ワークフローオートメーションとは?概要と利点を解説
手作業で電子メールを送信したり、データベースを更新したりすることは、それほど労力を必要としません。これらのタスクは1分で完了しますが、何度も繰り返しおこなう必要があります。その結果、多くの時間を費やすことになります。
ADPによると、ビジネスリーダーの70%が、8時間の勤務時間のうち、45分から3時間を反復的なタスクに費やしていることが明らかになっています。ワークフローオートメーションを導入すれば、これらの時間を節約できます。
手作業による反復的なタスクは、ソフトウェアによる自動化に比べてスピードが遅く、プロセスが煩雑になり、一貫性を保てなくなります。ワークフローオートメーションを利用すれば、チームメンバーのパフォーマンスと作業効率を向上できます。
ワークフローオートメーションについて学ぶことで、効率化、説明責任の強化、人的ミスの減少につながる、簡素化されたプロセスを導入できます。
この記事では、ワークフローオートメーションの概要、利点、導入方法を解説します。
- ワークフローオートメーションとは?
- ワークフローオートメーションの利点
- ワークフローオートメーションを導入すべき部門
- ワークフローオートメーションの種類
- ワークフローオートメーションの例
- ワークフローオートメーションの手順
- ワークフローオートメーションのソフトウェア
- ワークフローオートメーションのユースケース
ワークフローオートメーションとは?
ワークフローオートメーションとは、電子メールでのやり取り、データ入力、ソフトウェアのアップデートといった反復的なタスクを、人間の介入なしで実行するためのテクノロジーです。ソフトウェアを活用し、「if-then」ルールを作成してタスクの実行計画を策定することで、これらのタスクを自動化できます。ワークフローオートメーションを導入することで、より迅速かつ容易に、一貫性のある作業が可能になります。
ワークフローオートメーションの利点
ワークフローオートメーションを導入すれば、規模を問わず、あらゆる企業が労働集約的なプロセスや資本集約的なプロセスを合理化できるようになります。ワークフローオートメーションの主な利点は、次のとおりです。
- 生産性の向上: 従業員は、時間のかかる反復的なタスクから解放され、戦略やクリエイティビティが必要な、より価値の高いタスクに専念できるようになります
- コストの削減: 特定のタスクに必要な人的コストを削減できます。また、人的エラーを最小化できるため、コストの増大につながる失敗のリスクを低減できます
- 正確性の向上: 不要な入力作業を排除することで、作業の正確性を向上できます
- 作業の高速化: 手作業による遅延を回避できます。これにより、各タスクを最短時間で順調に進めることができます
- コミュニケーションの強化: 適切な担当者に対して、タスクの割り当て、フィードバックの依頼、通知を滞りなく確実に実行できます
- 可視性の向上: マネージャーは、タスクの進捗状況や担当者をリアルタイムで追跡できます。これにより、タスクを監視し、納期を厳守することが容易になります
ワークフローオートメーションを導入すべき部門
あらゆる企業において、時間は重要です。そのため、ワークフローオートメーションは、より迅速かつ正確にタスクを完了するための優れたツールであると言えます。
ワークフローオートメーションは、財務、人事、マーケティング、オペレーション、セールスなど、あらゆる部門で導入できますが、次の部門で特に大きな効果を発揮します。
1.ビジネス
自動化を導入する企業が増える中、従来の手作業によるプロセスに固執している企業は、成功することが困難になるでしょう。自動化によって人的エラーを低減し、時間を節約することで、安全性を確保しながらビジネスを容易に拡大できます。
2.開発とオペレーション(DevOps)
通常、開発部門とオペレーション部門は独立して業務をおこないます。ワークフローオートメーションにより、両部門の連携を強化し、ボトルネックを低減して、円滑なコミュニケーションを促進できます。
DevOpsチームは、ソフトウェア開発パイプラインを統率し、データの監視と収集、コードテスト、サービスリクエストなどを効率的に処理できるようになります。
3.ITネットワーク管理
ITネットワーク管理では、さまざまな変化に対応する必要があります。ワークフローオートメーションにより、マネージャーはクラウド、ネットワーク、オペレーティングシステム、各部門を監視できます。この視覚的レイヤーにより、問題が深刻化する前に、ネットワークの健全性とセキュリティ上の脅威に先回りして対処できるようになります。
ワークフローオートメーションの種類
ビジネスモデルやユースケースを問わず、ワークフローオートメーションを導入する方法は数多くあります。企業は、いくつかの種類から最適なものを選択できますが、多くのワークフローオートメーションは、静的か動的のどちらかに分類できます。
