10~20%
問い合わせ件数増加
課題
営業リソースが限られる中、大量の営業非注力顧客の再活性化の必要性が高まった
既存ツールはメールの一斉送信しかできず、パーソナライズに非対応だった
メール配信にソースコードの知識が必要で、専門の担当者に作業依頼が集中し、高回転で施策が回せなかった
成果
マーケティング部で営業部門が注力しきれない顧客をAdobe Marketo Engageで再活性化
Adobe Marketo Engageのカスタムオブジェクトで不動産情報の自動パーソナライズを実現
Adobe Marketo Engageによって専門知識不要で設定が可能に。コードを破損する心配もない上に、施策実施スピードも改善
家という生活の一部でなおかつ高額な商品を扱う企業として、お客様の信頼を得ることは何よりも重要です。そのためには、お客様に合わせた情報を適切なタイミングで提供し、コミュニケーションを深めることが不可欠と考えました」
川島 佑太氏
マーケティング・システム本部 マーケティング部 顧客戦略グループ 課長
営業の都合は関係ない。お客様は住まいを探し続けている。
株式会社オープンハウスグループは、個人、法人向けに不動産の売買や不動産開発を行う総合不動産企業だ。事業の中心は、個人向けの戸建販売である。自社で物件の仕入れから、商品化し、販売するところまでを手がける点が特徴だ。
同社のマーケティング部 顧客戦略グループは、web広告を使って集客したユーザーに会員登録を促し、登録ユーザーに対してメール配信などのマーケティング施策を実施している。
マーケティング部から日々見込み顧客を営業部門に送客し、その情報を顧客管理システムに登録して営業部門は追客をする。だが過去に送客された顧客も含めた全顧客に営業することは難しく、見込みの高い顧客を中心に対応せざるを得なかったという。そのため、十分に注力されずに埋没する顧客データが増えていってしまっていた。
マーケティング・システム本部
マーケティング部 顧客戦略グループ 課長
川島 佑太氏
マーケティング・システム本部
マーケティング部 顧客戦略グループ 主任
渡辺 智成氏
「活用されない数万人分の顧客データが存在していましたが、その中にはお住まいを探し続けているお客様が多くいらっしゃいます。そこから再び営業が注力すべき、熱量が高いお客様を発見できる、または機会損失があると確信していました」(同社 マーケティング・システム本部 マーケティング部 顧客戦略グループ 課長の川島 佑太氏)
そういった背景から、営業部門が注力しなくなった顧客をMA(マーケティングオートメーション)を使い細やかに再注力してホット化することが、広告費をかけて集客をしているマーケティング部の課題と認識するようになったという。
顧客の関心を高めるためにも、以前から川島氏のチームが考えていたのは、顧客の属性や関心事に合わせた物件(戸建住宅)情報の配信だ。そのためには、パーソナライズしたメール配信の仕組みが必要だった。
だが、既存のメール配信システムは、一斉送信しかできず、凝った新規メールの作成にも専門知識が必要だった。同グループ 主任の渡辺 智成氏は、「メールのソースコードに物件情報を取り込むタグを書き込んでいかなければいけませんでした。実際のところプログラムの知識がある人しか操作することができず、その人に作業が集中し、施策実施のスピードにも問題がありました」と話す。
この状況を変え、リスト内の顧客に対してきめ細かくパーソナライズしたマーケティング施策を打つためにも、同社は新たなMAの導入検討を開始。
決め手は強力なパーソナライズ機能
MAの検討は2021年の夏からスタート。同社が選定にあたり重視したのは、パーソナライズした施策の実行能力だった。「MAの中には、簡単な操作性を売りにしているものもありますが、当社にとって必要な細かい設定ができないため対象とはなりませんでした」(川島氏)。
またシステム面では、同社のSFAとの連携も必要だった。既製のSaaS製品との連携が可能なMAは多いが、カスタマイズしたAPIを開発できる製品ということでも選択肢は絞られていった。最終的に、Adobe Marketo Engageと他の大手ベンダーのツールが候補となり、選考の結果、Adobe Marketo Engageに決定したという。
Adobe Marketo Engageを選んだ理由について、川島氏は次のように語る。「私たちの望みは、お客様にパーソナライズしたマーケティングコンテンツを届けることでした。その点から各社の機能を評価していくと、Adobe Marketo Engageの『カスタムオブジェクト』が、ほぼ唯一、要求を満たしていたと考えています」。
カスタムオブジェクトは、Adobe Marketo Engage内に顧客情報の細目を追加できる機能で、顧客の細分化に活用できる。同社ではこの機能によってパーソナライズが実現できると考えたのだ。
開発は、2021年10月から本格化。「導入決定前の機能的な検討段階から、当社の技術者とアドビは直接議論を重ねており、それぞれがすべきことをイメージできていました。そのため、実際の開発に入ってからも、スムーズに進んだと思っています」(川島氏)。
「カスタムオブジェクトを使ったメール配信の設定は、複雑な部分が多かったのですが、Adobe Marketo Engageのユーザーコミュニティのブログから解決策を得ることもできました」(渡辺氏)
そして2022年3月に、Adobe Marketo Engageは無事に本番稼働。
現在、会員に送るメールの文言は10種類ほどが登録されており、内容はお客様に合わせてパーソナライズして配信している。
パーソナライズしたメールを送ることで、お客様に反応してもらう可能性が高まり、さらにその行動をきっかけとしてより深いコミュニケーションを実現していくという。すでに、Adobe Marketo Engage稼働後は顧客からの問い合わせ件数が10~20%も増加。
また、メール配信の運用負担も大幅に軽減。「メールの登録時にソースコードを直接編集する必要がなくなったため、単純ミスによってメールのデザインが崩れることもなくなりました」(渡辺氏)。
顧客の小さな感情変化から始めるマーケティング
「不動産は大きな買い物で、お客様にとって人生でも何度とない大きな決断です。私たちが大事にしているのは、その大きな決断につながる小さな感情の変化です。そして、この感情変化を起こすには、まずはお客様に信頼されることが必要です。パーソナライズされたメールを送ることで、この会社は自分のことをよく知っていると思ってもらうことが、信頼を得る第一歩だと思います」と川島氏は語る。
また渡辺氏も「施策を繰り返すことで、お客様の反応がどう変化するかが分かってくると思います。そのフィードバックを確認しながら、コミュニケーションを深めていきたいと考えています」と意欲を示す。
Adobe Marketo Engageの導入が、生かしきれていなかった機会を再発掘し、1人でも多くのお客様の住宅購入という幸せに貢献し始めたようだ。
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