効果的なプロジェクト管理のための作業分解構成図(WBS)の習得

Adobe For Business Team

06-25-2025

ビルの外に立つ男性の画像。Adobe WorkfrontのUI要素とQ2ソーシャルキャンペーンのタスクが重ねられている。

プロジェクトマネージャーや大規模な業務を監督する立場にある場合、作業分解構成図(WBS)はすべてをより管理しやすくしてくれます。WBSの主要な役割は、プロジェクトを一連のタスクと成果物に分解し、それらを優先順位順に整理できるようにすることです。最終的には、プロジェクトに対する計画、組織化、管理を向上させることができます。

WBSには、成果物ベースとフェーズベースの2種類があり、優先事項や作業スタイルに合わせて調整することが可能です。プロジェクト管理ツールを検討しているプロフェッショナルの方は、作業分解構成図についてさらに学ぶためにぜひ読み進めてください。

作業分解構成図(WBS)とは?

作業分解構成図(WBS)は、プロジェクトを完了するために必要な作業を分割するためのツールです。大規模なプロジェクトに直面すると、どこから始めればよいのか分からなくなることもあります。WBSの目的は、大きなタスクを複数の管理しやすいタスクに分解し、最初に取り組むべきことを判断できるようにすることです。作業分解構成図には以下の要素を含めることが重要です。

要するに、WBSとは、すべての成果物を管理しやすいタスクに変換し、チームにプロジェクトの開発や完了のためのガイドを提供するフローチャートを作成する方法です。

WBSの重要な側面の一つは、構造、プロジェクトスコープ、スケジュール、予算の関係です。この4つは互いに影響し合い、何が可能で何が不可能かを決定します。たとえば、2週間という厳しいスケジュールはスコープを制限しますが、全体の予算を削減するのに役立つかもしれません。一方で、潤沢な予算があれば追加のスタッフを雇用でき、スコープを拡大したり、同じ期間内により多くのタスクを完了したりできる可能性があります。

もうひとつ考慮すべきなのが100%ルールです。これは、作業分解構成図がプロジェクトのスコープと成果物の100%を網羅すべきであることを示しています。言い換えれば、WBSの外に何も残さず、どんなに小さく取るに足らないと思える要素であっても、プロジェクトのすべての側面を考慮する必要があります。

成果物ベース型 vs. フェーズベース型WBS:最適なアプローチの選択

WBSには、成果物ベース(個々のタスクまたはプロジェクトスコープの一部に焦点を当てる手法)と、フェーズベース(タイムラインごとにプロジェクトを分割する手法)というふたつの手法があります。

成果物ベース型

成果物ベース型アプローチは、プロジェクト管理で最も一般的です。このアプローチは、プロジェクトの成果物と業務全体のスコープとの関係を可視化することを目的としています。これにより、タスクをサブタスクに分割するのが容易になります。

成果物ベース型WBSの利点と欠点を示す図表。

利点:

欠点:

フェーズベース型

フェーズベース型アプローチは、通常「立ち上げ」、「計画」、「実行」、「管理」、「終結」という5つの主要な段階に従います。これらのフェーズが定義されると、プロジェクトチームは協力してタスクを整理し、適切なフェーズに割り当てます。

フェーズベース型WBSの利点と欠点を示す図表。

利点:

欠点:

作業分解構成図の主要要素

明確に定義された作業分解構成図によって、開始前にすべての詳細とプロジェクトの各フェーズが考慮されていることを確認できます。WBSは全体像を視覚的に伝え、プロジェクト全体を通じて全員が同じ認識を持ち続ける助けとなります。

作業分解構成図を構成するいくつかの主な機能は、それぞれ異なる階層に配置されます。最上位(レベル1)は全体的な目標(または目標群)を示します。しかし階層を下がるにつれて、目標はタスクに分解され、さらにタスクは小さなサブタスクに分割されます。典型的なWBSの中核要素は以下のとおりです。

構造の下層に行くほどタスクの詳細度は高まり、上層に行くほど複数の小さなタスクの完了を必要とする大きな目標が示されます。WBSを使えば、各サブタスクに明確な目的を割り当てることでプロジェクトのマイルストーンを追跡できます。完了したら、WBSを用いて個々のセクションを監視し、チェックしていくことができます。

作業分解構成図(WBS)の作成ステップ

作業分解構成図(WBS)を作成する際は、まず望ましい成果を概説することから始めます。完了から開始に向けて逆算し、プロジェクトを小さな成果物に分割し、さらに各成果物を管理しやすいタスクやサブタスクに分割します。

プロジェクトの規模や範囲によって、作業分解構成図は3段階で作成することもあれば、10ステップで作成することもあります。完成したWBSにおける階層やタスクの数に正解は存在しません。作業を最小の構成要素に分解し続ければよいのです。成果物をこれ以上サブ成果物に分割できなくなり、各作業パッケージが一つのプロジェクト成果を持つようになったとき、WBSは完成に近づいているといえます。

ステップ1:すべての主要成果物をリスト化する

キャンペーンの成果物一覧表。ダウンロード可能な資料、メール、webページ、ソーシャルメディア、ブログ、ニュースレターなどを含む。

まずは最終成果物、つまり全体的な成果またはプロジェクト目標を特定します。これはWBSの最上位(レベル1)に位置し、「ターゲットを絞ったコンテンツキャンペーンを立ち上げる」といったものになります。

