MAツール活用に悩む企業様の特徴とその解決方法 vol.3

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マーケティング戦略を実現するためのMAツールの選び方

企業のマーケティングオートメーション(MA)の成功に向けて、これまで「マーケティングの目的を考える必要性」や「目的達成に向けた戦略と企業組織、支援体制」についてお話をしてまいりました。そして最終回であるvol.3では、目的と戦略、組織ができた上で重要な「MAを成功させるツールの選び方」について、Adobe Marketo Engageのコンサルティングサービスを中心に取り扱う、アドビ株式会社 エクスペリエンスビジネスパフォーマンス部 マネージャーの冨田洋平より解説していきます。

vol.1:マーケティングオートメーションに行き詰まった企業に見られる2つの特徴

vol.2:社内にMAのノウハウがなければ外部の力を積極的に活用すべき

MAツールは使い込んでいくことで真価を発揮する

市場には様々なMAツールがあふれていますが、見た目の分かりやすさ、使い勝手の簡単さに力を入れた製品も見受けられます。

MAを始めるにあたり、手始めにそうしたツールを使ってみるというのは、もちろん「あり」だと考えています。入り口として、MAを体験してみることは大事です。

ですが、体験してみた結果、MAの良さに気付き、「今実行できていることに加えて、新しい施策をやりたい」「様々な施策を実行してきたことにより、新しい戦略を試してみたい」といった欲も出てくるかと思います。そのときに、使っているツールが当初よりも高度で複雑な使い方に対応できるのか、自社のしたいことに合っているのかということを、一度足を止めて考えていただくと良いかと思います。

そこで今回は、ツールが戦略と合っているのかをチェックする際に必要な、いくつかの大事なポイントをご説明します。

まず知っておいていただきたいのは、マーケティング施策の運用コストの話です。運用コストは新規でツールを導入する際に見えにくいコストで、実際にMAの運用をしてみて初めて気付くコストでもあります。例えば、動かしているシナリオを部分的に修正して再度実行することができるか。これが意外とできないツールが多く、一から作り直さなければいけない場合は、無駄な運用コストがかかってしまいます。部分的な修正が簡単にできれば、修正をしながらマーケティングのPDCAを高速回転することができるでしょう。また、成功した施策を他製品や他事業部へ横展開したい場合、簡単に施策を丸ごと複製できるのか? 複製した後の修正にかかる時間などにも考慮したいところです。

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運用コストは、ツールを選ぶ段階では事前に調べることが難しい部分ではあります。また、MAの運用が始まっても、経営層には見えにくいコストであり、「ツールを入れたのだからしっかりとやって」と言われてしまいそうですよね。したいことと合わないツールを使い続けてしまうと、現場の負担は解消できないまま疲弊していくことになります。

その結果、本来MAによって実現したかった、施策の繰り返しによる改善を図ろうと考えても、手間が多いために施策を増やすことが困難になります。これでは、PDCAを十分に回していくことができません。MAツールを選ぶ際は、施策の流用、複製の容易さにも注目してほしいと考えています。

マーケティングプロセスは受注後も続く

次に、MAツールの守備範囲についてです。大半のMAツールは、見込み顧客を獲得してから、受注するところまでの機能にフォーカスしています。ですが、受注までのプロセスと同等かそれ以上に、受注後のプロセスにもフォーカスしていくことが必要な時代になってきているように思います。

昨今のビジネスでは、商品やサービスを販売した後の顧客とのコミュニケーションによって、収益を拡大することが重要度を増しています。しかし、多くのMAツールは受注後のマーケティングには対応していません。

実は受注後のほうが、企業内には顧客データが豊富に存在しています。このデータを生かさない手はありません。受注以降の顧客データを分析し、優良顧客(チャンピオン)を増やすために何をすれば良いのかを考えることができます。

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これまで多かったのが、受注後の顧客はCRM(顧客関係管理)システムにデータを入れて、そこで管理する方法でした。もちろん既存顧客との関係を営業担当者が良好に保つことは欠かせませんし、CRMを使っていくことは間違いではありません。しかし、営業担当者のリソースが限られている中で、十分なフォローやアップセル、クロスセルのアプローチができない場合もあります。そこに対して、MAツールを使ってマーケティング部門がカバーするという動きは、これからますます重要になると思います。

これからの企業は、既存顧客による生涯収益を知り、それを最大化する努力が必要です。MAツールで受注後もフォローをすることで、新規獲得に向けた過剰なマーケティング予算の投下を防ぎ、顧客戦略全体の中で投資と収益のバランスを取ることができます。

施策ごとに成果を可視化

加えて、MAツールの重要な機能として、「成果の可視化」があります。これはどういうことかというと、メルマガの送信や資料請求バナーの設置、ウェビナーの実施といった個々の施策が、商談という成果に対して、それぞれどのように貢献したのかを知ることです。

この可視化を実現するには、小さな施策一つひとつにおいて、「成功」とは何かを定義しておき、その成功がどう積み重さなって、最終的に商談に結びついたのかを計測します。

マーケティングの世界では「ファーストタッチ」「ラストタッチ」という言葉をよく使います。商談につながった見込み顧客(リード)を、最初に獲得した施策をファーストタッチ、最後の一押しをした施策をラストタッチと呼ぶのですが、それだけでなく最初と最後の間にある、複数の施策の成果にも目を向けようということです。そのため、アドビでは途中の施策を含めた「マルチタッチ」での分析が重要だと考えています。

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マルチタッチの分析を行う際、商談の価値を金額換算して、それを施策の数で割って均等に分割することから始めます。例えば、商談1件の価値を1000万円と決めて、ファーストタッチからラストタッチまで、実施している複数の施策を見ていきます。このうち、商談につながったと判断できる施策が4つ見つかった場合、1000万円を4等分して各施策に振り分けます。

これをすべての商談について加算していくと、マーケティング部門が実施している全施策の貢献度が、金額換算して見える化できます。その結果、施策の評価額に対して、予算を過剰に投下しているものを減らし、逆に投下予算に対して貢献度が高い施策により多くのコストを使うことができるのです。

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さらに、全体の施策の中で有効なもの同士をどうやってつないでいけるのか、リアルな数字を基にして検討することができます。この分析は、マーケティング部門が自分たちの取り組みをフェアに評価していく上で、欠かせないものだと思っています。

今回お話しした内容は、Adobe Marketo Engageであれば、解決できる可能性があります。ぜひ一度当社の営業へお声がけいただき、現在の悩み事を相談いただければと思います。

MAは戦略とツールがそろって、初めて成功する

MAツールを導入してもうまく成果が出ない企業に対して、その原因と対策を3回に分けてお話ししてきました。まとめると、問題はマーケティングの目的をしっかり考えているのか。そして、その目的を達成するための戦略に対して、ツールが対応しているのか、ということだと思います。

戦略とツールがかみ合っていない場合、どちらに問題があるのか、それとも両方なのかを見極める必要があります。もちろん、どちらにも問題があるケース、あるいは、どこが問題か分からないというケースもあると思います。

私たちアドビは、豊富なMA実践のノウハウを持っていますので、ツールありきでないベストな対処法、ツールでの解決方法などをご提案できると考えています。ぜひ、お気軽にお問い合わせいただければと思います。

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