カスタマーサクセスを成功させるためのポイント
闇雲にカスタマーサクセスを導入するだけでは、成功につなげることはできません。ここからは、カスタマーサクセスを導入する前に意識したい、6つのポイントについて解説します。
1 カスタマーサクセス設置の目的を明確にし、社内で共有する
カスタマーサクセスがうまく機能しない一因として、社内の認識のずれが挙げられます。経営層がカスタマーサクセスの立ち上げを計画した場合は、その意図と役割をしっかり現場に伝えましょう。
反対に、現場が必要性を感じている場合は、現場の課題感を上層部に伝えて、「何のために導入するのか」というコンセンサスをとることが大切です。
2 役割を細分化し、適切に人員を配置する
カスタマーサクセスの役割は、ほかの職種とは異なります。「契約をとった営業がそのままカスタマーサクセスも担えば効率的なのでは?」「カスタマーサポートの領域を広げて対応すれば、採用コストを低減できるのでは?」などと思いがちですが、達成すべきミッションが異なる業務を一人の担当者が担い、同時並行的に高い成果を出すのは困難です。
最初は兼任でスタートした場合でも、少しずつ業務を切り離し、将来的には個別にカスタマーサクセスだけを担当するチームを編成したほうが成果を上げやすいでしょう。
3 顧客のステージを定義し、適切な支援を考える
カスタマーサクセスが目指す「顧客の成功」には、顧客の状況の分析が重要です。全体の流れを大きく2つのステージに分けてニーズを把握し、それぞれ適したサポートを行いましょう。
カスタマーサクセスのステージには、「オンボーディング期」と「利用促進期」があります。
<オンボーディング期>
オンボーディングとは、新入社員の離職を防ぎ、早期に戦力化するための教育・育成の仕組みのことです。カスタマーサクセスにおいては、新入社員を顧客に置き換え、その定着を目指すプロセスを指します。
具体的には、自社サービスに対する理解を深めてもらうため、下記のようなサポートを行うといいでしょう。
- サポート窓口や体制の説明
- トレーニングメニューの紹介
- 問い合わせ窓口への誘導
<利用促進期>
利用促進期は、主に下記の3つに細分化されます。
・導入
オンボーディングから1ヵ月以内を目安に、利用状況の確認、現時点での課題の共有、トレーニング、PDCAを回せる体制の構築、活動計画の策定などを行って、いっそうの定着を図ります。
・限定的な活用促進
活用度のチェックや評価、分析を行い、当初の導入目的の範囲内で製品やサービスを最大限活用してもらえるよう支援します。必要に応じて、セミナーなどを案内するのも効果的です。
・アップセル、クロスセル
サービスの活用が進んだ段階で、追加機能の提案や新サービスの案内などを行い、活用範囲の拡大を目指します。既存顧客へのアプローチによる顧客単価向上は、新規顧客の獲得にかかる営業コストの5分の1で済むといわれ、効率的な収益拡大を図る上で欠かせません。
4 全プロセスを通じて、能動的な働きかけを行う
カスタマーサクセスは、顧客の反応を待たず能動的に働きかけるという点で、カスタマーサポートとは一線を画します。オンボーディング期、利用促進期のいずれにおいても、常に能動的な働きかけを意識しましょう。
5 評価の基準を設定する
顧客の活用度や、社内でのカスタマーサクセスの浸透度を測定できるよう、評価の基準を設定します。契約内容によって金額の差が大きい場合は、件数だけでなく金額の基準も設定しましょう。
代表的な基準の例を挙げておきます。
・解約率
特にサブスクリプション型サービスにおいては、解約率が重視されます。カスタマーサクセスの導入後、解約率が低下していれば、カスタマーサクセスが適切に機能して顧客のエンゲージメントを高めているとみることができます。
・更新率
サブスクリプション型サービスの場合は、更新率を基準にすることもあります。更新率は、100-解約率で算出します。
・LTV(顧客生涯価値)
一人の顧客が一生涯を通じて自社にもたらす利益を表すLTVも、カスタマーサクセスの評価として役立ちます。
LTVについては、下記のページから無料でダウンロードできるeBookで詳しく説明しています。
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・オンボーディング完了率
導入後の定着度を左右するオンボーディングの完了率も重要な指標です。オンボーディングが終了している顧客は、製品やサービスへの理解が深まった状態であり、その後の解約率も低いことが予想できます。
「導入から1ヵ月以内にチュートリアルが完了している」「2ヵ月以内に●●の機能まで設定が終わっている」といった目安を設定し、完了率を確認しましょう。
・アップセル率、クロスセル率
最初の契約より単価の高いサービスに切り替えるアップセルや、契約中のサービスに関連するそのほかのサービスも併せて契約してもらうクロスセルが増加しているかどうかも、注目したい指標です。
ただし、無理なアップセルやクロスセルは、反対に解約を招く可能性があります。利用頻度や顧客の状態を見極めて行いましょう。
6 営業との連携体制を作る
カスタマーサクセスと営業は、顧客と関わるタイミングこそ受注の前後で異なるものの、「顧客満足度の向上と利益拡大」という目標は共通しています。
しかし、営業は数字を、カスタマーサクセスは顧客満足度を最優先するため、「カスタマーサクセスが、売上よりも顧客満足度を優先している」「営業が数字ばかり追って、顧客のニーズに合わないサービスを契約してくる」といった理由で対立する場合があります。
こうした事態を防ぎ、顧客に一貫性のある体験を提供するために、両者の連携は欠かせません。