パートナービジネスの管理を共通プラットフォームに乗せ効率化と拡張性を両立

株式会社マネーフォワード

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設立

2012年

**業種:**サービス業

**業務内容:**インターネットサービス開発(SaaS×Fintech領域の個人向け、企業向けアプリケーション)、Fintech推進、DX支援サービス

biz.moneyforward.com

導入製品:

Adobe Experience Cloud

Adobe Marketo Engage

活用用途:

パートナー業務管理、パートナー案件管理

コロナ禍でパートナービジネスを強化

2012年創業のマネーフォワード株式会社は、主に個人向けのお金の見える化サービス「マネーフォワード ME」と、企業向けのバックオフィスSaaS「マネーフォワード クラウド」を提供。特に企業向け事業では、売上全体の約4分の3を占める主力事業となっている。

「マネーフォワード クラウド」の中でも経費や債務支払、請求書、会計、給与などサービスごとにターゲットが異なるため、マーケティング部門はそれぞれサービスラインで分かれている。同社 クラウド経費本部 コミュニケーションデザイン部 部長の成末庸平氏は、「クラウド経費」「クラウド債務支払」のマーケティングを担当しており、マーケティング、インサイドセールス、オンラインセールスの組織をまとめている。

また、直販だけでなく、同社と販売代理店契約を結んだ外部企業によるパートナー事業も急拡大している。特に20年からのコロナ禍で、リアルの展示会やセミナーが中止になる中、パートナービジネスの強化に乗り出した。パートナービジネス部 部長の青山徹氏は、成末氏が担当するサービスを含めた企業向けサービス全体のパートナービジネスを統括する。

同社のサービス数は年々増えており、「数年前と比べて3倍ぐらいのラインアップになっていると思います」(成末氏)というほどである。同じ顧客に対して複数のサービスを提供しているケースも多い。「実際、パートナー企業からは当社サービスの引き合いがあったときに、複数のニーズをいただく場合があります。私の部署では、対応するサービスが何かを確認し、それに応じて担当部署のインサイドセールスに案件を振り分けています」(青山氏)

同社が直接行うマーケティングと、パートナー企業経由のリード獲得は共に重要だ。そのための体制整備を進める中で、パートナー企業経由の案件管理をさらに効率化しなければいけないと思うようになったという。

紹介案件を人の手でアサインすることが限界に

パートナービジネスには2つの商流がある。1つは、パートナー企業から見込み客の紹介があり、実際の営業は同社が行うケース。もう1つが、パートナー企業自身が商談化し、契約に持っていくケースだ。

「特に紹介の場合、パートナー企業からの通知を受けてから、できるだけ早くアプローチしないと、お客様の導入に対する温度感が下がってしまいます。多いときは、1日ごとに100件を超える紹介が入ってきていました。それをすべて手作業でさばくことは大変な手間でしたね」(青山氏)

この課題に対応するため、同社では、従来からマーケティング部門で活用していたMA(マーケティングオートメーション)ツールである「Adobe Marketo Engage」を、パートナー企業管理の共通化にも使えないかと考えた。

同社は業務効率化に向け、もともとMAの運用支援に携わっていたパーソルプロセス&テクノロジー株式会社と連携し、プログラム変更へ向けて具体的な検討に入った。担当者である須藤有紀氏は、「これまでも、パートナー企業の管理にはAdobe Marketo Engageを利用していましたが、個別に登録フォームを設定しており、部門の要求ごとに個別最適化で運用していました。このフォームを共通化することで、部門へのアサインを効率化できるのではと考えました」と話す。

パートナーからの紹介件数は1年前の10倍に

パートナー企業管理の共通化計画は、すぐに実行に移された。成末氏、青山氏を中心にグランドデザインを描き、それを須藤氏の運用チームがAdobe Marketo Engageに落とし込んでいく。プロジェクト開始から1カ月後の20年8月には基本的な仕様が確定、本稼働を開始した。

