製品ロードマップ:概要と構築方法

A professional creating a product roadmap

新製品開発をコンセプトから始めて完成にこぎつけることは容易なことではありませんが、製品ロードマップはその助けとなります。製品ロードマップを利用すれば、戦略的なビジョンを関係者と共有し、製品をオーディエンスに届けるために必要な各ステップを図式化することができます。 製品ロードマップは、情報を一元化し、部門横断的な連携を促進することで、製品開発作業を効率化することができます。 また、顧客の関心を高め、外部関係者に製品ビジョンを示して信頼を得ることができます。

しかし、どのように構築すればよいのかわからず、今すぐ必要なソリューションなのか判断できないこともあります。この記事では、製品ロードマップが必要な理由と構築方法などについて解説します。

製品ロードマップとは?

製品ロードマップとは、ある製品が時間とともにどのように発展していくかを示した図解です。 製品を支えるビジョンと製品完成までのプロセスを示す共通の情報源として機能します。

A product roadmap example

製品ロードマップは、各部門や関係者向けの構想図として機能し、それぞれの部門が特定の目標に集中しつつ、全体的な優先順位を理解するために必要な詳細を示すことができます。製品ロードマップは、プロダクションプロセスを示すだけでなく、製品の背後にある意図を伝えることもできます。 営業部門は、顧客と関わる際に製品ロードマップを示し、製品の特徴や利点、今後の開発に期待できることなどを伝えて顧客の関心を高めることができます。

製品ロードマップが必要な理由

巧みに構成された製品ロードマップは、プロダクトマネージャーにとって貴重なツールです。有形無形の多くの利益をもたらし、リーダーが目標を達成するのを支援します。

製品ロードマップの種類

製品ロードマップは、3種類に分類できます。それぞれの種類は、特定のレイアウトデザインとビジュアル要素を使って情報を共有します。

ステータス指向の製品ロードマップ

Status-orients product roadmap

ステータス指向の製品ロードマップでは、プロジェクトを「今」「次」「その後」の3つのフェーズに分けます。この製品ロードマップは、製品開発の進捗状況を迅速かつ容易に把握できるように設計されています。 ロードマップの成果物は、主要指標と戦略目標に結び付けられています。 ステータス指向のロードマップでは、単一の機能または製品ポートフォリオのリリース予定に関する情報を提供することができます。

テーマ指向の製品ロードマップ

Theme-oriented product roadmap

テーマ指向の製品ロードマップは、生み出される価値を強調するもので、具体的な成果物を示すものではありません。解決すべき課題をひとつまたは複数個組み合わせて記述することで、戦略とその方向性を示します。 各テーマの期間は、通常、1四半期で、全体的な戦略に関連するエピックを取り上げます。

成果志向の製品ロードマップ

Outcome-oriented product roadmap

成果志向の製品ロードマップは、製品開発やプロジェクトの各段階で達成を目指す成果を記述するものです。このロードマップは、各ステージにおける成功について明確に定義することで、各部門や関係者に対する期待値を設定します。 期待される成果を達成するために、各部門が解決策を考案する余地が大きく残されています。

部門ごとの製品ロードマップの利用方法

組織の各部門は、製品ロードマップをさまざまな方法で利用します。各部門の責任を細分化することで、製品ロードマップにおける独自の役割に集中できるようになります。

製品開発チーム

製品開発チームは、製品ロードマップを利用して進捗状況を把握します。製品ロードマップには、現在どのような作業が進行中で、いつまでに完了するかという情報が含まれています。 通常は、期限、マイルストーン、部門の各メンバーに割り当てられた作業負荷も含まれています。 また、目標とする顧客価値など、作業指針となる上位レベルのプロジェクト情報が含まれることもあります。

経営陣

経営陣は、製品ロードマップを企業戦略の策定に活用します。経営陣は、現在のプロジェクト群が、会社の目標達成に向けた幅広い取り組みの中で、どのように関連しているかを確認したいと考えます。 そのために、製品開発の目的や、その完成が会社にとってどのような意味を持つかといった上位レベルの情報を盛り込むこともあります。

また、経営陣は目標達成の進捗状況を把握したいと考えます。そのため、製品ロードマップを期間ごとに区切ります。 週、月、四半期ごとにマイルストーンと指標を設定し、経営陣が成功基準に利用できるようにします。

営業部門

営業部門は、コンバージョンを促進するための参考資料として、製品ロードマップを利用しています。製品ロードマップを有効に活用するためには、顧客の関心を引くような製品やサービスの新機能、利点、特典、変更点などについて、あらゆる情報を含める必要があります。

しかし、新製品や新機能の展開について、期限を確定したものとして示すことは避けるべきでしょう。確定した期限を提示すると、顧客に非現実的な期待を与え、製品開発チームに過度の負担をかけることになります。

カスタマーサポート部門

カスタマーサポート部門は、顧客体験と顧客維持を向上させるために製品ロードマップを利用します。カスタマーサポート部門は、どのような機能がいつから使えるようになるのか、顧客にとって何が有益なのかを知りたいと考えます。 新製品の機能に関する具体的な情報で顧客の期待を高め、製品への関心を維持することができます。

マーケティング部門

マーケティング部門の主な目的は、製品ロードマップを利用して、顧客や外部の関係者の関心を高めることです。ほかの部門とは異なり、マーケティング部門は製品ロードマップのあらゆる面を確認したいと考えます。 戦略やスケジュールから具体的な目標に至るまで、どんな情報でもマーケティングに役立つ可能性があります。 マーケティング部門では特に、新製品の特徴や機能が顧客にどのような利点をもたらすかに関心があります。

