テンプレートからのプロジェクト計画

Adobe for Business Team

05-30-2025

オフィスでタブレットを使用している女性。 支払い方法の更新、音声コントロールのサポート、iOSアプリのリリースなどのプロジェクト計画要素が重ねられている。

しっかりとしたプロジェクト計画は、単なるタイムラインではなく、成功への青写真を示すものです。キャンペーンを立ち上げるにせよ、製品を開発するにせよ、新しいシステムを導入するにせよ、しっかり構築された計画はチームの足並みを揃え、関係者に情報を行き渡らせ、目標を達成可能なものにします。

この記事の内容:

プロジェクト計画とは?

プロジェクト計画(プロジェクトマネジメント計画とも)は、プロジェクトに関する期待事項、段階、スケジュール、成果物、および指標を概説する文書です。これらの計画は、リソースの割り当て、進捗のトラッキング、チーム間での責任の明確化を行いながら、失敗や期待される成果を得られないリスクを軽減します。

プロジェクト計画は、施策全体の道しるべであり、問題の兆しが見えたときの拠り所にもなります。プロジェクトマネージャーは、初めに要件を洗い出し、成果物や目標を順序立てたアクション項目に整理して計画を立てます。プロジェクトマネージャーはまた、この計画を使用して、チームメンバーに適切な役割とタスクを割り当てます。

プロジェクト計画には、以下の要素を含める必要があります。

6ステップでプロジェクト計画を作成する方法

プロジェクト管理計画は、要件や関係者の期待、利用できるリソースに基づいて進められますが、関係者全員にわかりやすさと方向性を示すため、多くの計画は共通した構造を持っています。プロジェクト計画の作成は、次の6つの手順に従います。

1. プロジェクトスコープを定義する

プロジェクトスコープ とは、プロジェクトを成功させるために含めるべき内容を包括的に定義した概要です。 関係者が期待するすべての機能、要件、指標、成果物、およびプロジェクトの期間と予算をリストアップします。

デフォルトでは、プロジェクトスコープには「何が対象外か」も明示されます。プロジェクトの対象外を明確にすることは、スコープクリープ を防ぐうえで重要です。スコープクリープとは、時間の経過とともに要件が増えたり変わったりして、成功の定義や達成が難しくなる現象を指します。

プロジェクトスコープを定義することで、明確な目標と目的を設定できます。目標はひとつで大きく、長期的な成果を示すもの。一方、目的は、その目標を達成するために分解できる小さなタスクです。プロジェクトマネージャーは、設定した目標を確実なものにするためにSMART手法を活用できます。

最後に、主要業績評価指標(KPI)を定めて、プロジェクトスコープを会社全体のビジョンと結びつけます。また、成功を測定するための指標も決定します。 KPIには、リソースの稼働率、予算差異、投資回収率、サイクルタイムなどが含まれます。

2. 関係者を特定し、話し合う

関係者は、プロジェクトに利害関係のあるすべての人です。 まずは、プロジェクトを依頼した人や資金を出している人から特定していきましょう。さらに、製品やサービスの開発・提供に関わる人も関係者に含まれます。経営陣、プロダクトオーナー、従業員、そして顧客です。

一般的にプロジェクトには以下のような関係者が関わっています。

プロジェクトマネージャーが関係者の役割や責任を整理するのに役立つツールのひとつが RACIチャートです。RACIとは、Responsible(実行責任)、Accountable(最終責任)、Consulted(相談先)、Informed(報告先)を意味します。 この分類によって、それぞれの役割を明確にし、タスクに対する期待をはっきりさせることができます。たとえば、チームメンバーの中にはコンテンツ作成やプロジェクト開発を担当する人がいる一方で、ビジネスアナリストのように要件や成果物を確認する最終責任を負う人もいます。

RACIと、その要素であるResponsible・Accountable・Consulted・Informedを示す図表。

チーム全員が同じ理解を持つためには、協力と透明性を高めるコミュニケーション方法に合意することが必要です。さらに、レトロスペクティブやフィードバック、作業中に必要となる確認のための計画も用意しておきましょう。最初から、関係者が意見を出せる領域と出せない領域を明確にしておきましょう。そうすることで、プロセスを効率的に進め、スケジュール通りに進行できます。

3. 成果物・マイルストーン・依存関係など、プロジェクトを構造化する。

次のステップは、プロジェクトスコープを達成するために必要な作業すべての青写真を描くことです。 この概要は、これからチームにどんなことが求められるのかを示すうえで欠かせません。

