膨⼤な数の“個客”ニーズに応える 1to1マーケティングを推進、会員サイトの⽉間アクティブ ユーザーが10万⼈増加
東京電力エナジーパートナー株式会社
約10万⼈
増加した会員サイトの
⽉間ログインユーザー数
課題
- ⾃社会員サイト「くらしTEPCOweb」のログインユーザーが頭打ちの状況に
- 毎⽉の未ログインユーザーへのプッシュメールが⼀律送信のため、効果が限定的だった
- 省エネキャンペーンのエントリー直前で離脱してしまうユーザーが⼀定数存在した
成果
- 顧客が最もサイトにアクセスしたくなる、料⾦確定のタイミングでメールを配信。ログインユーザー数が約10万⼈増加
- Adobe Audience Managerで未ログインユーザー情報を抽出してAdobe Campaignと連携。効果的なコンテンツのメールを送信し、プラス2%のログイン増加を確認
- Adobe Audience Managerで離脱ユーザーを追跡して勧誘メールを送信。Webサイトのコンテンツも改善して、1%エントリー回復
「製品の有用性に加え、伴走型の支援と、グローバルな知見を授けてくれる存在として、アドビは重要なパートナーです」
平松 翔氏
お客さま営業部 販売促進グループ 課長代理
膨大な数の顧客に対して「1to1マーケティング」を行いたい
同社がデジタル領域の1to1マーケティング、いわゆるCRMマーケティングに着目を開始したのは2017年に遡る。当時は、膨大な顧客データベースの量に対して、マーケティング施策を実施できるメールアドレスの確認が取れている顧客の数がまだ少なく、まずはメールアドレスを確認し、承認を得るところからスタートした。そこから着実に進化を遂げ、現在は多くのCRM関連ソリューションを導入し、その中でアドビ製品も活用している。
現在のマーケティング活動は、会員向けWebサイトである「くらしTEPCO web」を中心に実施されている。同サイトは、東京電力エナジーパートナーの電気やガスを利用する顧客が月ごとの電気・ガス料金や使用料のほか、前年や同等の家族構成の平均値との比較や、時間帯ごとの電気の使用量がグラフで表示される機能を提供している。加えて、省エネや電気の効率的な使い方をゲーム形式で学ぶことができるコンテンツなども備わっている。
同社のお客さま営業部 販売促進グループでCRMマーケティングチームに所属している平松 翔氏は、「全てのお客さまに共通した顧客体験は、基本的に存在しません」と話す。
「当社のお客さまには、電気やガスといった通常のサービス提供だけを求める方もいれば、当社が提供するくらしのサポートサービスや、太陽光発電、蓄電池などの電化サービスについて関心を示される方もいらっしゃいます。そのため、個々のお客さまの状況に合わせて、最適なサービスの提案をする1to1のマーケティングに力を入れています」
お客さま営業部 販売促進グループ 課長代理
平松 翔氏
同社ではデジタルマーケティングのKPIの1つに、「くらしTEPCO web」の月間ログイン数を掲げている。平松氏の所属チームでは、以前からログイン推進の施策として、毎月月末にログインを促すメール施策を実施している。これは配信時点で未ログインの会員に対して、ログインすることでポイントが貯まることを案内する一律のメールを送るもので、一定の効果はあったものの、ログイン数の伸びは限定的だった。
そこで同社では、一律のメールに加えて、お客さまの電気(ガス)料金が確定したタイミングで「今月の電気(ガス)料金が確定しましたのでログインしてご確認ください」という内容のメールを配信することにした。
「お客さまが当社の会員サイトに最も関心を持つタイミングは、料金が確定したタイミングということはアンケート結果からもわかっていました。しかし、料金はお客さまごとに違う検針日に確定するため、検針日情報を元にメールを出し分ける必要がありました。その上、会員数が膨大なため、当時使っていたメール配信ツールでは不可能でした」(平松氏)
同社ではAdobe Campaignを2021年から導入しており、メール配信の施策で成果を挙げてきた。そこで、Adobe Campaignを同社の顧客データベースと連携させ、検針日に合わせて料金通知のメールを配信する施策をスタートさせた。
