Adobe Journey Optimizerを活用して優れたメールプログラムを作成
ビジネスを成功させるためには、電子メールを正しく活用することが重要です。実際、約400人のマーケティング責任者が、顧客を検討段階からコンバージョンへ導き、ブランドへのロイヤルティと支持を高めるための最も優れたチャネルとして、電子メールを挙げています。優れたメールプログラムは、売上の増加に貢献します。マーケターの約80%が、あらゆるチャネルの中で、電子メールが最も高いROIを創出していると回答しています。Litmusの調査では、メールチャネルが1ドルの支出に対して約36ドルの売上をもたらすことが明らかになっています。
その一方で、多くのマーケターは、自社のメールプログラムに行き詰まりを感じています。多くの場合、メールチームは、webやモバイルなどの他の顧客エンゲージメントチャネルと連携しておらず、顧客体験が分断されています。さらに、多くのメールマーケターは、チャネルの価値を引き出すために、より多くの電子メールを送信することを求められます。その結果、顧客は的外れなメッセージを大量に受け取ることになります。アドビの最新の調査レポートによると、消費者は企業から1週間あたり平均70通の電子メールと139通のオムニチャネルメッセージを受け取っています。しかし、メッセージの約60%が削除されるか、読まずに無視されていることが明らかになっています。消費者は膨大な電子メールに圧倒され、企業に対する関心を失っています。
では、メールプログラムを「標準」以上のレベルに進化させるためには、どうすればよいでしょうか?この記事では、Adobe Journey Optimizerを活用して、顧客の共感を呼び、ワークフローを効率化する優れたメールプログラムを作成する方法を解説します。今こそ、顧客一人ひとりのコンテキストに合わせて詳細にパーソナライズされた、動的なメールプログラムを導入するときです。
電子メールの定期配信にとどまらない、その瞬間のエンゲージメントを実現
既存のメールマーケティングカレンダーを活用して、顧客の行動や自社とのやり取りに基づいて顧客一人ひとりをターゲティングし、One to Oneの電子メールを毎回リアルタイムで配信できることが理想です。
しかし、多くの企業は、自社中心の電子メールを配信しています。マーケティング、ブランド、サービスなどのチームごとに、キャンペーン、通知、ニュースレター、セールなどの情報を発信しています。通常、これらの電子メールは、オーディエンスに基づいて事前にスケジュール設定されています。しかし、カスタマージャーニーや顧客エンゲージメントは、事前に決められたメールカレンダーどおりに進むとは限りません。むしろ、はるかに流動的で、顧客ごとに大きく異なります。顧客は、様々なチャネルを通じてオンボーディング、エンゲージメント、離脱、探索、コミュニケーションを行います。こうしたインタラクションにより、顧客一人ひとりのコンテキストに合わせて電子メールをパーソナライズし、顧客のニーズに対応できるようになります。
そこで、Adobe Journey Optimizerでは、顧客の行動に基づいてOne to Oneのメールジャーニーを調整する機能を導入しました。メールジャーニーは、複数のステップで構成されています。注文確認やパスワードリセットなどのトランザクションメールだけにとどまらず、顧客や取引先企業からのシグナルを先回りして察知し、パーソナライズされた最新情報をリアルタイムで配信できます。
変革を起こす
まず、強固なデータ基盤を構築することが重要です。コンテキストに合わせて電子メールのエンゲージメントをパーソナライズするためには、膨大なデータが必要です。具体的には、実用的な統合顧客プロファイルを構築する必要があります。Adobe Journey Optimizerは、Adobe Experience Platform上に構築されており、顧客一人ひとりに関する、包括的な最新のデータセットを提供します。様々なソースから取得したデータを統合して、顧客プロファイルを構築できます。
次に、創出したい顧客体験をブレインストーミングし、カスタマージャーニーのコンテキストに基づいて、顧客とエンゲージできる機会を特定します。以下に例を示します。
- 顧客がカテゴリ内の3つ以上の製品を探索してからサイトを離れた場合、そのカテゴリと関連製品のオファーを提供して顧客にリエンゲージし、探索、コンバージョン、クロスセルを促進します。
- 顧客が実店舗を訪問したときに電子メールを配信し、該当する地域で今後開催されるイベント情報を受け取るためにアプリをダウンロードするように促します。
- 顧客が関心を持つ可能性のある製品、サービス、在庫状況などに変更があった場合は、最新情報を顧客に提供します。
メールプログラムは、徐々に拡大することが重要です。成功している企業は、キャンペーンに基づいた電子メール基盤を継続的に最適化しながら、1つまたは2つのジャーニー中心の電子メールのユースケースを開始しています。そこから試行錯誤を繰り返し、コンテキストに合わせてパーソナライズされた、リアルタイムのメールエンゲージメントが、自社にどのような成果をもたらすのかを把握し、ユースケースを拡大しています。
詳細にパーソナライズされた動的な電子メールを配信し、顧客に訴求
電子メールのパーソナライゼーション自体は、目新しいものではありません。マーケターは何年も前から、パーソナライゼーションが電子メールの到達率や顧客エンゲージメントの向上に役立つことを認識しています。実際、アドビの調査では、メッセージのコンテンツがパーソナライズされている場合、顧客の半数が、企業のwebサイトを訪問する可能性が高まることが明らかになっています。
出典:Reimagining customer journey management(カスタマージャーニー管理の再構築)
顧客一人ひとりのコンテキストに基づいてパーソナライズされた電子メールを配信するには、大規模なパーソナライゼーションの運用が不可欠です。これは、困難に思えるかもしれません。そこで、Adobe Journey Optimizerの出番です。顧客の名前をメッセージに挿入する、ロイヤルティステータスを考慮するといった、基本的なパーソナライゼーションだけにとどまらず、顧客一人ひとりに合わせて、電子メールのあらゆる要素をパーソナライズできます。
- コンテンツ:各顧客の情報とコンテキストに基づいて、件名、プリヘッダー、ヘッダー、本文、画像、レイアウト、言語などのメールコンテンツをパーソナライズします。
- オファー:組み込みのインテリジェントな意思決定機能を活用して、顧客一人ひとりに最適なオファーを決定します。関連するオファーを電子メールに組み込み、メールワークフローで直接アクセスできるようにします。
- 配信時間:マシンラーニング(機械学習)を活用して、顧客がエンゲージする可能性が最も高いタイミングに基づいて、各顧客に電子メールを配信する最適な時間を予測します。
- 頻度:エンゲージメントに対する顧客の意欲に基づいて、様々な顧客セグメントへのメール配信頻度を制限するビジネスルールを設定します。
オーディエンスベースのキャンペーンの枠を超えて、パーソナライゼーションを拡張するには、特定の顧客の心に響くコンテンツとバリエーションを作成する必要があります。そこで、生成AIが役立ちます。Adobe Journey OptimizerのAIアシスタント コンテンツアクセラレータなら、メッセージのコンテンツとバリエーションをすばやく作成できます。件名、プリヘッダー、メール本文、画像など、各メールコンポーネントを個別に作成したり、事前に選択したテンプレートを使用したりできます。それらのコンポーネントをもとに、コンテキスト、コンテンツ、ブランドガイドラインを組み込んだ、ブランド独自の包括的なメールアイデアを創出できます。作成したメールバリエーションをテストし、最適なバリエーションを特定します。これにより、既存のメールプログラムを中断することなく優れたメールバリエーションの配信を拡大し、ビジネス目標の達成に向けて成果を最大化できます。
Adobe Journey Optimizerの生成AI、パーソナライゼーション、テスト機能を組み合わせることで、顧客一人ひとりに、自身のためだけに作成されたかのうような、パーソナライズされた電子メールを届けることができます。
マーケティングツールを活用して複雑な作業を合理化し、戦略に専念
マーケターは、メールワークフローが複雑であることを認識しています。実際、多くの企業は、1つのメールキャンペーンを実行するために、8~12週間以上の時間を費やしています。
その理由として、多くのメールツールが、メール担当者やマーケターの作業の全体像を考慮せずに構築されていることが挙げられます。これにより、オーサリングツール、メールサービスプロバイダー(ESP)、その他のシステムが分断され、作業負担が増加し、効率性が低下します。そうした事態を防ぐために、アドビは、Adobe Journey Optimizerのオーサリングおよび配信ワークフローを強化し、マーケターをサポートします。
- 既存のメールエコシステムツールとの連携
Adobe Journey Optimizerの広範なパートナーエコシステム、サードパーティソリューション(Movable Ink、Stensul、Litmusなど)との統合、カスタムAPIにより、既存のワークフローを中断することなく、すばやく導入できます。強力な統合の例を2つ紹介します。

Movable Ink: Movable InkのDa Vinciは、AIを活用してバッチキャンペーン向けの電子メールのバリエーションを作成およびパーソナライズし、電子メールのクリエイティブワークフローを簡素化します。Adobe Journey Optimizerのプロファイルデータを活用して、顧客一人ひとりに最適なバリエーションを決定するAIモデルを強化します。さらに、Adobe Journey Optimizerを使用して、Da Vinciで作成された電子メールを調整および配信できます。

