メールマーケティングは、一貫して高い投資回収率を実現し、成果を推進する上で最も効果的で広く利用されているチャネルの一つです。長年にわたり利用されてきたメールマーケティングですが、技術の進歩、顧客の期待の変化、新しいビジネス戦略の影響を受けて、常に進化しています。
成果を最大化するために、開封率、クリック率、コンバージョン率を高めるメールマーケティングプログラムを構築するための9つの重要なステップをご紹介します。初めてのキャンペーンを開始する場合も、アプローチを改良する場合も、これらのステップを踏むことで成功への道筋を立てることができます。
このガイドの内容:
- メールマーケティングとは?
- 優れたメールマーケティング戦略の利点
- マーケティングメールの種類
- メールマーケティングの活用方法(9つのステップによるガイド)
- メールマーケティングのコンプライアンスの重要性
- メールマーケティングを開始するにあたって
メールマーケティングとは?
メールマーケティングでは、企業の商品やサービスについて宣伝したり、顧客のロイヤルティを強化したりするためのツールとしてメールを使用します。製品の宣伝、割引情報の共有、ニュースの配信など、メールリストに登録している人々に情報を提供し、関心を引くことを目的とした、直接的なデジタルマーケティング戦略です。これにより、顧客が積極的に買い物をしていないときでも、企業と顧客とのつながりを維持できます。
このマーケティングチャネルは特に、次のような重要な目標を達成するのに効果的です。
- 新規顧客を惹きつける:人々は、すぐに購入するよりもメールアドレスを登録することを好む傾向があるため、メールマーケティングは、顧客にブランドを紹介するためのハードルの低い手法です。
- 関係の構築:メールマーケティングは、貴社のことを顧客の意識に常に留めておくことで、購入間の既存顧客との関係のナーチャリングに役立ちます。
- オーディエンスに発信:メールは、ブランドの差別化要因や顧客が自社を選ぶべき理由を強調する機会となります。
- ブランド認知度の向上:定期的で価値のあるメールは、潜在顧客と既存顧客の両方にブランドを印象付けることができます。
メールマーケティングの最大の特徴は、費用対効果に優れていることです。他のマーケティングチャネルに比べ、わずかな費用で多くのオーディエンスとエンゲージできるため、成長を目指すあらゆるビジネスに欠かせないツールとなっています。
優れたメールマーケティング戦略の利点
ソーシャルメディア、SEO、動画、ポッドキャストなどの多くのマーケティングチャンネルがオーディエンスを細分化し、注目を集めようと競い合っています。メールキャンペーンが閲覧数やクリック数の獲得競争を繰り広げる中、メールマーケティングはまだ機能しているのでしょうか?
問題ありません。メールマーケティングは絶大な影響力を持ち続けています。
メールマーケティングは、3,600%もの投資回収率を生み出すことができます。ソーシャルやSEOなどのチャネルが成長しても、メールアドレスは誰でも持っており、モバイルデバイスも含めて頻繁に使用している単純な事実から、メールが最も効果的なマーケティング戦略の一つであることに変わりはありません。
優れたメールマーケティングには、次のような多くの利点があります。
- 限定割引を提供したり、カゴ落ちメールを送信したりすることで、コンバージョン数や取引が増加する。
- 適度な頻度で受信トレイに届くことで、認知度が向上する。
- 主にパーソナライゼーションとマーケティングオートメーションによって、顧客との関係が向上する。
- Webサイトやブログへの訪問、商品の購入などのアクションを促すことができる。
- 成果を容易かつ客観的に測定できるため、取り組みの効果をより明確に把握できる。
Statistaの調査によると、メールマーケティングの世界的な価値は、2023年には83億ドルで、2028年には189億ドルにまで市場が拡大すると予測されています。さらに、2027年までに1日のメールユーザー数は5億人増加すると予測されています。
マーケティングメールの種類

1. ウェルカムメール
ウェルカムメールは、企業と新規購読者の最初の接点となり、ポジティブで好意的な関係を築くために重要な役割を果たします。
ウェルカムメールは、新規登録者に挨拶して感謝の気持ちを伝えると同時に、企業やサービス、限定特典やインセンティブに関する貴重な情報を提供できます。
よく練られたウェルカムメールは、印象に残り、期待を持たせ、新しいリードをナーチャリングできます。最終的には、コンバージョンの可能性と長期的な顧客ロイヤルティを高めることができます。
2. リードナーチャリングメール
リードナーチャリングメールは、潜在顧客をセールスファネルに導き、強い関係を築く上で重要な役割を果たします。
