アドビのコンテンツ・サプライチェーンの投資効果がフォレスターのTEI調査で鮮明に

調査会社のフォレスターは、特定の技術投資による経済効果を包括的に評価するTotal Economic Impact™(TEI)フレームワークを提供しています。今回、アドビのソリューションでコンテンツ・サプライチェーンの最適化を行った場合、金額に換算すると3年間の総額は8000万ドル相当の価値を得られるという調査結果が公表されました。本記事では、価値の詳細とそれを実現するアドビのソリューションについて紹介します。

コンテンツ・サプライチェーンとは

コンテンツ・サプライチェーンは、コンテンツ制作とその使用、および成果分析を行うプロセス全体を指す言葉です。優れたコンテンツ・サプライチェーンがあれば、制作ワークフローの最適化によるコンテンツ制作の効率化とそれによるコスト削減が可能になります。コンテンツ品質は改善プロセスによって日々向上し、顧客体験がより良くなることも期待できるのです。

また、企業のコンテンツ関連業務は、アイデアを企画に落とし、それをコンテンツという最終形にして終わりではありません。出来上がったコンテンツは、顧客によって閲覧されます。その体験を分析することで、コンテンツが企業にどのような価値をもたらしたのかをつかみ、それを次のコンテンツ制作に役立てるところも大切な要素です。

そしていま、生成AIの登場でコンテンツ・サプライチェーンはさらなる進化を遂げようとしています。たとえば、1つのベースコンテンツを作っておけば、生成AIに指示を出して少し文言やイメージを変更したコンテンツを自動生成できます。たとえば、車の写真を用意しておけば、雪山、海辺、都市、もしくは田舎など、その車が走る背景を無限に生成できるでしょう。そうして仕上げたコンテンツは、届ける顧客の好みや状況、季節などに合わせてパーソナライズすることも可能です。

コンテンツ品質を高めるためにも、生成AIは役立ちます。文法やスペルチェックなどの小さなものは当然として、内容の改善提案を検討する際の壁打ち相手、そしてコスト削減に結びつくプロンプトに基づいた記事ドラフトの自動生成なども生成AIに期待されている分野なのです。

アドビには、コンテンツ・サプライチェーンのさまざまな場面で活用できる製品があります。

プロジェクト管理では、ワークフローと進捗管理機能を備えたAdobe Workfrontを中核に、動画コンテンツの共同制作を可能にするFrame.ioを用意しています。コンテンツ制作では、Adobe Creative CloudとAdobe Expressが有名で、CMSとDAMを統合したデジタルエクスペリエンスプラットフォームAdobe Experience Manager Assets/ Sitesも提供しています。そして、最新の生成AIとして、画像生成やテキストエフェクト機能を提供するAdobe Fireflyもラインアップに加わりました。

アドビは、これらを組み合わせたコンテンツ・サプライチェーンのトータルソリューションを提供できます。

Adobe Summit 2024でも、コンテンツ・サプライチェーンは重要なテーマのひとつとして語られました。

アドビのコンテンツ・サプライチェーンソリューションが役立つシーン

優れたコンテンツ・サプライチェーンは、コンテンツを再利用することで低コストにコンテンツを拡大再生産できます。アドビのソリューションを使えば、スマートタグとAdobe Experience Manager (AEM) Assetsでコンテンツの可視性を向上させ、再利用が容易になります。テンプレートになるコアアセットを設定しておけば、地域タグを活用してローカリゼーションを自動化するなどの使い方も可能です。

コンテンツ作成とレビュープロセスでは、Adobe ExpressのテンプレートとAdobe WorkfrontおよびFrame.ioのレビュー機能を活用し、コンテンツ作成とレビュープロセスの一部を自動化できます。Adobe Experience Managerを使えば、パーソナライズとスケーリング作業の自動化も可能です。これらは、市場投入スピードを短縮すると同時にチームメンバーの作業工数削減にもつながります。

プロジェクト管理は、Adobe Workfrontで日常的なタスクとレポートを自動化することが可能。代理店/パートナーとのコミュニケーション/コラボレーションも向上します。

