データをきれいに保つには?Marketo Engage×SFA活用で避けては通れない「データ管理」について学ぼう

Adobe Marketo Engageを有効に活用するために避けて通れないのが、 "いかにデータをきれいに保持するか"という問題です。Marketo EngageとSalesforceをはじめとするSFAを連携して活用すると、できることは広がる一方、データの管理はさらに複雑になります。そこで、Marketo Engageのユーザーグループ「Japan Marketo Engage User Group (JMUG)」において、「JMUG - Marketo × SFA 勉強会 vol.1 データ基盤整理(基礎編)」が開催されました。

講師は、2014年よりMarketo Engageの利用を開始し、2017年のMarketo Championでもある、株式会社ユーザベースでFORCASのカスタマーサクセスを担当している嶋田真弓氏です。「データの重複を防ぐにはどうすれば良いのか」「Marketo EngageとSFAを連携する際に注意すべきことは何か」など、データ管理にまつわるさまざまなお悩みを抱えたユーザーのみなさまに向けて、嶋田氏の経験や実例を交えながら、多くのアドバイスをいただきました。

もくじ

  • データ管理に潜む5つの落とし穴
  • データがきれいになると、何ができる?
  • データをきれいに保つためにできること
  • 自分ならではの3D企画を考えよう!
  • I like / I wish で本日の振り返り!

データ管理に潜む5つの落とし穴

FORCASのカスタマーサクセスに従事する嶋田氏は、FORCASユーザーからよく聞くデータの悩みとして、次のようなものが挙げられると語ります。

中でも、特に注意すべきポイントとして、次の5つを紹介しました。

① 恐怖のインポート

インポートに失敗すると、リードが重複してしまいます。ルールもないまま複数人でインポートしている場合など、"Marketo Engageのフォーム以外"からリストをインポートするときに事故が起こりやすい。インポートする際に、誤って別の項目にマッピングしたり、インポートデータを成形する過程で途中から行がずれてしまったり。間違えて古いデータをインポートしてしまい、すべて重複してしまったケースもあります。

② トークン要注意

トークンというのは、Marketo Engageの差し込み項目のこと。データが汚いことで、違う人の名前でメールが送られてしまったり、「TEST様」という名前で送られてしまったり。トークンの外側に「様」を付けるのが一般的ですが、Marketo Engageで「デフォルト値」を空欄にしていると、「様」だけで送られてしまいます。デフォルト値には、「ご担当者」や「お客」を設定するのを忘れないようにしましょう。

③ 散らかる情報

Marketo EngageにSalesforce等のツールが連携されておらず、広告〜リードジェネレーション〜商談〜受注〜カスタマーサクセスのデータが分断されている場合。また、各部署がExcelやkintoneで顧客情報をバラバラに管理しているケースも散見されます。こうなると、それぞれのデータベースを紐づける共通したキーがなくなるため、いざデータが必要になった際には、ExcelのVLOOK-UPを使って、無理やりデータをつなぎまくるという不毛な作業が発生することになります。

④ 増殖する項目

Marketo Engageの管理権限をしっかりコントロールして、運用ルールも徹底できていれば、こんなことは起こり得ないのですが、複数人で自由度高く使っていると、同じような項目が乱立して、最新のデータがわからなくなりがちです。たとえば、「お客様が入力したデータ」と「システムで取得したデータ」を区別するために項目を分けていたり、事業所ごとに異なる項目を設定していたりする場合、「Marketo Engageでスマートリストをつくろうと思っても、どの項目を使っていいのかわからない」という問題が発生します。

ちなみに、Salesforceではオブジェクトをまたいで同じ名前の項目を何個もつくることができますが、Marketo Engageでは同じ名前の項目は1つだけしかつくれず、一度登録した項目は削除ができない(非表示にはできる)という仕様の違いがあるので、覚えておきましょう。

⑤ データがあればできるのに

インサイドセールスからセグメンテーションのアイデアが出たとしても、正式社名・業界・従業員・決算期・都道府県・法人番号などのデータが付与されていないために、「やりたい施策ができない」というご相談が多くあります。

「これらのよくあるお悩みは、『セキュリティ』『コスト削減』『施策実行/パーソナライズ』のいずれかに分類することができる」と語る嶋田氏。さらに、『セキュリティ』と『コスト削減』は、"データをきれいに保つ"ことで、『施策実行/パーソナライズ』は"必要なデータを付与する"ことで解決できると言います。

一般的にはこんなことができるとよさそう

では、きれいで使えるデータがあると、Marketo Engageでどんなことができるのか。嶋田氏の前職であるfreeeと、現職のFORCASの事例をもとに詳しく見ていきましょう。

データがきれいになると、何ができる?