リードナーチャリングメールの目的は、ジャーニーの様々な段階にいるリードに、適切で価値のあるコンテンツを提供し、特定のニーズや悩みに対応することです。
パーソナライズされた、ターゲットを絞ったメッセージを配信することで、リードの関心を引き付け、信頼を築き、企業の権威を確立し、コンバージョンの可能性を高め、長期的な顧客ロイヤルティを向上させることができます。
3. ニュースレター
ニュースレターメールは、最新情報、業界の見識、価値あるコンテンツなどを、購読者と定期的に共有できる貴重なコミュニケーションチャネルです。ニュースレターメールを利用する主な理由は、購読者に常に情報を提供し、興味を持続させ、企業やサービスとのつながりを保つことです。厳選されたコンテンツ、プロモーション、限定情報などを提供することで、購読者に価値を提供し、企業の専門性を確立し、コミュニティ意識を醸成することで、顧客エンゲージメントとブランド認知度が向上します。
4. 専用メール
専用メールは、ターゲットオーディエンスに対して、特定の商品、サービス、オファーを強調するために作成します。購入やイベントへの申し込みなど、即座にアクションを起こさせるようなインパクトのあるメッセージにしたい場合は、専用メールを利用するとよいでしょう。これらのメールは、受信者の注意を引き、明確なCTA(行動喚起)を提供するため、コンバージョンを生み出し、特定のキャンペーンの投資対効果を最大化するのに非常に効果的です。
5. リエンゲージメントメール
リエンゲージメントメールの目的は、休眠購読者と再びつながり、企業の提供するサービスに対する興味を再び持ってもらうことです。リエンゲージメントメールをメールマーケティング戦略に組み込むことで、エンゲージメントを復活させ、メーリングリストの縮小を抑え、非アクティブな購読者をアクティブな顧客に変えることができます。リエンゲージメントメールで、インセンティブ、パーソナライズされたコンテンツ、限定プロモーションなどを提供することで、自社とやり取りを始めた理由を思い出してもらい、行動を促し、健全で高い関心度を持つ購読者基盤を維持するのに役立ちます。
メールマーケティングの効果的な活用方法
1. オーディエンスを定義する
メールを通じて顧客にリーチしたい場合、まずその顧客が誰であるのかを把握することが重要です。顧客についてよく知ることは、メールに適切なコンテンツを作成するために重要です。
貴社にとって理想的な顧客のデモグラフィックはどのようなものでしょうか。年齢、居住地、性別、職業、興味など、様々な要素を考慮してください。顧客や、自社製品やサービスに興味を持つ可能性が最も高い顧客層についてよく理解すればするほど、メールキャンペーンが成功する可能性は高まります。
たとえば、オーガニックのベビーフードを販売している会社の場合、ターゲット層を、環境に優しい製品や栄養に関心のある若い働く母親に絞り込むことができるでしょう。一方、10代の少年たちは、この製品に興味を持つ可能性は極めて低いでしょう。
ターゲットを絞り、貴社の情報に関心のない人をターゲットにしないように注意しましょう。製品を購入する可能性が最も高い人たちが、メールマーケティングの最適なオーディエンスです。
2. 目標を設定する
目標を設定すると、各メールの目的が明確になり、集中力を維持し、スパムメールになることを防ぐことができます。目標は測定可能であり、全体的な結果を評価する方法を決定する上で役立つものでなければなりません。これについては、後のステップで説明します。ビジネスのニーズについて考え、目標を決定します。
たとえば、ソーシャルメディアキャンペーンが成功して新規会員が急増した場合、その人たちを歓迎し、webサイト、製品、購読サービスに慣れるためのメールマーケティングキャンペーンを作成することをお勧めします。
3. メールマーケティングプラットフォームを選択する
優れたメールマーケティングプラットフォームは、キャンペーンで設定した目標の達成に役立ちます。メール送信のプロセスを合理化し、マーケティングキャンペーンの効果を評価できます。プロセスが非常にシンプルで使いやすく、すべてを1か所で管理できます。
プラットフォームを選ぶ際には、希望する規模に対応できる十分な機能と、必要なレベルのサポートが提供されていることを確認してください。また、ビジネスにとって重要な機能も決定しておく必要があります。人気のメールマーケティングプラットフォームのレビューを読んで、自社のビジネスに適したプラットフォームを見つけましょう。
Adobe Campaignのデモビデオを視聴して、Campaignがメールマーケティングのニーズに合ったプラットフォームであるかどうかご確認ください。
4. キャンペーンの種類を決定する
メールマーケティングキャンペーンには、顧客に対する具体的な行動喚起を1つ含める必要があります。また、一定期間にわたって顧客を惹き付けるために、一連のターゲットメールも計画的に組み込む必要があります。
