eコマースの顧客体験の構築方法
商品やサービスの購入は、対面からオンライン購入へと移行していますが、eコマースを提供するだけでは成長を促進することはできません。顧客はeコマースのCX(顧客体験)に大きな期待を寄せています。そのため、企業は顧客が使いやすく楽しめる、手間のかからないeコマースCXを実現する必要があります。
この記事では、eコマースCXとは何か、どのように改善すればよいのかについて、4つの重要な戦略を含めて解説します。
eコマースCXとは?
eコマース体験とは、デジタルコマースでのやり取りをもとに、オーディエンスが企業に対して抱く認識のことを指します。 CX全体のひとつの要素であり、顧客が企業との関わりを維持し、再購入するかどうかに影響します。
eコマース体験は、単にオンラインで商品やサービスを購入することに限定されません。顧客と企業との間のあらゆるデジタル接点が関わっています。 商品の購入、チャットボットによる質問、アフターサポートでのメールフォームの入力など、さまざまな顧客接点が含まれます。
そして、その体験は、売上や会社の成功に著しい影響を与える可能性があります。たとえば、商品ページの操作やモバイルデバイスでの閲覧に問題があれば、顧客は不満を懐いて競合他社から購入する可能性があります。その逆もまた然りで、eコマースCXが優れていれば、競合他社よりもビジネスを優位に進めることができます。
企業にとって、eコマースCXの機会には、次のようなものがあります。
● ソーシャルメディアでのエンゲージメント
● メールマーケティング施策
● オンライン購入プラットフォーム
● 顧客サービスの品質
これらはeコマースCXのかなりの部分を占めており、eコマースの成功ためにはどれも不可欠です。
eコマース体験を向上させる方法
顧客体験を向上させるための最初のステップは、既存のトラブルを解決することです。ネガティブなCXは、オンライン販売に深刻な影響を与える可能性があります。 次のような顧客の悩みが、CXに存在しないか調べてみましょう。
● 購入時にアカウント設定が必要
● 低画質または画像サイズが小さい
● モバイルサイトのデザインに統一感がない
● 操作が複雑
● カスタマーサービスのレベルが低い。カスタマーサービスを見つけにくい
● エラーメッセージや機能が貧弱
● チェックアウトに時間がかかる
● 支払い方法が限定されている
これらの課題を解決することは、ブランドロイヤルティを高め、顧客を呼び戻して購入につなげることに大きく貢献します。オンラインCXを向上させるための新たな戦略に着手する前に、小さな不具合がないか確認してください。
サイトがスムーズに動作していることを確認したら、eコマースCXを向上させるための戦略に取り組み始めます。フィードバックを集めれば集めるほど、独自のベストプラクティスや戦略を開発することに役立ちますが、いくつか実績のある戦術があるので、それを参考にして始めてください。
1.隅々まで気を配った商品コンテンツの制作
eコマースCXを構築する最良の方法の1つは、正確で徹底した製品コンテンツです。質の高い商品コンテンツは、新規顧客を引き寄せ、購入者に商品について情報を提供し、企業に対する期待を高め、購入プロセスにおいて顧客が抱くであろう疑問や懸念に対する回答を提供します。
- 画像: 商品の詳細やさまざまな角度の高品質な画像で、商品をわかりやすく、魅力的に紹介します。色や生地が異なるなどする場合は、それぞれについて説明します。
- コピー: 商品説明とブランドメッセージを正確に反映したコピーを制作します。どのチャネルでも一貫性を保つようにします。
- レビュー: レビューに目を配りましょう。優れたレビューは高く評価し、商品ページやソーシャルメディアチャネルで目に留まるようにします。 否定的なコメントには、適切なカスタマーサービスで対応するようにします。
コンテンツの種類によって、商品をアピールする方法は異なります。別の種類や新しい組み合わせを試して、自社とオーディエンスにとって最も効果的な商品コンテンツ戦略を見つけましょう。
2.カスタマーサービスとサポートの簡素化
CX品質の低下を防ぐには、顧客が購入する際に問題にぶつかったり、疑問が生じた場合に、企業にすぐに連絡できる方法を提供することが重要です。顧客は、顧客サービスの次のような要素を重視しています。
