【イベントレポート】Adobe Experience Manager / Adobe Analytics 合同ユーザー会 - Adobe Summit報告会
09-30-2025
4月11日、Adobe Experience Manager / Adobe Analytics 合同ユーザー会(以下、AEM/AA UG)がソフトバンク株式会社にて開催されました。当日は、約40人22社のユーザーが集いました。
今回のテーマは、「Adobe Summit報告会」。
今年も3月18 - 20日、米国ネバダ州ラスベガスにてアドビのグローバルカンファレンス「Adobe Summit」が開催。そこで、今回はAdobe Summitに参加された日本企業のユーザー様に、グローバルの最新情報や現地で体験した講演やデモの様子を紹介いただきました。
参加者が見た、フラッグシップイベントの魅力とは?
今回の報告会では、ユーザー会のメンバーで今年のAdobe Summitに参加された、花王株式会社の高嶋智也氏、ソフトバンク株式会社の住谷泰紀氏、東京海上ホールディングス株式会社の金輪慎平氏の3人から、初めて現地に行った感想や、学んだことなどを語っていただきました。
最初に登壇した花王の高嶋氏は、Adobe Summit全体でAIの進化を感じたと話します。「昨年、アドビのマーケティング製品に初めてAIが組み込まれてきましたが、今回はそれらが相当進化し、多くの製品群にAIが横断的に搭載されました。特に驚いたのは、アドビのAIだけでなく、サードパーティのAIも組み込み可能ということでした」。
その中で興味を持った新機能もあったと、高嶋氏は話します。まずキーノートで紹介されたAdobe Experience Managerのコンテンツ自動翻訳機能。以前のものと比べ、かなりの進化を感じたそうです。また、製品化前の技術を披露する「Sneaks」で紹介された、Adobe Experience Manager以外で構築されたサイトをAdobe Experience Managerに自動変換するツールや、SNS向けのAIエージェント機能なども、将来使ってみたいと思ったそうです。
「全体を通じての印象は、企業CEOレベルのAIの活用度の高さでした。各社CEOの講演を生で聞いて、実際に使いこなしているのだろうと感じました」(高嶋氏)
花王 高嶋智也氏
また現地で高嶋氏は、米国のサンスター社と打ち合せする機会を得たと言います。「花王は現在、Adobe Experience Managerのクラウド移行を進めています。先行してクラウドを利用しているサンスター社の担当者と情報交換をすることができたのは、非常に有意義でした。ただ、日本の場合は米国と違い、利用ユーザーへ手厚くサポートできる体制と業務フローの構築ができなければ導入が難しい場合もあり、スムーズには進まないだろうという指摘も受けましたね」。
その他にも、カンファレンス全体の規模が非常に大きいため、余裕を持ったスケジュールで見たいポイントを絞ること。1人では見られる内容に限界があることから、複数人のチームで行くことを、高嶋氏はお勧めします。開発パートナーなども含めて参加できれば、彼らも多くの刺激を受けることができ、帰国後の提案のレベルアップにもつながると感じたそうです。とにかく長距離を歩くことになるため、靴選びにも注意したほうが良い、というアドバイスもいただきました。
開発エンジニアがユーザーの疑問に直接答えてくれた
次に登壇したソフトバンクの住谷氏も、Adobe Summitの規模の大きさには驚いたと言います。「ラスベガスの空港にもAdobe Summitの展示があり、街全体で盛り上げている印象がありました」。
ソフトバンクでは現在、Adobe Experience Managerの新機能である「Edge Delivery Services」の導入を進めています。これはwebサイトの公開を短時間で可能にするサービスですが、住谷氏は、今回のAdobe Summitの期間中に現地で、アドビ本社の開発エンジニアとミーティングを持つことができたそうです。
「疑問や課題を直接投げかけて、回答してもらうことができました。話をする前は、エンジニアの方であることから運用上の課題は難しいのではと思っていましたが、実際は多くのお客様と会話をしていて非常に経験豊富だったため、こちらの質問にも分かりやすく答えてもらえ、非常に参考になりました。こういう機会が得られたことも、参加したメリットだと感じました」
ソフトバンク 住谷泰紀氏
また、講演や展示内容では、アドビの生成AIである「Adobe GenStudio」に興味を持ったと言います。「特に面白かったのは、企業のブランドを理解した上でコンテンツを生成できる点です。ハンズオンコーナーで触ってみましたが、使い勝手も良く、実際に活用してみたいと思いましたね」。