- 静的: 静的ワークフローオートメーションは、ワークフローの手順に変化がないことを意味します。「if-then」ステートメントが設定されている場合、その「if」がトリガーされない限り何も起こりません。外部の変数は考慮されませんが、結果に影響を与える可能性があります
- 動的: 動的ワークフローオートメーションでは、その場で手順を自動的に決定します。すなわち、ソフトウェアのスキーマテンプレートを使用して、入力データの変動を処理し、さまざまな変数を考慮して判断を下します。これにより、俊敏性を向上し、長期的なメンテナンスを最小限に抑えることができます
一部の企業は、ワークフローオートメーションソリューションやロボティックプロセスオートメーション(RPA)が必要かどうか、疑問を抱いているかもしれません。どちらのツールもそれぞれ独自の強みがあり、多くの企業が両方を導入しています。RPAとは、単一のタスクを遂行する「ボット」と呼ばれるコードブロックを指します。概念的には、RPAはワークフローオートメーションと類似しています。RPAは、個々のタスクを自動化するのに役立ちます。一方、ワークフローオートメーションは、一連のタスクを包括的に自動化します。
RPAが自社の目標達成に適していない場合は、ビジネスプロセス管理(BPM)の導入を検討してみましょう。BPMは、ワークフローオートメーションの一種です。複数のワークフローを管理し、全体の進捗状況を把握することで、顧客に最適なサービスを提供できます。また、ミッションクリティカルな目標を達成するために、ビジネスプロセスを効率化できます。多くのワークフローオートメーションソフトウェアは、BPMの概念をもとに設計されています。Excelの自動入力とマクロ機能は、ワークフローオートメーション初期の例です。
ワークフローオートメーションの例
ワークフローオートメーションは、テクノロジーを活用して日々のさまざまな業務をサポートします。
- アプリケーションと記録システム間でデータをやり取りし、正確な統合レポートを作成
- リソースの可用性にもとづいてカレンダーを自動入力
- 期日、作業量などの基準をもとに、適切なチームメンバーにタスクを割り当て
- マーケティングプロジェクトの予算変更を財務システムに反映
- 関係者のニーズに応じてレポートをカスタマイズして配信
- 従業員、チーム、部門間の引き継ぎを促進
- 複数のツールやチーム間でタスクの進捗状況を単一基盤で同期
ワークフローオートメーションの手順
ワークフローオートメーションを構築するには、チームメンバーからの意見が重要となります。日常的にワークフローを管理しているメンバーに、それぞれのニーズを確認しましょう。ワークフローオートメーションに取り組むには、次の手順に従います。
1.ワークフローを定義
まず、時間を節約する必要がある箇所を特定しましょう。この段階では、ワークフローをどのように開始し、締めくくるのかといった、ワークフローの起点から終点までの経路を文書化する必要があります。
2.プロセスを決定
ワークフローの起点と終点を定義したら、それらをどのように結びつけるのかを検討する必要があります。特定のワークフローに携わるメンバーと、データを次のポイント(またはメンバー)にどのように引き継ぐのかを考慮しましょう。
3.システム、アプリ、ツールをリストアップ
ワークフローを完了するために必要な共同作業アプリ、共有インボックス、データベース、レガシーコンポーネントを書き出しましょう。これにより、最適な自動化ソリューションを選択できます。
4.入力経路を把握
フォームへの入力、アプリやシステムからの電子メール、リクエスト、データの取得など、日々の業務における入力経路は、ワークフローオートメーションを成功に導くうえで不可欠です。
5.タスクの引継ぎを把握
この段階では、チームメンバー間のタスクの引き継ぎを設定します。特定のタスクの担当者を明確にし、ワークフロー内で誰が、いつ、どのように引き継ぎをおこなうのかを検討しましょう。
6.自動化のニーズを把握
ワークフローを詳細に分析し、改善点が見つかることもあるでしょう。自動化したいタスクや、自動化によって効率化したいタスクをすべて書き出しましょう。
7.ワークフローを改善
最適な自動化ソリューションを導入し、新しいワークフローを構築しましょう。最終的な成果につなげるために、試行錯誤しながらワークフローを改善する必要があります。
8.ワークフローを検証
ワークフローを構築できたら、検証しましょう。各段階を通じて目標を達成できるか、ボトルネックやデータ漏洩などのリスクがないかどうか確認しましょう。
9.チームメンバーをトレーニング
チームメンバーは、ワークフローオートメーションに慣れるための時間が必要かもしれません。チームメンバーが新しいツールを使いこなせるようにサポートしましょう。チームがワークフローオートメーションの経験を有している場合は、最適化された新しいワークフローをわかりやすく説明しましょう。
