カスタマージャーニーマップとは?

A woman wearing a blue hijab holds a smartphone while walking in an urban setting, overlaid with floating digital elements showing personalized marketing data.

カスタマージャーニーマップは、企業と顧客の間のコミュニケーションを強化して、顧客の意思決定プロセスに価値のあるインサイトを提供します。カスタマージャーニーマップによる包括的な理解は、顧客が購入に至るまでのステップをマッピングすることで、競合他社と一線を画すのに役立ちます。

このガイドの内容:

カスタマージャーニーマップとは?

カスタマージャーニーマップとは、顧客と企業の関係全体にわたる接点を視覚的に表したものです。顧客がインタラクションの各段階で取る行動の概略を示し、次の点で企業をサポートします。

カスタマージャーニーマップを適切に構築すれば、顧客の立場で物事を見ることができ、次のことに焦点を当てることができます。

顧客の立場から自社ブランドを見ることで、顧客体験のギャップと機会を特定し、顧客満足度とロイヤルティの強化につなげることができます。

カスタマージャーニーマップとマーケティングファネルの違い

A chart comparing customer journey maps to marketing funnels.

カスタマージャーニーマップとマーケティングファネルはよく似ていて、いずれも段階により顧客の進捗を可視化しますが、目的や観点が大きくことなります。

例:ある金融機関のファネルでは、ローン申請の生成に焦点を当てる一方、ジャーニーマップでは、説明が分かりにくいことによって離脱が発生するなど、オンライン申請プロセスでのつまづきを明らかにします。両方のツールを組み合わせることで、ファネルステージを調整し、全体的な顧客体験を向上できます。

カスタマージャーニーマップの例。

カスタマージャーニーマップは、複雑なマルチチャネル環境をまたいで顧客インタラクションを把握できるので、企業に合わせてカスタマイズしたロードマップとして機能します。具体的な業界の例を以下に示します。

B2B

A man in a dark shirt in an office, overlaid with B2B marketing data and charts.

例:SaaS/PaaS

課題:大企業のクライアントでは、調達プロセスに長い期間がかかり、ROIの証明を要することが多くあります。

解決策:検討と購入のステージでは、ROI計算ツール、業界の導入事例、顧客に合わせたエグゼクティブブリーフィングなどを提供します。

デジタルコマース

A woman in a white sweater in an e-commerce business, working on creating labels, shipping products, and tracking delivery.

例:大企業のオンラインマーケットプレイス

課題:同企業のバイヤーは、社内システムとのシームレスな統合と、発送における物流の透明性を必要としています。

解決策:企業アカウント向けの調達プラットフォームとライブ注文追跡ツールのAPI統合を提供します。

B2C

A woman in a bright yellow sweater, overlaid with B2C marketing events and an example of a display ad.

例:グローバルなオムニチャネルのカスタマージャーニーマップ

課題:オンラインと実店舗の体験に一貫性がありません。

解決策統合顧客データプラットフォームを導入して、あらゆるチャネルをまたいで在庫、料金、ロイヤルティプログラムを同期させます。

金融機関

A man with a beard in an urban setting, looking at a tablet. Overlaid with push, text, and email notifications.

例:リテールバンク

課題:顧客は、オンラインと対面でのインタラクションの間に齟齬を感じたり、複雑な商品オファーに戸惑うことがあります。

解決策AIを活用したレコメンデーションにより商品発見プロセスを簡素化し、デジタルプラットフォームと支店をまたいで顧客データを統合して一貫性のある体験を実現します。

教育機関

A woman in a jacket and a yellow beanie while using a smartphone. Overlaid with a social media post and an email from a university.

例:大学

課題:学生は、応募プロセスを面倒に感じたり、プログラム内容が明確でないと感じることがあります。

解決策パーソナライズされたメールワークフローリアルタイムのサポートを提供するチャットボット、バーチャルツアーなどを活用して、意思決定プロセスを簡素化し、申請体験を強化します。

カスタマージャーニーマップの利点

オムニチャネルマーケティングを実現して顧客体験を向上

カスタマージャーニーマップは顧客が複数のチャネルをまたいでどのようにエンゲージしているか、その全体像を提供すると同時に、体験の妨げとなっているつまづきのポイントを特定します。これらのギャップを解決して顧客接点を調整することで、企業は一貫性のあるメッセージとインタラクションを実現するオムニチャネルマーケティング戦略を構築できます。

例:あるファッション小売業者は、Z世代は、まずInstagram広告から入り、モバイルアプリでの商品を見て、店舗で購入を完了するということを突き止めました。この小売業者はチャネルをまたいで在庫、価格、プロモーションを同期させることで、つまづきを減らし、コンバージョン率を上げることができます。

