PDCAと継続的改善文化の醸成
成功を収めている企業は、変化に遅れを取ることなく対応できています。企業は、市場のニーズの高まりに対応するため、新たな課題に取り組み、市場の要求に応えていかなければなりません。しかし、変化を起こすことは難しく、何から手をつければよいかを考えるのは大変なことです。
PDCAサイクルは、リーダーが継続的な改善を習得するのに役立つリーンマネジメント戦略であり、ビジネスプロセスに変化をもたらすためのガイドを提供します。
ここでは、チームの変化を主導するために、次のことを説明します。
PDCAとは何か?
PDCAとは、「Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)」の頭文字をとったものです。企業内で継続的な改善と成長を実現するための管理フレームワークです。 PDCAは、PDCAを1950年代に創始したウィリアム・デミングにちなんで「デミングホイール」と呼ばれたり、デミングの師である物理学者ウォルター・A・シューハートにちなんで「シューハートサイクル」とも呼ばれることもあります。
PDCAサイクルでは、目標を立て、新しい戦略を導入し、結果を確認し、その結果にもとづいて次にどのように行動するかを決定します。また、円形の図が示すように、継続的に繰り返される戦略です。PDCAフレームワークは、企業経営に適用される科学的手法です。
PDCAサイクルの4つのステージ
PDCAサイクルの4つのステージについて、それぞれのステージがどのようなもので、何が関係し、何が必要なのかを説明します。また、各ステージがどのような流れで進み、最初に戻ってくるのかにも注目してください。PDCAとは、変化を継続することによって成長を実現することです。
1. 計画
PDCAの最初のステージでは、達成したい目的を明確化し、そのために必要なプロセスを決定します。
このステージではPDCAサイクルの基礎を形作ります。PDCAサイクルは、いわば仮説検証実験のようなものです。次のステージに進む前に、わかりやすい目標を立て、プロセスを明確にすることが重要です。また、実験の成功をどのように測定するかという計画も必要です。最初にKPI(重要業績評価指標)を決めておけば、後で客観的に成功を測定することができます。
たとえば、あるマネージャーが、ハイブリッド型の作業スケジュールにチームを順応させる方法を探しているとします。最初のステップは、目標とそこに到達するためのプロセスを定義することです。この場合、目標はハイブリッド環境で働きながら生産性を維持することかもしれません。具体的には、フレキシブルな働き方をしているメンバーを管理できるように、プロジェクト管理ボードを設置することが考えられます。成功は、2週間で完了したプロジェクトの数などのKPIで測定することができます。
2. 実行
次に、プロセスや戦略に関する仮説を検証するために、計画を実行に移します。このステップで共同作業が必要な場合は、リソースを集めて整理し、全員が自分の担当を把握できるようにすることが重要です。
また、前のステージで立てた計画に忠実に従うようにします。計画を忠実に実行することで、どのテストや戦略が機能し、どれが機能しなかったを追跡することができます。
たとえば、ハイブリッド型スケジュールを導入したチームでは、プロジェクト管理ボードを使ったプロセスを2週間実施し、その間、その戦略に従うことを、この時点で確認します。マネージャーやチームリーダーは、プロジェクト管理ボード以外の方法でチームメンバーに作業を割り当てないように注意する必要があります。
3. 評価
実施した計画の結果を分析します。計画が目標の達成に効果的であったのかどうかを探ります。このとき、ステップ1で定義したKPIが非常に役に立ちます。
失敗したことを、過度に重視しないようにします。PDCAは一種の科学的手法であり、失敗することは本当の意味での失敗ではなく、実験の結果であることを自分自身とチームに改めて言い聞かせましょう。
ハイブリッドチームの例では、このステージでマネージャーが完了したプロジェクトの数を調べ、以前の同期間に完了したプロジェクトの数と比較します。また、チームメンバーと連絡を取り合い、プロセスに調整すべき点がないかどうかを確認することもあります。
4. 改善
最後に、「評価」のステージで得られた知見をもとに、恒久的に取り入れたい改善点と、次のPDCAサイクルで実施したい変更点を決定します。この最終ステージは、次のサイクルの最初の計画ステージに直結します。これでひとつのサイクルが完了し、新しいサイクルの計画を立てるために新しいインサイトを活用することができます。
先ほどの例に戻ると、ハイブリッドチームのマネージャーは、プロジェクトボードを常設すべきかどうか、次のサイクルのためにどのような改善を行うべきかを判断してから、もう一度サイクルを開始します。たとえば、次の2週間は、各プロジェクトに期限を決めて、タイムリーに進められるようにする、といったことが考えられます。
事例:ソニー、PDCAによってwebサイト制作を800%高速化
ゲームの進化が加速する中、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は、その名にふさわし顧客体験を提供し続けるための方法を必要としていました。
SIEでは、コンテンツの更新回数を増やす一方で、webサイトのコンテンツ管理を内製化し、簡素化する必要があると考えました。また、顧客の使用するデバイスの増加に伴い、サポート体制の強化も必要でした。
SIEは、PDCAフレームワークを活用することで、webサイトの制作を800%高速化させることに成功しました。また、コンテンツの管理方法や、各デバイスへのメッセージ送信プロセスの簡略化など、さまざまな方法を試しました。
PDCAの利用場面
PDCAは、プロセスを改善したり、変化を管理する必要がある場合であれば、いつでも役に立ちます。新製品戦略の構築であれ、既存手法の変更であれ、PDCAは変化を導くための戦略的フレームワークを提供します。
マネージャーやリーダーは、PDCAサイクルを次のような目的で使用することができます。
新しいツールや製品向けのプロセスの構築
現在のプロセスの変更
継続的改善文化の醸成
新しい基準や規制を満たすための調整
解決策候補の導入前テスト
時間のかかる作業の合理化
リモートチームモデルへの移行
PDCAを始める
PDCAは、組織が変化に対応するために役立ちます。ビジネスの取り組みを、直線的なものではなく、サイクルとして捉えることで、PDCAの結果を継続的な改善につなげることができるのです。
継続的な変化をもたらすには、まず、ビジネス目標とその目標を達成するために必要なプロセスを定義することから始めます。目標を詳しく記述し、プロセス概要を明確にします。チームはこの計画を忠実に実行する必要があるので、誤解の余地がないようにします。
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