プロジェクトの進め方をまとめる際には、プロジェクト管理手法を選ぶことも役立ちます。選べる代表的な手法は、アジャイルとウォーターフォールの2つです。アジャイルは、チームが同時並行かつ反復的に進める柔軟な進め方を支援する一方で、ウォーターフォールは各工程を順番にこなしながら前進していく直線的な進め方を重視します。どちらが適しているかは、プロジェクトのスコープやチームの体制によって変わります。

プロジェクト計画を構造化・整理する際には、プロダクトロードマップも役立ちます。このビジュアルは、プロジェクトマネージャー がタスク管理をどう見通しているかを示し、長期的な施策とそこに組み込まれる小さなタスクの関係を描き出します。ロードマップがあれば、優先順位や達成までのステップを明確に示せるので、チーム内の透明性あるコミュニケーションを促進できます。

プロジェクトを構造化するときは、次のポイントを押さえましょう。

  1. 成果物の定義 合意済みのスコープに基づき、すべての要件とあわせてプロジェクトの期待される成果を明確にします。
  2. マイルストーンの設定 プロジェクトスケジュールを立てる。具体的なタスクや反復、最終成果物を完了させる日程やフェーズを含めます。
  3. 依存関係の計画 タスク同士の関係性や取り組む順番を考慮し、リソースを適切に割り当ててスケジュール通りに進めます。

ロードマップを確定する前に、リスクマネジメントの評価を行いましょう。プロジェクト中には予期せぬ事態が起こることもありますが、あらかじめ落とし穴を想定しておけば、その影響を最小限に抑えられます。そのためには、起こり得るリスクを洗い出し、それに対応するリスク対応計画を立てることが大切です。プロジェクト管理における代表的なリスクには、リソース不足、業務の変更、スコープクリープ、コスト問題などがあります。

4. プロジェクトの予算を設定する

プロジェクトの実現力は、多くの場合、利用できるリソースにかかっています。そしてそれを決めるのが予算です。人材や設備など、これから取り組むすべての作業は予算に組み込まれたアセットに依存します。ここでは、プロジェクト予算を立てる基本を紹介します。

  1. すべての目標をタスクに分割する 作業範囲を見直し、目標を具体的なタスクやマイルストーンに分割します。まずは大きなタスクから始め、それを小さなサブタスクに分けていき、最終的にどのタスクも無理なく達成できるレベルにします。
  2. 各タスクのコストを見積もり、リソースを配分する 各タスクにどれくらいコストがかかるのかを調べ、プロジェクト全体の見積もりを出します。利用できる資金やリソースを確認し、それに応じて配分します。ここにはリソース管理 が含まれ、チームメンバーや処理能力に加えて、機材などの有形アセットを適切に配分することも必要です。
  3. 関係者の同意を得る 予算を出すことは、関係者の同意や経営層の承認を得るためにも有効です。場合によっては、最初の支出案をプロジェクトマネージャーが提示し、開始前に関係者による詳細なレビューと承認を必要とすることもあります。コストマネジメントのレビューを行えば、経営層は固定費と間接費の違いを理解でき、プロジェクト全体の費用をより正確に把握できます。

最良の予算はできる限り細かく項目化されており、リソースの配分、正確な支出見込み、そしてタスクが計画通りに進まなかった場合の余裕枠までも示します。

5. スケジュールとタイムラインを整理する

プロジェクトのアウトラインを使って、正式なタイムラインとスケジュールを作りましょう。この2つはまったく別物ですが、どちらもプロジェクト成功には欠かせません。

プロジェクトタイムライン は、すべてのタスクを時系列で示したグラフィック。タスクの期日、依存関係、担当者、スコープなどを視覚的に確認できます。一方スケジュールは、特定のタスクやマイルストーンをいつ完了させるべきかの予定日をリスト化したものです。

タイムラインとスケジュールを整理するためのヒント:

カレンダーにタスクを重ねたプロジェクトタイムラインの図表。

6. プロジェクト計画を関係者に提示する

プロジェクトの詳細が確定したら、最後のステップはエグゼクティブサマリーです。 プロジェクト計画の最初に登場しますが、実際には最後に書くのがエグゼクティブサマリーです。作成した詳細な計画を、高い視点からまとめた概要になります。エグゼクティブサマリーは、関係者に計画全体の概要を示し、その後に細部を展開していきます。何を、いつ、どのように進めるのか。期待値をめぐる明確なコミュニケーションは、関係者が理解し、承認するために欠かせません。

プロジェクトの進行中に関係者へ常に最新情報を届けるには、コミュニケーション計画を作成しておくのも有効です。その際は、更新内容をわかりやすく、すぐ確認できる形に工夫しましょう。定期的な関係者ミーティングやメールでの要約配信は、重要なフィードバックをプロジェクト要件を担う関係者に確実に届ける助けになります。

