リーダー職の採用を検討している場合でも、自身のキャリアの次の一手を考えている場合でも、プログラムマネジメントとプロジェクトマネジメントの違いを理解することは極めて重要です。どちらの役割もチームを率いて施策を推進する点では共通していますが、業務範囲や責任、組織への影響は大きく異なります。
どちらの役割も組織の成功に欠かせません。プログラムマネージャーは戦略を策定し、プロジェクトマネージャーはその戦略を着実に実行します。本記事では、それぞれの違いや主な責任、そして両者がどのように連携して成果を生み出すかを詳しく解説します。この記事の内容:
プログラムマネージャーとプロジェクトマネージャー
プログラムマネージャーもプロジェクトマネージャーも、いずれもリーダーとしての役割を担い、チームを管理します。両者の主な違いは、担当する業務の種類とタイムラインにあります。プロジェクトマネージャーとプログラムマネージャーの違いを大まかに理解したい場合、プロジェクトは小規模(ミクロ)、プログラムは大規模(マクロ)と捉えると分かりやすいでしょう。
プログラムマネージャーは、組織全体の方向性に関わる大局的な業務を担当します。業務はより上位レベルで、組織全体の方向性に焦点を当てています。プログラムマネージャーは長期的な戦略に注力するため、業務の期間は継続的です。彼らは、より大規模な企業施策を支援しており、方向性が変わるのは四半期単位や年単位であることが一般的です。
一方、プロジェクトマネージャーは、終了日が明確に定められた個別のプロジェクトを担当します。彼らは、構造化され、体系的に整理された具体的な成果物の管理を担います。プロジェクトマネージャーの業務範囲は、プログラムマネージャーよりも限定的です。また、その業務期間は定められており、予算に基づいて管理されます。プロジェクトが完了すると、プロジェクトマネージャーは次の案件へと移行します。
プログラム管理とは?
プログラムは、企業の戦略的な目標を支えるものであり、通常はより恒常的に運用されます。プログラムを策定する際、企業は長期的な目標を年間施策に落とし込み、それが組織内の各プロジェクトの方向性や内容に影響を与えます。プログラム管理では、組織の年間目標を、より小規模ながらも上位レベルの実行可能なプログラムに分解します。
プログラム管理の目的は、ビジネスの最適化を図ることです。プログラムマネジメントは、チェンジマネジメントの原則やデジタルトランスフォーメーション にも関わりながら、非効率を能動的に発見・解消する役割を担います。競争優位を目指す企業の多くは、将来に備えた体制づくりと部門横断的な意思決定を支えるために、プログラムマネジメントへ投資しています。
プログラムマネージャーの業務は継続的で、複数のプロジェクトを含み、企業の重要な施策を支援します。一方、プロジェクトマネージャーは、開始日と終了日が定められた具体的な成果物に注力します。
プログラムマネージャーの役割とは?
プログラムマネージャーは、こうした上位目標を統括する役割を担っており、プログラム全体を支援するために、複数のプロジェクトを並行して担当することが一般的です。プログラムは組織全体の方針を支えるものであるため、プログラムマネージャーが必要に応じて注力する領域を柔軟に切り替えるのは珍しいことではありません。プログラムマネージャーの業務は、期限に縛られることが少なく、明確な終了時期が定められていないのが一般的です。
プログラムマネージャーの役割は、組織の目標に応じて変化しますが、通常は以下のような業務を統括します。
- 経営陣(C-suite)の目標をもとに、達成に向けたプログラムを設計・構築する
- 各プロジェクトをレビューし、アドバイスする
- 監査や品質管理を実施する
- プロジェクトマネージャーと連携してプログラムを推進する
- 企業の戦略的方向性や将来的なビジョンを統括する
- 多様な関係者のニーズを調整し、「接着剤」としての役割を果たす
- プログラムの目的達成に向けて業務運営を改善する
- リスクを可能な限り低減する
- プロジェクトマネージャーおよびそのチームに対して指導と支援を提供する
プログラムマネージャーには、大局的な視点で物事を捉える力が求められます。細部の作業や目先のゴール達成にとらわれがちな人々とは異なり、プログラムマネージャーはその先を見据えています。彼らは先を見据えて思考し、組織全体をより大きな目的のもとに鼓舞し、動機づけ、結束させる存在です。
プロジェクト管理とは?
