2023年のデジタルマーケティングの重要なトレンド:ソーシャルコマース、対話型マーケティング、ライブストリーミングなど
マーケターは、常に社会の変化および技術の変化の最前線で業務に携わっています。デジタルトランスフォーメーションがオーディエンスのニーズや期待を高め続ける中、新たなデジタルトレンドが生まれ、その勢いを増しています。
そのため、経験豊富なデジタルマーケターは、現在の市場トレンドを押さえ、次に来るトレンドを捉えようとしています。2023年以降も競争力を維持し、マーケティング目標を達成して、新しいビジネスを推進することを支援するために、この記事では2023年のデジタルマーケティングトレンドのトップ20を解説します。
- ソーシャルコマース
- 対話型マーケティング
- 動画マーケティングとTikTok
- AI(人工知能)
- パーソナライゼーション
- ストーリーテリング
- チャットボット
- ライブストリーム
- SEOの進化
- オーディエンスの変化
- 音声検索
- プッシュ通知
- モバイルコマース
- 優れたカスタマーサービスとエンゲージメント
- 予測分析
- オムニチャネルマーケティング
- プライバシーとセキュリティ
- 持続可能性と社会的責任
- Amazonの広告
- IoT、AR、ブロックチェーン、新興テクノロジー
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1.ソーシャルコマース
Instagramにおける小規模なソーシャルコマースの例
ソーシャルコマースは、ソーシャルメディアとコマースを組み合わせたものです。顧客は、webブラウザーなどの他のアプリケーションを開くことなく、ソーシャルメディアのアプリケーション内で購入することができます。多くのソーシャルメディアプラットフォームには、ショップの立ち上げ、出品、決済を可能にする機能が組み込まれています。これは顧客とデジタルマーケターの双方にとって便利なものです。
ソーシャルコマースという考え方は新しいものではありませんが、ようやくショッピングの選択肢として主流になりつつあります。ソーシャルメディアは、利用者数やプラットフォーム数が増え続けているため、デジタルマーケティングにおいて依然として重要な役割を果たしています。これはマーケターにとって新たな機会を創出するものであり、ソーシャルメディアとコマースが組み合わさったことは極めて自然な流れです。
2023年、ソーシャルコマースの役割はますます大きくなっていくでしょう。カスタマーレビューや従業員の声などを通じて、企業ベースのコンテンツやソーシャルプルーフの基盤を提供しています。ソーシャルメディアのアプリから、企業のwebサイトに移動して購入するというバイヤージャーニーのステップを省くことで、ソーシャルメディアのオーディエンスを顧客にコンバージョンすることが容易になります。
どのプラットフォームが自社のブランドに最も適しているか、どのようなソーシャルコマースオプションを提供しているのかを検討し、それぞれのソーシャルメディアプラットフォームが惹きつける購買層を考慮しましょう。たとえば、Oberloの調査によれば、LinkedInの利用者の約25%がシニアレベルのインフルエンサーであり、B2B企業にとって理想的なプラットフォームです。一方、TikTokのユーザーの50%以上は30歳未満であり、ミレニアル世代やZ世代に適しています。
2.対話型マーケティング
対話型マーケティングは、カンバセーションコマース や チャットコマース とも呼ばれ、コミュニケーションプラットフォームやメッセージアプリを利用して、よりカジュアルな方法で、商品の販売、オーディエンスとのコミュニケーション、セールスファネルの各段階でのサポートを提供するものです。たとえば、WhatsAppやFacebook Messengerを利用したマーケティングなどが挙げられます。
かつて、セールスやカスタマーサービスでは、担当者が非常に丁寧な言葉使いをするフォーマルなプロセスを採用していました。しかし、そうした従来のメッセージには、過度に台本的であったり、半ば強引であったり、単に真面目すぎるという評判がありました。今では、このような無機質なやり取りは、企業の信頼性を損ない、リードを遠ざけることになります。
LinkedInの調査によれば、電子メールで顧客サポートを提供するような従来型のコミュニケーションにもまだ役割はあるものの、現代の購買者は、自身の状況に即したより自然な体験に惹きつけられています。
