ビジネス目標とは?

Adobe Experience Cloud Team

04-24-2025

予算・収益・プロジェクトの進捗状況・達成メッセージが表示されたキャンペーンダッシュボードをスマートフォンで確認する男性

ビジネス目標とは、企業が一定の期間内に達成を目指す、具体的・測定可能かつ事業に関連した目的のことです。こうした目標は、思いつきで設定されるものではなく、十分に検討されたうえで、達成可能でなければなりません。目標はそれぞれ、組織に明確な方向性と目的を示すものであり、意思決定やリソース配分を導く力を持っています。

各目標の達成期間はさまざまで、1年程度の短期目標から、数年にわたる長期的な成果まで幅広く設定されます。目標は、主に以下の領域に焦点を当てて設定されます。

そのため、多くの組織では、Adobe Workfrontのようなソフトウェアを活用して、目標をリアルタイムで管理・追跡しています。

業界ごとに特有のビジネス目標として、次のような例が挙げられます。

金融業界: 次の会計年度で新規顧客獲得数を15%増加させる。この目標は、成長と市場シェアの拡大に焦点をあてており、新規顧客の獲得数によって定量的に測定可能です。

ヘルスケアテクノロジー: 今後6か月以内に、アプリの利用率と予約件数の増加を指標として、テレヘルスプラットフォームにおける患者エンゲージメントを20%向上させる。この目標は、ユーザー体験の向上とプラットフォームの利用促進に焦点を当てており、アプリ使用状況や予約行動など、具体的な指標によって定量的に測定可能です。

ビジネス目標と目的の設定は、職場の成功に欠かせない要素として、常に重要視されてきました。しかし近年では、OKR(目標と主要な成果指標)、SMART目標、BHAG目標など、企業向け目標設定フレームワークが持つ力に、経営層が改めて注目し始めています。ここでは、こうした目標設定がなぜパフォーマンス向上に不可欠なのかを解説するとともに、具体的なビジネス目標の例や、自社での目標設定の始め方について解説します。

この記事の内容:

ビジネス目標の設定

ステップ1:ビジネス目標を設定する前に、経営陣の意見を聞く

ビジネス目標は通常、企業レベルの重要な戦略目標を定義する経営陣によって設定されます。一部の企業では、SWOT分析を活用して自社の強み・弱み・機会・脅威を特定し、それぞれをどのように活かすかに基づいて目標を設定する場合があります。経営陣と社内のマーケティング担当者との間で、ビジネス目標の整合性を確保することは重要です。

有効な取り組みの一つは、5年後に自社がどのような姿になっていたいかを視覚化することです。そこから得られた情報をもとに、次のステップとして「1年後にどの地点に到達していたいか」を明確にします。

ステップ2:1年間のビジネス目標と具体目標を選ぶ

今後5年間の企業成長に向けた明確なビジョンを持つことは不可欠です。ただし、ビジネス目標は1年を超えて設定すべきではありません。それ以上の期間を対象とすると、それは目標ではなく、長期的な戦略になります。細分化された測定可能な目標に集中できなければ、優先すべきビジネス施策を特定することは困難です。

年間計画において年次目標を設定するには、5年後のビジョンを支えるために達成すべき1年単位の目標を特定することが重要です。たとえば、5年以内にユーザー数50万人の達成を目指す場合、初年度のゴールとしてはグローバル展開の強化に注力することが考えられます。別の目標としては、新製品の立ち上げを成功させることが挙げられます。

ステップ3:四半期ごとにビジネス目標を分析する

年次のビジネス目標を設定したら、四半期計画に落とし込み、各四半期で達成すべき内容を明確にします。加えて、主要成果指標には具体的な達成予定日を設定します。目的とは達成すべき事項であり、主要な成果指標とは、その達成度を測るための1~3件の KPI です。定性的なマイルストーンでも、定量的な指標でもかまいません。

ステップ4:SMART目標を設定する

ビジネス目標に期限を設けるだけでなく、SMARTの各要素(具体的、測定可能、達成可能、関連性がある、期限付き)を満たしていることも確認してください。これら5つの指針に沿ってビジネス目標を設定することで、目標の明確化が図れ、戦略目標の遂行時に進捗を追跡しやすくなります。

ステップ5:OKRを3~5件以内に設定する

どの時点でも、四半期ごとのOKRは3~5件以内に絞り込むようにしてください。OKRが多すぎると、目標に集中することが難しくなる可能性があります。企業が選定するOKRは、最も重要な優先事項です。

