Helly Hansen、コマースとコンテンツを融合

+40%
eコマース全体の売上増加
+20%
トラフィック全体の増加
+37%
モバイルトラフィックの増加
Helly Hansenが使用するソリューション:
厳しい自然に立ち向かう顧客のために
嵐を乗り切るウエアと言えば、Helly Hansenが有名です。同社の歴史は、1877年に、ノルウェーで船長を務めていたHelly Juell Hansenが、スカンジナビアの凍てつくような風や波から身を守るための方法を模索したことから始まりました。Hansenと妻のMargretheは、キャンバス地に亜麻仁油を染み込ませ、特殊加工した防水のジャケット、ズボン、帽子を製造する事業を立ち上げ、翌年の1878年に開催されたパリ万国博覧会において、最優秀賞を受賞しました。それから140年もの間、同社は、五大洋の船乗りや最高峰の山々に挑む冒険家、世界中の過酷な現場で働く人々などから大きな信頼を得ています。ブランドは時とともにファッションアイコンへと成長を遂げましたが、Helly Hansenの名はアウトドア用品のパイオニアとしてよく知られています。
チーフデジタルオフィサーのChris Hammond氏は、「当社は市場で最初の製品を送り出してきた長い歴史があります」と述べています。Hammond氏は、大自然の中で生きていることを実感し、生き残れるウェアを求める顧客を中心に据えた、データドリブン型のビジネスを根付かせるための変革を率いています。同氏によれば、「当社には、革新的なベースレイヤーや優れたフリース生地のPropile™ジャケットなど、数々の市場初の製品を生み出してきた長い歴史があります」。イギリス生まれでノルウェーの山々やフィヨルドに足繁く通っていた同氏は、新たなeコマースプラットフォームの開発という、同社における革新的なプロジェクトが始まった2016年に入社しました。「デジタル戦略を始動したのは、Adobe Commerceをリプラットフォームした2016年のことです。同製品を使用した時代の先駆けとも言える取り組みで、稼働開始の週に入社して、チームで⼀室に閉じこもり、朝3時に寝て6時には仕事に戻るという暮らしを3ヶ⽉続けました」と、同氏は当時のことを振り返ります。
パイオニアにふさわしいプラットフォーム
Hammond氏よりわずかに早く入社した、コンシューマービジネス担当ディレクターを務めるTheodor Tollefsen氏は、「新規市場に容易に参入するための仕組みを構築しました。今では、7ヶ国語に対応し、様々な支払い方法や発送方法に対応する55のサイトを展開するまでになりました」と述べています。その結果、同社のトラフィックは24%、モバイルトラフィックは48%と、急速に増加し、全体の売上も45%以上増加しています。市場に先駆けて革新的な取り組みを続けてきた同社にとって、この仕組みは、たとえ未来に何が起きようとも、新たな世界の海原で成功を収めるための礎になります。

「今では、7ヶ国語に対応し、様々な支払い方法や発送方法に対応する55のサイトを展開するまでになりました」
Theodor Tollefsen氏
Helly Hansenコンシューマービジネス担当ディレクター
「最初の年は若干苦労しましたが、今ではとても使いやすいプラットフォームができあがりました」と、Tollefsen氏は続けます。穏やかな海では強靭な船乗りは育ちません。このように紆余曲折あって手に入れた成功から、チームは新たな自信を獲得しました。また、Hammond氏は「素晴らしいことに、クラウドに移行したことで、トラフィックの急増時にも安定した稼働時間を確保できるようになりました。クラウドを活用して、7言語で50以上のオンラインストアを展開し、各ストアには35,000点の商品を揃えています。それぞれのストアは、支払い方法、発送方法、ローカライズコンテンツ、商品在庫、取引方法など、様々なオプションを備えています。これにより、当社は信じられないほどの成長を遂げました」と現在の状況を語っています。
Helly Hansenが、業界の他のスポーツやアウトドア関連のファッションブランドを追い越すまでにそう時間はかかりませんでした。同社はそれまでに築き上げてきた革新的な取り組みにより、55,000名を超えるプロフェッショナルに愛される最上級のアパレルブランドとなりました。同社の製品は、オリンピックのメダリストや、Ski Team Sweden Alpine、Alpine Ski Team Finland、Alpine Canadaを始めとするナショナルチームにも採用されています。しかし、同社の変革が終わったわけではありません。
「当社は信じられないほどの成長を遂げました」
Chris Hammond氏
Helly Hansen、チーフデジタルオフィサー
Helly Hansenは以下のアドビ製品を使用しています。
モバイルファーストの世界
さらにHammond氏によれば、「2017年、当社はモバイルファーストビジネスへの変革を遂げました。つまり、メディアキャンペーンやクリエイティブからコマースやデータに至るまでのあらゆる行動、あらゆる判断の中心をモバイルに移行したのです。現在では、当社サイトの訪問者のおよそ60%がモバイル経由となっています。モバイルデバイスの性能や通信速度の向上に伴い、その数はますます増加しています。今やモバイルが出発点となる段階に達したのです。社内でも、デザインやUXを始めとするあらゆるものがモバイルから始まっています」。
こうした変革への取り組みにおいて、同社のコンテンツ管理システムの課題が浮き彫りになりました。「WordPressを使用していたのですが、グローバルブランドであるため、様々な言語に対応するのが困難でした。迅速さと美しさを兼ね備えたスケーラブルなソリューションではなかったのです」とHammond氏は述べています。
エクスペリエンスメーカーへの道
2019年、Helly Hansenはより強力なコンテンツ管理システムへの移行を決断します。それが、Adobe Experience Managerでした。Hammond氏は「これで、当社のあらゆるマーケティングキャンペーンやロイヤルティプログラムを統合できるようになりました。特に重要なのは、個々のページや言語の処理について気にする必要がなくなったことです。Adobe Experience Managerならボタンをクリックするだけで、タイミングよく適切な場所にコンテンツを自動的に配置してくれます」と、その利点について語っています。
デザイン面でも同様の検討が行われました。「デザインシステムは、WordPressからAdobe XDに切り替えました。当社のニーズに合っており、Adobe Experience Managerとの連携に最適だからです。従来は、認知度を高めるために、それぞれの体験に必要なコンテンツを作成し、大きな負担になっていました。WordPressを利用した制作手法は、決して効率的なものではありませんでした。Adobe Experience Managerへの移行により、売上だけでなく、ブランドの認知や検討段階における訴求力も高まっています」と同氏は続けています。

