クッキーレス時代を前にマーケターが持つべき5つの心構え

これまでマーケターは、Cookieを使用してwebサイトの訪問者、ログイン、ショッピングカートなど多くのものをトラッキングしてきました。 しかし最近、小さなデータの断片を扱うこのごく小さなテキストファイルであるCookieが、大きな危機に直面しています。 Googleが、ChromeブラウザーでのサードパーティCookieの終了を発表したのです。この発表は、多くのマーケターを不安にさせているのではないでしょうか。
今回の記事では、Marketo Blog(英語)の中から、「クッキーレス」時代に突入するこれからのマーケティングに備えるための5つの心構えをご紹介します。

もくじ

  • クッキーレスの影響について予測できること
  • クッキー廃止にまつわる事実
  • クッキーレス時代に備えるために
  • まとめ

GoogleはサードパーティCookieに代わる個人ユーザーのトラッキング手法を新たに用意する予定はなく、サードパーティCookieのサポートを廃止する方針を示しています。 何年もの間、マーケターはCookieを使用して効率化と生産性の向上を図ってきましたが、今回、Googleが2023年までにChromeブラウザーからサードパーティCookieを排除するという計画を発表したことで、多くのマーケターが衝撃を受けているのです。

この決定の主な理由としては、プライバシーの保護と匿名性の2つが挙げられます。つまり、広告主やマーケターは、顧客のデータを保護しながら成果をもたらすことが求められているのです。

サードパーティCookieシステムの廃止に踏み出すのはGoogle Chromeが初めてではありません。とは言え、webブラウザー市場の56%以上、世界の全トラフィックの半数を占めるGoogle Chromeの影響は、最も大きいのです。

クッキーレスの影響について予測できること

これは緊急度の高い問題であり、マーケター、アドテック企業、広告代理店にとってはすんなりと受け入れられるものではないでしょう。デジタルマーケティングに取り組む企業の中では経営層や役員などが反応を示しているところもありますが、本当の問題は、マーケターにとってどのような影響があり、対応が求められるか、という点です。

Google Chromeのプライバシーへの取り組みは、多くの方が懸念されている通り、マーケティングの世界に多大な影響を及ぼす可能性があります。技術面ではサードパーティCookieの仕組みについては理解が難しいところはありますが、webページ上での広告のパーソナライゼーションができなくなり、収益性が低下する可能性が高まります。そして結果的に、既存のマーケティングや広告のエコシステムを崩壊させることにもつながりかねません。

このような動かしがたい事実が目の前にありますが、どんなに困難な状況の中でも、常に明るい希望はあるものです。今ここで直面しているのは、市場における著しい変化です。これから起こる変化は抜本的なものになるでしょう。その変化に備える最善の方法は、「変化を受け入れる」ことです。

市場が変化するスピードは、マーケティングのそれを凌駕します。私たちにできることのひとつは、ブランドとしての顧客との関係作りを見直し、新たな方向に向かって進んでいくことです。この方向転換が、適応の一助となります。最終的に、新たな選択肢を見つけ出し、この変化を切り抜けることができるのです。

クッキー廃止にまつわる事実

マーケターは、Cookieにおける変更に関して、以下の事実を知っておく必要があります。

クッキーレス時代に備えるために

Cookieに関する全ての問題について答えがわかっているわけではありませんが、広告の世界において、これは不可逆的な変化であることに間違いはありません。わかっているのは、非常に大きな変化の波が訪れつつあるということです。戦略を修正し、適応させていくことは困難ではありますが、決して不可能ではありません。

さらなる進化をもたらす解決策を能動的に探しているようであれば、以下に示す5つの方法によって、このように混沌とした状況下でも、準備を整え、競合他社の一歩先を行くことができます。

ファーストパーティデータ戦略への投資

Cookieのない世界では、ファーストパーティデータの整理が鍵となります。前述のとおり、ファーストパーティ情報はオーディエンスから得られる宝のようなものです。この行為については、オーディエンスの理解は得られるでしょう。多くのブランドが同様にファーストパーティデータを軸に据えることを目指していますが、重要なのはこの戦略に投資し、クリエイティブな方法を新たに作り上げることです。

