創立
1972年
所在地:神奈川
サービス・ソリューションプロバイダーを目指すマクニカは、先端的技術の目利き力を強みとし、半導体事業、ネットワーク・セキュリティ事業をコアビジネスに世界24か国/地域80拠点へ展開。近年ではスマートファクトリー、自動運転、サービスロボット、AI/Brain AIなど事業領域を広げ、事業ポートフォリオの変革に挑むと共に、テクノロジーを通じて社会課題を解決するサスティナブルな企業としてさらなる成長を目指す。
40回
月平均ウェビナー実施数
課題
社内事業部門ごとの運用により、リード情報がバラバラでセグメンテーション、ターゲティングが困難だった
プログラムの検討や効果測定において、あいまいな感覚値で語られることが多かった
ウェビナーやセミナーなどの集客が、社内web担当者の作業負荷も含め負担になっていた
成果
Adobe Marketo Engageの運用フォームに入力する職種などの規定名称を決定。ターゲティングの利便性向上とアップセルなどが実現する基盤を確立
各種属性によるリードのフィルタリングも実践することで、より精密なターゲティングが可能となった
Adobe Marketo Engageのフォームやテンプレートが、コロナ禍において、月平均40回のウェビナーを支える重要なインフラとなった
「社内事業部門ごとの運用で、バラバラだったリードの属性情報を整備。各種データフィルタリングの実践により、さらに効果的な施策の実現や、成功事例の共有が可能となりました」
コーポレートマーケティング統括部 主席 松尾 伸介氏
世界中の最先端技術に精通する目利き力を強みに、コアビジネスの半導体事業やネットワーク・セキュリティ事業で成長を遂げ、サービス・ソリューションプロバイダーを目指す株式会社マクニカ。
近年ではその経験と知見を生かし、スマートファクトリー、自動運転、サービスロボット、AI/Brain AIといった新たな事業領域に進出。また、デジタルトランスフォーメーション(DX)の社会実装を支援するなど付加価値型事業の創出、確立に取り組んでいる。
事業モデルのトランスフォームの一環として、2018年にはAdobe Marketo Engageを導入。複数の社内事業部門ごとに、切磋琢磨しながら運用を推進してきたが、これまでの成長を支えてきた事業部門制ゆえの課題としてデータマネジメントのあり方が問われることとなる。
同社らしさを失うことなく、グループ全体のデータの標準化を進め、いかに効果的な施策につなげていくか。マーケティング体制全体の統括を担うコーポレートマーケティング統括部長の堀野 史郎氏、データマネジメントを手掛けるコーポレートマーケティング統括部 主席の松尾 伸介氏、事業部門の一員としてマーケティング施策分析などを手掛けるクラビス カンパニーのストラテジックマーケティング室 第1課の遠藤 雅奈氏に聞いた。
社内事業部門ごとの運用によるデータの不統一が課題に
「当社は、半導体を手掛けるエレクトロニクス専門商社から事業拡大し、現在複数の社内事業部門で事業活動を行っています。現場力が競争優位性を生み、社内で競い合いながら成長を遂げてきました」と堀野氏は語る。だが、多様化する顧客のニーズに効率的に対応し、新事業確立による事業ポートフォリオの転換も見据え、「全体最適の観点から培ってきた技術や知見を派生させ、新事業育成を進めていくために、マーケティング運用体制の見直しを図ることとなりました」と明かした。
そこで課題として浮上したのが事業部門ごとの運用によって、リードの属性データがバラバラだったことだ。課題解決を担うべく入社した松尾氏は、当時の問題として「リードデータの職種、職位、業種などが事業部門や対象製品ごとに独自の選択肢、フリーテキストで入力されており、職種だけでも21年5月時点で826種類も存在していました」と話す。
また、同一のリードに対し別の事業部門が独自の職種で登録するケースや、社外セミナーからのリードインポートなどにより、後から入力された独自職種でデータが上書きされるという事態も引き起こされていたという。
社内でユーザー会を発足し、フォームの運用/入力のルールを徹底
