データウェアハウス
データウェアハウスとは、データベースや取引システムなどの情報源から集められたデータの大規模なリポジトリのことです。
ポイント
- 企業は、市場のトレンドや変化を捉え、ビジネスインテリジェンスを獲得するための大量の履歴データを格納するために、データウェアハウスを利用しています。これにより、優れたビジネス上の意思決定が可能となります。
- 一般的に、データウェアハウスは大企業向けです。しかし、クラウドベースのデータストレージは、中小企業が大量のデータを保存するための新たな機会を提供します。
- データウェアハウスの欠点は、組織内の誰もが容易にデータにアクセスできないことです。その結果、部門によっては、データドリブン型の意思決定をおこなうのが困難で、顧客体験に悪影響を及ぼすことがあります。
アトリビューションに関する様々な疑問に、Nate Smithが回答します。Nateは、Adobe Analytics Cloudのプロダクトマーケティング担当グループマネージャーです。複数のアドビ製品において、戦略開発、製品ローンチ、ポジショニングおよびメッセージング、価格設定およびパッケージング、販売力強化、製品要件、競合分析を統括しています。アドビでのキャリアは約11年に及び、それ以前はマーケティングストラテジストとして6年の経験を有しています。
もくじ
- データウェアハウスとは何ですか?
- データウェアハウス、データベース、データレイクの違いは何ですか?
- データウェアハウスはどのように進化してきたのですか?
- データウェアハウスの欠点は何ですか?
- データウェアハウスを使用する必要のない業種や企業はありますか?代替手段は何ですか?
- データウェアハウスは今後、どのように進化していきますか?
データウェアハウスとは何ですか?
データウェアハウスとは、データベースや取引システムなどの情報源からデータを取り込んで集約する大規模な中央リポジトリのことです。データウェアハウスに莫大なデータセットを保存する目的は、ビジネスに影響を与えているトレンド、特に顧客行動に関するトレンドを分析して理解するためです。こうしたインサイトは、通常、ビジネスインテリジェンスと呼ばれ、組織の部門をまたいで、より優れたビジネス上の意思決定をおこなうのに役立ちます。
データウェアハウス、データベース、データレイクの違いは何ですか?
データウェアハウスは、ビッグデータストレージのピラミッド階層の中では、規模的にも機能的にも上位に位置します。
データベースは一般的に、リアルタイムで生データを取得するために使用されます。また、小規模なリポジトリであり、収集されるデータの種類は具体的です。
データレイクは、後で使用するデータを保存するために使用されます。様々な種類や形式のデータを格納しておくことで、将来どこかのタイミングで、そのデータから価値を引き出すことができます。
データウェアハウスは、データベースやデータレイクよりも大規模ですが、リアルタイムのデータではなく、履歴データを保管するために使用されます。データウェアハウスの最適な利用方法は、チャネルをまたいだデータ接続です。
データウェアハウスはどのように進化してきたのですか?
データウェアハウスの概念は何十年も前から存在しています。ただし、当時はもっと単純なもので、データの保存場所もすべてオンプレミスでした。時間の経過とともに、データ品質や、データを保存する基盤技術が向上したことで、より優れた分析製品が誕生し、今日のデータウェアハウスの姿が形成されました。
データウェアハウスの欠点は何ですか?
データウェアハウスの最大の欠点のひとつは、多くのデータウェアハウスにおいて、そのデータセットへのアクセスが一般化されていないことです。つまり、組織内の誰もがデータに平等にアクセスできるわけではありません。ほとんどのユースケースでは、データを分析する部門やグループにデータの所有権が割り当てられ、その分析チームが社内に配布するレポートの作成を担当します。業務担当者の中には、これらのレポートをデータの一般化と見なす人もいますが、これは間違った見解です。データの可視化とビッグデータそのものは、まったく別のものです。
例えば、マーケティング部門が、自社のカスタマージャーニーを改善するために、過去6か月間のエンゲージメントデータを照会したいと考えているとします。マーケティング部門はアクセス権を持っていないため、データ分析チームを通してデータにアクセスする必要があるのですが、分析チームは忙しすぎてその依頼に気づきません。そのデータがなければ、マーケティング部門は、優れたビジネス判断をおこなうためのインサイトを、スケジュールに合わせて取得できず、顧客体験に悪影響を及ぼしかねません。
データウェアハウスを使用する必要のない業種や企業はありますか?代替手段は何ですか?
一般的に、中小企業にとってデータウェアハウスは、コストや人材の面から見て不要です。データウェアハウスの構築には多額の費用がかかり、構築、運用、内部データの最適化には多くの人手が必要となります。こうした予算と人員を確保することは、中小企業にとって現実的ではありません。
しかし、クラウドベースのストレージに移行することで、中小企業がより大量のデータを保存できるようになり、多くの機会が生まれます。AI(人工知能)の能力も向上しており、データサイエンティストの専門家を雇用する必要もなくなってきています。データストレージは、セルフサービスが主流になりつつあります。中小企業は、データウェアハウスにクラウドストレージを導入することで、これまで考えられなかったテクノロジーを利用できるようになります。
データウェアハウスは今後、どのように進化していきますか?
今後、データウェアハウスはクラウドベースになり、これには多くのメリットがあります。クラウド上にデータを保管することで、ローカルにデータを保管する場合に比べて、大幅にリスクが軽減します。オンサイトでデータを保管する場合に生じる、あらゆる法的問題や規制要件についても同様にリスクが大幅に軽減します。また、クラウド上にデータを保管することで、コストも大幅に削減できるため、オンサイトのサーバーにかけていた予算を大幅に削減できます。小規模な企業でも、クラウドベースのデータストレージの恩恵を受けることができます。
データウェアハウスのもうひとつの将来性は、クラウド上での分析製品との統合です。既に大企業では、データウェアハウスと連携した大規模な分析製品が導入されています。また、さらに一歩進めて、データウェアハウスにAIのコンポーネントを組み込んで、ビジネスの意思決定にマシンラーニング(機械学習)を役立てようとしています。