電力・ガス業界が新規顧客開拓とLTV最大化のために行うマーケティング

2016年4月の電力小売全面自由化、2017年4月のガス小売全面自由化以降、電力・ガス業界では激しい顧客獲得競争が続いています。 今後、電力・ガス業界で長期的に生き残っていくには、新規顧客開拓と、既存顧客の解約阻止によるLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の最大化が欠かせません。
ここでは、電力・ガス業界で生き残っていくために必要な、今後行うべきマーケティングについて解説します。

目次

  • 電力業界の現状
  • ガス業界の現状
  • 電力・ガス業界の課題
  • MAを活用してできることとは?
  • Marketo Engageの活用事例
  • 電力・ガス業界の課題解決にMAを活用しよう

電力業界の現状

2016年4月の電力小売全面自由化で、これまで東京電力や関西電力などの旧一般電力事業者の独占状態だった電力市場に、多くの新規事業者が参入。価値観やライフスタイルに合わせて、自由に電力会社や料金プランを選べるようになりました。
新規事業者の中には、住宅事業者、通信事業者、石油販売事業者などまったくの異業界から参入し、自社の製品やサービスと電力とのセット販売を打ち出すなどして差別化を図る事業者もあります。また、再生エネルギーを利用した、風力、太陽光、水力、地熱など、エコな発電方法で利用者の注目を集める事業者も増えています。

日本の全販売電力量のうち、電力自由化以降新規参入した小売電気事業者(新電力)が占める割合は、2020年6月時点で約17.8%。家庭などの低圧分野においては約19.0%でした。利用者側の新電力に対する認知度向上もあって、新電力への切り替えや販売電力量は増加傾向を維持しています。
特に、一般家庭向けの新電力は、新規参入業者が多い大都市圏を中心に切り替え率が高くなっています。新電力への切り替え率は、東京電力グループ管内が17.6%で最も高く、2位は16.3%の関西電力管内です。旧一般電力事業者から新電力への移行はもちろん、新電力間でも顧客の獲得競争が激化しています。

こうした状況を裏づけるように、新電力の登録数も増加を続けており、2020年10月1日時点で679者となりました。一方で、事業承継は80件、事業廃止や法人の解散は27件と、やむなく市場から撤退する事業者も少なからず存在しているのが現状です。

ガス業界の現状

一般ガス事業者による地域での独占供給が撤廃され、登録事業者であれば小売事業に参入できるようになったことで、新たに一般家庭への供給を行う事業者の参入が相次ぎました。ガス小売全面自由化後、2020年10月20日時点で82者がガス事業法に基づく「ガス小売事業」の登録を行い、このうち35者が新たに一般家庭へ供給を開始、または供給を予定しています。
新規参入事業者が目立つのは、東京ガス管内を筆頭に、大阪ガス管内、東邦ガス管内などです。

新規参入の有無を問わず、自由化をきっかけに料金プランの刷新や既存プランの引き下げなどが行われ、電力・通信とのセット割引や、子育て家庭の料金割引など、料金やサービスの多様化が進みました。
利用者側の期待も大きく、家庭用の契約では新規参入事業者への契約変更が増加。2020年9月末時点で他社へ契約変更した件数は全体のおよそ15.8%となっており、近畿や中部・北陸地域で特に伸びています。

電力・ガス業界の課題

電力・ガスの小売全面自由化による顧客獲得競争の激化や、時代の変化に伴う顧客行動の変化を受けて、電力・ガス業界はさまざまな課題に直面しています。電力・ガス業界共通の課題を確認しておきましょう。

新規顧客の獲得が困難

新規事業者の参入により、利用者はコスト面やほかのサービスとのセット販売の内容などを吟味した上で、自分の暮らしに合う事業者を選べるようになりました。多くの事業者が限られた顧客を取り合う現状において、新規顧客の獲得は容易ではありません。
各事業者は、自社の優位性や強みを明確に打ち出し、エリアや顧客ニーズに即した施策を展開して新規顧客を獲得していく必要があります。

顧客行動がデジタルへシフト

インターネットやスマートフォンの普及で、顧客の行動はデジタルへとシフトしています。電力やガスの切り替えに興味を持てば、みずから検索して比較・検討し、場合によっては購買(切り替え)までオンラインで完結させてしまいます。営業が電話や訪問、DMなどで接点を持ったときには、顧客はすでに方針やプランを決定していることも多いでしょう。

こうした傾向は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う、自粛期間により強まりました。しかし、現時点では、デジタル上でパーソナライズされた顧客体験を提供できず、消費者からの期待に十分に応えられていないと感じている事業者が少なくありません。
今後は、デジタル接点であるオウンドメディアやSNS、アプリなどの活用と、それぞれの接点における価値ある顧客体験の提供が、他社との差別化を図るためのカギになっていくと考えられます。

最適な顧客体験を提供するオムニチャネル戦略については、下記のページから無料でダウンロードできるeBookで詳しく説明しています。

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既存顧客を失うリスクが増大

利用者側の選択肢が増えた今、新規顧客の獲得が難しくなるのと同時に、既存顧客を失うリスクも高まっています。日々移り変わる顧客のニーズを把握し、適切なコミュニケーションでロイヤリティを高めて、解約を防ぐことが重要です。

MAを活用してできることとは?

