CDP活用の準備を整える

How to prepare for your CDP journey  

数年前から、マーケターの間では、「モバイルファースト」という言葉が広く使われるようになりました。その次に出てきたのが「APIファースト」です。そして現在、「コンセントファース
ト」という、きわめて重要な次の波が押し寄せています。顧客の同意(コンセント)を得ない匿名トラッキングという従来の手法が終わりを告げる一方で、同意にもとづいた顧客データを一元化し、活用することの重要性がますます高まっています。

現在、多くの企業が、Adobe Real Time Customer Data PlatformのようなCDP(顧客データプラット
フォーム)の導入を進めています。リアルタイムのデータ処理を実現し、非常に強力な新しいアプリケーションを手に入れ、「コンセントファースト」の時代に適応するための準備を整えているのです。

データをひとつにまとめ、リアルタイムで活用することで、従来のマーケティング手法が大きく変化すると考えられています。今こそ、その重要な変化に適応するために、しっかりと準備する必要があります。

アドビでは、企業がリアルタイムCDPを導入し、ビジネスの成果を生み出すための支援をおこな
い、多くの経験を積んできました。ここでは、そうした経験から明らかになった、企業がCDPを
活用してビジネスを成功に導くための6つの重要なポイントを解説します。

1. 統合プロファイルの構築ではなく、ビジネス成果を目標にする

常日頃から「包括的なプロファイルはユースケースではない」と話しています。テクノロジーを導入する際、特に顧客データを活用するためのCDPの場合、それによって構築された統合プロファイルを利用して、どのような成果を生み出すことができるのかを理解することが重要です。

CDPはマーケティングエコシステムの一部であり、目的とするビジネス成果を達成するために利用します。CDPに求める能力と、それがカスタマージャーニーにどのような影響を及ぼすのか、しっかりと理解しておくことで、よりスムーズに導入して、的確に運用するだけでなく、実現できる価値を数値化し、目標としているビジネス成果に合わせて調整できるようになります。

2. データセットとデータソースを特定する

目標を明確にしたら、利用できるデータを把握し、そのデータをどう活用するべきかを考えましょう。

データソースとは、データの提供元となっているシステムを指します。データセットとは、顧客データ、取引データ、ロイヤルティデータ、コンセントデータ、サブスクリプションデータ、
分析データなど、収集されたさまざまなデータを集合したものです。これらのデータセットは、通常、メインデータストレージ内に、プロジェクト、フォルダー、テーブルなどの形で存在しています。

CDP用にデータをモデル化する場合、アクセスできるあらゆるデータを取り込もうとするので
はなく、セグメントの構築やアクティベーションに必要なデータを特定し、収集することが
重要です。例えば、スポーツ関連の組織であれば、ファンのプロファイル、チケットの購入
情報、画像といったデータを必要とするでしょう。しかし、パートナーやスポンサーに関連
する顧客ユースケースのようなデータは、たとえ正当な理由があったとしても、CDPに取り込
む必要はないのです。

この時点では、データをモデル化する必要はありません。ごく簡単なソースリストと、そこにどのようなデータがあるかのリストさえあれば、十分です。データディクショナリか、各種フィールドの詳細を把握できる何らかのドキュメントがあれば、より分かりやすくなります。

3. 共通のIDでデータを接続する

さて、ここまでで、CDPにどのようなデータを取り込むべきかと、その理由について把握できたと思います。続いては、CDPに取り込んだあらゆるデータをつなぎ合わせます。

Adobe Real-Time CDPでは、IDグラフによって、複数の種類の顧客IDをつなぎ合わせ、単一の顧客プロファイルを構築することができます。そのため、特定のIDがどこにあるかを示すマップがあれば、導入してすぐに活用することができます。データを容易に整理するために、できるだけ多くの自社システムで、単一の統合された顧客IDを使用することが推奨されています。Adobe Real-Time CDPなら、データをつなぎ合わせることができるため、それは必須ではありません。ただし、単一のIDを使用することでデータモデルが簡潔になり、セグメントを評価してカスタマージャーニーを強化する際の効果が高まります。