10.展開、監視、最適化
ワークフローを確立できたら、実行に移します。ワークフローを展開および監視し、必要に応じて最適化することで、生産性と効率性を確保しましょう。
ワークフローオートメーションのソフトウェア
自動化ソフトウェアは、ワークフローオートメーションソフトウェア、ワークフロー管理システム、または単にワークフローシステムと呼ばれることがあります。あらゆる企業に最適なソフトウェアもあれば、特定のニッチなニーズに対応するソフトウェアもあります。いずれにしても、ソフトウェアを選択する際は、いくつかの基本的な要素を考慮する必要があります。
次のような付加価値のあるワークフロー機能を提供するプラットフォームを導入しましょう。
- 統合機能:自動化の範囲を拡大できます
- ノーコードビルダー:ソフトウェアの導入と保守におけるIT部門の負担を軽減します。これにより、プログラミングの知識がなくても、自動化のメリットを最大限活用できます
- 簡素化:使いやすいUIとノーコードソリューションを利用できます
- リアルタイムデータと統合ダッシュボード:レポートを容易に作成できます
- ビジュアルリソースツール:リクエストの優先順位を容易に特定し、作業負荷のバランスを取ることができます
- 組み込みレポート機能:遅延の検証、タスクの監視、改善を促進します
- モバイル機能:場所やデバイスを問わず、いつでも作業できます
ワークフローオートメーションのユースケース
ワークフローオートメーションは、さまざまな業界の企業にメリットをもたらすことができます。特に、次のような業界や部門では、その効果を最大化に発揮できます。
サイバーセキュリティ
サイバーセキュリティは、時間との勝負です。ワークフローオートメーションにより、インシデントへの迅速な対応とプロセスの効率化を実現できます。サイバー攻撃を受けた場合、アラートを自動的にトリガーし、インシデントをトリアージすることで、アナリストは脅威をより迅速に特定して対処できます。また、特定のタイプのインシデントに対して、セキュリティプレイブックを即時に展開することもできます。
金融
金融業界では、数値データや予算策定に携わることが多いため、データ入力はこの業界で最も時間のかかるタスクのひとつです。データ入力だけでなく、口座承認プロセス、有給休暇申請、給与調整、請求書など、さまざまなタスクを自動化できます。クライアントやチームメンバー間で、請求書を容易に送信することもできます。
医療
自動化により、人間の介入なしに、従業員の勤務スケジュールやオンコールローテーションを作成することができます。また、電子健康記録をプロバイダー間で共有することもできます。これにより、医療関係者は書類作業から解放され、患者に迅速に対応することができます。
HR
自動化によるデータの迅速な処理と送信は、HR業界にとって魅力的な機能です。自動化により、タイムシートの承認、オンボーディング、オフボーディング、人事変更の管理などを簡素化できます。
IT
自動化により、ソフトウェア開発パイプラインを整備し、IT部門を支援できます。データの監視、収集、コードの検証、サービスリクエストなどのタスクは、ワークフローソフトウェアで容易に自動化できます。
マーケティング
マーケティング部門は、予算を有効活用し、ROIを最大化する必要があります。ワークフローオートメーションにより、ソーシャルメディア投稿からメールマーケティングに至るまで、煩雑なタスクを簡素化できます。
オペレーション
ワークフローオートメーションを導入すれば、セールス、財務、法務、総務など、人材を部門横断的かつ容易に管理できます。管理者は、各タスクの担当者、対応可能な従業員、各タスクの現状を把握できます。
営業
自動化により、営業部門はより多くのリードを獲得できます。提案の承認、見積もり、webサイトの連携など、手間のかかるタスクを自動化し、リードとのミーティングスケジュールに応じて、チームメンバーのタスクリストを作成できます。
規模を問わないワークフローオートメーション
作業の自動化は、ビジネスプロセスを迅速化し、業務効率と成果を向上させるのに役立ちます。従業員の負担を軽減しながらパフォーマンスを向上できるため、多くの企業が自動化を推進しています。
ワークフローオートメーションを最大限に活用するには、適切なツールが必要です。Adobe Workfrontなら、ワークフローを簡素化し、ビジネスを次のレベルへ進化させることができます。
Adobe Workfrontを利用すれば、施策を高速化し、顧客のニーズの変化に合わせて、計画とタスクの割り当てを迅速かつ的確に調整できます。
直観的なビジュアルリソースと強力な自動化により、タスクリクエストの優先順位を決定し、作業負荷のバランスを取り、各タスクに適切な担当者を割り当てることができます。