顧客エンゲージメント率を向上させるために、コンテンツの自動的なパーソナライズも実現します。以前に使用していたポイントソリューション型の古いシステムを置き換えることによるコスト削減効果も見込めます。

これらは、アドビのソリューションで実現できることの一例です。

Adobeで3年間に8000万ドル相当の価値を得られるとフォレスターが算出

フォレスターは、アドビのコンテンツ・サプライチェーンソリューションのユーザーにヒアリングし、その結果をTEIフレームワークに当てはめました。さまざまなヒアリング対象を仮想の「年商100億ドル、従業員数4000人、年間500万ドルの代理店費用をかけているB2B/B2C企業」としてまとめ、3年間にどれだけの価値を得られるかを検証しています。その結果を見ていきましょう。

仮想企業では、コンテンツ再利用率を5%から30%に高めることに成功しました。コンテンツは、持っているだけでは無意味です。必要なものを簡単に探せることで再利用性が高まります。以前は、メタデータがないために探せないという課題があり、たとえばコストをかけて部門ごとに製品の写真撮影をすることなどが行われてきましたが、こうした無駄は完全になくなっています。TEIでは、その価値を3年間で790万ドルと見積もりました。

コンテンツ作成、レビュー、承認、配布の各ステップを自動化することもできました。コンテンツ作成の待ち時間を短縮し、製品開発初期の製品レビューは現物でなく3Dモデルに変更。コンテンツ作成のために現物を配送する時間の削減など、細かなものも加えると、3年間で530万ドルの価値が出ます。

1つのコンテンツから多様なコンテンツを生成する時間は、50%削減されます。Adobe Experience Manager Assetsにコンテンツのテンプレートを持たせ、それを動的に管理される1つのマスターがあるイメージで運用します。生成AIを積極的に利用することで、大量のコンテンツを最小限の人的リソースで生成できます。その価値は、3年間で900万ドルです。

Adobe Workfrontによるプロジェクト管理は、レビューにかかる時間を大幅に削減します。月間32時間かかっていた製品レビュープロセスは、1年後に20時間、2年後以降は16時間と半減します。マーケティングレビューは同32時間が1年後に28時間、2年後以降は24時間になると試算。その価値を金額に置き換えると3年間で420万ドルです。

サイト管理の労力は5分の1になります。Adobe Experience Manager Sites/Assetsを統合的に運用することで、少数精鋭のチームによる自動的なコンテンツ公開が可能になります。以前は手動で実施してきたコンテンツ公開プロセスの90%を廃止できました。その価値は、3年間で500万ドルと見積もることができます。

コスト削減だけでありません。顧客体験の向上でページビューは5%増えました。顧客体験の自動的なパーソナライズにより、キャンペーンのパフォーマンスが向上。その結果として、顧客エンゲージメントが増加し、ページビューが押し上げられたのです。その価値は、3年間で1490万ドルに及びます。

代理店をコンテンツ・サプライチェーンに組み込むことにも成功しました。仮想企業では、セキュアな環境を用意し、システム/ツールをプロジェクトメンバー全員が使用できるようにしました。これにより、管理コストを削減し、同時に内部効率もアップしました。その価値は、3年間で1430万ドルの価値を生んでいます。

そのほかにもさまざまな価値があり、TEIフレームワークでは、3年間の総額は8000万ドルであると試算されています。

TEIフレームワークにより、アドビのソリューションを活用することで、極めて高いROIを得られることが鮮明になりました。TEIの試算でも、稼働後6~8か月で投資を回収することができます。コンテンツ・サプライチェーン全体の最適化と効率化を目指す企業にとって、アドビのソリューションは魅力的です。これからコンテンツ・サプライチェーンに取り組みたい企業は、アドビのソリューションについて深く学習することで、最適化と効率化の方向性が見えてくると言えるでしょう。今後、生成AIはさらなる進化を遂げると見込まれており、自動化することによる価値はさらに高まることが期待されています。これからも、生成AIをラインアップに含むアドビのコンテンツ・サプライチェーンソリューションにご注目ください。

コンテンツ・サプライチェーンをより効果的に実現するためのソリューションが、Adobe GenStudioです。Adobe Summit 2024で発表されました。

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