その結果、月間平均で約7%のログインユーザー増加が確認されている。7%というと少なく感じるかもしれないが、実数では約10万ユーザーのログインが増えていることになり、非常に大きい。同社が行っているメール施策の中でも、特に大きな成果を挙げるものとなっている。
顧客の状況に合わせ、きめ細かいメール施策を実施
料金確定のメール施策が実装できたことにより、同社ではこれまで毎月一律で送っていたログイン促進のメールを、戦略的に位置付けることにした。その判定に用いているツールが、新たに導入したAdobe Audience Managerである。顧客の同社会員サイトに対する行動を把握し、未ログインの情報をAdobe Campaignと連携、ログイン促進のメールを送っている。
「従来は会員サイトのログを調べて未ログインのリストを作成する必要がありました。手間もかかり、集計中にログインされたお客さまにもログインを促すメールが送られてしまうことで、リアルタイム性も損なっていました。Adobe Audience Managerによって、ログインの有無を効率良く収集し、タイムラグがない形でメールを送れるようになりました。また、当社会員サイトで、どのように料金や使用量を確認できるか、という具体的イメージを料金確定のタイミングで改めて訴求できる取り組みは過去に一度も例がありませんでした。お客さまにとっても、改めて当社会員サイトを利用するきっかけになっていただけるのではないかなと思っています」(平松氏)
また、同社の顧客データベースとAdobe Campaignの連携データには「くらしTEPCO web」に一度もログインをしたことがない顧客データも含まれている。その顧客がはじめてログインした場合、同社からウェルカムメールが送られる。これも、Adobe Campaignを使って「くらしTEPCO web」のさまざまなコンテンツや、同社ならではの情報を配信し、認知させ、継続的な会員サイトへの来訪を促進する。
「ウェルカムメールは当初、サービス紹介やキャンペーン情報を詰め込んでいたため、かなり長文になっていました。しかし、情報を詰め込みすぎても伝わらないことが確認できたことと、初回のメールという反面、オプトアウト率が高いことも課題でした。現在は1回のメールに入れるサービス紹介は1つに限定し、ステップメール的に段階を踏んで配信をする仕組みに改修を行いました。お客さま観点でも、数多くある当社のコンテンツをインプットしやすくなり、会員サイトをはじめとする各種コンテンツやサービスに対して、知らなかったということがなく、しっかりとご利用いただけるのではないかと考えております」(平松氏)
加えて、新たに取り組んでいる会員向け施策が、同社が顧客に対して展開するカーボンニュートラルプログラムのうち、「くらしTEPCO web」内で実施しているエコ・省エネチャレンジの参加促進施策である。これは顧客に電気の使用時間をシフトしてもらったり、対象の時間に節電してもらったりすることでデマンドレスポンス(需要調整)を図り、お客さまが目標を達成した場合ポイントを進呈するキャンペーンだが、「くらしTEPCO web」内でのキャンペーンのエントリーが必要になる。
「行動変容型のエコ・省エネチャレンジという本キャンペーンの内容が全てのお客さまに対してまだ十分に訴求しきれていないところが課題です。そのため、せっかくエントリーフォームまで来ても、エントリーせずに離脱してしまうお客さまが一定数存在していることがわかりました」(平松氏)
そこで同社では、エントリーフォームにAdobe Audience Managerのタグを実装し、未エントリーの顧客情報をAdobe Campaignと連携して、後日リマインドのメールを送っている。「メールではエコ・省エネチャレンジの意義を丁寧に説明しています。この施策によって、離脱者の約1%が再訪し、エントリーしてくださっています。当社としてはエントリーを一度逃してしまったお客さまですので、非常に貢献度が高い施策と思っています。お客さまからすると、エントリーをすることでのデメリットはないコンテンツとなっておりますので、ご無理のない範囲で省エネ活動に取り組んで活動に応じたポイントを受け取っていただければと思っています」(平松氏)