「『パーソナライズ』は、Marketo Engageの根幹だと思っている」と話す嶋田氏。パーソナライズができるようになると、"Marketo Engageを使いこなせているかも"という実感が得られるようになると言います。

前職のfreeeでは、Marketo Engageのエンゲージメントプログラムを使って、ファネルごとにナーチャリングメールを出し分けていました。

前職のパーソナライズ例(フェーズ別なーチャリング)

一方、現在のFORCASでは、イベントやセミナーの集客メールを、お客様の属性や活動履歴に応じて、出し分けています。

FORCAS社のパーソナライズ例(集客メールの出し分け)

また、お客様が「コロナ禍によって投資を抑制しているのか」あるいは「コロナ禍以外の問題で投資ができる状態にないのか」によって、コンテンツのストーリーを変える必要があるのは、当然のこと。コロナ禍のような世の中の情勢を踏まえたパーソナライズを行うことで、"お客様がなぜ今このメールを開封して、リンクをクリックしなければならないのか"という動機付けを行なっているそうです。こうした「Why Now」「Why You」を整理して、ターゲットに合わせた適切な提案ストーリーを作成するために、きれいで使えるデータが不可欠なんですね。

ところで、Marketo Engageで扱うデータには、具体的にどんなものがあるのでしょうか。嶋田氏は次のように整理しました。

Marketo Engageで扱う「データ」とは?

次に、きれいで使えるデータを保持するために、具体的なやるべきことをご紹介していきます。

データをきれいに保つためにできること

大前提として、データはきれいに越したことはありません。重複リードがなく、すべての項目が最新で、文字化けもなければ文字の欠損もない。お客様の情報が更新されたら、自動的にアップデートされるのが理想的ではあります。しかし、そのためにマーケターの大事なリソースを全投入するのは非現実的です。逆にいえば、課題や目的に応じて、データの整理範囲を決めることが重要なのです。

そもそも、きれいなデータの定義は、企業によって異なります。社名の表記ゆれは断固として許さないのか。法人番号をキーにしているので、漏れなく法人番号が付与されていることが最優先なのか。あるいは請求システムの関係で、会社名は絶対に半角でなければならないのか。本国に合わせて英語社名がないとレコード登録が保存できないケースもあるのではないでしょうか。

つまり、まずやるべきことは、自社にとって重要なファクターをピックアップすることです。"全部が重要"ではダメ。全部はできないと割り切って、絶対にここだけは譲れないものを、理由とともに洗い出していきます。なぜそれが大事なのか、ちゃんと理由を説明できないものは、目をつぶれるものとして判断しましょう。そして、やると決めたら、ゴールを決めます。

ちなみに、重複リードはない方がいいものの、仮に3件のリードで同じメールアドレスが登録されていたら、Marketo Engageでは"最終更新日時が新しいものだけ"にメールが配信される仕様になっています。したがって、「もしリードが重複していたとしても、同じお客様に何通も同じメールが届くわけではない」ことは覚えておいてください。同様に、「重複リードのうち1つでも配信停止をされたら、残りのリードにもメールは配信されなくなります」ので、ご安心ください。ただし、重複リードがある場合、それぞれのリードでアクティビティログが分断されてしまうため、正確なスコアリングをしたいのであれば、重複リードをなくすためのメンテナンスが必要となります。

続いて嶋田氏は、データをきれいに保つために必要な作業として、次の3つを挙げました。

① 過去のデータをきれいにする

過去のデータをきれいにするには、以下のような方法で問題を発見します。

何かしらの問題が見つかれば、データを手動で修正していきます。SalesforceとMarketo Engageを連携していて重複リードをマージする場合には、Salesforce側で修正するケースが多いです。どのデータを正とするのか、データをマージする場合には誰が責任を持つのか、あらかじめ社内でルールを定めておくといいでしょう。

② 流入するリードのデータをきれいにする

過去のデータをきれいにするよりも大事なのが、今後新たに流入するリードのデータをきれいにするためのルールづくりです。たとえば、以下のようなルールが考えられます。

こうしたルールを作成したら、必ず明文化して関係者に共有しておくことが重要です。

③ 今後のために仕組みを整備する

過去のデータを見直して、入口をふさいだあとは、データ整理の作業を効率化する仕組みを導入していきます。たとえば、こんなアイデアがあります。

最後に、FORCASでは実際どのようにリードを管理しているのか、ご紹介します。

まず、自社開発したコンタクトフォームにメールアドレスが入力されると、ドメインから推測した会社名がサジェストされ、法人番号を付与します。さらにMarketo EngageやSalesforceに入ったデータは法人番号で正確に名寄せされたあと、FORCASの企業情報をもとにSalesforceの取引先名を正式企業名に書き換えるとともに、重複ルールによって二重登録を防止しています。加えて、リードのインポートはMarketo Engageで行うものとし、その際に会社名を書き換えるのは禁止。Salesforceのデータに誤りを見つけた場合には、専用のSlack チャンネルで報告することで、オペレーションチームがデータを修正してくれるようになっています。

ただし、このフォームはエンジニアのリソースをかけて開発する必要があるため、ずっと使う優先度の高い主要なものだけに限定しているそうです。

「データをきれいにするためには、目的・課題・ゴールの設定がとても重要です。データの管理ルールはひとりで決めるのではなく、ぜひ関係者を巻き込んで共通認識を持つようにしてください」と嶋田氏は語り、ウェビナーを締めくくりました。