ビジネスインテリジェンス
用語集:用語
クイック定義
ビジネスインテリジェンス(BI)とは、データ分析の一分野のことで、データを収集して視覚的なレポートとして提示し、ビジネスの意思決定に役立てることです。
重要ポイント
● データの収集とレポートには、通常は特定のBIツールを使用します。
● 多くの人がビジネスインテリジェンスはデータ分析を提示するための側面にすぎないと思っていますが、ビジネスインテリジェンスについて考える際にはデータの収集とデータをふるいにかける側面も考慮することが重要です。
● ビジネスインテリジェンスレポートの最大の課題は、データクエリを作成する必要があることです。つまり、生データに質問をしなければならず、またBIツールがその質問に回答するのに2日から2カ月かかります。
● アドビは、ビジネスインテリジェンスソフトウェアの遅さに対処するため、セルフサービスBIと呼ぶものを実装しています。これは、必ずしも100%正確ではありませんが、スピードが速く信頼に足るものです。今後、他の企業も追随してくるでしょう。
● ビジネスインテリジェンスを正しい方向に導くためには、組織のデータガバナンスを担当するデータ分析チームを決めることが重要です。
ビジネスインテリジェンスに関する様々な疑問に、Nate Smithが回答します。Nateは、Adobe Analytics Cloudのプロダクトマーケティング担当グループマネージャーです。複数のアドビ製品において、戦略開発、製品ローンチ、ポジショニングおよびメッセージング、価格設定およびパッケージ、販売力強化、製品要件、競合分析を統括しています。アドビでのキャリアは約11年に及び、それ以前はマーケティングストラテジストとして6年の経験を有しています。
「ビジネスインテリジェンス」とは実際にはどういう意味ですか?
ビジネスインテリジェンスはどのように進化し、それがビジネスにどのような影響を与えますか?
なぜビジネスをスタートさせたばかりでもデータガバナンスが重要なのですか?
ビジネスインテリジェンスは、企業の効率性や意思決定の向上にどのように役立ちますか?
ビジネスインテリジェンスは将来どのようになっていくのでしょうか?
質問:「ビジネスインテリジェンス」とは実際にはどういう意味ですか?
回答: ビジネスインテリジェンス という言葉は、プロセスのふたつの異なる部分を包括する用語です。まず、データウェアハウスやリポジトリに保存された有意義なデータの集まりがあります。通常は、IT部門のデータサイエンスの専門家が、データを取得して利用できるように変換します。次に、Gartnerのマジック・クアドラントやForrester Waveに代表される、BIソフトウェアやサービスによるデータビジュアライゼーションがあります。
ビジネスインテリジェンスというと、一般的には分析データを提示する側面、つまりデータビジュアライゼーションのみを考えます。しかし、ビジネスインテリジェンスはデータビジュアライゼーションツールのみを指すわけではなく、データ収集とデータをふるいにかけるプロセスもあると覚えておくことが重要です。
ビジネスインテリジェンスとは、記述的なレポートを作成するだけでなく、その記述的なレポートを作成するためにデータを収集することも含まれる、という説明が適切でしょう。
質問:企業がビジネスインテリジェンスを利用する目的は何ですか?
回答: 企業がビジネスインテリジェンスソリューションを利用するのは、視覚的にレポートを確認し、それにもとづいて優れた意思決定をおこなう方法を把握するためです。ビジネスインテリジェンスの目的は、データを活用してビジネスオペレーションを改善することです。ビジネスインテリジェンスは、戦略から施策まで、あらゆることを改善するのに役立ちます。
例えば、自社で3つの新製品を発表するとします。新製品を販売するために、セールス担当者やカスタマーサクセスマネージャーなどにノルマを課し、パフォーマンス指標を設定します。ビジネスインテリジェンスツールの優れた使い方としては、四半期ごとに財務データを調査して、データを可視化してレポートを作成し、そのレポートをもとに、何がうまくいっていて何がうまくいっていないかを判断することが挙げられます。BIソフトウェアの最大の長所は、様々な種類の履歴データを単一の環境に表示できるため、より多くの情報にもとづいてビジネス上の意思決定をおこなえることです。
質問:ビジネスインテリジェンスはどのように進化し、それがビジネスにどのような影響を与えますか?