オーディエンスに関する理解の深化

企業はジャーニーマップによって得られた顧客のモチベーション、ニーズ、課題などに関する深いインサイトを活用して、関連性を最大化できるようにメッセージやインタラクションを調整できます。このアプローチによって信頼関係を構築し、長期的な満足度を育成します。

例:ある大学では、学費支援プロセスがわかりにくく、入学希望者が困っていることを突き止めます。そこでジャーニーマッピングを作成し、順を追ったガイドとライブチャットサポートを導入したところ、応募が20%増加し、志願者の間で信頼を得ることができました。

顧客中心文化の促進

ジャーニーマップは部門をまたいでチームの足並みを揃え、卓越した顧客体験を届けるという共通の焦点を育みます。一元的な参照元として機能し、共同作業とより適切な意思決定を促します。

例:あるSaaSプロバイダーは、大企業の顧客のオンボーディングでの課題を特定しました。この大企業は、営業部門、カスタマーサクセス部門、製品部門を統合することで、パーソナライズされたチュートリアルとライブサポートを導入し、リテンション率が25%増加しました。

オンボーディング、アップセル、マーケティング施策の最適化

カスタマージャーニーマップでは、重要な購入ステージに注力し、企業がオンボーディング、アップセル、マーケティング施策を最適化できるようにします。キャンペーンを改善し、顧客のニーズにより密接に関連させる機会を特定します。

例:あるストリーミングサービス企業は、新規ユーザーが膨大なコンテンツライブラリのナビゲーションで困難を抱えていることを特定します。ガイド付きのオンボーディングプロセスとパーソナライズされたレコメンデーションを導入することで、アプリのリテンション率が15%増加し、広告なしの体験や高品質のビデオといったプレミアム機能へのアップセルを実現しました。
例:あるB2B企業は、検討ステージで、見込み顧客向けの詳細な情報が不足していることを発見します。製品の比較ガイドを作成してメールで配布することで、デモの依頼が40%増加しました。

コンバージョン率の向上

カスタマージャーニーマップにより、コンバージョンを遅らせたり妨げたりする障害が明らかになるため、企業は顧客の課題を積極的に解決して意思決定にかかる時間を短縮できます。

例:あるeコマース企業は、配送料の高さがカート放棄につながっていることに気付きます。配送料無料の下限を導入し、チェックアウトプロセスの早い段階でこのメリットを強調することで、カート放棄率が20%減少しました。

カスタマージャーニーマップの作成方法

カスタマージャーニーマップを作成する際には、顧客体験を把握し、改善の余地がある機会を特定するという、順を追ったアプローチを取ります。このガイドは、購入プロセス、ユーザーのアクション、感情、課題、ソリューションといった、重要なコンポーネントを統合します。

ステップ1:明確な目標の設定

最初に、ジャーニーマップの目的を定義し、包括的なビジネス目標との整合性を確保します。マーケティング部門、営業部門、製品設計部門など、部門横断型のチームを連携して多様な観点を集め、全体像を構築します。

ステップ2:顧客のペルソナの作成

デモグラフィック、行動、モチベーション、課題などに基づいて、オーディエンスを詳細なペルソナにセグメント化します。顧客アンケート、分析、フィードバックなどのデータソースをつなぎ合わせて、これらのペルソナが実際の顧客体験を反映するようにします。

ステップ3:課題の特定

オンライン、オフライン、サードパーティプラットフォームなどの顧客が企業とやり取りするあらゆる顧客接点をマッピングします。これらの顧客接点は、認知から購入後のエンゲージメントに至るまで、ジャーニー全体に広がっています。

ステップ4:課題と感情の分析

各顧客接点について、潜在的なつまづきや成功の瞬間を評価します。ジャーニーの様々なステージで、混乱、苛立ち、興奮などの顧客が感じるであろう感情を検討します。

ステップ5:カスタマージャーニーのマップ化

ターゲットペルソナについて、ステップ、アクション、感情、顧客接点を可視化します。フローチャート、ジャーニーマッピングソフトウェア、ホワイトボードなど利用して、チームがジャーニーにアクセスできるようにします。

ステップ6:検証と調整

ジャーニーを1ステップずつシミュレーションしたり、実際の顧客でテストしたりして、顧客の立場になって考えます。フィードバックを集めて盲点を発見、仮説を検証、反復可能な改善を行います。

カスタマージャーニーマップの多様な活用方法

Adobe Journey Optimizerは顧客の行動に対するリアルタイムのインサイトを提供し、これらのインサイトを、統合顧客プロファイルに統合します。Adobe Customer Journey Analyticsでれあれば、顧客のアクションの全体像を把握することができ、十分な情報を入手したうえで決断を下すことができます。

次のステップ: