の思考や行動を時系列で見える化したカスタマージャーニーマップを作成している企業も多いでしょう。データに不具合があると、カスタマージャーニーマップに沿ったコミュニケーションを行うことができません。

クレンジングしたデータで顧客とのエンゲージメント履歴を一元管理すれば、カスタマージャーニーマップに沿ったコミュニケーションの実施が可能です。例えば、「特定のセミナーに参加されたことがある方に、特別なキャンペーンを案内する」「名刺交換した方がwebから資料をダウンロードしたことをきっかけに、再度営業が連絡をする」といったコミュニケーションをスムーズに行うことができます。

カスタマージャーニーマップについては、下記の記事で詳しく説明しています。

データクレンジングの方法

データクレンジングは、どのように行えば良いのでしょうか。一般的には、下記のような流れで行います。

1. すべてのデータを取り込み、1つにまとめる

Excel、CSV、Word、PDFなど、さまざまな形式で保管されている顧客情報をすべて同じ形式にし、データベースに取り込みます。
データを取り込んでまとめる際には、データを重複することなく識別するための項目が必要です。この識別用の項目を、主キーまたはプライマリキーといいます。マーケティングでは、メールアドレスを主キーにすることが多いでしょう。
MA(マーケティングオートメーション)をお使いの場合、CDP(Customer Data Platform)やDMP(Data Management Platform)などからAPI経由でデータを取り込む場合は、CDPやDMPで設定されているIDを主キーにすることもできます。

2. データの品質を確認する

次に行うのは、取り込んだデータの品質確認です。データの品質の確認は、完全性(欠損していないか)、適合性(表記ゆれがないか)、一貫性(整合性があるか)、精度(誤記はないか)、重複度(重複していないか)などを基準に、総合的に行います。
企業データベースなどと連携してデータを取得すると、メールアドレスなど単独のキーでマッチングするよりも精度が高まるほか、多彩な情報が追加されてデータが充実します。

3. データクレンジングを行う

データの品質を確認した際に判明したデータの誤りを修正し、データクレンジングを行います。データベース内で、データクレンジングを行う側が気づいていない潜在的な重複や、メール配信不能リストなどを抽出できると、すべて手作業で行うよりも容易にデータクレンジングができるでしょう。
企業情報や住所などの情報を追加できないMAの場合は、企業DBなどと連携しデータを充実させた上でデータクレンジングを行うことができます。

このとき、クレンジング後のデータの利用方法を踏まえて、「何をどこまで統一するか」や「どのように統一するか」について、ルールを決めておくことが大切です。例えば、コンバージョン率など数値の分析に利用する場合、全角の数字は数値として認識されない可能性があるため、すべて半角に統一するといったルールです。

4. データの名寄せを行う

データクレンジングが完了したら、データの名寄せを行います。
名寄せとは、分散したり重複したりしている同じ人物や会社のデータを統合することです。データを統合することで、同じ人物や会社のデータがひとつにまとまり、データを探す手間や同じ人物に複数回メールを送信してしまうといったトラブルがなくなります。

5. 定期的にデータクレンジングをして情報を最新にしておく

データクレンジングは、一度行ったら終わりではありません。日々の営業活動やweb、セミナー、展示会などで収集され、蓄積されていくデータを放置せず、定期的にデータクレンジングをして質を保つ必要があります。
併せて、データ入力時の運用を改善したり、システムで制御したりして、データの品質維持が属人化しないようにすることも大切です。会社として「望ましいデータの形」を明確にして、チェックできるようにしておきましょう。

データクレンジングを自動でできるAdobe Marketo Engage

MAを導入すると、日々新しい情報が大量に蓄積されていきます。こうしたデータを、人の手で一つひとつ精査するのは非効率で、現実的ではありません。

アドビ株式会社が提供するMAのAdobe Marketo Engageは、顧客データの自動名寄せが可能です。新しく見込み顧客のデータが取り込まれると、既存顧客のリストに同じメールアドレスがないかを探し、同じメールアドレスの顧客データが存在する場合は、同一人物として名寄せを行います。

なお、Adobe Marketo Engageでは、入力フォームを使用して情報を取り込むだけでなく、外部フォームの情報をAPIで取得することも可能です。さらに、CSVファイルのインポートをAdobe Marketo Engageで行うこともできます。

データクレンジングでマーケティングの品質を上げよう

データクレンジングは、企業に蓄積された情報を精査して利用可能な情報にし、マーケティングや営業を正確かつ効率的に行うために欠かせない作業です。定期的なデータクレンジングでデータの質を保ち、マーケティングの品質を向上させましょう。

手作業では手間がかかるデータクレンジングも、Adobe Marketo Engageを使えばそれほど手間をかけずに行うことができ、その後のマーケティングへのデータ利用もスムーズです。データクレンジングにお悩みの方は、ぜひAdobe Marketo Engageをご検討ください。

MAについては、下記のページから無料でダウンロードできるeBookで詳しく説明しています。

https://main--bacom-blog--adobecom.hlx.live/jp/blog/fragments/offer-marketo-dg2ma

次のステップ

MA分野のリーダーであるAdobe Marketo Engageについてより詳しく知りたい場合は、アドビにお問い合わせください。

https://main--bacom-blog--adobecom.hlx.live/jp/blog/fragments/page-request-consultation-marketo-engage