動画マーケティング
用語集:用語
クイック定義
動画マーケティングとは、ブランドやメッセージ、製品、サービスに関するプロモーションに動画を利用することです。
重要ポイント
● 動画マーケティングは、デジタル過多の世界において、ブランドが顧客とつながり注目を集めるために、感情的な訴求力のある方法です。
● 戦略的な動画マーケティングでは、ブランドの目標や指標、セールスファネルにおける顧客の位置などを考慮します。効果的なオーディエンスターゲティングのためには、動画をどこに設置し、どのようなコンテクストで表示するのかを決めることが重要です。
● ダイナミック動画や、ブランド間の直接的なパートナーシップの進展により、動画のパーソナライゼーション、オーディエンスターゲティング、ユーザーエクスペリエンスの向上が期待されます。
動画マーケティングに関する様々な疑問に、Ryan Fleischが回答します。Ryanは、顧客データ管理基盤であるAdobe Audience Managerと、Adobe Real-Time CDPのプロダクトマーケティング担当責任者です。現在の職務に加え、ソリューションコンサルティングおよびコンテンツマーケティングの分野において15年の経験を持ち、広告テクノロジーの進化や業界動向に広く精通しています。
動画マーケティングを効果的に利用するためには、どうすればよいですか?
動画マーケティングをSEOに活用するにはどうすればよいですか?
質問:動画マーケティングとは何ですか?
回答: 動画マーケティングとは、ブランドが製品やサービスを宣伝するために使用する様々な種類の動画を網羅する広範囲の用語です。いくつかの例を紹介します。
動画バナー広告 は、ランディングページやwebサイトに広告として表示されます。
プレロール広告、ミッドロール広告、ポストロール 広告は、オンライン動画やソーシャルメディアに投稿された動画の前、途中、後に再生されます。
TVの広告動画 は、従来のコマーシャルとして、リニアテレビやストリーミングサービスで放映されます。
ライブ動画 は、イベントや対談、製品発表などをリアルタイムで配信します。
スポンサー動画 は、「この動画は…によって提供されています」という免責事項を見ればすぐにわかります。このカテゴリーには、企業や商品に関する説明動画も含まれます。
プロダクトプレイスメント は、映画やドラマなどの映像に企業のブランドや商品をさりげなく配置する、動画マーケティングの一形式です。
質問:なぜ動画マーケティングが重要なのですか?
回答: 動画マーケティングは、人々の様々な感覚に訴えかけ、感情的に惹きつけることのできるエクスペリエンスを提供できるからです。ソーシャルメディアをスクロールしながら投稿をながめる時間は非常に短く、指を鳴らすのにかかる時間と等しいと言われています。動画の動きは、瞬間的かつ自然に人々の注意を惹きます。読んだり聞いたりするだけのコンテンツよりも、動画で見たコンテンツのほうが、記憶に残ります。
質問:動画マーケティングの戦略はどのように策定するべきですか?
回答: 動画マーケティングキャンペーンをおこなうための最初のステップは、目標を決めることです。自社の動画を見た人に、何を感じてもらい、どのように反応してもらいたいのかを決定します。目標と同時に、指標も決めましょう。コンバージョン率、クリックスルー率、動画再生回数、CTAに従った閲覧者の割合など、動画の効果をどのように測定するのかを決定します。このふたつによって、メッセージの内容と、どのようなタイプの動画コンテンツを制作する必要があるのかが決まります。
また、ターゲットオーディエンスがセールスファネルのどの部分に位置しているのかは、デジタルマーケティング戦略に影響します。ブランドとの関係が始まったばかりのファネルの一番上に位置するのか、常連顧客としてファネルの最下部に位置するのか、それらの中間に位置しているのかによって、制作するべき動画コンテンツが異なります。
ファネル最上部の潜在顧客は、感情面で動かされる割合が大きいといえます。ブランドを初めて紹介する場合、潜在顧客にテクノロジーに関するメッセージを過剰に伝えたくはないはずです。潜在顧客がコンバージョンファネルを通過するとき、動画コンテンツはそのマインドセットを変える機会となるため、次のファネルの動画マーケティングメッセージは、潜在顧客の疑問に答え、より多くの情報を提供するようにします。オーディエンスがリピート顧客の場合は、ブランドとのつながりを育成するために、メッセージはふたたび感情的なものに回帰するでしょう。
制作するコンテンツの種類が決まったら、次はそれをどこに配置するかを考えます。一般的な認知度を高めるには、あまりターゲットを絞らず、テレビのような媒体で十分です。特定のペルソナをターゲットにしてコンバージョンを狙う場合は、より集中的にアプローチする必要があります。自社のリタゲーティングの仕組み、どのような消費者にリーチしたいのか、どこでターゲットオーディエンスにリーチできるのか、といったことを検討します。
最後に、動画マーケティング戦略は、コンテクストを考慮せずには完成しません。コンテクストはマーケティング全般で重要ですが、動画では特に重視するべきです。顧客が動画の視聴を広告で中断された際に、どのような動画を視聴していたのか、バナー動画が表示された際にどのようなwebサイトを閲覧していたのか、といったことが重要です。ブランドを、上質で関連性の高いコンテンツと結びつけましょう。
質問:動画マーケティングを効果的に利用するためには、どうすればよいですか?