ステップ6:ビジネス目標の具体例を活用する

企業が設定するビジネス目標と目的は、冒頭のポイントで述べたように、現在の機会や脅威を含む複数の重要な要因に基づいて決定されます。そのため、まったく同じ目標を持つ組織は存在しません。ただし、他社の企業目標を参考にすることで、有益な示唆が得られる場合もあります。

ステップ7:上位目標との整合性を保ちつつ、下位へ展開する

四半期の SMART 目標を3~5件設定したら、部門やユニットへと目標を展開していきましょう。これらの目標は、さらにチームや個人レベルへと細分化されます。個人も自らのOKRを設定することで、目標が上位から下位へ展開されるだけでなく、下位から上位へも貢献される仕組みが構築されます。の結果、従業員全員が自分の取り組みが企業の優先事項にどう貢献しているかを明確に把握できる、整合性のある目標体系が形成されます。

ステップ8:ビジネス目標を定期的に測定する

SMART なビジネス目標を設定し、目的を展開して、順調に進んでいるように見えるかもしれません — でも、まだ安心するのは早すぎます。年末に急いで対応する事態を避け、責任を果たすためにも、目標の定期的な確認が重要です。目標を定期的に測定しなければ、達成に向けた軌道修正はできません。戦略的なビジネス目標を設定した後は、進捗状況を定期的に確認しましょう。

ビジネス目標の設定が重要な理由

ビジネス目標の設定と進捗管理は、組織の成果を左右する重要な要素です。ビジネス目標は最終的な到達点であり、競合に先んじるためには、その進捗を継続的に追跡する必要があります。ビジネス目標が未達に終わる主な理由の一つは、目標の成果が測定されないことです。

だからこそ、ビジネスの目標と目的は、最初から測定可能な形で設定することが重要です。進捗を継続的に確認することで、目標が予定通り進んでいるか、遅れているか、または他の優先事項のために一時的に停止すべきかを判断できます。

こうした理由から、ビジネス目標はSMARTの原則に基づいて設定することが重要です。

SMART目標を表す5つのアイコン:具体的(Specific)、測定可能(Measurable)、達成可能(Achievable)、関連性(Relevant)、時間ベース(Time-based)。

SMARTな目標を設定すれば、自然と進捗の追跡がしやすくなります。明確なビジネス目標を設定しておけば、従業員は自分に求められていることを正確に理解できるため、マネージャーは目標に向けた進捗についてよりスムーズに話し合うことができます。進捗が順調かどうかを確認し、必要に応じて軌道修正の指導を行うことで、チームを目標達成に向けて導くことができるのです。そうすることで、期限が来る頃には目標が達成されている状態を確保できます。

ビジネス戦略における目標と目的の違い

これらの用語はしばしば同じ意味で使われますが、目標は一般的に、収益性の向上、新規市場への参入、市場シェアの拡大など、より長期的な成果を指します。一方、目的はより短期的かつ具体的な指標に焦点を当てます。たとえば、顧客満足度スコアを10ポイント向上させることや、次の四半期内にWebサイトのトラフィックを5%増加させることなどが挙げられます。目標は進むべき方向を示し、目的はそのための具体的な行動です。

ビジネス目標の種類

目標の種類
説明
長期的なビジネス目標
1年以内に達成可能な、具体的かつ実行可能なターゲット。
新しいマーケティングキャンペーンの開始する、SNS担当者を採用する、Webサイトのトラフィックを15%増加させる。
長期的なビジネス目標
より広範で戦略的な目標。3〜5年、またはそれ以上の期間をかけて達成される。
業界でのマーケットリーダーになる、新たな海外市場に進出する、投資利益率を倍増させる。戦略的目標は、3〜5年の戦略計画の終点として設定される。
財務関連のビジネス目標
企業の財務状況や成長に関わる目標。
収益を20%増加させる、運用コストを10%削減する、新規プロジェクトの資金調達を確保する。
顧客重視のビジネス目標
顧客満足度、ロイヤルティ、維持率の向上など、顧客中心の目標。
顧客生涯価値を10%向上させる、顧客離脱率を5%削減する、カスタマーサービスの応答時間を20%短縮する。
社内向けのビジネス目標
業務プロセス、従業員のエンゲージメント、企業文化に焦点を当てた目標。
従業員の定着率を15%向上させる、イノベーション文化を醸成する、ワークフローを効率化してプロジェクト完了時間を短縮する。
イノベーション関連のビジネス目標
競合に先んじるために、新しい製品・サービス・プロセスの開発に焦点を当てた目標。
AIを活用した新しいカスタマーサービスツールを開発する、ニッチ市場向けの新製品ラインを立ち上げる、生産効率を高める新技術を導入する。