このキャンペーンのエントリーは一度行うと継続してチャレンジに参加することができるため、施策を繰り返すことでエントリーユーザーが累積していく。また、ログイン推進の施策からキャンペーンページへの回遊も確認されており、さまざまな施策を組み合わせることで相乗効果が高まっていると平松氏は話す。
手厚い支援とグローバル規模のナレッジが選定の決め手
同社がAdobe Campaign、Adobe Audience Managerという2種類のアドビ製品を選んだ理由について、平松氏はこう説明する。
「各社のマーケティングツールの機能だけを比較しても、それぞれの価値は判断できません。重要なのは、どれだけ当社のマーケティング課題に対してツールを使いこなせるかということ。また、私含め、当社マーケターのリソースも限られているので、そこに寄り添った支援をしていただけるかです。単にツールを提供してもらうだけだと、機能を使い切ることができず、結果として数値が伸び悩むことになってしまいます。私の前職でもそういったことは度々ありました」(平松氏)
平松氏は前職での経験から、マーケティングツールには自社の課題解決に直結する手厚い伴走支援が必要だと考えていた。「その点アドビは、課題の抽出に始まり、シナリオの作成と施策実施の効果測定というPDCAサイクル全体での支援があります。加えて、定期的に施策自体の効果を俯瞰的に検証する会議で、効果が出るまで改善策を一緒に探してくれます」
もう1つ、平松氏がアドビに対して価値を感じているのが、グローバル規模のナレッジの量と質だ。「他国のインフラ業界での事例など、当社がリーチできないケースを紹介してもらえて非常に助かっています。もちろんそのまま真似をするのでなく、良さそうな施策はAdobe CampaignでA/Bテストをしながら当社に合うかを確認しています」
また、デジタルマーケティングは複数のツールを組み合わせる施策がほとんどだが、アドビ製品はグローバルスタンダードとして、他のツールとの連携に制限がほとんどないことも、安心感につながっている。
電化プロモーションのチャネルとしても活用
同社は現在、「太陽と暮らそう」をキャッチフレーズにした電化サービスのプロモーションを実施している。太陽光発電や蓄電池、エコキュートなどの導入を促すこのプロモーションについても、メールによる認知と訴求施策に力を入れていくと平松氏は話す。
「一般家庭にとって例えば太陽光発電のような設備の導入は、費用も時間もかかる大がかりなプロジェクトです。Adobe Campaignのデータを見ると、お客さまの反応は非常によく、興味があることがわかります。一方でコンバージョンまでに時間がかかっており、お客さま自身も慎重に情報収集をしていると仮定できます。そのため、お客さま1人ひとりに寄り添った丁寧なコミュニケーション、すなわち、1to1マーケティングが必要になると考えています。また、現在はお客さまのセグメンテーションにおいても当社ページの回遊データも含めたファーストパーティデータの活用がメインとなっているため、今後は複数のサードパーティデータを掛け合わせた取り組みもできるよう、マーケティング環境を構築する予定です。そして、お客さまがお悩みになっているタイミングでのコミュニケーションを実現できるよう、リアルタイム性の向上とセグメンテーションの精緻化に向けて取り組んでいきます」(平松氏)
平松氏は最後に、顧客体験の課題に直面する企業のマーケターに対して次のメッセージを送った。
「マーケティングの課題は各社各様で、共通の正解は存在しないと思っています。また、一旦上手くいっても環境はすぐ変化するため、マーケターのリソースも限られている中、絶えずPDCAを回さなければいけません。そこで大事になるのが、課題に対してピンポイントなマーケティング施策を伴走していただけるパートナーの存在です。アドビのようなパートナーに伴走していただくことで、悩んでいた課題への解決方法が、きっと見つかると思います」(平松氏)
同社は顧客データベースの大きさと顧客との長期的なコミュニケーションや検討が必要な商材という特徴があり、それに伴う課題も多い。しかし、平松氏の所属チームは小さな施策の成功を積み重ねていくという勝ち筋をすでに見出している。今後もマーケティングチャネルとしての存在感を増していくはずだ。
※掲載された情報は、取材当時(2025年7月)のものです。