回答:マーケティングキャンペーンの目標や目的を達成するためには、十分な量のコンテンツを制作する必要があります。その量は、全体的な戦略に応じて異なります。実際の俳優を必要としないアニメーションや、ストック映像、アーカイブ映像などのコンテンツを制作することで、動画制作の量を増やしスピードアップすることができます。
テクノロジーパートナーを通じて、あるいは他企業との直接的な関係を通じて配信ネットワークを構築し、動画を適切な人々の目に止まるようにしましょう。
質問:どのような企業が動画マーケティングを利用すべきでしょうか?
回答: あらゆる企業に適しています。TVが発明されて以来、動画はデジタルマーケティングの欠かせないツールになっています。テクノロジーの進歩により、あらゆる業界の企業が、オーディエンスに合わせてコンテンツを最適化できるようになります。
質問:動画マーケティングをSEOに活用するにはどうすればよいですか?
回答: 検索エンジン最適化(SEO)は、主に文章によるコピーに焦点を当てていますが、動画が検索ランキングに役立たないというわけではありません。動画の再生回数と検索回数には、紛れもない相関関係があります。つまり、あるブランドの動画を見た人は、そのブランドをオンラインで検索する可能性が高くなります。それは自然な成り行きです。バイラル動画広告は、セールスファネル上部に対して幅広く認知度を高めるためのアセットであっても、大量の検索スパイクを生み出し、信頼性を高め、検索ボリュームを増加させることができます。
質問:動画マーケティングにはどのようなメリットがありますか?
回答: 動画マーケティングは、消費者を感情的に引きつけてブランドと結びつけるひとつの手段です。好きな広告動画を教えてくださいと言われたら、すぐに思い浮かぶコンテンツがあるはずです。しかし、お気に入りの有料検索広告を教えてくださいと言われても、おそらくすぐには思いつかないはずです。
潜在顧客は、動画を見ることで、自分の考え方とビジネスを重ね合わせることができ、自分の価値観に合った企業や、優れた商品やサービスを提供する企業とつながりを持つことができます。
質問:動画マーケティングのデメリットは何ですか?
回答: マーケティングでは、うまくいかない可能性は常にあります。動画マーケティングも例外ではありません。
動画では、メッセージを一度に伝えることはできません。視聴者がメッセージを最後まで聞いてくれるだけの魅力的なコンテンツが求められます。
動画をどのような状況で、どのようなプラットフォームで配信するかによって、潜在顧客がブランドに対してポジティブな印象を持つか、ネガティブな印象を持つかが決まります。質の低いコンテキストによるデメリットは、バナー広告やポップアップにも当てはまります。安全ではないコンテンツやブランドの価値観に合わないコンテンツの隣に動画が表示されてしまうリスクがあります。例えば、航空業界のニュースページをターゲットにしている航空会社は、飛行機事故の記事の横に広告を表示させたくはないでしょう。
質問:動画マーケティングは今後、どのように変化していきますか?
回答: オーディエンスのターゲティングは今後も完成度を高め、動画マーケティング戦略にますます不可欠なものになるでしょう。2022年初頭には3rdパーティCookieが廃止となり、マーケターが特定の条件に当てはまる個人の匿名Cookieを購入する広告の時代は終わろうとしています。その代わりに、マーケターは直接的なパートナーシップを確立して、データセットを共有し、特定のプラットフォームでオーディエンスをターゲティングする必要があります。これは、人々にリーチして心に響くメッセージを知るためには、断然、効果的な方法であり、広告技も無駄になりません。
また、今後数年間は、ダイナミック動画の増加が予想されます。ダイナミック動画の機能のひとつに、視聴者が過去に訪れた商品ページや気になった価格帯などのデータをもとに、動画の上にテキストを重ねて、表示をパーソナライズできる機能があります。
また、マーケティングチームが動画の複数フレームを撮影し、特定のショットをつなぎ合わせて、個々の視聴者のペルソナに合わせて最適化することもできます。例えば、ビーチでのバケーションを宣伝する旅行会社では、波打ち際で水しぶきを上げる子供連れの家族、手をつないでビーチを歩く新婚旅行中のカップル、ビンゴゲームをしながらカクテルを飲む定年退職者など、視聴者の生活場面に応じて異なるシーンを入れ替えることができるでしょう。
ダイナミック動画の3つ目のアプローチは、グリーンスクリーンと編集技術を使って、撮影の後工程で様々なブランド要素や製品を動画にオーバーレイすることです。例えば、顧客がお気に入りのストリーミングサービスで番組を視聴しているとします。その中で、主人公がシリアルを食べているシーンがあります。ある視聴者には、人気の朝食用シリアルの箱が表示され、別の視聴者には、アーモンドミルクのパックが表示されます。さらに別の視聴者には、同じ朝食シーンでも冷凍ワッフルの容器が表示されます。何が表示されるかは、以前に購入したものや、ブランドが、個人情報をベースにどのような商品の購入を期待しているかによって決まります。