- 適時性: 消費者は、カスタマーサポートの問い合わせへの対応が迅速であることを期待しています。担当者がすぐに対応できない場合は、1時間以内に自動応答またはAIを使った応答を送信し、24時間以内に実際に回答するか、折り返し電話をかけるようにしましょう。
- 一貫性: 顧客は、取引の際には一定の期待値を持っています。webサイトを訪問するたびに少なからず変化があると、顧客はやがては訪問しなくなるかもしれません。
- 人間的な要素: 生身の人間と話すことができるオプションは、多くの顧客にとって不可欠です。
- オムニチャネルのサポート: 顧客が最も使いやすいチャネルやデバイスを使って連絡できるように、オプションを提供しましょう。
- 連絡しやすさ: 連絡しやすい環境を整えます。サポートを受けるがほとんど不可能な企業も多く、顧客はそうした企業を敬遠します。
このようなメリットを提供し、利用者へのサポートを提供する方法はいくつかあります。
問い合わせページ
webサイトに最新の問い合わせページがあれば、カスタマーサポートのプロセスはシームレスになります。問い合わせページには、次の項目を必ず記載してください。
- メールフォーム:メールフォームを利用し、顧客が迅速かつ容易にメッセージを送ることができるようにします。
- ソーシャルメディアサイト:ソーシャルメディアで企業と関わることを好む顧客もいます。 自社に適したソーシャルメディアプラットフォームで、積極的にプレゼンスを示すようにしましょう。
- 会社の電話番号:今でも多くの顧客は、電話で実際の人間と話したいと思っています。 必ず電話番号を記載しておきましょう。
- チャットボットのサポート: チャットは、電話をかける時間がなく、折り返し電話やメールの返信を待ちたくない顧客にサポートを提供するための容易な方法です。
CXのパーソナライゼーション
パーソナライゼーションは、あらゆる顧客接点において重要ですが、特にカスタマーサービスチームにとって重要です。リアルタイムで顧客プロファイルを管理するCRM(顧客関係管理)ツールを利用して、社内のあらゆるメンバーが、サポート対象の個人に関する最新のデータとインサイトを入手できるようにしましょう。 また、顧客データを活用して、チャットボットの返信やメールの回答などをパーソナライズすることも可能です。
セルフサービスオプション
AIを搭載したチャットボット、FAQ、フォーラムなどのセルフサービスオプションを顧客に提供しましょう。セルフサービスオプションは、多くのユーザーに、質問に対する答えや問題に対する解決策をほぼ即座に提供することができます。 これは、優れたCXであり、企業に対する非常にポジティブな印象を生み出します。しかもどの部門も時間を使う必要がありません。
顧客満足度調査
購入後、顧客に簡単なアンケートを実施し、購入体験に関する感想、印象、アイデアなどを共有してもらいましょう。このアンケートは、顧客の購買体験の質を重視していることを示すものであり、ブランドの信頼度とロイヤリティを高めます。また、顧客体験をさらに向上させ、より大きな収益拡大を促進するための、将来を見据えた変更に対する重要なインサイトを獲得することができます。
3.ソーシャルメディアへの参加
優れたCXを提供することは、ソーシャルメディアも含めて、顧客がアクセスしている場所で対応することを意味します。企業とのあらゆるデジタルタッチポイントは、eコマースCXの一部です。 ソーシャルメディアのベストプラクティスに従って、オーディエンスと可能な限り最高のエンゲージメントを築きましょう。
- ソーシャルメディアチャネルでも、オンラインや店舗でのCXと同様のサービスや対応を受けられるようにしましょう。
- ソーシャルメディアからの問い合わせに対応する部門を決め、あらゆる顧客に迅速に対応できるようにします。CXをよりスムーズに成功に導くために、この部門の従業員を、問題が発生した場合に対応できるようにトレーニングします。
- ソーシャルメディア上で顧客から問い合わせがあった場合に、その顧客のアカウントを検索して、その顧客が誰で、何を購入したかを正確に把握できるように担当部門のメンバーをトレーニングすることで、よりパーソナライズされた効率的なやり取りが可能になります。
- ソーシャルメディアアカウントを常に最新の状態に保ち、変更点、最新の施策、特別オファーなどを定期的に投稿しましょう。
