データドリブン運用モデル(DDOM)への変革に向けたベストプラクティス

Adobe for Business Team

05-21-2025

テーブルでノートパソコンを使いながらスマートフォンを見ている男性。

多くの企業が「顧客中心」を掲げていますが、その実現は口で言うほど容易ではありません。企業側が良かれと思って提供している体験でも、質が低ければ顧客は離れてしまいます。消費者を対象とした2024年の調査では、体験を不快と感じる主な理由に コミュニケーション不足やサービスの質の問題 が挙げられており、不快な体験の53%が支出の減少につながっていることがわかりました。戦略を立てるために消費者データを活用し、顧客データの統合をさらに進めるためには「顧客中心」であることがさらに重要になります。

アドビは2016年、自社のビジネスを顧客のニーズにより密接に結びつけるチャンスの年と捉えました。そのために用意されたものが、アドビのデータドリブン運用モデル(DDOM)です。DDOMはビジネスのコアを カスタマージャーニー とし、企業を確かなインサイトに基づく戦略目標の達成へと導く新しいワーキングモデルです。

DDOMは、アドビの Adobe Creative Cloud 事業の効率と価値を高め、より質の高い カスタマーエクスペリエンスの提供を実現するという目覚ましい成果を上げました。それでも、必要となる「データドリブン」なインサイトを得ることは決して容易なことではありませんでした。それを成功へと導いたのが、IT部門との連携です。この連携により、データを統合するIT部門の業務においても、ビジネス部門が重要な役割を果たすことになりました。この経験から、企業が部門間の連携を進める上で検討すべき点がいくつかあることが明らかになりました。それでは、データ統合とDDOM変換を最大限効果的に進めるためのベストプラクティスを3つご紹介します。

1. 顧客データをシームレスに統合するトップダウンとボトムアップのアプローチ

多くの企業では、データが組織全体に分散し、チーム間で共有されることはなく、その規模は膨大です。連携のとれたトップダウンとボトムアップのアプローチの組み合わせはバランスを生み出すことができます。まずは、トップから始め、カスタマージャーニーをステップごとに分析し、ビジネス上の最重要課題と、それを解決へと導くKPIを特定しました。この取り組みは、カスタマージャーニーを最もよく理解しているビジネス部門が先頭にたって進めました。

次に、IT部門がカスタマージャーニーの全行程で生成されたデータアセットの中でビジネスKPIに貢献したものを特定しました。ボトムアップのアプローチでは、IT部門が特定したデータアセットとそのソースをマッピングし、それぞれのソースを統合するために必要な作業を文書化する必要がありました。IT部門は、迅速な成果を必要とするものは何か、より多くのリソースと労力を必要とするものが何かを把握することができました。こうして得た情報は、データ統合のロードマップ策定に役立つものになったのです。

このトップダウンとボトムアップを併用したアプローチは、特定の職種だけではなく、さまざまな業界に幅広く適用できます。小売業界では、POSシステム、CRMプラットフォーム、在庫管理ツール、マーケティングキャンペーンなどのデータを統合することで、チームが顧客の行動をより深く理解し、リアルタイムに売上を最大化することが可能になります。財務チームでは、銀行システム、取引プラットフォーム、顧客データベースなどからのデータを統合して、取引の分析、取引前の意思決定、センチメント(市場心理)の追跡などに役立てることができます。マーケティング組織では、CRMデータ、広告の効果指標、SNS上の顧客エンゲージメントのデータを連携させることで、よりターゲットを絞ったキャンペーンを展開し、顧客との「つながり」をより強くすることができます。EC企業の場合には、ウェアハウス、配送業者、決済ゲートウェイなどからのデータを統合することで、注文追跡の正確性を実現し、受注から配送までの一連の業務が効率化されます。

こうした取り組みを持続可能かつ拡張可能なものにするために、企業には以下が求められます。

2. さまざまな職種や役割に対応した、使いやすいレポート環境を作ります。

ただし、どれだけ「信頼性の高い情報源」を用意しても、利用されなければ意味はありません。アドビのIT部門もこの課題を認識し、CIOは、所属部門や技術スキルに関わらず、すべての従業員が自分でデータを活用できるようにすることを最優先すべきだと考えていました。そして、全従業員が利用できるようにカスタマイズしたレポート体験を開発する上で、ビジネス部門を顧客として位置づける顧客中心のアプローチを採用しました。

