
人間味のある金融サービスの提供
De Volksbankは、カスタマージャーニーのパーソナライゼーションに注力し、個人に寄り添う金融サービスを提供する

13点
NPS(ネットプロモータースコア)が向上
目標
デジタルツールを活用して優れた体験を創出し、顧客と長期的な関係を構築したい
カスタマージャーニーの各段階で顧客をセグメント化し、最適な方法でつながりたい
データインサイトをより詳細に把握し、活用したい
成果
顧客満足度が向上し、NPS(ネットプロモータスコア)も-7点から+6点に上昇
住宅ローン担当者との面談件数が14%増加
電子メールのコンバージョン率が7倍向上
取引から顧客関係に至るまでの包括的なデジタル変革
過去数年にわたり、金融業界はかつてないほどの大きな混乱と変化に直面しました。フィンテック(FinTech)とオンラインリテールバンキングの急成長により、金融サービスのコモディティ化がこれまで以上に加速しています。しっかりとした取引基盤を有していれば、市場への参入が容易になったことで、競争が激化し、商業的利益を追求するあまり、顧客との関係構築が後手に回りがちです。
こうした中、De Volksbankでは「個人に寄り添い、真に顧客中心のビジネスを実現する」という目標に向けて取り組んでいます。同社の顧客の約95%がオンラインバンキングを利用していますが、同社は取引データだけにとらわれず、顧客をひとりの人間として捉えることを重視しています。顧客が、信頼性と安定性をもたらしてくれる企業と関係を構築することを望んでいることを認識しているからです。
「Adobe Experience Cloudのおかげで、あらゆるチャネルと顧客接点をまたいでパーソナライズされた一貫性のあるカスタマージャーニーを実現できるようになりました」
Eric Derksen氏
De Volksbank、DMP責任者
デジタルの世界でも人間味のあるサービスを
同社では独自の調査をおこない、顧客接点のデジタル化が進む中でも、顧客は依然として人との関わりを感じることのできる取引を望んでいることを明らかにしました。
そこで同社は、あらゆるデジタルエクスペリエンスを真にパーソナルな体験へと転換させるための改革に乗り出しました。
Adobe Analytics、Adobe Target、Adobe Campaign、Adobe Audience Managerを導入した同社は、Adobe Customer Solutionsの協力を得て、データと作業を一元管理する基盤を構築しました。その結果、ブランドやチャネルごとに分断されていたサービスから脱却し、コンテクストに即した一貫性のある体験を提供できるようになりました。
「当社が目指しているのは、顧客とのあらゆるやり取りで人とのつながりが感じられる体験を提供し、シームレスでパーソナルなサービスを実現することです。しかし、顧客の多くが様々なチャネルをまたいでオンラインサービスを利用している状況において、それは決して容易ではありません。Adobe Experience Cloudのおかげで、あらゆるチャネルと顧客接点をまたいでパーソナライズされた一貫性のあるカスタマージャーニーを実現できるようになりました」と同社のDMP責任者を務めるEric Derksen⽒は述べています。
パーソナルな体験を実現する鍵は、顧客を理解すること
同社は、SNS、ASN Bank、BLG Wonen、RegioBankの4つの銀行から成り立っており、それぞれが独自のマーケティング部門を擁し、独自のサービスや商品を展開しています。そのため、顧客がどのサービスに関心を持っているのかを把握するのに苦慮していました。
その例として、同社の調査では、SNSの住宅ローンのランディングページにアクセスした顧客が、その莫大な情報量に圧倒されていることが明らかになりました。こうした事態を打開するために、同社は顧客とより一貫性のある、コンテクストに即したやり取りをおこないたいと考えました。そこでまず、SNSの住宅ローンサービスにおける顧客体験の改善に着手しました。
Deloitte DigitalとAdobe Customer Solutionsの協力のもと、データから得たインサイトを活用して、住宅ローンサービスにおいて顧客がどのようなカスタマージャーニーをたどるのかを検証しました。その結果をもとに、Adobe Audience Managerを利用して、カスタマージャーニーの各段階でターゲットとなり得る顧客セグメントを特定し、施策を調整しました。
次に、Adobe Analyticsを活用して、誰がどのwebページを閲覧したか、各ページにどれくらい滞在したか、同社の他のwebサイト(ASN Bank、BLG Wonen、RegioBank、SNS)にもアクセスし、各行の独自の商品やサービス内容を閲覧したか、といったことを確認しました。