キャンペーンの種類を決定することは、定義したオーディエンスに最も効果的にリーチするために重要になります。実施するメールマーケティングキャンペーンの種類を決定する際には、目標とオーディエンスの両方を考慮しましょう。顧客に対するCTAが確実に目標の達成に役立つようにします。
キャンペーンの種類には、次のようなものがあります。
- ニュースレター
- プロモーションまたはお知らせ
- リエンゲージメント
- コンテンツまたはブログの更新
- ウェルカムメール、トランザクションメールなどの自動返信メール
たとえば、貴社とのつながりを感じてもらいたい場合、ニュースレターはオーディエンスの関心を維持し、最新情報を提供するための優れた手段となります。
5. メールリストを作成する
メールリストを作成することは、ターゲットオーディエンスをまとめることと同じです。メールリストを購入するほうが簡単なように思えるかもしれませんが、購入すべきではありません。購入したメールリストは、オーディエンスの一部ではないプロスペクトに時間を無駄にする可能性が高くなります。メールリストを構築する最善の方法は、オーガニックなアプローチを取ることです。
メールリストをオーガニックに構築するために活用できるいくつかの方法を次に紹介します。
- 自社で保有する既存のメールリスト
- 顧客関係管理ソフトウェア
- ソーシャルメディアやwebサイトを通じて新しいメールアドレスを取得
- ゲート付きコンテンツやプロモーションオファー
興味のある顧客が簡単に連絡先情報を提供できるように、顧客に頻繁にメールアドレスをリクエストするようにします。顧客がwebサイトやソーシャルメディアでメール配信をできるだけ簡単にオプトインできるように、メールアドレスを入力すると割引が適用されるというポップアップを表示するなど、工夫するとよいでしょう。もう一つの方法は、ソーシャルメディアのチャットボットで、プロモーション用のメールアドレスの登録を募ることです。
リストに登録されているメールアドレスは、自社のコミュニケーションの受信をオプトインした顧客のみで構成されていることを確認しましょう。オプトインしていない顧客は、リストに登録しないようにします。
6. リストをセグメント化する

顧客を様々なグループに分類して、メールリストをセグメント化します。セグメントを作成することで、送信するメールをカスタマイズでき、顧客がメッセージを開いてエンゲージする確率が高くなります。
メールリストをセグメント化する際には、顧客間の潜在的な違いと、それに対してどのように対応をカスタマイズできるのかを考えるようにします。メールリストをセグメント化する方法の例とその有用性について、次にいくつか紹介します。
- 地域:アウトリーチ活動に関するニュースレターを作成する場合、メール送信先の地域の情報に応じて、異なるニュースレターを配信するとよいでしょう。
- デモグラフィック:メールのコンテンツや件名を、様々な年齢層に合わせてカスタマイズできます。
- 過去の購入履歴:Webサイトで特定の製品を購入した顧客がいる場合は、その顧客に類似の製品に関するプロモーションを送信できます。
- 購入者の行動:プロモーションに好意的な反応を示す顧客には、より多くのプロモーションを送信できます。
- 表明した興味:顧客に興味のあることを(たとえば、初回アンケートで)尋ねて、その顧客にカスタマイズした製品のレコメンデーションを送信できます。
- メールエンゲージメント:メールへのエンゲージメントが特に高い顧客には、購読解除のリスクを冒すことなく、より定期的にメールを送信できます。
これらのセグメントは、メールキャンペーンの効率を高めるために、すべてキャンペーンの目標の範囲内に収める必要があります。顧客を区別することは、キャンペーンの成否を左右する重要な要素となります。
7. メールを作成する
送信するメールの内容によって、受信者はCTAに従うかどうかの判断を下します。そのため、CTAは常に含める必要があります。CTAは、売り上げの増加や顧客教育など、最終的に目標の達成に役立つものです。メールの内容は、オーディエンスの注意を引くようにカスタマイズすることが最適です。特に、メールリスト内の様々なセグメントに合わせてカスタマイズすると効果的です。
受信者に作成したメールを読んでもらいたいのであれば、件名は魅力的なものにする必要があります。セグメントごとに異なる件名や、個人向けにパーソナライズされた件名など、動的な件名を使用することで、メールの効果がさらに高まります。
多くのメールマーケティングプラットフォームでは、メール作成プロセスを容易にするテンプレートが用意されています。
8. メールをテストする