プロジェクト管理 とは、計画・指導・進捗管理を通じて、タスクを確実に遂行するための取り組みです。プログラム管理と同様、プロジェクト管理も組織の目標に基づいて行われます。ただし、プログラムとは異なり、プロジェクトには明確な終わりがあります。明確な構造があり、整理されていて、定量的に評価可能です。
プロジェクトでは、SMART目標設定フレームワークがよく用いられます。これは、目標が具体的(Specific)、測定可能(Measurable)、達成可能(Achievable)、関連性がある(Relevant)、期限が明確(Timely)であることを意味します。プロジェクトには、以下の要素もあります。
- 開始日と終了日
- 明確に定義されたチームメンバー
- 組織化された業務プロセス
- 設定されたタイムライン
- 予算の制約
ほぼすべての業界で、業務遂行のためにプロジェクトマネジメントが活用されています。IT、マーケティング、人事、グラフィックデザイン、ファイナンスなど、これらの分野で採用する側であっても、キャリアを目指す側であっても、プロジェクトマネジメントのスキルはほぼ必須といえるでしょう。
プロジェクトマネジメントといっても、すべてが同じというわけではありません。業種やチームの働き方によっては、複数のプロジェクトマネジメント手法を使い分ける必要がある場合もあります。代表的な手法には、次のようなものがあります:
- アジャイル手法
- カンバン手法
- ウォーターフォール手法
- スクラム手法
- シックスシグマ手法
- ハイブリッド
プロジェクトマネージャーの役割とは?
プログラムマネージャーと同様、プロジェクトマネージャー は、異なる専門性を持つメンバーを結集し、協働を促す強力なリーダーシップを発揮します。プログラムマネージャーが戦略に重点を置くのに対し、プロジェクトマネージャーの責任はよりタスク指向です。
プログラムマネージャーは、単一の高次戦略に注力する傾向がある一方で、プロジェクトマネージャーは複数のプロジェクトを同時に管理することが一般的です。
プロジェクトマネージャーには、以下の責任があります。
- プログラムマネージャーの目標を具体的な実行計画に落とし込む
- 目標達成に向けて最適なチームを編成する
- タスクを効果的に割り当てる
- 予算を立て、適切に運用する
- 潜在的リスクを軽減する
- 効果的なコミュニケーションによって、チームの認識を統一する
プロジェクトマネージャーを採用する場合でも、自ら目指す場合でも、成功に欠かせない資質は次のとおりです。
- 組織力
- コミュニケーション力
- 時間感覚
- 予算管理力
- 対人スキル
- 変化への適応力
プロジェクトマネージャーは、チーム内だけでなく、外部関係者との円滑なコミュニケーションも担います。プログラムマネージャーとは異なり、プロジェクトマネージャーは必ずしも全体像に気を配る必要はありません。明確なゴールを設定し、チームとともにその達成に向けて全力で取り組みます。プロジェクトマネージャーは多忙を極めますが、ビジネスを機能させるために必要な細かなタスクにこそ注力します。
プログラムマネージャーとプロジェクトマネージャーの主な違い
この2つの役割の違いを詳しく見てみましょう。
プログラムマネージャーとプロジェクトマネージャーはどのように連携するか
プログラムマネージャーとプロジェクトマネージャーは、ライバルではなく、組織の成功を共に目指すパートナーです。プログラムマネージャーは戦略的な方向性を定め、全体を導きます。一方、プロジェクトマネージャーは、プログラムの目標達成に向けて、個々のプロジェクトを遂行します。両者は密接に連携し、情報を共有しながらリソースを管理し、プロジェクトの成果物とプログラムの目標が一致するよう調整します。
共通のスキルと責任
重点領域は異なるものの、プログラムマネージャーとプロジェクトマネージャーには共通する重要なスキルが数多くあります。
- リーダーシップ: どちらの役割も、チームを鼓舞し、意思決定を導き、課題を乗り越えるための高いリーダーシップ力が求められます。
- コミュニケーション: 両者にとって効果的なコミュニケーションは不可欠です。関係者への情報共有、期待値の調整、そして目標との整合性を保つために重要な役割を果たします。
- 戦略的思考: プログラムマネージャーには、プログラムの目的を明確にし、ビジネス目標と整合させるための高い戦略的思考力が求められます。プロジェクトマネージャーには、プログラムの枠組みの中で効果的にプロジェクトを計画・遂行するための戦略的思考力が求められます。
- リスク管理: 両者とも、プロジェクトやプログラムの成功に影響を及ぼす可能性のあるリスクを特定し、適切に管理する役割を担います。
- 問題解決力: 両者とも、高い問題解決力が求められます。課題への対応、対立の解消、プロジェクトの軌道維持などにおいて重要な役割を果たします。
プログラムおよびプロジェクト管理に役立つツール
優秀なプログラムマネージャーやプロジェクトマネージャーであっても、業務の複雑さに対応するには支援が不可欠です。幸いにも、適切なツールを活用すれば、成果物を期限内かつ予算内で確実に完了させることができます。
現在使用しているツールについて、次の点を自問してみましょう。
- ワークフローを簡素化しているか、それとも複雑にしているか
- チーム同士をつなぎ、業務を効率化できているか
- プログラムマネージャーとプロジェクトマネージャーが、それぞれの業務を戦略目標に沿って調整できているか
- 柔軟性と拡張性を備えているか
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