決済処理:概要、仕組み、選び方
決済処理によって、企業はオンラインや対面でデビットカードやクレジットカードを利用して取引をおこなうことができます。eコマースやデジタル決済の増加に伴い、決済処理は必要不可欠なものとなっています。
適切な料金体系の決済処理を選び、統合を適切に行うことで、利益率を高めることができます。しかし、決済処理に精通していなければ、適切なオプションを選択するのは簡単ではありません。
この記事では、決済処理の仕組み、理解すべき関連用語、自社のビジネスに適した決済代行会社を選択する際の重要ポイントなどについて解説します。
具体的には、次のような内容について解説します。
決済処理とは?
決済処理とは、ビジネスでデビットカードやクレジットカードなどの電子決済を利用可能にするシステムのことです。
決済処理はふたつの部分から構成されています。
- 顧客の支払い情報を金融機関に安全に送信する 支払いゲートウェイ。
- 顧客から加盟店への送金をおこなう 決済代行会社。
今ではほとんどの人がデジタル決済を利用しているため、決済処理システムはあらゆるビジネスにとって不可欠です。2021版の「Diary of Consumer Payment Choice」の調査によると、現在、消費者による 買い物の50%以上 にクレジットカードやデビットカードが使用されています。
決済処理について理解するには、顧客がカード情報をタップ、スワイプ、または入力するたびに何が起こるかについてその基本を理解する必要があります。
決済処理に関する用語
決済処理システムの背後でのやり取りの流れ学ぶ前に、関連用語を確認しておきましょう。
POSシステムとは?
POS(販売時点情報管理)システム とは、顧客が買い物をできるようにする、ハードウェアとソフトウェアを組み合わせた仕組みのことです。 また、企業が売上を追跡するのにも役立ちます。POSのハードウェア(レジ、カード端末、デジタル販売カート)とソフトウェアを組み合わせることで、顧客から販売店への資金移動が容易になります。
また、購入日時などの重要な取引データを記録でき、消費税も含めて管理できます。
支払いゲートウェイとは?
支払いゲートウェイ とは、顧客の支払いデータを安全に読み取り、加盟店の金融機関に伝達するツールのことです。 支払いゲートウェイは、顧客の口座に購入に必要な現金があるかどうかを確認し、その現金を加盟店の銀行口座に振り込みます。
支払いゲートウェイは、クレジットカードのネットワークを介してデータを送信する前に暗号化することにより、取引中にセキュリティ攻撃から顧客情報を保護します。購入者のクレジットカード情報は、複雑なコーディングで処理されるため、データが支払いチェーンを通過する際に詐欺グループがアクセスできないようになっています。
アクワイアラとは?
アクワイアラ(継承銀行)とは、顧客のカードネットワークから金銭を受け取り、専用の加盟店アカウントに入金する金融機関のことです。 この加盟店アカウントは、購入プロセスの最後に入金がおこなわれる場所です。
アクワイアラは、加盟店への支払いを保持し、加盟店と支払いカードネットワークの間の仲介役を務めます。
イシュアとは?
イシュア(発行銀行)とは、顧客に支払いカードを提供する金融機関のことです。 顧客の取引に必要な現金の調達先でもあります。
イシュアは、取引のゲートキーパーとして機能します。イシュアは、加盟店からの支払い要求が正当なものであることを確認し、顧客が購入のために十分な現金を保持していることを確認します。これが確認されると、イシュアは顧客の現金から支払いをおこない。
加盟店アカウントとは?