対話型マーケティングは、消費者とより緊密な関係を築き、着実にコンバージョンへと導く機会となります。自然な口調により、潜在顧客はリラックスし、より積極的にやり取りするようになります。しかし、そうしたやり取りは、その場限りで終わらせてはなりません。顧客との関係の全体において、継続的におこなうべき取り組みです。
たとえば、これまでカスタマーサービス部門は、フォーマルで丁寧な口調で話しかけるように指導されてきました。これはある程度は有効ですが、行き過ぎると相手に不快感を与えてしまうことがあります。オーディエンスに最高の顧客体験(CX)を提供するためには、バランスを取ることが重要です。
3.動画マーケティングとTikTok
デジタルマーケティングにおいて、動画は常に重要な役割を担ってきましたが、今やインターネット上のコンテンツは動画が主流になっています。Wyzowlの調査によれば、以上の企業がマーケティングツールとして動画を利用しています。スマートフォンのカメラの画質が向上し、さまざまな編集ツールが生まれ、動画プラットフォームが利用しやすくなったことで、あらゆる規模の企業で優れた動画を容易に制作できるようになり、動画の「民主化」が進みました。
オンラインで存在感を示すには、強力な動画コンテンツ戦略を維持することが必要です。マーケターは、さまざまなタイプの動画を活用して、オーディエンスのエンゲージメントを維持し、反応を試すことができます。
- 顧客の声 の動画には、オーディエンスがより個人的なレベルでクライアントに共感できるため強力な効果があります
- 説明や商品ガイド も動画にすることで効果が増します。Performanteの調査によれば、情報を従来のテキスト形式で伝えた場合、顧客維持率は10%であるのに比べ、動画での維持率は95%に達します
- 短編動画 も、短時間で多くのコンテンツを視聴できるため、利用者に人気があります。TikTokは、もはや若年層のオーディエンスをターゲットにしたニッチなサービスではなく、多くの企業にとって、短編動画が価値ある投資であることを示す例となっています
自社で動画コンテンツを制作するのが難しい場合は、制作を支援してくれるインフルエンサーと連携しましょう。インフルエンサーマーケティングには、既にエンゲージしているオーディエンスとつながることができる、クリエイティブやコンテンツの制作を外注できる、成果に対してのみ支払いが発生する、などの利点があります。このタイプのマーケティングは、自社ブランドと、インフルエンサーの持っているイメージやそのオーディエンスとの間に強い整合性がある場合に成功します。最終的には、どのようなパートナーを選ぶかが、インフルエンサーマーケティング施策の成否を左右します。
4.AI(人工知能)
デジタルマーケティングでは、多くの反復作業やデータ分析が必要なことから、AIの存在意義が高まっています。メール配信や新規顧客データの統一といったルーチン作業は、AIに任せるのが最適で、それによりチームメンバーは他の業務に集中できるようになります。
AIへの関心の高まりは、AIテクノロジーがより身近で強力なものになり、費用も手頃になった結果です。Statistaの調査によれば、現在200億ドル規模のAI産業は、2022年から2026年にかけて200%以上の成長 が見込まれており、マーケターにいくつかの利点をもたらします。
- データドリブン型マーケティングの実現: マーケティングが年々データドリブン型になり、マーケティングのさまざまな面が進歩する中、マーケターに立ち止まることは許されません。AIツールは、多くの企業が収集、蓄積している膨大な顧客データの可能性を解き放ち、活用するための鍵となります
- 効率性の向上: AIを活用してワークフローをサポートすることで、より効率的な施策を構築することができます。顧客データは、AIが常に人間よりも優れた性能を発揮する分野のひとつです。最新のAIシステムの規模、スピード、精度に匹敵するものはありません
- インサイトの向上: マシンラーニング(機械学習)ツールは、顧客の行動を分析して次の行動を予測し、それにもとづいて計画を立てるのに役立ちます。これにより、広告のターゲティングに自身の時間を費やすことなく、より適切な広告を配信し、コンバージョン率を向上させることができます
5.パーソナライゼーション
デジタルマーケターにとって最大の課題のひとつは、手間や時間をあまりかけずにコンテンツをパーソナライズする方法を見つけることです。オーディエンスは、自分たちのために特別に構築された体験やメッセージを期待するようになっています。Adlucentの調査によれば、買い物客の71%が、自身の興味や習慣に合わせてカスタマイズされた広告を好みます。
メールの件名に受信者の名前を入れるような基本的なパーソナライゼーションは有効ですが、その効果は急速に低下しています。Netflix、Hulu、Prime Videoなどのストリーミングサービスのおすすめコンテンツは、マーケティングにおける効果的なパーソナライゼーションの優れた例と言えます。これらのプラットフォームでは、ペタバイト規模の顧客データを活用して、利用者がよく視聴する種類のコンテンツを特定し、サムネイル画像とメッセージを個々のユーザーに合わせてカスタマイズしています。この戦略により、視聴時間が増加し、サブスクリプションを長期間維持することができます。
顧客データの収集は、競合他社に差をつけるパーソナライズされた体験を創出するための第一歩です。顧客体験は、バイヤージャーニーのあらゆる段階でパーソナライズすることができます。
- パーソナライズされたランディングページ で、再訪問者を識別することができれば、以前に閲覧した商品へのリンクや、閲覧行動にもとづいたレコメンデーションを提供することができます
- パーソナライズされた商品レコメンデーション は、商品ページ、リターゲティング広告、フォローアップメールなどに表示されます。レコメンデーションは、購入履歴、閲覧履歴、利用者属性など、関連するオプションにもとづいておこなうことができます
- パーソナライズされた電子メールによるフォローアップ は、購入やサイト訪問の後におこなうことができます。たとえば、購入に対するお礼を述べたり、レビューを求めたり、カートに残っている商品について注意を促したりすることができます
- パーソナライズされたオファー は、顧客の誕生日や重要な記念日に送信できます。誕生日メールは容易に自動化し、少額の割引コードなど添えて送ることができます
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6.ストーリーテリング
Manitobahでは、あらゆる商品ページでブランドストーリーを伝えている
ストーリーテリングは、個人的なつながりを築き、強力なブランドアイデンティティを構築するための最も強力な方法のひとつです。元々、人間の脳は、ストーリーを好むようにできており、特に人間中心のストーリーに反応します。
一般的なマーケティング資料を提供するのではなく、商品を軸にした実体験を共有するコンテンツを提供するのが効果的です。マーケティングのコンテクストで効果的にストーリーを語るのは、手間と時間がかかります。しかし、人々を惹きつけ、最終的には商品を検討してもらうことができます。
マーケティングにストーリーテリングを活用するには、いくつかの方法があります。
- 顧客の声 は、ストーリーテリングのよく知られた例です。企業がどのように個々の顧客の生活に溶け込んでいるかを浮き彫りにします。視聴者や読者は、その体験に共感し、企業はつながりを築き、貴重なソーシャルプルーフを得ることができます
- ビジュアルストーリーテリング も、画像や動画がコンテンツを引き立て、読みやすさを向上させるために重要です。利用できるものも写真、動画、グラフィックなど多岐にわたります
- ブランドストーリー は、共有可能な優れたレビューやグラフィックがまだ手元になくても、ストーリーテリングを取り入れることができる強力な方法です。ブランドや商品の背景にあるストーリーを意識的に構築し、できるだけ多くのチャンネルでそれを広めるようにしましょう
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7.チャットボット
チャットボットは、あらゆるカスタマーサービスのワークフローに不可欠なものとなっていますが、特に大量のサポート依頼を抱える企業にとって有用です。
業界を問わず、消費者やバイヤーは、24時間体制での対応やサービスを求めているため、チャットボットは、企業や消費者の間で人気が高まっています。実際、Tidioの調査では、消費者の69%が人間のカスタマーサービス担当者の対応を待つよりも、チャットボットと会話することを好んでいることが明らかになりました。
チャットボットは表面的で人間味がないと懸念されるかもしれませんが、今はそうではありません。今日のチャットボットプラットフォームは柔軟性が高く、顧客対応時間の短縮や顧客の悩みの特定など、顧客の要件に合わせて調整することが可能です。実際、Insider Intelligenceの調査によれば、インターネットユーザーの40%が、バーチャルエージェントよりも[チャットボットとのやり取りを 好む] ことが明らかになっています。
チャットボットは、24時間体制で顧客に対応できるため、一次対応に活用できます。チャットボットは、簡単な質問に素早くわかりやすく回答したり、顧客が適切な資料を見つける手助けをしたりすることができるため、サポートチームはより複雑なケースに集中できるようになります。
たとえば、サポートチームが同じ5つの質問に、20%の時間を費やしているとします。そのような繰り返し作業に費用をかける代わりに、ナレッジベースやFAQの該当ページに利用者をリダイレクトするようにチャットボットをプログラムすればよいのです。
8.ライブストリーム
ライブストリーミングとは、通常はソーシャルメディアチャネルで、録画しながらリアルタイムで放送することです。これは、世界で最も急速に成長しているコンテンツ形式のひとつであり、オーディエンスは、お気に入りのクリエイターと今までにない方法で関わることができます。
その人気はますます高まっています。TwitchTrackerの調査によれば、米国で最も人気のあるライブストリーミングプラットフォームのひとつであるTwitchは、2022年末の時点で月平均250万人の視聴者を獲得しています。その他の人気のあるライブストリーミングプラットフォームには、TikTok、Instagram、Facebook、Amazon Liveなどがあります。
企業は、拡大するライブストリーミングのトレンドを巧みに利用しています。たとえば、米国のアパレルブランドTommy Hilfigerは、ライブストリームを通じて商品を宣伝しました。視聴者は、ストリームからクリックして購入することができました。このようなシームレスな体験は顧客のつまづきを減らし、ライブストリームの価値を最大化するのに役立ちます。
9.SEOの進化
SEO(検索エンジン最適化)において、キーワードは依然として重要な要素ですが、現代の検索エンジンのアルゴリズムは、マーケターが過去に取り組んでいたものとは大きく異なっています。5年前や10年前であれば、キーワードスタッフィングでwebページにキーワードを詰め込めば、オーガニック検索で上位に表示されていましたが、今ではそのような行為により、自社サイトにペナルティが課される可能性があります。
現代の検索エンジンは、マシンラーニングプログラムによって運用されており、検索のエンゲージメント指標を1秒間に何十億回も監視してします。そして、何よりも、利用者の質問に答え、利用者のニーズを満たすコンテンツを見つけようとしています。そのため、現代のSEOは、利用者の意図とエンゲージメントに焦点を当てた戦略を開発する方向に進化しています。Googleは、利用者が行動を起こす瞬間を「マイクロモーメント」と呼んでいます。
2023年以降、適格なオーガニックトラフィックを獲得できるSEOには、次のような要素が必要です。
- キーワードの背後にある意図に注目する
- 高速でモバイル対応可能なサイトを構築する
- 成功しているコンテンツを調査し、既存のコンテンツよりも的確に意図に応えるための戦略を開発する
10.オーディエンスの変化
ターゲットとするオーディエンスは、従来と同じように行動しているわけではありません。Z世代とミレニアル世代の購入者は、より高い購買力を持っています。Bloombergの調査によれば、Z世代の2021年の可処分所得は3,600億ドル以上(2018年の2倍以上)であり、この金額は、彼らが社会人になるにつれて増加していくことでしょう。
そして、その嗜好は、1990年以前に生まれた世代が企業に期待していたものとはかなり対照的です。オーディエンスのニーズを満たし、確実に適切なオーディエンスをターゲットにすることが重要です。企業は、この新しい世代の消費者にアピールするために戦略を適応させる必要があります。
このようなオーディエンスの変化には、国際的な新興市場の台頭と、米国市場の相対的な衰退も影響しています。Euromonitorの調査によれば、アジアは今後20年間、新興国市場の中で最も活気のある地域のひとつです。これには、中国、インド、インドネシア、タイ、フィリピン、ベトナムが含まれます。
アメリカの消費者は、今でもグローバルコマースにおいて重要な役割を担っていますが、今までほど中心的な存在ではなくなっています。世界の消費者層は、世界各国の新しい中産階級の消費者へと拡大していきます。