このままでは基本的な施策のベースとなる、リードのセグメンテーションやターゲティングもおぼつかない。そこでAdobe Marketo Engage上に登録されている各種情報のうち、各部門で共有利用されている情報の整理や統一に向けて取り組みを開始。そのための各種運用やルールの上申、意思決定機関として発足したのが、各事業部門のAdobe Marketo Engage運用担当で構成するバーチャル組織「マクニカ社内 Adobe Marketo Engageユーザー会」だ。
社内各事業部門のAdobe Marketo Engage運用担当者が集まり、月1回のペースで職種のクレンジングに向けた話し合い等を実施。Adobe Marketo Engageフォームの利用、外部メディア獲得リードの運用などに際し、一般的な総務、人事、知財といった規定名称での利用をルール化。当初、826種類あった職種情報を17統一職種に規定し、それ以外での利用は不可とした。
上からルールを押し付けるのではなく、担当者同士がとことん話し合うことで、「全員で決めたことだから守ろう」という意思疎通も徹底できたという。
データフィルタリングの仕組み化で精密なターゲティングが実現
データを整理しただけでは、現場レベルでは利用法がわからず、せっかく決めたルールが形骸化しかねない。そこで松尾氏が取り組んだのが、データの有効活用に向けた視覚化だ。
具体的にはBIツール(Power BI)を活用し、産業、職種、役職、売上高、従業員数など各種属性でフィルタリングができる仕組みを整備。
実際に施策の分析や実践にあたる遠藤氏は、「別の属性、角度から切ったデータや分析レポートについても、リクエストをすることによって短期スパンで入手できるようになったのは、現場にとって大きなメリットでした」と言う。
具体的な施策、掲げるKPIについては、製品や事業によってもベストなプログラムが異なるため、各事業部門に一任。「メール施策のメール配信停止率や増加率、クリック率といった共通指標で語れる施策については、各事業部門の結果を一覧できるようにし、うまくいった施策については積極的に横連携を進めています」(松尾氏)。
後工程のセールスも含めたプロセスの標準化も推進
Adobe Marketo Engageを起点とするデータ整備および、その利活用促進を中心とする取り組みの成果としては大きく3つ。
最大のポイントとして1つ目は、感覚値ではなく具体的な数値によるベストな施策の検討や、実際の施策の有効性、改善ポイントについて語れるようになったことだという。
2つ目が、経営システム基盤となる統合プラットフォームの構築により、省力化と共に人的ミスを減らす仕組みができたことだ。
現在、テクノロジー連携としては、下図のようにリードデータ管理としてAdobe Marketo Engageを置き、 CRMとしてはMicrosoft Dynamics 365や、データの視覚化を実践するためのBIツール(Microsoft Power BI)、その他データ統合のための企業情報サービスなどを連携。テクノロジー連携については、ほぼ完成形に近づいているという。
データ整備以前から取り組みを進めていたウェビナー開催についても、「Adobe Marketo Engageのフォーム活用によって、大幅に省力化が実現したのはありがたいですね」と遠藤氏は語る。
3つ目としては、目指すデータドリブンなマーケティング環境の実現に向けて、その素地と企業文化の醸成が進んだことも大きいと3人は指摘する。
今後の展望として、リードのスコアリングや後工程のセールスも含めたプロセスの標準化を推進、継続的なエンゲージメント創出も含めた効果的かつ効率的な施策の追求、時代の変化に合わせた基盤となるデータの整備/最適化などを挙げ、現在進行形でマーケティング体制の最適化およびデータドリブンな経営環境整備にまい進している。
さらに同社ではAdobe Marketo Engageだけでなく、Adobe Experience Managerを活用したグローバル規模でのwebサイト再構築も今後のロードマップに見据えているという。
アドビのソリューションをフックに、企業価値向上と新事業拡大を目指して、さらなる成長につなげる構えだ。
コーポレートマーケティング統括部長
堀野 史郎氏
コーポレートマーケティング統括部 主席
松尾 伸介氏
クラビス カンパニー
ストラテジックマーケティング室 第1課
遠藤 雅奈氏