それが定義されたら、それを主要成果物(レベル2)に分解します。その目標を達成するために必要となる主要な作業カテゴリです。これらは部門、ワークストリーム、またはプロジェクトフェーズと一致する場合があります。

たとえば、ターゲットを絞ったコンテンツキャンペーンの主要成果物は次のとおりです。

  1. ダウンロード可能な資料
  2. 電子メール
  3. Webページ
  4. ソーシャルメディア
  5. ブログ
  6. ニュースレター

プロジェクトのリソース、成果物、制約に曖昧さや混乱がある場合は、作業分解構成図に取りかかる前に必ず解消しておきましょう。そうすることで、後々の修正や潜在的な対立に多くの時間を費やさずに済みます。

最後に、デジタルプルーフィングツールを使って、関係者 全員にリストをレビュー・承認してもらうことを忘れないでください。プロジェクトによっては、異なるチーム、部門、さらには異なる企業から複数の関係者が関わることもあります。成果物リストを全員が承認し、合意していることが重要です。

ステップ2:各成果物を作業コンポーネントに分割する

作業コンポーネントとは、より大きな主要成果物を形成するために必要な関連する成果物のグループです。プロジェクトの規模や範囲によっては、複数レベルの作業コンポーネントを持つ場合もあります。それらを分割し始める良い方法は、タスクの種類や役割ごとに整理することです。例:

成果物: ソーシャルメディア

X、Instagram、Facebook、LinkedInなどのプラットフォーム別に分類したソーシャルメディアの図表。

必要に応じて、作業コンポーネントをさらに分割することもできます。

作業コンポーネント: Facebook

Facebookをコピーライティング、グラフィックデザイン、動画編集に分割した図表。

作業コンポーネントの数に要件や制限はありません。チームにとって理にかなっている方法こそが正解です。

ステップ3:各作業コンポーネントを作業パッケージに分割する

作業分解構成図における最終的で最も詳細なレベルが作業パッケージ。個人が完了できる個別タスクの一覧です。各作業パッケージは、それぞれ独自の予算、リソース、スケジュール、マイルストーンを必要とする小さなプロジェクトと考えることができます。

各作業パッケージは固有であるべきであり、いかなる作業コンポーネントの下でも重複してはなりません。

例:

成果物: ソーシャルメディア

Instagramをコピーライティングとグラフィックデザインに分割した図表。

ステップ4:依存関係を特定する

すべての作業を最も詳細なタスクまでリスト化したら、他の作業の完了に依存する作業を特定します。例えば、コピーライターからナレーション用スクリプトを受け取るまでは動画編集を完了できません。作業を完了すべき順序を把握することで、スケジュールを立てやすくなり、時間を効果的に管理でき、障害を予測する助けになります。

ステップ5:優先順位をつけ、割り当てる

作業分解構成図を作成する最終ステップは、依存関係のリストをもとにすべての作業を優先順位順に整理することです。WBSが論理的な順序に並んだら、作業パッケージを個人に割り当て、その後スケジュールを作業パッケージから最終成果物に至るまで構築します。

WBSには、組織化や透明性の向上に役立つ以下の情報を含めることもできます。

WBSを可視化するさまざまなフォーマット。

作業分解構成図はアウトライン形式でも作成できますが、このドキュメントの大きな利点のひとつは、ワークフローを最小単位に分解した階層構造を視覚的に表現できる点です。すべての成果物が考慮され、割り当てられているだけでなく、個々の要素がより大きなタスク、そして最終的にはプロジェクト全体の一部としてどのように機能するかを簡単に把握できます。作業分解構成図は、表形式、フローチャート、または コラボレーションソフトウェア を用いて作成することを検討してください。

WBSを共有する際には、いくつかの選択肢があります。一般的なものには、スプレッドシート、フローチャートやツリーダイアグラム、アウトライン、ガントチャートなどがあります。それぞれに長所と短所があるため、自分に最適な形式を見つけるために試してみるのが良いでしょう。

WBS作成のベストプラクティス

作業分解構成図における最も一般的なベストプラクティスのひとつが100%ルールです。

グレゴリー・T・ハウガンによって提唱された 100%ルールは、作業分解構成図には成果物を完了するために必要な作業の100%を含めるべきであり、プロジェクトスコープに定義されていない作業を含めてはならないというものです。

WBSは網羅的かつ詳細である必要があり、作業の抜けや重複を特定するのに役立つと同時に、不必要な作業を排除します。具体的に、徹底的に、そして細かすぎることを恐れずに記載してください。

WBSにおけるもうひとつのベストプラクティスは排他性です。これは100%ルールを守るためだけでなく、リソース、予算、時間の浪費を防ぐためにも、繰り返しを制限することが重要です。さらに、アクションではなく成果に焦点を当てるべきです。自分の行為そのものではなく、その仕事の成果に力を注ぎましょう。

Adobe Workfrontの始め方

作業分解構成図は手作業やフローチャートツールでも作成できますが、時間がかかり、更新が容易ではありません。プロジェクト管理ソフトウェア を使って作業分解構成図を作成することで、すべての情報を最新に保ち、チームに明確さを提供しながら、作業計画に必要な柔軟性を確保できます。

Adobe Workfrontは、あなたとチームが業務を計画、追跡、整理できるワークマネジメントソリューションです。それだけでなく、WBSを作成、可視化、管理するために必要なツールも備えています。

Adobe Workfront が、作業分解構成図の構築とプロジェクト目標の達成にどのように役立つかを学びましょう。

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