パートナー企業がアプローチした顧客に対して、同社としてヒアリングしてほしい内容をあらかじめ設定。またパートナー企業が営業した結果の情報、要望などを、すべて1つのフォームに書き込めるようにした。パートナー企業がそのフォームに書き込むと、内容を判別して、最適な部門にアサインするところまで自動化するシステムができたという。

Adobe Marketo Engageをパートナー企業管理に使用して約1年が経った現在、成果は予想をはるかに上回るものとなった。「パートナー企業経由の紹介数は10倍以上に増加しました。しかも、従来当社がアプローチできなかった顧客層のリストも得られており、新規顧客の商談数が大幅に増加しています」(青山氏)

共通フォームに情報が蓄積され、データの母数が多くなることで、同社のインサイドセールスのKPIも改善している。「インサイドセールス時にこの質問は良い、悪いという反応があれば、それを集約してパートナー管理のフォームにフィードバックできます。情報が組織を横断し、つながることによって、仕事のスタイルが日々実践的に強化されているという実感がありますね」(成末氏)

だが、一口にフォームを共通化するといっても、その内容は非常に複雑で、簡単ではないはずだ。同社はなぜ、今回の共通化プロジェクトを成功できたのだろうか。成末氏は、Adobe Marketo Engageのツールとしての能力があったからこそ可能だったと話す。

「各社のMAツールの基本的な操作は、大きな差はないと思います。しかし、使っている立場から言えるのは、本当にしっかりマーケティングをしようと考えたときには差が出るということ。『できる』と言われた設定も、実際にやってみると仕様に制限があったり、運用工数が跳ね上がったりすることが少なくありません。それに対してAdobe Marketo Engageは、現場の運用の範囲内で相当複雑な設定も思い通りにできます。この柔軟性が他との大きな違いで、私たちがAdobe Marketo Engageを選んでいる最大の理由でもあります」

運用を行う須藤氏も、「例えばコロナ禍で、オンラインセミナーの回数が増えましたが、Adobe Marketo Engageは、1つのキャンペーンを作れば、その施策全体をパッケージにしてコピーし、小さな修正を加えるだけで、同種の施策をすぐに作ることができます。このスケーラビリティは、運用の立場からすれば非常にありがたく思っています」と語る。

テクノロジーを社内の「共通言語」にする

同社ではAdobe Marketo Engageの機能面の優位性を生かし切るため、社内のメンバーに対してAdobe Marketo Engageの機能を徹底的に理解させた。技術の内容が分かった上で、運用チームと会話するようにしたのである。

「Adobe Marketo Engageという共通言語ができたことで、コミュニケーションの質が上がり、数値以上の効果が出ていると感じています」(成末氏)

今後の展開について、成末氏は「マーケティングチャネルとパートナーチャネルをさらに融合させることを考えています。例えばマーケティング施策で実施するセミナーに、パートナーチャネルからの参加者を合流させるといった取り組みをしてきたいですね」と話す。

青山氏も「パートナービジネスは、社内でも専門性が高い業務というイメージがありました。しかしAdobe Marketo Engageがその分断を埋める媒介となり、今後は相互の理解がより進むと考えています」と語った。

今回ご協力いただいた企業のサービスはこちらからご覧いただけます。

株式会社マネーフォワード
マネーフォワード クラウド
https://biz.moneyforward.com/
経費精算システム「マネーフォワード クラウド経費」
https://biz.moneyforward.com/expense/
請求書受領システム「マネーフォワード クラウド債務支払」
https://biz.moneyforward.com/payable/
マネーフォワード クラウド会計
https://biz.moneyforward.com/accounting/

パーソルプロセス&テクノロジー株式会社
マーケティングオートメーション導入・活用 支援サービス
https://www.persol-pt.co.jp/salesmarketingservice/service/marketing-automation/

※掲載された情報は、2021年6月15日現在のものです。

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