電力・ガス業界の課題解決には、MA(マーケティングオートメーション)を活用したマーケティングが有効です。

MAは、顧客の属性や行動などの情報を一元的に管理して顧客行動を可視化し、マーケティングを自動化するツールです。MAを使うと、顧客とのこれまでの商談履歴や購買履歴、オンライン・オフラインでのコミュニケーション、現時点での顧客の購買意欲を踏まえ、パーソナライズされたアプローチができるようになります。これにより、顧客と長期的かつ良好な信頼関係を構築することが可能です。

MAを使ったマーケティングには、主に下記のようなものがあります。

顧客とのオンラインの接点を創出

顧客のデジタルシフトに伴う新規顧客開拓の難化によって、企業と顧客の接点をオンラインで創出する必要があります。
MAを活用すれば、新規顧客とのオンラインの接点として欠かせないランディングページや登録フォームを、簡単に作成することができます。
また、MAで作成したページから獲得した顧客情報は、自動的にMAのデータベースに蓄積されるため、リードナーチャリング(見込み顧客の育成)への移行もスムーズです。

Marketo Engageでマーケティングアセットを作成する方法は、下記のページの動画で詳しく説明しています。

マーケティングアセットの作成

いかに簡単にメール、ランディングページ、フォームなどのアセットが作成できるかをご紹介します。

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解約行動の抽出と解約阻止施策の実施

顧客の購買行動だけでなく、解約行動もオンラインで完結するようになった今、電話や対面で顧客と直接コミュニケーションをとって契約継続を働きかけることが難しくなっています。
MAは、顧客のオンライン上の行動をトラッキングし、解約の予兆をいち早く察知します。予兆があった顧客に対して、営業部門とも協力しながら訪問や電話、メール、DMなどの施策でフォローアップや問題解決を図ることで不満を解消し、解約を阻止することができます。

既存顧客へのアップセル・クロスセル

新規顧客開拓と同じように、継続的かつ効果的なアプローチで既存顧客のロイヤリティを高め、LTVの最大化を目指すことも、売上の維持・拡大には非常に重要です。
MAで顧客の購買履歴や購買行動を分析し、ニーズに合った料金体系やセットメニューを紹介することで、無理なくアップセルやクロスセルを実施して、顧客単価を上げることができます。
既存顧客のロイヤリティが高まれば、口コミによる新規顧客の開拓も期待できます。

顧客活性化によるLTVの最大化については、下記のページから無料でダウンロードできるeBookで詳しく説明しています。

LTVを最大化するマーケティング

顧客の生涯価値を活性化

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Marketo Engageの活用事例

続いては、アドビ株式会社が提供するMAであるMarketo Engageの導入が、マーケティングの課題解決につながった通信事業者の事例をご紹介します。
通信事業者は、サービス解約率が高く解約を阻止できないことや、既存顧客の顧客単価が上がらないことなど、電力・ガス業界と同様の課題を持っています。そのため、電力・ガス業界のマーケティングの参考になるはずです。

解約行動の抽出と解約阻止施策

解約に関するページを訪れた履歴がある、直近の回線数やデータ通信量に変化が見られるなど解約予兆がある顧客を抽出し、Marketo Engage から自動的にアンケートを配信。
継続することのメリットを理解してもらった結果、解約率を15%低減させることができました。

既存顧客へのクロスセル施策

既存顧客の中から、追加オプション契約に興味がある顧客をMarketo Engageでセグメント。
セグメントに応じたアプローチを実施し、クロスセルを促した結果、すべてのセグメントでのコンバージョン率が約1.44倍に向上しました。クロスセルの結果、乗り換えコストが増加し、解約阻止にもつながっています。

メールでのアプローチ数拡大施策

メールでアプローチできない顧客に対してDMを郵送し、webへの流入とメールアドレスの更新を促しました。
これにより、Marketo Engageを使ってオンラインの動きをトラッキングできるようになり、メールでアプローチ可能な顧客の割合が30%から40%に増加しています。

電力・ガス業界の課題解決にMAを活用しよう

競争が続く電力・ガス業界で勝ち抜くには、効率的で時代に合ったマーケティング施策が欠かせません。顧客の動向に応じたきめ細やかなコミュニケーションを可能にするMAを活用して、スムーズな新規顧客開拓や、LTVを向上させる既存顧客との関係づくりを行いましょう。

Marketo Engageは、オンラインからオフラインまですべての顧客接点をカバーし、顧客の獲得から継続・維持を実現するツールです。さらに詳しい情報は、下記から無料でダウンロードできる当社のeBookをご覧ください。

Adobe Marketo Engageが実現する、優れた購買体験

オンライン時代の購買担当者に対し、優れた購買体験を提供するためのAdobe Marketo Engageの機能をご紹介します。

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次のステップ

MA分野のリーダーであるAdobe Marketo Engageについてより詳しく知りたい場合は、アドビにお問い合わせください。

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