Adobe Commerceの最新アップデート(2.4.5)でさらに高まるパーソナライゼーションの価値
デジタルコマースに失望した顧客は、個人的な対応をしてくれるブランドへの関心を高めています。アドビが最近行った調査では、夏の消費に関して回答者の半数以上(67%)が、店舗やオンラインで買い物をする際に、自分の消費習慣に基づいてパーソナライズされたプロモーションやオファーを受けたいと回答しています。
パーソナライゼーションには様々な形態があります。パーソナライゼーションには様々な形態があります。例えば、個別のおすすめ商品や検索結果を提供したり、消費者向けとビジネスバイヤー向けに商取引体験をカスタマイズしたりすることができます。
パーソナライゼーションの実施は結果に反映します。Forbesの調査によると、調査対象の経営者の5人に2人が、顧客のパーソナライゼーションの取り組みが、直販チャネルの売上、バスケットサイズ、利益の最大化に直接的な影響を与えたと報告しています。そこで、このようなパーソナライズのメリットなどをさらに実感することができるAdobe Commerceの最新アップデートを発表しました。
パーソナライズされた体験を実現するためのデータ活用
閲覧した商品、カートに入れた商品、顧客のログインなど、コマースサイトの行動やイベントは、企業がパーソナライゼーションに活用できる最も貴重なデータの一つです。
今回発表されたアップデートで、Adobe Commerceをご利用のお客様は、ストアフロントのブラウザイベントをAdobe Experience Platformやその他のAdobe Experience Cloudソリューションと簡単に共有し、豊富な顧客プロファイルを構築して、マーケティングキャンペーンやコマース体験をパーソナライズできるようになりました。
マーケターはこのデータを分析し、顧客、キャンペーン、製品に関するより深いインサイトを得ることで、ビジネスの成長を加速させることができます。
今後のリリースでは、サーバーサイドのトランザクションイベント(注文、出荷、返品など)の共有、カタログデータの共有、Experience Platformのセグメントを使用したAdobe Commerceでの販促キャンペーンのターゲティングが可能になる予定です。
Live Search:B2Bバイヤー向けにパーソナライズされたサイト内検索を実現
サイト内検索はデジタルコマースにおいて重要な機能であり、サイト訪問者の最大3分の1が利用しています。Adobe Senseiによる機械学習を用いて検索体験をパーソナライズするLive Searchは、導入後にコンバージョン率を15%向上させるなど、多くのお客様に大きな価値を提供しています。
今回のリリースでLive SearchはAdobe Commerce 2.4以降でB2B価格と顧客グループをサポートし、B2Bマーチャントが提供する優れた検索およびマーチャンダイジングツールを利用できるようになりました。Live Searchは共有カタログと顧客グループのデータを反映するようになったため、購入者はカタログに掲載されている商品のみを見ることができ、結果にはその商品独自の価格が表示されます。
私たちは、B2Bコマースのユースケースを持つ企業にLive Searchの価値を提供できることを嬉しく思っています。お客様は、Elastic Searchのネイティブ機能と比較してより豊富な機能セットと、サードパーティの検索ソリューションのライセンスや統合コストを排除できる可能性というメリットを得ることができます。Live Searchは独立したSaaSサービスとして提供され、コアコードのアップデートを必要とせず、革新的な新機能が継続的に更新されます。また、APIファーストであり、ヘッドレス・コマースのユースケース向けに構築されています。(なお、Live Searchの日本語対応は2023年を予定しております。)
Quick Checkoutで長時間の実装をせず、ストレスのないチェックアウト体験