サードパーティに依存しなければ、オーディエンスのターゲティングについても、GDPRに準拠した形でデータを収集できます。また、ユーザーデータをセグメント化し利用することができれば、新たな収益源を生み出すきっかけにもなるでしょう。この目的のためには、CRMやCDP(顧客データプラットフォーム)のようなプラットフォームと、柔軟に使いこなすための課金システムを採用することが適しています。

eMarketerの最近の調査によると、米国のマーケターの85%が、最優先としてファーストパーティデータの利用を改善することを回答しています。

顧客基盤が古びることはない

プライバシーとデータについてより責任を持つことが、ブランドおよび企業に求められています。信頼と信用に基づいた顧客基盤づくりを始めましょう。本当に必要な情報を収集することから着手し、そうでない情報の優先度を下げましょう。

近年では、MA(マーケティングオートメーション)の活用に向けた大きな変化が見られます。ある調査では、マーケティング投資の92%が自動化に関連したものだという結果が出ています。MAを導入することで、ファーストパーティデータに基づいて企業は顧客をさらによく理解し、最も適切な媒体、チャネルでオーディエンスにサービスを提供することができます。この流れは変わることはないでしょう。DMP(データ管理プラットフォーム)でオーディエンスを構築し、オーディエンスエンリッチメントを確保できます。コンテンツとメディアの力をうまく活用できれば、ゼロからでも立ち上げることができます。

ロイヤル顧客を生み出すための特効薬は存在しません。戦略を再検討し、顧客のデータを管理、統合、分析するしかないのです。最終的には、顧客データがメールアドレスのような単一の識別子にだけ紐付けられるようになれば、利便性が向上します。

最大限の透明性を確保する

希薄化されたコンテンツがあふれる世界では、顧客に対して透明性を確保することで差別化を図ります。オーディエンスの視点に立ち、誠実であることで、Cookieに関する困難な状況を乗り越えることができます。舞台裏にあるものを公開するのです。また、扱っているデータを共有することで、信用と信頼を獲得することができます。

これによって、ブランドとオーディエンスとの関係が強化されます。

例として、EvianのポップアップCookieバナーをご覧になってみてください。透明性を確保することで、Cookieの設定を調整できるようになっています。透明性を確保することで、顧客に安心感をもたらしているのです。

技術的側面に新たな観点でアクセスする

収集したデータが、新しいマーケティング戦略にどのような影響を及ぼすのかを把握することが不可欠です。

Cookieの価値が低下することで、その他の様々なテクノロジーの利用を検討できるようになります。FacebookやGoogleのようなチャネルについても、新しいアイデアを出し合うことができます。

当然ながら、GoogleとFacebookは、このCookieの変化によって将来的な収益の選択肢を限られたものにするつもりはありません。複数のテクノロジーを試す場合、連携のテストがさらに重要になりますが、不可能ではありません。

あらゆる種類の法的な影響からブランドを保護するためには、基本的な戦略に立ち返ります。ハイパーターゲティング広告やリスティング広告を使用し、どうすればCookieを使用せずに望ましいオーディエンスにリーチできるのかについて、アイデアを出し合いましょう。

顧客体験を最優先する

私たちは、顧客のニーズと満足度が最優先される顧客中心の世界へと足を踏み入れつつあります。トラッキングの同意を求めることから新しいキャンペーンの構築に至るまで、常に顧客体験を最優先することが不可欠です。

顧客体験は、ブランドの活用においてさまざまな役割を果たします。そしてそれは、潜在的なオーディエンスの評価と各種のタッチポイントの定義に役立ちます。

すべてのブランドおよび企業が、顧客満足という点において一番の存在となることを熱望しています。貴社の新しい戦略がどれほど好意的に受け取られようとも、不可欠なのは、スケーラブルな環境、つまり顧客のニーズを満たし、そのゴールに合わせてコンテンツを調整していくような環境を構築することです。

つまり、「釣り」と認識されるようなコンテンツ作りを避けるのです。

まとめ

顧客中心のエコシステムを追求することは、今後ますます難しくなっていく可能性があります。 マーケターとしては、常にROIがプラスになることを求めなければなりません。それを実現するには、オーディエンスとの良好な関係を構築するのは当たり前のことだと言えます。

信用と信頼性があれば、ブランドと顧客、双方のあらゆる課題を克服できます。その結果が、顧客、マーケター、広告主のすべてにサービスを提供するエコシステムとなります。

各企業はこの新たな枠組みに向けた準備を既に始めており、近いうちにそのルールを変更する方向です。

いま、マーケターに問われているのは、これまでのマーケティング戦略を180度転換する準備ができているかどうかということです。

本記事は2021年5月Atul JindalがMarketo Blogに寄稿したものを翻訳し、加筆修正したものです。

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