ソフトウェアエンジニアリング部門

ソフトウェアエンジニアは、製品ロードマップを利用するために、製品の背景にある「誰が」「何を」「なぜ」を把握する必要があります。上位レベルの戦略と、それを実現するための意思決定について把握する必要があります。 また、実現しようとしている特定の機能について把握する必要があります。 これらの情報があれば、目標を達成するために必要な開発タスクに対処することができます。

Product roadmap creation

製品ロードマップの構築責任者

組織構造にもよりますが、プロダクトマネージャーやプロダクト管理部門が、製品ロードマップの構築と更新、掲載する情報を決定する責任を負います。しかし、製品ロードマップは最終的には共通資産であり、関係者全員の意見を取り入れることによって最も効果的に機能するようになります。

製品ロードマップの構築方法

製品ロードマップは、その目的にかかわらず、次の要素で構成されます。

以上が製品ロードマップの中核となる要素です。次にロードマップを構築するため主要なステップについて解説します。細部は企業や業界の諸条件によって異なりますが、構築を始めるために必要なことは、次の通りです。

1. 製品ビジョンと製品戦略の策定

製品ロードマップを構築するためには、まず製品の背景にある「なぜ」、つまりビジネス目標を支援する理由を把握する必要があります。製品開発の動機を明確にすることで、製品ビジョンを確立することができます。 製品ビジョンを描くためには、次のことを考慮する必要があります。

しっかりとした製品ビジョンがあれば、製品戦略を構築することができます。製品ビジョンが「なぜ」を扱うのに対し、製品戦略は「どのように」を扱います。まず、製品やサービスを市場に投入するために必要なリソースや一連の流れを考えることから始めます。

Product roadmap scheduling

2. 目標の評価と設定

製品戦略の背景となる理由が決まったら、目標を明確にします。目標は、具体的で、測定可能で、リソースの制限内で達成できるものでなければなりません。 この目標設定のプロセスでは、製品で解決できる課題と、このプロジェクトの範囲の課題の優先順位を決める必要があります。

目標を設定するには、予測される作業範囲をいくつかの期間に分割します。翌週、翌月、翌四半期に何を達成する必要があるかに注目します。 その先、何を実施する必要があるかを予測するのは難しいかもしれません。 短期と中期の目標を設定することで、将来起こりうる変化に対応できる柔軟性を確保します。

3. 社内関係者の期待値の調整

ある部門が製品ロードマップの目的や目標を理解していても、ほかの部門や関係者は理解していないかもしれません。理解が乏しい部門や製品ロードマップを利用するあらゆる関係者たちとのミーティングを設定しましょう。 製品ロードマップの目的、組織に対して果たす役割/果たさない役割などについて説明しましょう。 成功を定義する指標やKPIを設定し、それを達成できたらどうなるか、達成できなかったらどうなるかなどについて確認します。

このような議論を進めるうちに、製品ロードマップのいくつかの側面を見直す必要が出てくるかもしれません。また、顧客と接する部門からは、これまでに特定された課題よりも差し迫った課題が提出されるかもしれません。 このようなチームビルディングのための話し合いにより、プロジェクトに関わるあらゆる関係者の期待値を知ることで、プロジェクトに継続的に取り組みやすくなります。

4. 製品の特徴や要件の定義

戦略が整えば、製品の機能と要件を定義することができます。製品にどのような機能を盛り込み、どのような性能を求めるかを決めるには、次のことをおこなうとよいでしょう。


この情報は、ターゲットオーディエンスが求めている機能を設計するのに役立ちます。いくつかのリリースにまたがってロールアウトされる機能が、同じようなテーマに沿っている場合は、エピックに整理することができます。


また、ユーザーストーリーを作成することで、追加する製品や機能を決定しやすくなります。ただし、顧客がどのようにリリースに関与するかを十分理解するために、顧客対応チームと相談する必要があります。

5. リリース日の設定

製品の機能セットが決まったら、いつリリースするかを決めます。プロダクション部門と相談しながら、リリース日を決めましょう。 プロダクション部門に非現実的な期限を迫ったり、オーディエンスに間違った期待を抱かせないようにしましょう。

6. 製品ロードマップ形式の選択

製品ロードマップに含める情報が決まったら、それを提示する形式を選択する必要があります。適切な形式を決めるには、まずいくつかの基準を決める必要があります。ロードマップを利用するオーディエンス、共有する情報の種類、オーディエンスが必要とするのは具体的な情報か全体像かなどを基準にします。

製品ロードマップには、主に3つの形式があります。

Product roadmap format

製品ロードマップの構築を支援するツール

製品ロードマップは、プロジェクトの背後にあるビジョンを社内部門や外部のオーディエンスに明確に示すことができます。また、プロジェクトを支援するための作業や、残っているタスクも図示します。 要するに、製品ロードマップは、製品の成功例をわかりやすく示すものであり、製品に対する関心を高め、製品への信頼感を維持するために活用することができるものです。

製品ロードマップの構築を始めるには、プロジェクトの目標と会社全体の戦略を明確化にします。これは、新製品やサービスだけでなく、既存の製品についてもおこなうことができます。 いずれにせよ、目標は部門間で認識を揃えるものです。 このような事前準備が整ったら、製品ロードマップ構築の共同作業を追跡、整理、共有するソフトウェアの検討を始めます。

Adobe Workfrontは、複数部門にまたがるデータ、プロセス、テクノロジーを統合し、製品ロードマップを構築、管理できるエンタープライズ作業管理ソフトウェアです。デジタルプロジェクトを最適化し、一元管理することで、全員が同一のデータと期待値にアクセスできるため、どこからでも連携し、共同作業をおこない、期限までに作業を完了することができます。 Adobe Workfrontであれば、製品開発のライフサイクルを最初から最後まで管理することができます。

概要動画または製品ツアーで、Adobe Workfrontが製品ロードマップの設計と最適化にどのように役立つかをご確認ください。