【イベントレポート】顧客体験が重要な時代の人材育成 〜クリエイティブデジタルリテラシーをいかに習得するか?〜
このほどオンラインにて開催されたアドビコンサルティング主催セミナー「顧客体験が重要な時代の人材育成~クリエイティブデジタルリテラシーをいかに習得するか?~」の動画収録が、3月7日に神田のスタジオで行われました。そこでは、アドビがサポートしているパソナグループにおけるDX人財育成プロジェクトの内容や、アドビが考えるDX人材像とその育成アプローチについて解説がなされるとともに、両社のキーパーソンによる対談も実施されました。その模様をダイジェストでお届けします。
もくじ
- オープニング:パソナグループの人財育成プロジェクトとアドビによる支援内容について
- 対談:パソナグループが2024年までに3,000人のデジタル人材育成を目指す理由とは
- 対談:積極的に手を挙げチャレンジするカルチャーがあればこそ
- 対談:「デジタル×クリエイティブ」なアドビに感じる可能性
- 対談:外部のエキスパートの活用がポイントに
- アドビの人材育成サービスについて
オープニング:パソナグループの人財育成プロジェクトとアドビによる支援内容について
オープニングでは、パソナグループとアドビによる人財育成の取り組みについて、この日の司会進行も務めたアドビ プロフェッショナルサービス事業本部 人材育成サービス&コンサルティング部 部長の礒貝 美希が説明しました。その模様は動画として納めるため、スタジオにて撮影が行われました。
パソナグループでは「社会の問題点を解決する」を企業理念として掲げ、総合人材サービスや地方創生ソリューションなど人を活かすことを起点に幅広く事業を展開している。そこではDXにも注力しており、パソナグループとしてDX宣言やDXビジョンを掲げるとともに、DX戦略でも3つの軸を明確に打ち出しています。このうちデジタル人財については2024年5末までに約3,000名の育成を目標として掲げており、そこにアドビも支援を行っています。
アドビ連携によるパソナグループのリスキリングイニシアティブDX推進人財育成プログラムのテーマは、「”デジタル × クリエイティブ” 表現力と創造力を高める」です。プログラムの内容は、リアルとデジタルを融合させたメタバース、アプリ、デジタルプロモーションの企画立案を行っていくというもので6ヶ月に及び、課題発見のフェーズでは淡路島でアイデアソンも実施されました。
「社内公募制で非常に高い倍率から選抜されたメンバーが、一連のプログラムを終えてそれぞれの部署へと戻ることで、会社全体のデジタルリテラシーが向上するというスキームになっています」と礒貝は説明。
さらに、ここでプログラム全体の様子などを収めた動画が流れた後、なぜアドビがパソナグループの人財育成をサポートしたのかについて礒貝が補足説明しました。
アドビでは「クリエイティブデジタルリテラシー」を持つ人材育成を行っており、そこでは「アイデアを引き出し、形にする」クリエイティブスキルと、「データを解釈し、課題を発見する」データ活用スキルという2つのスキルを兼ね備えた人材の育成に注力している。
礒貝は、「今回のパソナグループさんのプロジェクトでは、アイデアを引出し、形にするクリエイティブデジタルリテラシーに特に注力した内容となっている」と強調しました。
対談:パソナグループが2024年までに3,000人のデジタル人財育成を目指す理由とは
続いてのセッションでは、株式会社パソナグループ 専務執行役員CIO・CCOで、グループDX統括本部の責任者も務める 河野一 氏を招いて、デジタル人財育成をテーマに弊社 プロフェッショナルサービス事業部 事業本部長 執行役員の小栗 順平との対談形式による講演が行われました。
河野氏が責任者を務めるグループDX統括本部では、ITインフラや基幹系業務システムのライフサイクル全般を管轄しており、またそれと合わせて総合人材サービスにおけるDXの推進やグループ全社のDX人財の育成といった責務も担っています。
パソナグループにおける人財育成の取り組みの背景について同氏は、デジタルの進化にしっかり相対していかないといけないという危機感を強く感じるようになったことを挙げられました。
「当社の事業では、派遣や転職の志望などのように、個人のお客さまへのサービス提供も非常に大きなウェイトを占めています。そしてそうした個人のお客さまのキャリアを考える上で、デジタルというエッセンスは無視できない存在となりました。例えば営業部門にせよ管理部門にせよ、どの部署も前提としてデジタルを踏まえなければ、これからの我々のサービスは立ち行かなくなるという危機感が日に日に強まっていきました。そこで、全社を挙げたデジタル人財育成へと舵を切ったのです」(河野氏)