ビジネス目標のフレームワーク

ビジネス目標の設定には、さまざまな手法があります。目標設定のフレームワークを選ぶ際は、それぞれの手法を比較検討し、自社の文化や方針に合ったものを選びましょう。代表的なビジネス目標設定のフレームワークには、次のようなものがあります。

OKR(目的と主要な結果)

OKRは、具体的な目的と、それを達成するために必要な主要な成果を軸に構成されたビジネス目標です。

従来の目標設定手法が、数多くの控えめなターゲットに焦点を当てる傾向があるのに対し、OKRは、少数の大胆な目的を設定し、それぞれに3〜5の測定可能な成果指標を紐づけることを重視します。目的とは、組織が達成を目指す内容を示す、定性的で意欲的なゴールのことです。それは簡潔で、意欲をかき立てる内容であり、すべてのメンバーにとって理解しやすいものであるべきです。明確に定義された目的は、チームに進むべき方向を示し、共通のビジョンに向けた意欲を高めます。

主要成果とは、目標を どのように 達成するかを示す、具体的、測定可能、達成可能、関連性、期限付きというSMARTの条件を満たす指標です。これらは、進捗を定量的に把握し、チームの責任を明確にする手段となります。これらの指標は、進捗を正確に測定・追跡できるよう、十分に具体的である必要があります。

たとえば、目的として「市場シェアの拡大」を掲げることができます。対応する主要成果には、「ソーシャルメディアでのエンゲージメントを基準にブランド認知度を20%向上させる」「主要顧客を10社獲得する」「売上収益を5%増加させる」などが考えられます。

詳しくはOKRをご覧ください。

SMART目標

SMART目標とは、Specific(具体的)、Measurable(測定可能)、Attainable(達成可能)、Relevant(関連性)、Time-Bound(期限付き)の頭文字を取った目標設定のフレームワークです。SMART手法を用いた目標設定により、ビジネス目標は明確に定義され、所定の期間内での実行に重点を置くことができます。

これら5つのSMART原則を遵守することで、ビジネス目標は明確かつ焦点が定まり、実行可能なものになります。この体系的なアプローチにより、計画の立案、リソースの配分、進捗の管理が効率的に行え、最終的には野心的な目的達成につながります。定期的なレビューと調整は、全体戦略との整合性を維持し、予期せぬ状況の変化に柔軟に対応するために不可欠です。SMARTフレームワークは、単なる目標設定手法ではなく、明確性・責任意識・確実な実行を促す管理ツールです。

詳しくは、SMART目標をご覧ください。

目標による管理(MBO)

目標による管理(MBO)は、企業の特定のニーズと目標に基づいて運営を行うための管理フレームワークです。MBOの目標設定プロセスは、まず企業の最上位目標を定義し、それを基に従業員の目的を策定することから始まります。

目標が設定された後は、定期的な進捗レビューを実施し、パフォーマンスを監視するとともに、必要に応じて調整を行います。この反復的なプロセスにより、状況の変化に応じた柔軟な対応と適応が可能になります。マネージャーと従業員間での開かれたコミュニケーションと円滑な共同作業は、成果を上げるために欠かせません。マネージャーは支援と指導を行い、従業員は自ら目標の設定と達成に積極的に関与します。

MBOフレームワークを導入することで、従業員のエンゲージメント向上、パフォーマンスの改善、責任意識の強化、そして個人目標と組織目標のより良い整合が実現します。ただし、MBOを効果的に導入するには、力強いリーダーシップ、明確なコミュニケーション、そして定期的なモニタリングとフィードバックへの継続的な取り組みが不可欠です。これらの要素が欠けると、MBOは組織の成功を促進する強力な手法ではなく、形式的な官僚的作業に陥る可能性があります。MBOの効果を最大化するには、すべての関係者による積極的な参加と、継続的な改善への取り組みが欠かせません。

大胆で野心的な目標(BHAG)

大胆で野心的な目標とは、企業が達成を目指す長期的なビジネス目標であり、通常は10年から25年を視野に設定される大規模なターゲットです。BHAGは、現在および将来の従業員を組織の長期的なビジネス目標に導くための指針として活用されます。

BHAGの設定には、広範な戦略的計画、関係者との連携、そして組織の能力と制約に対する深い理解が求められます。BHAGの設定には慎重な検討が必要です。定義が不十分である場合や、目標が非現実的である場合、組織に悪影響を及ぼす可能性があります。ただし、BHAGを効果的に導入すれば、組織文化の形成、イノベーションの促進、そして最終的には卓越した成果の達成を導く強力な指針となります。BHAGの長期的な視点は、優秀な人材の獲得と定着にも寄与します。明確なビジョンと野心的な目標を掲げる組織に、人々は魅力を感じるからです。

