私たちの誰もが、朝の習慣を持っています。1日の始まりに一杯のコーヒーを飲む人もいれば、運動したり、静かに瞑想したりする人もいるでしょう。人間は習慣の生き物であり、一貫性こそが1日を気持ちよくスタートさせるための鍵となります。
消費者はブランドとエンゲージする際に、常に快適さと親しみやすさを求めています。自分が誰で、何を求めているのかをブランドが理解していることがわかるような、一貫性のある統合された体験を求めているのです。関連性の低い体験は、エンゲージメントやコンバージョンを妨げる恐れがあります。一方、綿密に計画された動的なエンゲージメントは、より健全な顧客関係を築くチャンスとなります。
統合された顧客体験では、顧客を戦略の中心に据えます。リアルタイムのデータとインサイト、パーソナライズされたコンテンツ、継続的な最適化を組み合わせることで、カスタマージャーニーのあらゆる側面をシームレスかつ的確なものにします。
ライフサイクル全体を通じて顧客一人ひとりに寄り添い、人間味を感じられる体験を提供できれば、ブランドは顧客の関心を惹き付け、ロイヤルティと信頼関係を構築できます。
知識は、共有することで初めて効果を発揮する
多くのB2C企業は、矛盾した、または関連性の低いマーケティングメッセージを意図せず送信してしまうという課題を抱えています。その原因は、すべてデータにあります。データが複数のアプリケーションやチャネルに分散し、複数の部門がテクノロジーサイロの中で作業している場合、チームは最高のパフォーマンスを発揮し、顧客が求めるシームレスな体験を提供するために必要なインサイトを確保できません。
このような断片化されたデータは、顧客インタラクションにおけるメッセージやオファーの分断を引き起こします。こうした状況では、パーソナライズされたコンテンツや、焦点を絞ったオムニチャネルジャーニーを通じて、ブランドがあらゆるエンゲージメントにおいて価値を提供し、顧客とのつながりを強化するような、統合された顧客体験を提供することはできません。むしろ、データの分断により、まるで別々の企業とやり取りしているように感じさせてしまう可能性があります。顧客を把握しているにもかかわらず、見知らぬ人のように扱うブランドは、顧客の信頼を大きく損ねることになります。
この記事では、最初のエンゲージメントから、顧客の獲得、関係の深化に至るまで、多くの企業がアドビを活用して、どのようにカスタマージャーニーのあらゆる側面をシームレスかつパーソナライズされた方法で統合し、ブランドロイヤルティを構築しているのかを解説します。ぜひお役立てください。
1. 無駄な労力を減らし、より多くの顧客を獲得
ブランドは、適切な見込み顧客を特定し、それらの見込み顧客にリーチするための最適な戦略を決定して、新規ビジネスを促進することに苦慮することが多いです。これらのオーディエンスを特定できない場合、マーケティング予算の浪費、獲得コストの上昇、コンバージョン率の低下につながる可能性があります。マーケティング予算を活用して顧客を効率よく獲得し、成長につなげるためには、適切なオーディエンスを的確にターゲティングすることが不可欠です。
U.S. Bankは、Adobe Real-Time CDP(CDP)を活用して、様々なオーディエンスセグメントにいつ、どのようにエンゲージすべきかに関する情報を取得しました。これにより、同行は、最近住宅リフォーム資材を購入した顧客に住宅ローン情報を提示するなど、関連性の高いソリューションを迅速に提供できるようになりました。また、他の新製品を試す可能性が最も高い、新規顧客向けのオーディエンスセグメントを作成し、追加のオファーを送信しました。
Real-Time CDPを使用して、今後のキャンペーンのチャネル支出を効率的かつ戦略的に決定することで、「新規顧客へのリーチにかかる時間を、数週間または数か月から、数時間または数日に短縮できました」 と、同行のシニアバイスプレジデント兼オウンドチャネルパーソナライゼーション担当責任者であるChris Yu氏は述べています。