Stensul:Stensulを活用して電子メールを作成すれば、ブランドガイドラインを遵守し、レンダリングの問題を回避できます。また、レビューおよび承認プロセスを高速化できます。Adobe Journey Optimizer内で電子メールのHTMLにアクセスし、メールテンプレートとして利用できます。スクリプトロジックやパーソナライゼーションなどを追加し、コンテンツを調整して配信できます。
- 再利用性と組み込みコントロールの向上により、ワークフローを効率化
Adobe Journey Optimizerは、マーケターが使いやすいメールデザイナーツールを提供します。あらゆるアセットに容易にアクセスできるだけでなく、電子メールをゼロから設計、組み立て、編集できます。また、テンプレートを活用したり、HTMLをインポートしたりすることもできます。マーケティングを効率化するためには、コンテンツの再利用が不可欠です。メールデザイナーを活用すれば、テキストスニペット、ヘッダーとフッター、デザインテンプレートなど、最もパフォーマンスの高い電子メールの要素を再利用して、電子メールのパフォーマンスを向上および最適化することができます。
さらに、ビジュアルコンテンツフラグメントを改善し、メールプログラム全体でコンテンツを保存、強化、更新、制御できるようにすることで、よりシンプルかつ強力な方法で、コンテンツを再利用できるようにしました。
- ライブジャーニーとキャンペーンのフラグメント:変更のステータスと影響を把握しながら、ライブジャーニーとキャンペーン内のコンテンツフラグメントを更新できます。承認済みユーザーに対する公開権限を設定できます。
- カスタマイズ可能なフラグメント:電子メールのビジュアルフラグメントのプロパティを使用するときに、編集できるようにします。メールコンポーネントの整合性を維持しながら、様々なコンテンツを再利用して各キャンペーンをカスタマイズできます。
- フラグメントのグローバル変数:リンクやトラッキングコードなど、各電子メール内に値を入力するための入力変数を定義することで、フラグメントの再利用性を向上できます。
- 時間のかかる煩雑な作業を排除し、配信品質を向上
配信品質は、メールプログラムの成功を支える中核的な要素です。電子メールが顧客の受信トレイに届かなければ、メッセージを伝えることはできません。配信品質を最大化するには、細部への配慮と明確な戦略が必要です。Adobe Journey Optimizerには、配信品質を向上させるためのツールが搭載されています。
- 効率的なIPウォームアップ:一元化されたキャンバスを使用してキャンペーンIPウォームアップを作成、実行、編集、追跡し、送信者の評判を向上できます。適格プロファイル数、ドメインごとの配信率、バウンス率、エラー率、再試行率を確認できます。
- ヘッダーでの登録解除オプションの提供:受信者の意思を尊重し、迷惑メール判定率を低減するために、メールヘッダーで登録解除オプションを提供します。
- 迷惑メールチェック:電子メールの包括的な分析を先回りして実行し、潜在的な迷惑メール要素を検出および修正します。複数のメールコンポーネントのスコアを算出し、編集およびプレビューワークフローで結果を直接確認できます。
今こそ変革を起こすとき
メールプログラムを「標準」以上のレベルに進化させることで、大きなビジネス成果をもたらすことができます。変化に戸惑うこともあるでしょう。しかし、革新的な企業の多くは、着実に進化しています。まず、リアルタイムの行動に基づいたユースケースと、創出したい顧客体験をいくつかブレインストーミングすることから始めましょう。パーソナライゼーションを強化する方法をいくつか検討します。生成AIを活用して、コンテンツの速度とバリエーションを向上させることも重要です。
Adobe Journey Optimizerは、強力な顧客エンゲージメントツールを提供し、ビジネスの成功を後押しします。あらゆるチャネル、マーケティングチーム、顧客データを統合し、AI主導のマーケティングを実現します。企業が既に使用している主要なソリューションとシームレスに連携できます。
Rohan Bhattは、Adobe Journey OptimizerやAdobe Campaignを含む、アドビのB2Cカスタマージャーニー管理ポートフォリオのシニアプロダクトマーケティングマネージャーです。パーソナライズされた魅力的な顧客体験を通じて、企業が顧客とのエンゲージメントを強化できるように支援しています。アドビに入社する前は、テクノロジーおよび決済分野のコンサルティングに5年以上携わり、世界的なテクノロジー企業数社に、製品および市場開拓戦略に関するアドバイスを提供していました。Rohanは、ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院でMBAとデザインイノベーションの修士号を取得しています。
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