パソナグループでは、2024年までに3,000人のDX人財を目標として掲げています。この3,000という数字について河野氏は、「そこには、社員に危機感を感じてもらうとともに、個人のお客さまにスキルアップの機会を提供しようという思いが込められています」と説明しました。
対談:積極的に手を挙げチャレンジするカルチャーがあればこそ
続いて小栗が、パソナグループにおけるデジタル人財育成で特に留意している点について質問すると、河野氏は「単にeラーニングアカウントを配布するのではなく、続けることにより成果を出すこと、そしてそれが事業へと反映することが大切」であると述べ、「そのために人と人とのコミュニケーションや対話の場をまず設けて、そのうえでスキルを磨いていく」という、お互いに共創していく仕組みづくりの重要性を強調しました。
これに対して小栗は、「やはり、学んだ内容をどう活かして自社の事業に貢献していこうという思いこそが大事でモチベーションにつながりますよね」と、同社にサービスを提供する側であるアドビの立場として意見を述べました。
対談:「デジタル×クリエイティブ」なアドビに感じる可能性
アドビでは「デジタル×クリエイティブ」をテーマとして掲げていますが、そうした同社に対するイメージについて問われた河野氏は次のように答えました。
「もちろん、PDFや各種クリエイティブ製品で昔からお世話になっていましたが、いずれの製品についてもワクワクできるテクノロジーだな、というのがずっと抱いていたイメージです。特に当社の場合、人と人が結びつくリアルなサービスがメインの事業で、例えば地方創生事業の一環として淡路島をフィールドに観光開発や人財育成に取り組んでいますが、そこではリアルとバーチャルの融合が大事になります。ここでもアドビのソリューション活用によって可能性を見出すことができました」
これを受けて小栗は、アドビのクリエイティブな部分についてもDX戦略において非常に重要な要素となるはずだとして、「どう見せれば実感してもらえるかなど、当社がお手伝いできるところが多かったのではないかと思えるのも、ありがたい機会でした」と述べました。
対談:外部のエキスパートの活用がポイントに
終盤、小栗が、パソナグループにおける一連のデジタル人財育成の取り組みを通して、これからどのようなフィードバックを行っていこうとしているのか問いかけると、河野氏は、次のように答えました。
「かなり敷居が低くなったとはいえ、デジタルテクノロジーを自在に使いこなすまではまだまだ至らないのは確かでしょう。しかしながら、無意識にデジタルを利用するユーザーでもあることを踏まえれば、自分達が企画する側やつくる側に早く回らないといけないわけで、そうしたキャッチアップを踏まえたプログラムづくりをしていかないと行けないと考えています」
また、今回のようなデジタル人財というカテゴリーで考えたとき、より簡単に使えるようなテクノロジーの活用も大事になってきます。それがデジタル変革となり、ビジネスに落とし込むステップも短縮できるようになるからです。
「なので今後もいかにキャッチアップするまでを短縮できるようにするというのがキーになってくるのでしょうね」という小栗の言葉に対して、河野氏も「まさにおっしゃるとおりで、文章だけでは伝わらない内容も、動画などのコンテンツにすることで世の中に正確に伝えることができますから、そうしたプリミティブな成果もまた大事にしていくべきでしょう」と同意。小栗は、「実際、動画やデジタルの力に動かされている側面というのはすごく大きいですよね。そうしたユースケースをしっかりつくっていただけると、このプログラムに参加したいという方々も増えていくことでしょう」とコメントしました。
そして最後に、デジタル人材育成に取り組みつつも、様々な課題を抱えて悩んでいる人々に向けて河野氏は、そうした課題感をいかに自分以外の関係者にも共有するかというのがまずポイントとなるのではとしたうえで、「アドビさんを含めて、エキスパート/スペシャリストというのは社外にたくさんいるので、そうしたエキスパートを活用することで、自社の人材育成プログラムをより実践的なものとすることができるはずです。“世の中の叡智を集めてやるんだ”ぐらいの根性がなければ、なかなか社内に対しても説得力がありませんし、ひいては結果にも結び付かないでしょう。なので、情熱を持って社外のスペシャリストを積極的に取り込んでいくことを強くお勧めしたいですね」と強調しセッションを締めくくりました。
アドビの人材育成サービスについて
アドビでは、DX人材育成に関わるサービスを幅広く提供させていただいています。トレーニングプログラムのご提供に留まらず、どのようなスキルセットが必要なのか?といった貴社ならではのDX人材の定義なども、プロフェッショナルサービスがサポートさせていただくことができます。ぜひ、ご検討いただけますと幸いです。
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