文化、言語、社会規範、オンライン行動などが異なれば、マーケティング上の新たな課題も生じるため、こうした新しい消費者にどのようにアプローチしていくかを検討する必要があります。特に、コンテンツ制作に関しては、その傾向が顕著です。
11.音声検索
Statistaの調査によれば、2010年代には音声検索、音声コマンドなどの音声サービスが劇的に増加し、スマートスピーカーの使用率は2018年から2022年にかけて2倍以上に増加しました。
音声検索向けのコンテンツを構築していない場合、トラフィックとブランドオーソリティを獲得するための機会を逃している可能性があります。消費者は引き続き、スマートフォンなどのデバイスから音声検索をおこない、マーケターに新たな機会をもたらしています。
消費者が音声起動デバイスとのやり取りに慣れるにつれて、音声検索の利用は増加し、それに応じてテクノロジーも向上していくことでしょう。GoogleのBERTアルゴリズムのアップデートは、その代表的な例です。検索エンジンはこれまで検索クエリーを単語単位で分析していましたが、このアップデートにより自然言語処理が検索エンジンに追加され、フレーズや自然言語を理解する能力が高まりました。
音声検索用にコンテンツを最適化するには、いくつかの方法があります。
- ロングテールキーワードに対応する: このタイプの検索エンジンのクエリーには、従来の方法と比較して、より長い検索語が含まれる傾向があります。検索の中心は、簡潔な短いキーワードから、ロングテールのフレーズや文章全体へと移行しています
- オーディエンスの質問を中心にコンテンツを制作する: ターゲットオーディエンスが最も頻繁に尋ねる質問を調べ、その質問に関連するコンテンツを制作します。これは、詳細なFAQページや、各質問に対するブログ記事で実現できます
- 位置情報に合わせてwebサイトを最適化する: ジオターゲティングでは、位置情報を利用して、顧客のいる場所に合わせてコンテンツを表示します。営業時間など、ソーシャルメディアのプロファイルと連絡先情報を、常に最新の状態に保ちましょう。
12.プッシュ通知
プッシュ通知は、ユーザーが携帯電話などのモバイルデバイスで直接受信する、リアルタイムのアラートであり、ユーザーの注意を引くための最も効果的な方法のひとつとなりつつあります。プッシュ通知は、開封率、コンバージョン率、オーディエンスのエンゲージメントを高めることができます。プッシュ通知を送信する許可を得るのは難しいことですが、他にはない直接的なつながりを構築できます。多くのオーディエンスは、PCでメールの受信トレイをチェックするよりも、携帯電話を見ています。
プッシュ通知は控えめに利用し、できるだけパーソナライズされたものにしましょう。セールや割引は、プッシュ通知を送信する大きな理由になりますが、紹介する商品やソリューションは、各顧客に見合ったものである必要があります。ペットのための買い物をしたことがない顧客に、ペットのおもちゃのセールを知らせるプッシュ通知を送っても、登録解除されてしまうだけです。
13.モバイルコマース
これまでマーケターは、モバイル広告を利用して、リードをデスクトップや対面での購入に誘導してきました。しかし、Apple PayやGoogle Payなどのデジタルウォレット機能により、モバイルユーザーへの販売が容易になりました。今日の消費者は、簡単な支払い方法があれば、モバイルコマースを利用します。Statistaの調査によれば、米国における小売業界のモバイルコマースは、2025年までに7,100億ドルを超えると予想されています。
モバイルコマースに対応した顧客体験を実現するためには、まず、自社のwebサイトがモバイルフレンドリーであることを確認することから始めましょう。Googleは、モバイルフレンドリーテストを無料で提供しており、課題を洗い出すことができます。次に、チェックアウトプロセスを可能な限りさまざまなモバイルデバイスでテストします。直感的に操作でき、容易に完了できることを確認してください。
14.優れたカスタマーサービス
カスタマーサービスは、カスタマージャーニーのあらゆる場面で重要な役割を果たします。そのため、単に応答の早いサポートを提供するだけでは、もはや十分ではありません。シームレスな体験を実現し、顧客が買い物をしやすくなるような、さらなる方法を見出しましょう。これは、2020年代以降のデジタルマーケティングにおいて、最も活発な分野のひとつになるでしょう。
- 購入決定前 のカスタマーサービスには、ライブチャットによるサポートや顧客が抱える問題のトラブルシューティングなどが含まれます
