カスタマージャーニーマップの作成方法

Adobe Experience Cloud Team

02-24-2025

スマートフォンを持ちながらバス停に立っている笑顔の女性。周囲には、名前、メール、メンバーシップステータスなどの顧客データのデジタル要素。パーソナライズされたメールメッセージの送信など、自動化されたマーケティングアクションを表す要素

カスタマージャーニーマップは、B2B企業の長いセールスサイクルへの対応、関係者管理の合理化、購入プロセスの各段階における価値の提供に役立つツールです。主要な問題に対処し、顧客接点を最適化することで、企業はコンバージョン率や顧客維持率の向上など、測定可能な成果を促進できます。

この記事の内容:

カスタマージャーニーマップとは?

カスタマージャーニーマップとは、顧客が企業とやりとりする過程で通過する道のりを視覚化したものです。この視覚的なストーリーテリングを通じて、あらゆる顧客インタラクションのストーリーラインを順番に説明することで、自社における顧客体験を理解し、最適化できます。

多くのカスタマージャーニーマップは時系列で設計されており、顧客体験を時系列のイベントとして表現しています。しかし、ブランド認知から顧客ロイヤルティに至るまで、多くのカスタマージャーニーは直線的ではありません。多くの顧客は、オンラインとオフラインのチャネルが利用可能な場合、両方のチャネルを同時に使用して購入するなど、複数のチャネルを移動しながら進みます。

カスタマージャーニーマップの種類

カスタマージャーニーマップは、ブランド認知を出発点として、個人と企業のあらゆる接点を俯瞰的に表します。カスタマージャーニーマップには様々な形式がありますが、最も広く使用されているのは次の4つです。それぞれの仕組みを理解することで、自社に最適なカスタマージャーニーマップを選択できます。

カスタマージャーニーマップの構成要素

実際のジャーニーでは、直線的ではない、マルチチャネルのインタラクションが発生することが多いです。包括的なマップには、次の要素を含める必要があります。

これらの要素を組み込むことで、包括的なインサイトを獲得し、カスタマージャーニーマップのメリットを最大化できます。

カスタマージャーニーマップの利点

ニーズ、テクノロジー、市場動向の変化に先回りして対応するには、顧客体験を理解することが不可欠です。Hanover Researchによると、カスタマージャーニーマップに投資する企業の79%が、顧客中心のビジネスを推進しています。

カスタマージャーニーマップの主な利点は、次のとおりです。

カスタマージャーニーマップの作成方法

カスタマージャーニーマップの作成方法に関するフローチャート。2行のアイコンで構成。最初の行には、目標の設定、調査の実施、ターゲットペルソナのプロファイリングと特定、顧客接点のリスト化が記載されている。2行目には、現在のジャーニーと理想的なジャーニーのマッピング、リソースの評価、ジャーニーの進捗、必要な変更の実施が記載されている。

カスタマージャーニーマップの構築方法は、次の主要な10ステップで構成されています。

  1. 明確な目標の設定:目標を定義し、特定の顧客セグメントまたはペルソナに焦点を当てます。
  2. 調査の実施:顧客の行動や課題を理解するために、定性的および定量的なデータを収集します。
  3. ペルソナのプロファイリング:調査にもとづいてペルソナを開発または改良し、顧客の目標や課題を反映させます。
  4. ターゲットペルソナの特定:マップの焦点を絞り、最も関連性の高いインサイトに対応できるようにします。
  5. あらゆる顧客接点をリスト化:顧客が自社と直接的および間接的にやりとりしている接点を特定します。
  6. 現在のジャーニーをマッピング:顧客が現在、自社のビジネスでどのようなジャーニーを辿っているのかを文書化します。
  7. 理想的なジャーニーをマッピング:顧客に辿ってほしい、最適化されたパスを視覚化します。
  8. リソースの評価:理想的なジャーニーを実現するために必要なツール、予算、人員を決定します。
  9. ジャーニーのテスト:マップをテストして、矛盾点や改善すべき領域を特定します。
  10. 必要な変更を行う:顧客の期待に合わせてジャーニーを調整します。