「Adobe Experience Managerのおかげで、売上高だけでなく、ブランドの認知や検討段階における訴求力も高まっています」
Chris Hammond氏
Helly Hansen、チーフデジタルオフィサー
「アドビがMagentoを買収したと聞いて本当に喜びました。おかげで、これまで分離していたアプリケーションシステムやサービスが統合され、選択の幅が広がりました。Adobe Experience Managerへの移行は体験の構築を目的にしていましたが、時間や労力を大幅に削減し、顧客を中心に考え、重要なことに集中しながらページやコンテンツを制作できるようになりました」とHammond氏は話しています。
コンテンツとコマースの融合
こうしてHelly Hansenでは、季節の変わり目や新製品の発表の際に、より大規模な体験を構築して、最新のテクノロジーをアピールできるようになりました。その一例が、世界の最も過酷な環境向けに開発された、丈夫で防水性に優れたアウタージャケットHELLY TECH®のサイトです。Hammond氏によれば、「コンテンツとコマースの真の融合を実現し、このような素晴らしい体験を提供できるようになりました。購入できる商品とともに、読んでいるコンテンツや閲覧記録に合わせてカスタマイズした商品を提示しています。当社のロードマップとしては、コンテンツの移行から始め、体験の強化を実現し、コマース部分を統合しています」。
さらに同氏は、「当社では、顧客体験を最優先に考えています。例えば、実店舗では雪崩救助システムの説明を受けた上で、RECCO対応のLife Pocket™を備えた製品を購入することが可能です。Life Pocket™は、NASAのテクノロジーとPrimaLoft®を組み合わせて開発され、-30℃の環境でも携帯電話の凍結やシャットダウンを防ぐテクノロジーです。当社の取り組みで最も重視していることは、あらゆる人の安全を守り、快適に過ごせるようにすることです。それは1877年から変わりません」と続けました。
同社は、環境保護にも取り組んでいます。サプライチェーン全体で環境に対する責任感を高めることを目標に、Sustainable Apparel Coalition(SAC)への参加を発表しています。また、環境に与えるダメージを軽減する取り組みとして、PFCの使用量の削減にも挑んでいます。Hammond氏によれば、「当社の次の課題はサステナビリティの実現です」。
「今では、顧客は当社にとって心臓のようなものになりました」
Chris Hammond氏
Helly Hansen、チーフデジタルオフィサー
次の領域はデータ
Hammond氏とTollefsen氏は大きな成果を成し遂げました。「2016年はマイナス成長からのスタートでしたが、2020年にはビジネスを3倍以上に成長させることができました。当初は4人体制のeコマースチームでしたが、今や大きく成長し、46人体制のデジタル担当グループになりました。当社のデジタル変革の初期段階では、コマースをグローバルな消費者向けメディア用チャネルに変えることに専念していました。今では、顧客は当社にとって心臓のようなものになりました」と、Hammond氏はその成果を語っています。さらに、同社の変革の第2段は、チャネルから顧客を重視したデータドリブン型ビジネスへの移行であり、「2022年ごろまでには、プラットフォームに依存しないコンシューマーブランドへの変革を実現します。当社は過去143年間にわたって大きく進歩してきましたが、やるべきことはまだまだあります」と今後の取り組みについて語っています。