詳しくは BHAG をご覧ください。

ビジネス目標の利点

適切なビジネス目標を選定することは、企業を最良の方向へ導くための出発点となります。ビジネス目標は、組織全体を望ましい成果に向けて集中させるために不可欠です。また、現時点で最も重要な優先事項に対して、全員が一丸となって取り組む体制を整える役割も果たします。ビジネス目標の設定が適切に行われれば、チームのモチベーションを高め、エンゲージメントを促進し、成果の加速にもつながります。

目標を達成できずに終わる企業が後を絶ちません。多くの場合、目標が最初から適切に設定されていなかったり、具体性や測定可能性を欠いていたことが原因です。その結果、人々は自分が目標に向かって順調に進んでいるかどうかを判断する術を持てなくなります。その結果、従業員は本来集中すべき最重要課題に取り組むのではなく、雑務や緊急対応に追われ、時間を浪費してしまいます。

ビジネス目標の設定が重要である理由:戦略の実行、エンゲージメント、集中力、イノベーション。

1. ビジネス目標と目的は組織の方向性を統一する基盤

OKRのような体系的手法を用いて戦略的にビジネス目標を設定することで、組織全体の方向性を一致させることが可能になります。効果的な目標設定と組織の方向性の整合は、財務パフォーマンスの向上と直接的に関連しています。目標に整合性がある組織は、企業の最重要課題と従業員個人の目標との直接的なつながりが欠如している組織よりも、優れた業績を上げる傾向があります。

2.企業目標はビジネス戦略の実行を支援する

組織が目標の達成に失敗する最も一般的な原因の一つは、CEOの優先事項と従業員の目標との間に乖離があることです。企業の最上位目標を設定し、それをトップダウンで展開することで、すべての従業員の目標が企業の最重要課題を直接的に支援する体制を確立できます。その結果、すべてのメンバーがビジネス戦略の実行を支持し、積極的に貢献する体制が整います。

さらに、目標が階層的に展開され、整合性が確保されていることで、すべてのチームが互いの目標を把握できるようになります。これにより、重複作業が防止され、マネージャーは部下の担当業務を正確に把握できるようになります。その結果、進捗を追跡しつつ、チームメンバーが集中力を維持できるよう適切に指導することが可能になります。

3.目標設定は従業員のエンゲージメントと定着率を高める

ビジネス目標の設定には、従業員の定着率が向上するという利点もあります。ギャラップ社の調査によると、従業員の満足度が低い企業は、満足度の高い企業に比べて 離職率が51%高く、生産性の低下や欠勤の増加も見られることが明らかになっています。目標設定は、チームが自らの貢献が企業の成長にどうつながるかを明確に理解する手助けとなるため、従業員満足度を高める効果があります。したがって、企業目標の設定は、優秀な人材の定着を図るうえで最も強力な手段の一つです。

4. ビジネス目標の設定は集中力と緊急感を生み出す

従業員の満足度とエンゲージメントは重要な成果ですが、知的かつ戦略的なビジネス目標の設定によって、集中力と緊急感を生み出すことができます。適切に設定されたビジネス目標は、従業員の意欲を高め、各目標が進むべき方向性を示すことで、行動を促します。

5. 戦略的目標はイノベーションを促進する

達成可能でありながら挑戦的なビジネス目標を設定することで、イノベーションを促すことができます。目標を慎重に管理するなら、創造性やイノベーション、探究的な思考を促し、新たなアイデアや戦略の創出につなげることができます。これらの目標を追跡することで、改善すべき領域や、必要に応じた適応の可能性を明らかにできます。ただし、バランスを欠くと、従業員の士気に悪影響を及ぼすことがあります。

ビジネス目標設定の課題

SMART目標は一般的な課題の影響を受ける可能性があり、それらにより非効率が生じたり、場合によっては進捗の後退を招いたりすることもあります。SMART目標における潜在的な落とし穴として、目標が高すぎる場合には、士気の低下や不要なストレス、さらには燃え尽き症候群を引き起こすことがあります。同様に、目標を適切に管理しないと、達成されないまま終わったり、自然消滅したり、実現不可能になったりする可能性があります。企業は状況の変化に応じ、データに基づいて柔軟かつ適応力を維持する必要があります。そのためには、強力で透明性の高いコミュニケーションが不可欠です。

目標そのものが行動を促すものであるべきですが、特定の目標に固執しすぎると、他の重要な要素を犠牲にする可能性があります。ジャーニーに目を向け、チームが何に取り組んでいるのか、何が機能していて何がそうでないのかを見極めましょう。

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