ファーストパーティデータを最大限に活用することは、顧客エンゲージメント戦略を効率化するためのもう1つの方法です。Henkelは、Adobe Real-Time CDPを活用して、あらゆる顧客インタラクションが、顧客プロファイルのデータを自動的に強化するような仕組みを構築しています。これにより、統合された各プロファイルを通じて、過去のインタラクションや潜在的なコミュニケーション機会を常に拡大し、把握できるようになります。
クリーニング用品、美容、化粧品ブランドとして知られる同社は、Adobe Journey Orchestrationを活用して顧客とのインタラクション履歴を可視化し、顧客の意思決定サイクルに合わせて、顧客とのあらゆるコミュニケーションを調整しました。Real-Time CDPを使用して、ユーザーエクスペリエンスから得られたインサイトを統合されたプロファイルにまとめることで、最適なタイミングでパーソナライズされたメッセージを配信できるようになりました。
「当社は、パーソナライズされた顧客体験を提供したいと考えています。アドビのアプリケーションは柔軟性が高く、当社のエコシステムに簡単に統合し、ビジネスニーズに合わせて調整することができます」と、同社の消費者/顧客/市場担当CVP(チーフバイスプレジデント)であるSascha Wirtz氏は述べています。
まとめ: ROI(投資利益率)に関するインサイトやリーチプランニングツールを活用して、今後のキャンペーンに向けたチャネル支出やオーディエンスセグメントを計画しましょう。適切なツールセットを使用することで、ファーストパーティデータを強化および拡大し、より効果的なプロスペクティング、リターゲティング、オーディエンスサプレッション戦略を策定できます。
2. 取引を永続的な顧客関係に変える
適切なタイミングで顧客にリーチし、一度の取引を売上につなげることは、素晴らしいことです。しかし、顧客の関心を惹き付けるために、あらゆるブランドが常に競い合っている世界では、それだけでは不十分です。画一的なメッセージをランダムなタイミングで配信しても、成果につながりません。大規模企業は、顧客データ、インサイト、オーケストレーション、ネイティブなオムニチャネルコンテンツ配信を組み合わせて、顧客の再訪を促すような、きわめて関連性の高い体験を創出する必要があります。
連携されたパーソナライゼーションツールがなければ、消費者データはサイロ化し、マーケティング活動の効果が制限されてしまいます。HanesBrandsは、Adobe Real-Time CDPを活用することで、データを一元管理できるようになりました。インサイトを発掘する機能を使用して、有望な顧客セグメントをより的確に特定し、パーソナライズされたメッセージやレコメンデーションでターゲティングできるようになりました。


こうしたタイムリーなメッセージを継続することで、顧客とのつながりを深め、初めての購入者をブランドロイヤルティの高い顧客へと変えることができます。
Macy’sは、既存のAdobe Experience Manager、Adobe Analytics、Adobe Targetに加えて、Adobe Real-Time CDP、Adobe Journey Optimizer、Adobe Customer Journey Analyticsを導入することで、データソースを接続し、各顧客の統合プロファイルを作成しました。
「パーソナライゼーション自体は、目新しいものではありません。革新的なのは、様々なチャネルをまたいで1対1のパーソナライゼーションを大規模に実現するという、当社のアプローチです」 と、同社のカスタマージャーニー担当シニアバイスプレジデントであるBennett Fox-Glassman氏は述べています。「顧客が何を求めているかについて即時的なインサイトを得ることで、カスタマイズされたオファー、パーソナライズされたデジタルおよびアプリ体験、そしてきわめて関連性の高いコミュニケーションを提供することができます。こうした的確な体験は、収益性の高い成長、ブランド愛、そしてロイヤルティを育みます」
