リアルタイムの

顧客体験を現実のものに

 

アドビ、Adobe Experience Platformを利用して、9億7,000万人もの顧客とリアルタイムでつながる

アドビのロゴ

創業

1982年

従業員数(グローバル):21,000人以上
米国カリフォルニア州、サンノゼ
www.adobe.com

14秒

データ更新サイクルを
72時間から
14秒に短縮

目標

全社を挙げて統合顧客プロファイルを構築したい

顧客体験をリアルタイムで提供したい

オフラインデータとオンラインデータをつなぎ合わせたい

成果

顧客データを統合し、9億7,000万以上の一意のプロファイルを構築

データ更新サイクルを24~72時間から10~14秒に短縮

オンラインデータとオフラインデータを
中央リポジトリーで一元管理


 

「適切なタイミングで顧客をターゲティングしなければ、機会の損失につながります」

Jitender Singh
アドビ、情報データサービス担当エンジニアリングマネージャー


顧客とは、過去の人のことではありません。  アドビの顧客企業は、今日の課題を解決し、明日に備えようとしています。しかし、それらの企業が提供している顧客体験は、数週間前とまでは言わないものの、数日前のデータにもとづいたものでした。これでは、今目の前にいる顧客に対応することはできません。彼らは、1週間前の顧客とは違う人なのです。1週間前に顧客だった人は、もう既に顧客ではなくなっているかもしれません。

これを解決するために、アドビはAdobe Experience Platformを開発しました。

2019年にAdobe Experience Platformを導入した際、アドビでは顧客について十分に把握できているはずでした。しかし、そこには24時間から72時間のタイムラグがありました。顧客体験を重視していたにも関わらず、真に適切な情報を提供するために必要な最新のデータが不足していたのです。顧客プロファイルは堅牢で、ターゲティングも正確であり、パーソナライゼーションは継続的に向上していました。しかし、データのスピードという概念が欠けたままで、必ずしも成果につながっていたわけではありませんでした。そして、そのスピードを得るために必要となるあらゆる施策を実現できる単一の製品はまだ存在していませんでした。

そこで、アドビでは、自らの手で開発する道を選んだのです。Adobe Experience Platformを開発し、初めてそれを活用するカスタマーゼロとして、「優れた顧客体験」とは何かということを見つめ直しました。どれほど優れた体験であったとしても、的確なタイミングで提供しなければ、適切な体験とは言えません。新たなテストを実施し、繰り返すたびに、顧客体験の潜在能力を発揮する重要な要素として、データのスピードという概念が欠けていたことが明らかになりました。Adobe Experience Platformによって、データの時間と顧客の時間を一致させることが可能となり、より優れた顧客体験を創出できるようになりました。


時間という障壁を超える

Adobe Experience Platformは、データの消費と生成をひとつのフローで連携させる、単一のデータ基盤を目指しています」と、アドビの情報データサービス担当シニアマネージャーであるBrian Blockは述べています。

もしリアルタイムの顧客体験を提供することが容易であったとすれば、既に幅広く実現されていたことでしょう。しかし、実際は違います。それは非常に複雑で、データの収集から精査、統合に至るまでに多くの障壁があり、考えうる解決策はデータサイエンスというよりもサイエンスフィクションのようでした。さらに、多くのデータ基盤が1~3日ごとに更新されており、データのスピードに関しては、既にかなりの進歩を遂げている状況でした。そのため、これ以上の要求は、無謀であるように思えました。

しかし、それでも挑戦を続けました。この数年で、リアルタイムの顧客体験の実現は現実味を帯びていました。しかし、実現するまでには至っていませんでした。様々な製品を多数組み合わせた解決策では、期待する成果を上げられそうになかったからです。「完全に連携の取れたマルチチャネルサービスと、共通のデータソリューションを、まとめて提供してくれる製品はありませんでした。異なる情報源から取得したデータをつなぎ合わせることは非常に困難だからです」と、Blockは述べています。急場を凌ぐために暫定的な解決策も考えられましたが、単一の製品によって生み出されるであろう効果や運用効率に及ぶものではありませんでした。

アドビは、顧客体験の重要性を業界でも最も強く訴えてきた企業です。自社や顧客がリアルタイムの顧客体験を実現できず、不利益を被っている状態を、手をこまねいて見ていたわけではありません。後にAdobe Experience Platformとなるソリューションを生み出すために、まず、顧客体験を本質的に変革するような単一製品を構築できるのであろうか、また、その製品は様々な企業に対して有効であろうか、と自問することから始めました。また、Blockは、「業務を運営していくためのニーズと、ビジネス価値を付加するためにスピーディに開発する必要がある能力との間で、適切なバランスを取ることを目標としました」と述べています。Adobe Experience Platformの開発において、テストを重ねるなかで、リアルタイムの課題が次第に明らかになり、今後の方向性も見えてきました。


「顧客がAdobe.comを訪問して何かを購入すれば、その行動を

数秒以内に把握できるようになりました。また、アクセス可能なアプリのダウンロードや起動を促すメッセージを顧客に送信することもできます。顧客がアクションを起こしてから、その体験をパーソナライズするまでに3日もかかることは、もうありません」

 

Jitender Singh
アドビ、情報データサービス担当エンジニアリングマネージャー


 

つなぎ合わせてストリーミング

「私たちが抱えていた大きな問題は、プロファイルのデータセットが分散していることと、自社の購入アプリケーションから送られてくるリアルタイムの購入イベントを活用できないことでした」と、Blockは語ります。

リアルタイムの体験を実現するための最大の課題のひとつが、オンラインかオフラインかを問わず、あらゆるデータを一元的に保管できる単一のリポジトリーを構築することです。web上の行動や閲覧履歴などのオンラインデータは、あらゆるデータソースを統合するという点で、複数の課題を抱えていました。Adobe Audience Managerには、既に顧客プロファイル用のwebストリーミング能力が備わっていましたが、アドビのその他のデータストアと連携されていなかったのです。一方、オフラインデータについては、トランザクションや購入などの行動に関する情報を取り込むことが、オンラインデータの場合より、さらに困難でした。サブスクリプション型のビジネスにおいて、優れた顧客体験を提供するには、顧客の購入行動の情報が不可欠です。しかし、その時に使用していた決済ソリューションでは、すぐにデータを入手できませんでした。Adobe Experience Platformを導入することで、分散しているデータをつなぎ合わせ、オンラインとオフラインのあらゆるデータソースを統合して、顧客一人ひとりの最新の「スナップショット」を常に作成できるようになったのです。

最初に、真に統合された顧客プロファイルを構築するためのスペースを作りました。Adobe Experience Platformを使用して、あらゆるデータセットを保管できる単一のリポジトリを構築したのです。それまでにも、Adobe CampaignAdobe Experience Managerなどの様々なシステムで、それぞれにデータ統合をおこなっていました。しかし、データベースに登録されているあらゆる個人を対象とした、包括的な顧客プロファイルの基盤は存在していませんでした。一貫性のある、パーソナライズされた適切な体験を提供するには、顧客の全体像を把握することが不可欠です。包括的なプロファイルがなければ、顧客一人ひとりを正確に把握し、的確なタイミングで適切な体験を提供するための信頼できる唯一の情報源を構築することはできません。Adobe Experience Platformは、あらゆる顧客プロファイルのレポジトリとして、必要としていた顧客の全体像を提供してくれました。

 

しかし、統合されたデータセットを有していることが、必要なときに適切なデータが揃っていることを意味するわけではありません。リポジトリがひとつになっても、データは少しずつ継続的に追加されます。それらは、処理や共有の手続きを経なければ利用できるようになりません。また、データソースが追加されれば、そのたびに遅延が発生します。このように、データリポジトリが統合されても、リアルタイムの顧客体験の実現までは、まだ程遠い状態でした。多くの時間とエネルギーを費やして優れたキャンペーンを実施したとしても、それが今現在の顧客ではなく2日前の顧客を対象にしたものだったとすれば、何の意味もありません。質の高い体験を提供するためには、データの収集方法をはじめから見直す必要がありました。

「アドビのような組織では、リアルタイムのストリーミングを重視します。データを収集して、処理されるのを待ってから行動するのではありません」と、Blockは述べています。

Adobe Experience Platformのストリーミング能力を活用することで、特にオフラインイベントにおいて、最適な体験を提供できるようになりました。データレイクは依然として顧客プロファイルの重要な部分を占めていますが、オフラインイベントをストリーミングすることで、購買行動やアカウント行動という重要な情報を利用できるようになったのです。Adobe Experience Platformでは、オフラインデータのストリーミングに、ApacheのKafkaを使用しています(Mongo DBを使用したNoSQL環境で実装)。Blockが言うように、この決断は、アドビが解決しようとしていたデータのギャップを埋めるのに役立ちました。

オンラインとオフラインのイベントがリアルタイムで一元化されたことで、アドビが目指す質の高い体験を提供するために必要な、顧客の全体像を把握できるようになりました。

 

リアルタイムを実現するための準備

アドビでは、3年以上かけてテストと調整を繰り返し、Adobe Experience Platformを完成させ、市場で他に類を見ないソリューションとして送り出しました。Adobe Marketing Cloud Data Platformとしてスタートしたソリューションを、Adobe Cloud PlatformのCustomer Activity Hubへと進化させ、2019年には、現在のAdobe Experience Platformとして発表しました。画期的なソリューションであるAdobe Experience Platformは、価値ある成果をもたらしただけでなく、リアルタイムの顧客体験を提供するために必要なことも教えてくれました。

Adobe Experience Platformを最大限に活用するためには、テクノロジーだけではなく、適切な人材とプロセスが必要となります。たとえば、アドビでは、Adobe Experience Platformを導入する前に、既にデータドリブンオペレーションモデル(DDOM)を採用していました。アドビのような組織にとっては、優れた顧客体験を支援できるような、データを重視するビジネスの仕組みが必須です。DDOMは、リーダーシップを発揮し、連携し、説明責任を果たすためのひとつの方法と言えます。DDOMでは、企業はKPIをカスタマージャーニーの各段階とリンクさせることで、データと業績の間に直接的な関係を持たせることができます。このようなDDOMが既に採用されていたため、Adobe Experience Platformの導入にあたり、新たなオペレーティングモデルを採用する必要はなく、スムーズに導入することができました。

そして、Adobe Experience Platformを導入するうえで最も有益だったのは、「製品としてのデータ」という考え方を採用したことでしょう。つまり、データを製品と同じようにビジネスに不可欠なものとして捉えたのです。データの価値は多くの企業が理解していますが、データを製品として捉え直すことで、組織の中にデータのための重要なスペースを(運用面においても精神面においても)構築することができました。「データや顧客プロファイルを製品のように捉えることで、その価値提案を明確にできます。データは単なるテーブルや属性の集合体ではなく、『誰かに管理を任せる』ものでもありません。優先順位を付けて自らの手で管理し、その過程で様々なことを学ぶことが必要です」と、Blockは述べています。企業が自社の主力製品と同じようにデータを注意深く扱うことにより、顧客はその恩恵を受けられるのです。

 

実用最小限の製品(MVP)のロールアウト

新しい製品を導入する際は、たとえ自社製品であっても、常に慎重さと繊細さが求められます。アドビでは、今回のロールアウトが社内の各部門にどのような影響を与えるかについて、とりわけ注意を払いました。マーケターは特に、日々の業務をアドビ製品に頼って作業しているので、大幅なダウンタイムが発生すれば、業務遂行に悪影響が及びます。しかし、Adobe.comでは既に、セグメント化にAdobe Audience Managerを、A/BテストとパーソナライゼーションにはAdobe Targetを利用していたため、特に混乱もなく、Adobe Experience Platformを容易に導入することができました。アドビのマーケティングチームにとっては、使い慣れているAdobe Audience Managerのプロファイルが更新され、新しい統合顧客プロファイルの属性が取り込まれただけのように感じられたことでしょう。このとき起きた変化はごく小さなものに見えたかもしれません。しかし、これがAdobe Experience Platformが実際に活用される始まりとなりました

一貫性のあるリアルタイムの顧客データを利用することで、マーケティングチームは、優れた体験を生み出すツールの数をさらに増やすことができました。最初の実用最小限の製品(MVP)リリースでは、Adobe Audience Managerに約200の特性が追加されアドビの顧客をより深く詳細に理解できるようになりました。これらの特性には、使用資格や、ファネルにおけるステータス、ユーザーペルソナ、製品の使用状況などが含まれており、今後も新しい特性が定期的に追加される予定です。さらに、これらの特性を更新するのに、通常は24時間かかるところを、Adobe Experience Platformではわずか数秒で更新することができました

これはほんの始まりにすぎません。

次善の顧客体験を予測

数年にわたりリリースを重ね、多くのマイルストーンを達成してきたAdobe Experience Platformは、アドビが望む質の高い顧客体験の実現を支えてきてくれました。現在、Adobe.comを訪れる顧客の統合プロファイルの同期は、1日最大60万件に達しています。webサイトを訪れたアドビの顧客には、13以上のリアルタイムストリーミングイベントから収集された一意の統合プロファイルにもとづいて、シームレスでパーソナライズされた体験が提供されます。ログインしているかどうかに関わらず、新たな顧客には知識の向上を促して、専門知識を有する顧客には最も利用されている製品の詳細な情報を提供し、以前の顧客に対しては再獲得のキャンペーンを提供できます。アドビのその他の製品と組み合わせることで、構築した9億7,000万以上のプロファイルに対して、あらゆるチャネルをまたいで完全にパーソナライズされたリアルタイムの顧客体験を提供できるようになりました。

これらの情報の更新には、これまで24時間から72時間かかっていましたが、現在では10秒から14秒にまで短縮されています。

アドビでは、このような成果をふまえて、さらに先を目指しています。包括的な顧客プロファイルを構築する際の障壁となる、分散しているデータソースの課題を解消してきました。しかし、優れた体験を提供するための予測モデリングなど、改善すべき点はまだあります。現在は、プロファイルの更新にかかる時間をさらに短縮していくと同時に、顧客のニーズが発生するより前にそれに応える方法を模索しているところです。Singhは、「Adobe Experience Platformのデータサイエンス能力により、マシンラーニング(機械学習)やAI(人工知能)にもとづいたモデルを利用して、顧客が次に何をしようとしているのかを予測できるようになります」と述べています。デモグラフィックデータや、オンラインデータ、オフラインデータを適切に組み合わせて、Adobe Senseiの能力を活用すれば、顧客の意図するところをリアルタイムで把握できるようになります。そして、課題が事前に解決されれば、顧客は、何をするつもりであっても、苦労することなく目的を達成できるようになるのです。

 

AEPのユーザー事例

 

何百万人の顧客が、より迅速かつ詳細に、パーソナライズされた体験を得ることができるようになり、そうした経験が積み重なっていきます。その積み重ねが大きな効果を生むのです。そしてそれは、顧客体験によって世界を変革するという、アドビの目標の達成につながります。

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