メールキャンペーンは比較的安価であるため、様々なバージョンをテストして、ビジネスに最も効果的なものを確認することをお勧めします。テストでは、結果を確認して、ビジネスが目標を達成するのに、どのコンテンツ、件名、CTAなどが役に立つのかを確認します。テストを行うことで、メールキャンペーンを強化し、期待する結果を得ることができます。
メールマーケティングのメッセージをテストする最も簡単な方法の一つが、A/Bテストです。A/Bテストでは、特定の要素を変更した複数のバージョンのメールを作成します。次に、各バージョンの結果を比較して、最も効果的な変更点を特定します。たとえば、どの件名がメールの開封率が高いかをテストできます。また、異なるグループに異なるリンクを配置して、顧客をwebサイトに誘導する可能性の高いリンクを確認することもできます。
9. 成果を測定する
結果を測定することは、メールキャンペーンが目標に対してどの程度の成果を上げたのかを把握する唯一の方法です。メールマーケティングプラットフォームの分析機能を使用すると、様々な指標をトラッキングして成果を測定できます。
一般的な分析項目には、次のようなものがあります。
- ユニーク開封率:メールを開封した顧客の数をトラッキングします。件名の効果や、メールが受信者にとって関連性があるかどうかを確認するのに適した指標です。
- クリック率:メール内のリンクをクリックした人数をトラッキングします。コンテンツの効果を測定するのに役立ちます。
- バウンス率:メールサーバーからの拒否をトラッキングします。バウンス率が高い場合は、メールリストが非生産的である可能性があります。
- 登録解除率:メールを登録解除した人数をトラッキングします。メールがスパムと認識されているのか、受信者にとって無関係であるのかを把握できます。
注目すべき指標は多岐にわたります。分析を行う指標を選択する際には、目標に最も近い指標を検討してください。
メールマーケティングのコンプライアンスの重要性
メールマーケティングに関しては、注意すべき法律がいくつかあります。米国では、最も重要な規制はCAN-SPAM法です。CAN-SPAM法は、スパムや不正なメールアドレスの使用を防止することを目的としています。貴社の事業が合法であり、受信者が貴社のリストにオプトインしている場合は、罰金の心配はほとんどないでしょう。
CAN-SPAM法に準拠するには、メールの目的を明確にします。メールに関連する情報が正確であることを必ず確認します。メールが個人的な友人から送られたように見せかけることは避け、企業からの広告であることを明確にします。メールリストに登録されている全員が、貴社からのプロモーションメールを受信することに同意していることを確認します。
リストに登録されている人が簡単に登録解除できるように、リストから削除するために複数の手順を踏んだり、追加の情報を入力したりする必要がないようにします。登録解除した人は、すぐにリストから削除します。CAN-SPAM法では、メール送信を停止するまでに10営業日の猶予期間が設けられています。
直感に反するように思えるかもしれませんが、登録解除に関する規制を順守することは、長期的には企業にとってメリットがあります。新しい購読者が受信トレイに貴社のメールをこれ以上表示したくない場合に、貴社のメールをスパムとして報告するのを防ぐことができます。登録解除ボタンが簡単に見つけられる場合、誤ってスパムとして報告され、配信に影響が出る可能性が低くなります。
メールマーケティングを始めるにあたって
メールマーケティングの手順の概要は、次のとおりです。
- オーディエンスを定義する: 理想的な顧客の様々なデモグラフィックを特定します。
- 目標を設定する: メールキャンペーンの目的は何ですか?
- メールマーケティングプラットフォームを選択する: メールマーケティングプラットフォームは、メールリストの作成からメール送信、分析の評価に至るまで、あらゆる作業を合理化するのに役立ちます。
- キャンペーンの種類を決定する: メールはどのように構成しますか?顧客に対するCTAは何ですか?
- メールリストを作成する: これを自然な方法で行い、全員がオプトインしているようにします。
- リストをセグメント化する: より的確なターゲティングを行うために、メールリスト内のセグメント化されたグループごとに独自のメールを作成します。
- メールを作成する: メールのコンテンツによって、顧客が貴社のビジネスにさらに関心を寄せるかどうかが決まります。
- メールをテストする: メール要素のバリエーションを作成して、最も効果的なものを確認します。
- 結果を測定する: 分析機能を使用して、目標を達成しているかどうか、改善の余地があるかどうかを確認します。
また、法律を遵守することも忘れないでください。透明性を保ち、簡単に登録解除できるようにしましょう。
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