例えば、顧客が実店舗で購入する場合でも、アプリで価格を確認する場合でも、オンラインで閲覧する場合でも、情報はリアルタイムで統合プロファイルにフィードされます。同社はこの情報を活用して、顧客の行動に合わせて調整できる、パーソナライズされたオムニチャネルのライフサイクルジャーニーを設計しました。あらゆるチャネルにおいて、顧客の同一のリアルタイムデータを使用することで、同社は、これまで不可能だったレベルのパーソナライゼーションを提供できるようになりました。これは、リピート顧客の増加につながっています。
まとめ: 顧客のニーズに合わせて、オムニチャネルのライフサイクルジャーニーをパーソナライズすることで、適切なタイミングで顧客とエンゲージし、ロイヤルティを構築できる、没入型体験を創出できます。
3. 顧客接点をまたいでコンテンツを制作および再利用し、パーソナライズされた顧客体験を大規模に提供
顧客とつながる機会が増えることは、一見好ましいことのように思えますが、過剰なコンテンツ制作によって混乱が生じると、オーディエンスの離反やエンゲージメントの低下を招く可能性があります。拡張可能な基盤を構築することで、マーケターはコンテンツを迅速かつ一貫性のある方法で作成、再利用、管理できるようになります。
Vanguardのマーケティングチームは、コンテンツ管理システムであるAdobe Experience Manager Sitesを活用して、コンテンツの無秩序な増加を解決しました。再利用可能なテンプレート、アセット、コンポーネントにより、IT部門のサポートが限られている状況でも、コンテンツ制作のスピードと効率性が大幅に向上しました。
「重複した作業に費やす時間が大幅に減ったため、効率性が向上し、単一のマーケティングチーム内でパーソナライズされたコンテンツ配信にかかる費用を、約220万ドル削減できました」 と、同社のマーケティングテクノロジープラットフォーム担当エンジニアリング責任者であるTherron Hofsetz氏は述べています。


Telmoreは、Adobe Journey Optimizerを使用することで、チャネルをまたいで関連性の高いパーソナライズされたコンテンツを配信し、顧客エンゲージメントとコンバージョンを最大化できました。統合された顧客プロファイルを活用して、未完了の購入を特定し、適切なタイミングでメールリマインダーを送信しました。これにより、80%の顧客がメールを開封し、最大11%の顧客が購入を完了しました。同社は、単一のメッセージで大規模なオーディエンスをターゲティングするのではなく、顧客一人ひとりに焦点を当てて、関連性の高いオファーを提示することで、サービスの追加購入や競合他社からの乗り換えを促すことに成功しました。
まとめ: コンテンツ基盤を構築することで、マーケターが単一基盤で関連性の高いコンテンツを大規模に制作、再利用、管理できるようになります。これにより、チームはあらゆるデジタルチャネルをまたいで、最適なタイミングでパーソナライズされたコンテンツを配信できるようになります。
統合された顧客体験により、初めての買い物客をブランドロイヤルティの高い顧客に変換
顧客がカフェに来店し、お気に入りのバリスタがカウンターの後ろにいるのを見ると、そのカフェブランドとのつながりを感じ、また再訪したいと考えるようになります。ブランドが自分の好みを理解してくれていると感じられるからです。統合された顧客体験基盤があれば、企業は顧客と1対1の関係を構築し、エンゲージメント、コンバージョン、顧客生涯価値を向上させることができます。
強力なマーケティングテクノロジー基盤を構築することで、ブランドは顧客データを一元管理し、顧客を正確に把握して、カスタマージャーニーのあらゆる段階で必要なサービスやコンテンツを提供できるようになります。サイロを排除することでコストを削減し、顧客エンゲージメントのオーケストレーションを効率化できます。ブランドは、あらゆるチャネルをまたいでパーソナライズされたアセットや体験を創出し、ブランドが自分のことを理解してくれていると顧客に感じてもらうことで信頼関係を育み、ロイヤルティを向上させることができます。
アドビの顧客エンゲージメントソリューションの詳細を確認して、顧客体験を統合しましょう。