- 購入決定直後 のカスタマーサービスには、カスタマイズされたデモや仕様書の提供などの販売サポートが含まれます
- 購入後 のカスタマーサービスには、問題のサポートやアップデートが含まれます
初期サポートは、リードの疑念を取り除き、購入へと進むための動機付けになります。初回のコンバージョンの後も、優れたサポートは、顧客との関係を強化し、企業に対する顧客の生涯価値を最大化するのに役立ちます。
15.予測分析
予測分析は、トレンドを未来に投影し、起こりうる結果を予測するものです。AIと似ていますが、同じでものではありません。
どちらのテクノロジーも、既存のデータとインサイトを利用して、顧客との今後のやり取りを強化するのに役立ちます。しかし、AIは完全に自律的であるのに対し、予測分析には、データの照会、トレンドの特定、仮説の検証などに人間の関与が必要です。予測分析は、過去に焦点を当て、データを収集して何が起こるかを予測するものです。
データは多くの先進的なマーケティングトレンドの鍵であり、ビッグデータと分析は、年々重要性を増しています。こうしたテクノロジーは、より洗練され、より多くの業界で活用されることが期待されています。
Gartnerの調査によれば、2024年末までに、業務上の必要性から企業の75%がAIを利用するようになると予測されています。また、高度なリードスコアリング、顧客セグメンテーション、パーソナライゼーションなど、予測分析ツールやアプリケーションの数も今後増加することでしょう。
16.オムニチャネルマーケティング
顧客が複数のチャネルを利用する以上、企業もそれに応じるべきです。オムニチャネルマーケティングでは、あらゆるチャネルで一貫性のある企業メッセージと顧客体験を提供します。多くの企業は、既に複数のプラットフォームでオーディエンスにリーチしているため、まだ実施していない場合、早急に移行するべきです。
初期のオムニチャネルマーケティングは、プラットフォーム間の不整合や、社内データの分断により複雑化していました。しかし、新たに生み出されたSaaSツールにより、複数のチャネルで複雑な施策を設定する方法が簡素化されました。
マルチチャネルマーケティングとは異なり、オムニチャネルマーケティングでは、各チャネルの顧客データとエクスペリエンスを単一の顧客プロファイルに統合します。オムニチャネルマーケティングとは、たとえば、営業部門が顧客が閲覧したwebページを把握できる、カスタマーサポート部門が店舗での購入履歴を把握できる、マーケティング部門がソーシャルメディアの活動にもとづいて個人向けのメール施策を選択できることを意味します。顧客は、企業と一貫性のあるやり取りを体験できます。
17.プライバシーとセキュリティ
マーケティングにおける顧客データへの依存度が高まるにつれ、顧客は、自身の情報がどのように収集され、使用されるかについてより高い関心を寄せるようになっています。消費者は、中小企業と大企業の両方に影響を与える可能性のある、第三者によるデータ侵害の可能性に脅威を感じています。自社には関係ないと思うかもしれませんが、Statistaの調査によれば、データ侵害の結果、四半期ごとに何百万件ものレコードが流出しています。
セキュリティ侵害は、組織が経験する可能性のある事件の中で、最もコストのかかることのひとつです。情報漏えいの直接的なコストはもちろんのこと、顧客データの漏えいに伴う評判の低下から回復するのに何年もかかることがあります。
データを保護するための対策を講じることで、リスクを軽減しながら信頼性を高めることができます。webサイトそのもののセキュリティにも妥協の余地はありません。John Cabotが実施した調査によれば、利用者の46%が、安全でないサイトには名前以外の個人情報を入力しないと回答しています。また、それらの利用者の64%が、そうしたwebサイトから即座に離れると回答しています。
世界中の政府が、データ収集を制限し、消費者が個人データを管理できるようにするための措置を講じている中、マーケターは、消費者のプライバシーを尊重し、透明性のある慣行に従いながら、データを活用し続けるための革新的な方法を見出す必要があります。
これは、今後5年間、そしておそらくそれ以降も、デジタルマーケティングにおける最も複雑で頻繁に議論が交わされる課題のひとつとなるでしょう。
18.持続可能性と社会的責任
持続可能性は、何年も前から企業の主要な懸念事項であり、その重要性は増すばかりです。IBMの調査によれば、世界の消費者の50%以上が、環境の持続可能性に関して、2021年よりも2022年のほうが関心が増したと回答しています。