その他、出発前、住谷氏は英語に少し不安があったようで、生成AIに「Adobe Summitに参加するのだけれど、英語が苦手な私が最大限楽しむためにはどうすれば良いか」と質問をしたそうです。するといろいろなツールが紹介され、実際に現地ではスマートフォンの翻訳アプリを使い、キーノートやセッションに参加。かなり有効だったようで、「英語はテクノロジーでかなり解決できると分かりました」と、英語に不安があり、Adobe Summitの参加に迷っている方への後押しになるようなお話もいただけました。
海外企業もボトムアップでDXを進めていることを知る
最後に登壇した東京海上ホールディングスの金輪氏は、「Adobe Summitに参加してみて、グローバルで見ると、マーケティング領域における生成AIの活用は、PoCの段階が終わり、本格実装のフェーズに入っていることを実感しました。帰国後にマーケティングに関連するグループ会社の社員を集めた社内報告会では、生成AI活用のきっかけやヒントになれば良いと考えました」と話します。
金輪氏は、海外の先進金融会社は意思決定のスピードが速く、デジタルツールをトップダウンでビッグバン的に導入すると思っていたそうです。しかし、会場で各社に話を聞いてみると、実はLP1枚、メール1通から1つずつ前に進めていることが分かったと話します。「海外企業のスピード感は企業文化の違いによるものと思い込んでいる部分もありましたが、1つずつ登っていくことの大切さを改めて思い知りました。ただ、そのPDCAのサイクルがものすごく早く、あっという間に会社全体に活用が広がることは、見習わなければいけないところですね」。
東京海上ホールディングス 金輪慎平氏
会場ではモルガン・スタンレー、ベトナムのテクコムバンク、プルデンシャル生命保険など金融関係の事例講演に参加し、気づきを得たと言います。「今まではパーソナライズで複数のコンテンツを出し分けるようなイメージでしたが、生成AIの登場で、パーソナライズに必要となる膨大な数のコンテンツを自動的に作ることが可能になったことは、ブレークスルーだと実感しました」。
社内を説得してAdobe Summitに参加するには?
報告会の後半は、「Adobe Summit 参加のためのTips」と題し、登壇者を含めた全員で、これまで参加したことがない企業が、参加の社内承認を得るための方法について語り合いました。
Adobe Summitのような海外のテクノロジーカンファレンスは、国内のイベントと異なり基本的に参加は有償です。また渡航、宿泊などの費用もかかります。約1週間の出張となることから、社内の承認を得るためのハードルは高いと言えます。
参加が難しい主な理由として、予算が取れないことが最も多いと思いますが、社内規定で海外出張が禁止、業務を引き継げない、社内スケジュール(毎年社員総会の時期と重なっている)など、企業により様々な事情が存在します。
まず予算の確保は部門の中でできるのか、役員会などの承認を得なければいけないのかも、企業によって当然違います。部署内、部門内の承認でも可能な企業、さらに上の役員会での承認など、事情は異なるようです。
Adobe Summit参加経験のある方からは、「3年前に会社として初めて行きましたが、初年度に参加報告をしっかり出したことが、その後も継続的に参加できていることにつながっていると思います。海外の最新情報をしっかり取り、自社は遅れていますとアピールすることで、行く意義を社内で認められました。また、部下が参加することで刺激を受けて、成長の機会になっていることも実感しています」という意見が出ました。
それに対し、花王の高嶋氏も同意します。会社として10年以上Adobe Summit参加を続けている花王では、海外情報の収集や、若手社員の育成を掲げた「フロンティアクエスト」という社内テーマがあり、Adobe Summitへの参加は、そのメニューの一つに入っていると言います。同社では、Adobe Summitを含む何本かの重要な海外カンファレンスを役員に認識してもらい、毎年継続して参加することが必要というアピールを続けているそうです。
また、「マーケティング部門だけで会社の承認を得るのではなく、事業部門の役員といったトップクラスに現地へ行ってもらうことが、効果的だと思っています。そのために、アドビからも幹部向けのイベントなどで、危機感を持ってもらうような働きかけをしてほしい」という意見も出ました。
報告会の終了後は、参加者によるネットワーキングも実施。登壇者への直接の質問や、参加者同士でAdobe Summit参加の感想を語り合う場として、盛り上がりました。この報告会の参加者の多くが、2026年のAdobe Summit参加への思いを秘め、イベントは幕を閉じました。