- チャットやダイレクトメッセージを有効にすることで、顧客からの問い合わせにスムーズに対応できます。
4. webサイトのユーザーエクスペリエンスの最適化
オーディエンスがどんなに多くのチャネルや顧客接点を経由しても、企業のwebサイトがデジタル本部であることに変わりはありません。UX(ユーザーエクスペリエンス)が完璧でなければ、顧客は競合他社を探しに行ってしまいます。
サイトのUXを評価するカテゴリーは4つあります。
モバイル対応の最適化
モバイルコマース(mコマース)は、現在も急速に拡大しています。Insider Intelligenceの調査によれば、2025年までに米国における小売eコマースの売上のうち、モバイルコマースが44.2%に達します。レスポンシブでモバイルフレンドリーなwebサイトは、すでにオプションではなくなっています。
モバイルサイトが操作しにくかったり、デバイスで正しく動作しなかったりすると、顧客は別の場所で購入してしまいます。サイトのデザインがレスポンシブであること、そして読み込みが速いことを確認しましょう。 サイトをテストするには、Googleが無料で提供している「モバイルフレンドリーテスト」が優れた方法です。サイトに問題があれば、Googleのツールがそれを教えてくれます。
押し付けがましいマーケティング戦術の削減
ポップアップ、広告、自動再生動画などは、ショッピング体験の邪魔をして台無しにしてしまいます。しかし、これらの戦略の中にはコンバージョン率が高いものもあるため、これらを使用するかどうかに関しては賛否あります。
解決策は、webサイトでは広告を最小限に抑え、ポップアップを戦略的に使用することです。利用者がサイトを初めて訪問したときに、ページのコンテンツをブロックするインタースティシャル広告は迷惑です。 しかし、出口意図 ポップアップは失うものが少なく、注目を集めるための効果的な戦略になる場合があります。スプリットテストを利用して、どの方法が効果的かを判断し、それ以外の方法は中止します。
シームレスなチェックアウト体験の設計
利用者が購入の意思決定をしたら、webサイトではできるだけすぐにチェックアウトプロセスを完了させる必要があります。購入のために長いフォームに入力する必要があったり、アカウントを作成する必要があったりすると、利用者は飽きたり疲れたりして、ショッピングカートを放棄してしまします。
チェックアウト時にアカウントを作成するオプション を提供しても、必須にしてはいけません。 また、ワンクリックでチェックアウトできるツールや統合機能を利用することも検討しましょう。
柔軟な支払い方法
顧客はeコマースで購入した商品の支払い方法について、自身のニーズに合った選択肢があることを期待しています。
- できる限り多くの選択肢を提供する: 顧客には、できるだけ多くの異なる支払い方法を提供しましょう。Apple Pay、PayPal、デビットカードやクレジットカードなど、人気のある支払い方法は最も重要です。 ほかの決済ポータルを提供できる場合は、それらも追加しましょう。 Google Pay、Zelle、Amazon Payなど、さまざまな選択肢を検討しましょう。
- ファイナンスを提供する: 商品やサービスが高額の場合、サイトで融資や支払いオプションを提供しましょう。Bread、Kata pult、After payは、商品ページで提供できるオプションの一例です。
より優れたeコマースCXを始める
多忙なデジタルマーケターにとって、eコマースCXは付加価値ではなく、商品の一部です。優れたCXは、生涯にわたるブランドロイヤルティを獲得することができますが、一回のネガティブは体験で顧客を永遠に失ってしまうこともあります。
まず、自社のeコマースCXの状態と、それが現在どのように機能しているかを評価するのに時間をかけてください。まず、どのデジタルチャネルでも、優れたユーザーエクスペリエンスを大きく妨げている可能性があるものを修正することから始めます。
次に、Adobe Commerceを活用して、eコマースCXを最大化します。Adobe Commerceには、強固でスケーラブルなバックエンド、AIを活用したインサイト、オムニチャネルコマース機能、大規模なパーソナライゼーションなど、必要なものがすべて含まれています。
Adobe Commerceがオーディエンスの期待を上回るeコマースCXの実現にどのように役立つかを概要動画でご確認ください。