回答: 企業がビッグデータを活用できるようになることで、ビジネスインテリジェンスも進化します。ビジネスインテリジェンスを使用すると、財務データやサプライチェーンデータ、人事データなど、様々なデータチャネルを単一のストレージに集約できます。あらゆるデータチャネルが同時に揃うことはないかもしれませんが、新しいデータチャネルは追加できます。新しいデータセットは、他のデータセットと組み合わせることで、企業に関する新しいインサイトをもたらします。こうしたインサイトは、それぞれのデータセットを個別に見ていた場合には獲得できなかったものであり、ビジネスの効率化につながります。
質問:なぜビジネスをスタートさせたばかりでもデータガバナンスが重要なのですか?
回答: 新しい企業の多くは、売上や一見重要そうに見える事柄に集中したいため、データ分析やビジネスインテリジェンスを実施することを考えません。しかし、ビジネスインテリジェンスが重要なのは、データを適切に使用、管理するために、優れたデータガバナンスを構築することです。
現在、ビジネスインテリジェンスで課題となっているのは、データクエリに対する回答を得るまでのペースが遅いことです。ビジネスインテリジェンスツールは、保存されているデータに関するクエリに回答するのに、2日から2カ月かかることがあります。この課題に対処するために、セルフサービスBIと呼ばれるシステムが登場しています。このシステムではスピーディに回答を得ることができますが、データが常に100%正しいとは限りません。このシステムは、回答がかなり正確であるため、必ずしも悪いものではありませんが、適切なデータガバナンスがなければ、複数の人が企業データについて結論を下し、その結論が衝突する事態を招く可能性があります。
質問:自社のデータ管理を外部の代理店に依頼できますか?
回答: 企業データは範囲が広く、機密性も高いことから、データ管理を外部の企業に委託するのは賢明とは言えません。社内チームの方が適しているのは、セキュリティ面だけでなく、企業ごとにプロセス、目標、ニーズが異なることも理由です。自社に合ったデータガバナンス計画を策定することは、社内チームの方がはるかに容易です。企業によってはチームが単独で責任を負う必要はなく、組織内のグループの役割のひとつにすることもできます。
質問:ビジネスインテリジェンスは、企業の効率性や意思決定の向上にどのように役立ちますか?
回答: ビジネスインテリジェンスには、企業全体をまたいだ包括性、範囲、リーチがあり、複数の異なるデータチャネルを使用して、自社で何が起こっているかを把握することができるので意思決定に役立ちます。自社で進行中の重要な出来事を理解することで、ビジネスで確立している戦略を見直すことができます。
優れた意思決定は効率性と密接に関係しています。効率が向上すれば、データにもとづいた意思決定のスピードも向上するからです。ビジネスインテリジェンスは、優れたインサイトをより効率的に創出するのに役立ちます。特に、Adobe AnalyticsとCustomer Journey Analyticsのようなツールを使用している場合はなおさらです。他のBIツールは、Adobe Analyticsに比べるとかなり遅く、実行できることも限られます。すばやくピボットし、ビジネスインテリジェンスや拡張分析を用いて、疑問にリアルタイムで対応できることが重要です。
質問:ビジネスインテリジェンスは将来どのようになっていくのでしょうか?
回答: ビジネスインテリジェンスは、既にかなりの進化を遂げていますが、今も進化を続けています。多くの企業が、モダンなセルフサービスBIに足を踏み入れ始めています。アドビは、ジャーニー分析ソリューションにセルフサービスBIを採用するなど、セルフサービスBI導入の最前線に立っています。
セルフサービスBIに加えて、ビジネスインテリジェンスがAI(人工知能)と組み合わされることで、記述的、診断的、予測的、処方的なタイプのソリューションなど、あらゆる種類のレポートを作成できるようになると期待されます。
セルフサービスBIのインタラクティブな性質は非常に重要です。これは、ビジネスインテリジェンスと拡張分析の境界線も、今後さらに曖昧になることを意味しています。アドビは既にこの方面でかなりの飛躍を遂げていて、おそらくこれが将来の標準になるでしょう。つまり、オムニチャネルデータに対して、インタラクティブにピボットしたり、新しい質問をしたり、分析やビジュアライゼーション、パス分析、フロー分析などを実行できるようになるということです。顧客体験全体をリアルタイムにビジネスパフォーマンスと関連させて確認し、何が機能していて、何を改善する必要があるのかを理解するために必要な質問をできるようになるでしょう。