多くの従業員へのヒアリングを通じて全従業員のニーズを深く理解し、そのユースケースを製品デザイナーと協力してレポート体験に反映させました。このプロセスにより、ビジネス部門の誰もが業績を確認できる集中型ダッシュボードから、データサイエンティスト向けのより深い分析に対応する専門家向けレポートツールまで、さまざまなツールが生み出されました。IT部門がビジネスユーザー向けに最適化した体験により、組織内の全員が手軽かつ直感的にデータを活用することが可能になりました。

レポート体験の開発にあたっては、データ&分析チーム、マーケティング、営業、財務など、他部署の関係者も必ず参加させることが重要になります 。各部署で扱うデータの複雑さや目標は異なるため、必要とするレポートも異なります。

社内のさまざまなユーザーを念頭に、明確なKPIを定義し、ビジネス目標と紐づけることで、データの活用、インサイトに基づく意思決定を組織全体に広げることができます。

営業、業務、マーケティング、財務を表す4つのアイコン 。

3. 統合された新たなデータ資産を維持する責任体制の構築。

DDOMが組織全体に広がり、利用者が増えてくると、「解釈のズレ」が再び生じる可能性があります。この「ズレ」を防ぐためには、データガバナンス 戦略における明確な組織横断的な責任分担が重要です。

アドビでは、各DDOM KPIに割り当てられたVPスポンサー、ビジネススチュワード、テクニカルスチュワードがいます。VPスポンサーは担当するKPIの代表者であり、KPI目標の達成に責任を負っています。ビジネススチュワードはKPIの定義や活用方法を管理し、テクニカルスチュワードはKPIに関連するデータの変換や正確性を管理します。これらの組織横断的な責任者がいることで、ビジネスはKPIの意味に関する質問に対応し、ITはKPIの背後にあるデータに関する質問に対応します。結果として、データの解釈に関するずれや混乱を防ぐことができます。

DDOMはどのようにデータガバナンス戦略を向上させるか。

DDOMフレームワークを確立すると、自ずと企業全体の データガバナンス は支援され強化されます。DDOMはデータに対する責任体制を戦略的なビジネス成果と連携させることで、ガバナンスが単なるチェックリストを超えて、チームの日々の業務やコミュニケーション、意思決定の一部となります。KPIの責任者を明確にすることで、組織全体でデータ基準を遵守し、機密情報を保護し、コンプライアンスを維持することが容易になります。さらに、DDOM が顧客データの統合を強力にサポートするので、組織全体がカスタマージャーニーを通じてより一貫した信頼性の高いインサイトを得ることができます。

データの品質を管理することで信頼を構築する。

データの構造も大切ですが、信頼されるデータには高品質であることが求められます。データ品質管理には、正確性のプロファイリング、重複や誤入力の修正、関連属性によるデータの補強、一貫性の検証、そして継続的な品質モニタリングなどが含まれます。

データ品質管理が正しく機能していれば、データ量やユーザー数が増えた場合でも、KPI は常に意味のある実行可能な指標であり続けます。DDOMは、日常業務に品質チェックを組み込み、組織全体で責任体制の構築を支援します。顧客データの統合と品質管理が機能し連携することで、得られるインサイトや意思決定の質も大きく高まります。

データドリブン運用モデルを導入する。

DDOMの本質は、組織の成長を妨げるサイロ(分断されたデータ、部門間の壁、チームの孤立化など)を打ち壊すことです。カスタマージャーニーを軸としてインサイト、システム、人材を連携させることで、企業はより明確かつ迅速に、より大きな影響力を持って行動できるようになります。

Adobe Customer Journey Analyticsを活用すると、DDOMを最大限に引き出し、データを実用的なインサイトに変換することができます。Customer Journey Analyticsにより、意思決定者やチームは、チャネル、タッチポイント、重要な瞬間を横断するカスタマージャーニーの可視化された全体像を把握できるようになります。共有が可能になったインサイトは、意思決定の足並みを揃え、効率的なコラボレーションによる、より大きな成果の実現につながります。さらに、Adobe Campaignと組み合わせることで、全社がそのインサイトを活用して顧客の期待に応えるパーソナライズされたタイムリーな体験を提供できます。

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