「当社の顧客データから得たインサイトと、住宅ローンの検索に関する3rdパーティデータを組み合わせることで、住宅ローンの諸費用の見積もりや面談の予約など、顧客の状況に合わせてカスタマージャーニーを導き、重要なコンバージョンにつなげることが容易になりました。この取り組みをグループ企業全体で共有した結果、一部の住宅ローン向け電子メールキャンペーンの開封率が70%以上増加しました」と、同社のプロダクトオーナー兼住宅ローンリテンション担当者であるBjörn Kummeling⽒は述べています。
同社では、テストと学習を継続的におこない、バウンス率が高いwebページを特定するとともに、顧客からのフィードバックとAdobe Targetを使用したA/Bテストの結果にもとづいて、ユーザーエクスペリエンスを改善しています。顧客と会話し、その声に耳を傾け、意見を真摯かつ的確にとらえた結果、同社の住宅ローン利用者のNPS(ネットプロモータースコア)は、-7点から+6点に上昇しました。
知識やインサイトを共有
Adobe Customer Solutionsは、同社が場当たり的な電子メール配信から脱却し、カスタマージャーニーの特定の段階をターゲットとしたコミュニケーションをおこなえるように支援しています。例えば、Adobe Campaignを使用してワークフローのテンプレートを作成し、一つひとつの電子メールが、カスタマージャーニーの各段階における顧客の行動に合わせて最適化されるようにしています。
「住宅保険や自動車保険に関連するページの閲覧状況を追跡し、申し込みフォームをダウンロードしたかどうかを確認します。それが既存顧客である場合、申し込みフォームを添付したメールを配信します。この手法により、メールのコンバージョン率が7倍向上しました」と、Derksen⽒は述べています。
同社はあらゆるデジタルツールを一元管理することで、グループ企業間でインサイトやベストプラクティスをスムーズに共有できるようになり、ある銀行が習得したマーケティングのベストプラクティスを、他の銀行にも容易に適用することが可能になりました。
ソリューションの連携によって顧客とのつながりを強化
「アドビのカスタマーサクセスチームとコンサルティングチームは、当社がデジタルマーケティングへの投資から最大限の価値を引き出すのを支援してくれました。継続的なトレーニングとサポートのおかげで、アドビの各製品を最大限に活用し、顧客一人ひとりに寄り添ったカスタマージャーニーを実現できるようになりました」とKummeling⽒は述べています。
同社が多様なデジタルツールを統合し、連携を強化するうえで、Adobe Customer Solutionsは中心的な役割を果たしています。専任担当者が同社のオフィスを毎週訪問し、必要な知識やスキルを共有するほか、IBM Unicaから既存の顧客マーケティングデータをアドビ製品に移行する支援もおこなっています。
同社にとって重要なことは、アドビ製品のスムーズな導入だけではありません。導入後も、顧客に優れた価値を提供し続ける必要があります。そこで、Adobe Customer Solutionsのカスタマーサクセスチームとコンサルティングチームから支援を得ながら、Adobe Experience Leagueの成功事例やベストプラクティス、学習コンテンツを活用して、アドビ製品の導入プロセスを最適化しています。
同社では将来を見据えて、AI(人工知能)とマシンラーニング(機械学習)を利用して、より正確にオーディエンスセグメントを構築し、自動化されたインテリジェントなレコメンデーションを提供してカスタマージャーニーをパーソナライズする方法を模索しています。
「継続的なトレーニングとサポートのおかげで、アドビの各製品を最大限に活用し、顧客一人ひとりに寄り添ったカスタマージャーニーを実現できるようになりました」
Björn Kummeling氏
De Volksbank、プロダクトオーナー兼住宅ローンリテンション担当者
同社は、日常的な取引からライフイベントの意思決定に至るまで、顧客のライフサイクル全体をサポートするパートナーでありたいと考えています。その一方で、パーソナライゼーションと顧客のプライバシー保護のバランスを取る必要があることも認識しています。同社では、顧客データを倫理的に活用するという確固たる信念のもと、顧客データの売却や外部への共有を禁じています。この方針は顧客体験のパーソナライゼーションの妨げとなる可能性がありますが、同社は、顧客の信頼を得ることのほうが、データプライバシーを犠牲にするよりもはるかに重要であると考えています。
デジタルテクノロジーの発展により、金融取引はかつてないほど容易になりました。しかしその利便性と引き換えに、財務上の意思決定において特に求められている個人の安心は、失われつつあります。De Volksbankは、顧客とのあらゆるやり取りを真にパーソナライズされた体験へと進化させることで、200年以上にわたって積み上げてきた顧客との信頼関係の永続を目指しています。
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