中規模市場のITディレクターをターゲットとした、B2Bワークフローの自動化サービスを提供する企業の例を見てみましょう。ここでは、同社が顧客体験を改善するために、10のステップをどのように適用したのかを解説します。

  1. 明確な目標を設定:同社は、セールスサイクルのボトルネックを特定し、リードのコンバージョン率を向上させたいと考えています。同社の目的は、ITディレクターがマーケティング資料、セールス部門、ポストセールス担当者とどのようにやりとりするのかを理解することです。

  2. 調査の実施:CRMシステム、顧客フィードバックフォーム、セールス部門のインタビューからデータを収集しました。分析により、2回目のフォローアップメール後の離脱率が高いことが明らかになりました。ITディレクターは、離脱の主な理由として、詳細なROIの事例が不足していることを挙げています。

  3. ペルソナのプロファイリング:同社は、時間の制約、技術知識の深さ、購入決定を正当化するための実証可能なROIの必要性などの課題に焦点を当て、ITディレクターのペルソナを改良しました。

  4. ターゲットペルソナの特定:複数のペルソナの中から、セールスプロセスにおける主要な意思決定者であるITディレクターを、このマップの最重要ターゲットに決定しました。

  5. あらゆる顧客接点をリスト化:同社は、次のような重要な顧客接点を特定しました。

    • メールキャンペーンによる最初のエンゲージメント
    • ウェビナーへの参加
    • Webサイトでのデモのリクエスト
    • セールス担当者とのフォローアップコール
    • デモ後のROIドキュメント
  6. 現在のジャーニーをマッピング:現在のジャーニーでは、一貫性のないフォローアップや、デモ段階でのパーソナライズされたコンテンツの欠如など、非効率な取り組みが明らかになりました。

  7. 理想的なジャーニーをマッピング:最適化されたジャーニーでは、ROI計算ツールへのリンク、合理化されたデモリクエストフォーム、中規模市場の課題に合わせたケーススタディを含む自動フォローアップシーケンスなど、パーソナライズされたメールキャンペーンを導入しました。

  8. リソースの評価:同社は、パーソナライズされたリソースを作成するための専任のコンテンツライターの必要性や、CRM自動化のアップグレードのための追加予算など、ギャップを特定しました。

  9. ジャーニーのテスト:社内の関係者は、ITディレクターの視点からデモのプロセスをテストし、プロセスにおける不明瞭な点や、フォローアップメールの画一的な部分を特定しました。

  10. 必要な変更を行う:同社は、メールキャンペーンにリアルタイムのパーソナライゼーションを実装し、ROIに関するより詳細な説明を通じてデモのプロセスを改善するとともに、フォローアップの自動リマインダーを追加しました。

カスタマージャーニーマップの最適化

カスタマージャーニーマップは静的なツールではなく、ビジネスに合わせて進化させる必要があります。定期的な更新により、関連性や有効性を確保できます。

最適化に役立つヒントを次に示します。

カスタマージャーニーマップの関連リソース

カスタマージャーニーマップの作成は一見複雑に見えますが、作成プロセスを管理可能なステップに分解すると、実はとてもシンプルです。

Adobe Analyticsは、オンラインとオフラインの両方のインタラクションを最適化できるため、データを利用してカスタマージャーニーを最適化し、包括的なカスタマージャーニーマップを作成することができます。同様に、Adobe Customer Journey Analyticsは、クロスチャネルでの顧客とのインタラクションを可視化するのに役立ちます。

顧客体験を追跡し、把握するプロセスを自動化する能力が高ければ高いほど、カスタマージャーニーマップのプロセスはより効率的かつ効果的なものになります。

関連トピックス

https://business.adobe.com/fragments/resources/cards/thank-you-collections/analytics