そして、プロジェクト計画を経営層に提示し、承認を得られれば、いよいよプロジェクトは、成功への期待値を高めた状態でスタートできます。

プロジェクト計画の必須項目

包括的なプロジェクト計画は、プロジェクトにおける信頼できる唯一の情報源として機能します。一般的には、次の主要な項目を含みます。

セクション名
目的/説明
重要な内容
エグゼクティブサマリー
すぐに理解できる、簡潔でハイレベルな概要を提示します。
プロジェクトの目的、目標、主要成果物、全体のタイムラインと予算、主なリスク、成功基準。
スコープの定義または作業内容の明示
プロジェクトのスコープ、成果物、必要な作業を定義します。
目標、目的、成果物、タスク、前提条件、制約条件、対象となるものとならないもの、WBS参照。
目標と目的
プロジェクトの成功を定義し、望まれる成果にチームの意識を合わせます。
SMART目標、具体的なプロジェクトの目的、成功指標またはKPI。
スケジュールとマイルストーン(タイムライン)
実行の期間を示し、進捗を追跡します。
タスクリスト、所要時間、開始日と終了日、依存関係、マイルストーン、クリティカルパス、スケジュールのベースライン、ビジュアルタイムライン(ガントチャートなど)。
予算とリソースの配分
資金計画を示し、必要なリソースが確保され、効率的に使われるようにします。
コスト見積もり、総予算、コストのベースライン、リソース要件(人的・物的・技術的)、リソース配分。
リスク管理計画
起こり得るリスクを事前に特定・分析し、対応策を計画します。
特定したリスク、発生確率と影響の分析、軽減策や代替策、リスクオーナー。
コミュニケーション計画または関係者計画
タイムリーで効果的な情報共有を実現し、期待値を管理します。
関係者リストと分析、必要な情報、コミュニケーション方法、頻度、責任範囲。
品質管理計画
成果物があらかじめ定められた品質基準を満たすことを保証します。
品質基準、指標、品質保証プロセス、品質管理活動(レビューやテストなど)、受け入れ基準。
(オプション)変更管理計画
スコープ、スケジュール、または予算変更に対処するプロセスを定義します。
変更リクエストプロセス、評価基準、承認ワークフロー。
(任意)調達管理計画
外部から商品やサービスを調達する方法を示します。
調達品目、ベンダー選定基準、契約タイプ。

プロジェクト計画のテンプレートと事例の活用

白紙から始めるのはハードルが高いもの。そんなときに役立つのがプロジェクト計画テンプレート。あらかじめ構造が決まっているので、時間を節約でき、重要な要素を漏れなく押さえられます。テンプレートを使えば、計画を標準化でき、抜け漏れのリスクも減らせます。ただし、どんなテンプレートも自分のプロジェクトに合わせて調整することを忘れずに。シンプルなプロジェクト計画テンプレートでも、目標、スコープ、タイムライン、リスクといった中核部分は必ずカバーすべきです。

テンプレートにはさまざまな形式があります。

ガントチャートとカンバンボードの比較。

ビジュアル型のプロジェクト管理ツールは、チームの足並みをそろえ、進捗を追跡し、ワークフローをひと目でわかりやすくするうえで欠かせません。よく使われるフォーマットとしてガントチャートとカンバンボードがあり、プロジェクトの進め方やチームのニーズに応じて役割が異なります。

プロジェクト計画の例

プロジェクト計画は、スコープや複雑さ、チームのニーズによって形は変わります。ですが、基本となる要素は同じです。目標、成果物、マイルストーン、リスク、そして計画をどう見せるか。ここでは、ユースケースごとの代表的な3つの例を紹介します。

マーケティングキャンペーン

ソフトウェア機能リリース

オフィスの移転

効果的なプロジェクト計画のヒント

プロジェクト計画の策定は、あくまでもスタート地点です。計画を最大限に活かすには、よくある落とし穴を避けましょう。

適切なツールによる最初のプロジェクト計画の作成

しっかりしたプロジェクト計画は、明確さ、責任の所在、測定可能な成果の土台になります。それによって、チームは集中力を保ち、共通の目標に足並みをそろえ、必要なリソース、タイムライン、リスクを見通せるようになり、最終的には組織全体の成功の可能性を高めます。

さらに、現代的な計画ツールを使えば、このプロセスをより効率的かつスケーラブルに進められます。Adobe Workfront は、計画・優先順位付けから実行・レポートまで、プロジェクトライフサイクルのすべてを1つのコラボレーションプラットフォームで効率化します。Workfrontを使えば、目標と成果をつなぎ、責任を割り当て、リアルタイムで進捗を追跡し、関係者に最も重要な情報を可視化できます。

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