先に述べたデータソースやデータセットと同様に、自社システムをまたいでデータをつなぎ合わせるIDについて、どのような種類のIDを使用できるのか、把握しておくことが重要です。

4. APIを活用してリアルタイム処理に備える

どのプラットフォームを使用する場合でも、データフローのリアルタイム処理で重要な役割を果たすのはAPIです。データソースのリストを作成する際には、各データソースで使用できるAPIの情報を必ずリストに含めるようにし、関連するドキュメントを集めておきます。また、それらを外部のデータソースとしてデータを取り込むことができるか、あるいは、セグメントを送信する宛先として使用できるかどうかも、把握しておく必要があります。

具体的には、自社の製品情報システムでAPIを使用して、より詳細な製品情報を取得し、顧客とのメールコミュニケーションに活用するケースや、リアルタイムで顧客にメッセージを送信するための宛先として自社のメールソリューションを使用するケースなどが挙げられます。

5. 宛先を定義する

「宛先」は、データの送信先と送信する理由を明確に定義する必要があります。例えば、FacebookやGoogle、メールソリューションなどが、セグメントの送信先として考えられます。宛先リストのほか、宛先を管理する担当者のリストも用意しましょう。各宛先に接続する際は、各プラットフォームの管理者と協力して、必要な資格情報を提供する必要があります。通常、このプロセスは難しいものではありません。担当者や管理者を適切に選出すれば、スムーズなスタートを切ることができます。

参考までに、一般的なデータ送信の宛先を挙げます。

6. 自社の体制を整える

一般的に、企業はテクノロジーの統合に注力するあまり、自社の部門間の連携をおろそかにしがちです。CDPを採用すればポイントソリューションの数が減り、それに伴って部門間の連携も必然的にとれるようになっていきますが、それとは別に、連携するための準備を進めておくことが重要です。

この準備を開始するには、ソリューション全体で重複していた作業が大幅に削減されることで、ワークフローと、その担当者が果たす役割がどのように変わるのかを考慮する必要があります。何もかもを一度に変更する必要はありませんが、新たに必要となる役割とともに、従来の役割がどのように変わっていくかを理解しておくに越したことはありません。

なかでも、マーケティングデータアーキテクトの役割は重要です。通常はマーケティング部門に所属し、マーケティング部門と技術部門の間でさまざまな調整をおこないます。マーケティングのニーズを把握した上で、新しいデータのオンボーディングを設計して主導し、IT部門のデータエンジニアとマーケターの間に立つ役割を担います。また、他の部門がデータをどのように構造化し、セグメントやカスタマージャーニーでどのように活用するべきか、専門家としてアドバイスします。

すぐに始めましょう

今や世界は「コンセントファースト」な時代に向けて歩み始めています。アドビは、CDPを活用し、優れたビジネスの成果を達成するのを支援しています。これまで述べた6つのポイントに留意すれば、他社に先駆けて、CDPの活用に取り組むことができます。ビジネス目標、カスタマージャーニー、データに関して集められる情報が多ければ多いほど、導入や移行がスムーズになります。さらに、何を達成しようとしているのか、またその理由について、自社の部門をまたいで情報を共有することで、マーテクを統合した先に起こり得る組織の変化にも備えることができます。

CDPを活用して、市場競争を勝ち抜き、ビジネスを成長させましょう。今すぐ、アドビ
ご連絡ください

本ブログを執筆したChris Stolzは、アドビのプリンシパルエンタープライズアーキテクトとして、効率の向上と規模の拡大を目指す戦略的なテクノロジーにおいてリーダーシップを発揮しています。20年以上に及ぶアドビの顧客企業、パートナー企業、アドビのコンサルタントとしての経験から、Adob​​e Creative CloudおよびAdobe Experience Cloudの各製品に関する幅広い知識を有しています。