パーソナライゼーションとは、訪問者を他人ではなく、顧客のように扱うことでもあります。Commerce Marketplaceで提供されているQuick Checkoutを使えば、そのようなアプローチを実現することができます。アドビが開発し、Boltの大規模なネットワークによって提供されるQuick Checkoutは、買い物客にパスワードなしのモバイルフレンドリーなチェックアウト体験を提供します。簡単で安全なワンタイムパスワードを使用してログインした後、買い物客はチェックアウトと同時に配送先と支払い情報を確認でき、わずか1クリックで購入を完了することができます。効率的なチェックアウトを提供することで、過去のボルトアカウントによる買い物客は、ゲストによる買い物客よりもチェックアウトを完了する確率が50%高く、67%は再来店して購入する確率が高いという結果が出ています。
Quick Checkoutは、ネイティブのAdobe CommerceやMagento Open Sourceのチェックアウト、および多数の決済プロバイダと統合されているため、既存の実装を中断することなく、より高いコンバージョン率のチェックアウトを実現することが可能です。この拡張機能は、バージョン2.4.1+で米国在住のお客様を対象にご利用いただけます。Quick Checkoutは現在、Commerce Marketplaceで提供されており、マーチャントはQuick Checkoutへのアクセスにサインアップすることができます。
Apple Payでお客様に支払い方法の選択肢を増やす
オンラインで購入した商品の支払い方法を選択できるオプションを希望する消費者がほぼ全員(82%)にのぼり、代替の支払い方法を選択する消費者が増えています。今回、Adobe CommerceとMagento Open SourceのマーチャントがPayment Servicesを利用する場合、買い物客にApple Payを提供するオプションが提供されることになりました。これにより、顧客がクレジットカードやデビットカードの詳細を入力することなく、安全かつ迅速なチェックアウトが可能になります。Apple Payは、商品詳細ページ、ミニカート、カート、チェックアウトで利用できるようになります。マーチャントは、Adobe Commerceの管理画面にて、Apple Payのオン・オフを切り替えることができます。(Payment Serviceは現在米国地域のみの提供サービスとなっております。)
Adobe Commerce 2.4.5で顧客の期待に応える
本リリースで既に述べた新機能に加え、プラットフォームの最新アップデートであるAdobe Commerce 2.4.5もリリースします。このバージョンでは、プラットフォームのパフォーマンス、スケール、品質、およびセキュリティがいくつか強化されています。このバージョンのAdobe Commerceのハイライトは以下の通りです。
- B2Bコマースカタログの改善:共有カタログから重複するSKUデータを削除し、顧客がより大規模で複雑なカタログを利用可能に。
- GraphQL APIの最適化により、レスポンスタイムが5%向上し、GraphQLスキーマの再構築にかかる時間が80%短縮され、ヘッドレス実装における顧客と開発者のエクスペリエンスが改善
- 注文処理の高スループット化、APIの改善、PHP 8.1の採用により、1時間あたりの注文処理数が3倍、1時間あたりのページビューが3倍、管理者の同時使用数が2倍に増加するなど、パフォーマンスが向上
- アクセシビリティの強化により、Venia(PWA Studio)上でより認識しやすいストアフロント体験を実現。コントラストやキーボードアクセシビリティの強化、スクリーンリーダーが新しいページビューを読み込む際に検索結果の概要情報を通知する機能をサポート
- プラットフォームコンポーネントの更新により、DHLの出荷統合スキーマの最新バージョンや、AdWordsやAnalyticsなどのモジュールを統合するためのGoogleの新しいGTagメカニズムをサポート
- セキュリティに関する20以上の問題を解決し、お客様のビジネスの安全性とコンプライアンスを維持
- さらに、Adobe Commerce 2.4.5へのアップデートを支援するため、アップグレード互換性ツールには、バージョン間の非互換性をさらに特定するためのいくつかの新しい検証機能を追加。また、ユーザーは問題解決のための推奨事項を受け取れるため、アップグレードの分析プロセスがこれまで以上に迅速かつ容易に
このバージョンのAdobe Commerceの内容の詳細については、リリースノートをご覧ください。
*本記事は、アドビが2022年8月9日に投稿した ブログ の抄訳版です。