歴史的に、多くの企業は自社事業に専念し、公の場で発言したり、議論の的になっている問題に関与することを控えてきました。しかし、今日のオーディエンスは、持続可能性に取り組んでいて、ある程度の心構えを示している企業のほうを好みます。
- 最近実施された Global Sustainability Study では、消費者の60%が持続可能性を重要な購入基準にしていることが明らかになりました
- Statistaの調査によれば、消費者の45%が、持続可能性の取り組みをおこなっている企業や、環境に配慮している企業を選ぶことに関心を示しています
業界を問わず、自社がどのように社会的または環境的な問題に取り組んでいるかを共有することは有益なことです。もし、持続可能性や社会的責任について取り組んでいないようであれば、今こそ始めるべきタイミングかもしれません。
マーケティング戦略に「グリーンな文言」を取り入れる場合、作り込んだものにする必要はありませんが、単なる声明文以上のものである必要があります。今日の顧客は口約束を容易に見抜くため、企業は、特定の課題について、真に懸念を抱いていることを示す必要があります。
19.Amazonの広告
2023年には多くの変化が起こると予想されますが、変わらないことのひとつは、最大のコマースプラットフォームとしてAmazonが君臨することでしょう。
いくつかの企業は、商品を独自に販売するのに成功していますが、Amazonは現在、ほとんどのコマースビジネスにとって、知名度、クリック数、売上を生み出す最大の場所となっています。CNBCの調査によれば、Amazonの広告市場は2022年第2四半期に18%成長し、Google、Pinterest、Twitter、Facebookなどの巨大企業の中で最も急成長しているオンライン広告プラットフォームです。
Amazonを成功に導いている重要な差別化要因のひとつは、購入意欲の高いハイインテントリードが存在することです。Amazonで検索語を入力する場合、一般的に、ウィンドウショッピングをしているわけではなく、良い商品を見つけたらすぐに購入に進みます。そのため、Amazonで有料施策を巧みに構築すれば、ほぼ一晩で売上を大幅に増加させることができるのは驚くことではありません。
20.IoT、AR、ブロックチェーン、新興テクノロジー
最新のマーケティングトレンドは、新興テクノロジークを抜きにしては語れません。IoT(モノのインターネット)、AR(拡張現実)、ブロックチェーンがもたらす影響はまだ予測が難しいものの、いずれのテクノロジーも、企業がデジタルマーケティングに取り組む方法を変えつつあります。
たとえば、IoTは、スマートフォンで操作できる照明のように、モノに接続性を持たせることができるテクノロジーです。IoTは、ほんの数年前までは不可能と思われていましたが、すでに私たちの日常生活に入り込んでいます。
Statistaの調査によれば、IoT機器やスマートオブジェクトに接続する利用者数は、2020年から2030年の間に3倍以上に増加すると予想されています。この成長は、デジタルマーケターにとって、顧客の日常生活の中で有機的に広告を提供できるまたとない機会をもたらします。
ARも、さまざまな革新的なマーケティング戦略に組み込まれています。たとえば、IKEAのアプリはARテクノロジーを利用して、現実の空間に仮想オブジェクトを表示します。化粧品や衣料品などのブランドも、webサイトやアプリにARを導入する道を探っています。ARは、インタラクティブな広告を提供しながら、顧客体験を大きく向上させることができます。
メタバースもまた、マーケティングに役立つ有望な新興テクノロジーのひとつです。利用者基盤はまだ比較的小さいものの、メタバースのような統合されたデジタル体験は、インターネットについての理解を完全に覆す可能性を秘めています。
最新トレンドを入手する
新たなテクノロジーや消費者の嗜好の変化は、デジタルマーケターが業務を効果的に進めるために把握しておくべきトレンドのほんの一部です。マーケティングの世界では、ほかにも多くの変化が起きていますが、この記事では、2023年の最も重要なトレンドに絞って解説しています。
2023年のマーケティング施策を開始する際は、Adobe Marketo Engageが役立ちます。顧客エンゲージメント、パーソナライズされた体験、最適化されたコンテンツ、オムニチャネル対応を重視しながら、適切なオーディエンスを確実にターゲティングすることができます。