RACIチャートとは:概要と例を解説

Adobe Experience Cloud Team

04-14-2025

モダンな部屋で、タブレットを持って立っている女性。背後には、プロジェクトの役割表と、役割と責任についてチームに通知するためのメッセージの下書き

RACIチャートとは?

RACIチャートとは、各プロジェクトのすべてのタスク、マイルストーン、成果物に対する、プロジェクトチームの役割と責任を識別する方法の1つです。

プロジェクトマネージャーは、複数の部署にまたがって、複数のチームメンバーを管理する傾向があります。そのため、ある部署のチームメンバーと別の部署のチームメンバーそれぞれに対して、責任範囲を明確にするのは難しい場合があります。RACIチャートは、多角的な視点から、共同作業を伴う複雑な取り組みを管理するのに役立ちます。

RACIは、「Responsible(実行責任者)」、「Accountable(説明責任者)」、「Consulted(相談先)」、「Informed(報告先)」の役割を誰が担うのか、各タスクに携わるチームメンバーに割り当てられた役割を頭文字で示しています。

RACIの各セクション(実行責任者、説明責任者、相談先、報告先)を表すアイコン

この記事の内容:

RACIチャートの作成方法

次のプロジェクトに向けてRACIチャートを作成し、役割をわかりやすく明確に示すことで、プロジェクトの完了に向けたプロセスを合理化できます。RACIチャートは通常、スプレッドシート形式で作成します。プロジェクトに関連するすべてのタスクをリストアップし、各タスクに関与する各メンバーのRACIの役割を指定します。このプロセスは、次の手順に従って進めます。

1. 全体的なプロジェクトの目標と優先順位を決定

最初のステップは、プロジェクトの範囲を特定することです。プロジェクトの主要な目標や成果物のリストを作成し、プロジェクトを完了するための主要なステップを優先順位付けします。

例えば、パンフレットをデザインする場合、最終製品を成果物として指定します。また、顧客とのミーティングを通じたコンテンツに対する期待値の決定、調査の実施、内部コピーの作成、カスタムグラフィックの作成など、サブタスクを特定します。

2. 大きな目標を小さな目的とタスクに分割

プロジェクトの全体的な概要を決定したら、作業分割構造を使用して、各目標を個々のタスクに分割します。先ほどのパンフレットの例では、コピーライティングという目標を、アウトライン作成、執筆、編集、フォーマット設定という4つのタスクに分割できます。

3. すべてのタスクを時系列順にリストアップ

RACIチャートを作成するために、スプレッドシートに情報を入力します。スプレッドシートの最初の列に、完了する必要のあるタスクを順番にリストアップします。特定の順序で完了する必要がないタスクもあるため、最も可能性の高い順序でリストアップします。

タスクを時系列でリストアップすると、役割と責任を可視化しやすくなり、各段階で誰に報告すべきか判断しやすくなります。

4. プロジェクトに関与するすべての関係者を決定

プロセスのすべてのステップを確認し、各ステップに関与する関係者全員のリストを作成します。プロジェクトの範囲に応じて、個人ごとにリストを作成することも、部門やチームごとに役割をリストアップすることもできます。

スプレッドシートでは、これらの個人またはチームを、タスク列の右側にある各列のヘッダーに入力します。最も関与度の高いメンバーを先頭に記載することで、チームメンバーは各タスクにおける自身の役割を容易に把握できるようになります。

5. 各タスクにRACIの役割を割り当てる

最後のステップは、RACIの役割を割り当てることです。各セルに「R」、「A」、「C」、「I」のいずれかを入力して、各タスクにおける特定の役割を誰が担うのかを示します。

例えば、特定の行に「カスタムグラフィックの作成」というタスクが記載されている場合、各個人またはチームの下に該当する頭文字を次のように入力します。

6. 割り当てられた役割をすべての関係者と確認

最後に、プロジェクトチーム全体と協議し、各メンバーが自身の役割を理解しており、役割の割り当てに誤りがないかどうか確認することをお勧めします。また、各タスクに「R」と「A」が1つ以上、必要に応じて適切な数の「C」と「I」が含まれていることも確認する必要があります。

RACIチャートを使用するタイミング

RACIチャートは、次のような場面で役立ちます。

RACIチャートの使用に関するベストプラクティス

RACIチャートの効果を最大限に高めるために、次のベストプラクティスを考慮してください。

RACIチャートの例

RACIチャートは、次のような様々なシナリオに適用できます。

マーケティングタスク
実行責任者
説明責任者
相談先
報告先
ビジネス目標の設定
シニアディレクター
ディレクター
マネージャー
CMO(最高マーケティング責任者)
ターゲット市場の定義
マネージャー
アナリスト
コンサルタント
コーディネーター
予算の策定
シニアディレクター
マネージャー
アナリスト
コーディネーター

マーケティングキャンペーン: RACIチャートは、コンテンツの制作、ソーシャルメディアプロモーション、キャンペーン分析といったアクティビティにおける、マーケティングマネージャー、コンテンツ制作者、デザイナー、アナリストの責任を明確にします。例えば、マーケティングマネージャーは、キャンペーン全体のパフォーマンスに対して責任を負います。一方、コンテンツ制作者は魅力的なコンテンツの制作、デザイナーは視覚的に魅力的な資料の作成、アナリストは主要な指標の追跡とインサイトの提供に対して、それぞれ責任を負います。

ソフトウェア開発: ソフトウェア開発プロジェクトでは、RACIチャートを使用して、要件の定義、コーディング、テスト、デプロイメントといったタスクにおける、開発者、テスター、プロジェクトマネージャー、関係者の役割を概説できます。例えば、プロジェクトマネージャーは、プロジェクト全体の成果に対して責任を負います。一方、開発者はコードの作成、テスターはバグの特定に対して責任を負います。関係者は、設計に関する重要な意思決定について相談を受け、最新の進捗状況について報告を受けます。

イベントの計画: イベントの計画では、RACIチャートを使用して、会場の選定、ロジスティクス、マーケティング、現場管理における、イベントコーディネーター、ベンダー、スポンサー、ボランティアの役割を定義できます。イベントコーディネーターは、イベント全体の成果に対して責任を負う場合があります。一方、ベンダーは、特定のサービス(ケータリングやエンターテインメントなど)の提供に対して責任を負います。スポンサーは、重要な意思決定について相談を受け、イベントの最新情報について報告を受けます。ボランティアは、イベント中の様々なタスクの補助に対して責任を負います。

RACIチャートのバリエーション

従来のRACIモデルは広く使用されていますが、特定のニーズに対応するいくつかのバリエーションもあります。

コラボレーションを促進し、勢いに乗る

RACIチャートは、あらゆる規模のプロジェクトに活用でき、特に複雑な役割分担や部門横断的なプロセスを伴うプロジェクトに役立ちます。役割を明確かつ視覚的に割り当てることで、チームは混乱やトラブルを回避しながら、勢いよくプロジェクトを進めることができます。

Adobe Workfrontは、RACIチャートを作成、管理、共有できる、強力な作業管理プラットフォームです。Adobe Workfrontの機能については、製品ツアーをご覧ください。

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