加盟店アカウント とは、支払いカードからの支払いを含む電子決済を受け入れ、処理することを可能にするビジネス用の銀行口座のことです。 取引が完了すると、ここに入金されます。
加盟店アカウントを開設するには、営業許可があり、発行元が設定する基準を満たす必要があります。たとえば、銀行が加盟店アカウントの発行を許可する際には、財務履歴、開業年数、詐欺リスクなどを評価することになります。
決済処理の仕組み
決済処理には一連の複合的な動作があり、一日中滞りなく実施される必要があります。この連鎖がひとつでも途切れると、売上の損失や顧客の不満につながる可能性があります。
決済処理は、承認 と 決済 という2段階のフェーズでおこなわれます。顧客がオンラインまたはPOSシステムを通じて直接商品を購入する典型的な取引の例を考えてみましょう。
- 承認フェーズでは、支払いゲートウェイがイシュアに照会し、顧客が購入を承認していること、および購入を完了するのに十分な現金を有していることを確認します。
- この情報が確認されると、決済フェーズが開始されます。顧客の銀行は、購入金額を決済代行会社に送金します。決済代行会社は、決済手数料を差し引いた金額を加盟店の口座に振り込みます。
決済代行会社の選び方
決済代行会社は、自社の売上高、取引のおこなわれる場所、提供する製品やサービスなどをもとに選択します。決済代行会社の中には、モバイル決済のような特定の種類の取引を処理するのに適した会社もあります。また、顧客がクレジットカード番号を手動でできるような、ビジネスの種類によっては必要な機能を備えているところもあります。
顧客が購入を完了するために必要なステップを考え、決済代行会社に必要な機能を決めてください。
決済代行会社の3つの料金体系モデル
適切な決済代行会社を選択することで、費用対効果も向上します。特に、毎日多くの取り引きが発生するビジネスでは、各支払いの処理コストはわずかであっても、積み重なって大きな金額になる可能性があります。決済代行会社を評価する際には、どの料金体系が自社のビジネスにとって有利なのかを検討しましょう。どの料金体系が最適かは、ビジネスの性質によって異なります。
小規模な実店舗ビジネスで、時折オンラインで販売するようなケースでは、階層制の料金体系を利用すれば、対面販売での手数料を最低にすることができます。また、収益性の高いeコマースストアを運営する大企業であれば、インターチェンジプラスの料金体系が費用対効果の高いソリューションとなる可能性があります。
また、決済代行会社が月額費用や提供機器への利用料を課すかどうかも見極めたいところです。
1.インターチェンジプラス
インターチェンジプラスの「プラス」とは、決済代行会社が 交換手数料 に上乗せして請求する追加手数料のことです。この追加手数料は、決済代行会社の運営コストをカバーし、利益をもたらします。
この金額は、状況に応じてトランザクションに適用される、一連の固定レートにもとづいて算出されます。顧客が購入した時間、利用したカード、取引の自動化などのファクターも加味されます。また、プレミアムのクレジットカードは、一般的に、通常のクレジットカードよりも処理にかかるコストが高くなります。
交換手数料は一般的に、取引価格の1~3%です。また、各取引に対して設定された金額(セント)が含まれます。各取引に対して支払う金額は、交換手数料によって異なります。
2.定額制
定額制では、あらゆる取引に対して一律の交換手数料を適用します。定額制の場合、購入金額の2%に10セントが加算されます。手数料の予測が容易で、収益予測も簡素化されるので、定額制を選ぶ企業もあります。
決済処理手数料の算出を簡素化するこの方法は、あらゆる取引に異なる交換手数料を適用するためのリソースがない中小企業や新興企業に適しています。ただし、インターチェンジプラス料金体系と比較すると、デビットカードやクレジットカードの支払いで、最適なレートを適用することができなくなります。
3.階層制
階層制の料金体系はバンドル料金体系とも呼ばれ、異なる種類の購入に対して、取引ごとに固定額を課金するものです。あらゆる取引は、そのリスクに応じて3つの階層(適格、中級、非適格)に分類され、対応する手数料が割り当てられます。
階層制の決済処理システムの下では、対面でのデビットカードによる購入は、適格取引に分類されます。この取引は安全な取引であり、処理手数料は取引総額の1%に10セントを加えた程度で済む可能性があります。しかし、よりリスクの高いオンラインでのクレジットカードによる購入は、非適格の購入とみなされる可能性があります。この場合、取引手数料の3%と15セントが請求される可能性があります。
どのような決済代行会社が適しているか?
決済代行会社は増え続けています。決済代行会社を選ぶ際には、店舗との連携も考えてください。実店舗の小売業者に適したものもあれば、eコマースに最適なものもあります。
実店舗とオンラインショップの両方を展開する場合は、決済代行会社とeコマースプラットフォームの統合を検討しましょう。
決済処理を始める
ほとんどのビジネスで、デビットカードやクレジットカードを利用するために決済代行会社を必要としていることは否定できません。eコマースを始めたばかりでも、対面でのカード決済をより効果的に処理するシステムが必要でも、自社のビジネスに合った決済処理ソリューションはあります。
まず、自社のビジネスニーズを分析することから始めましょう。オンラインと対面、それぞれの売上高がどの程度かを確認します。こうした問に対する答えを確認することで、決済処理にかかる費用や必要なサービスを判断することができます。
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