アドビ、B2Bビジネス向けReal-Time CDPの提供を開始
新Real-Time CDP B2B Editionにより、B2CとB2Bの両方の顧客プロファイルを統合して顧客体験に反映させることが可能に。
ガートナーによると、B2Bの購買行動が、よりデジタルかつセルフサービス指向へと劇的な転換を遂げたことにより、担当者が購入を検討する際にベンダーと過ごす時間は着実に減少し、以前の17%にまで落ち込んでいると報告しています。
この変化がもたらしたのは、購買担当者の時間短縮、プロセスの削減、プライバシーの尊重を中核に置いた、B2B顧客体験の新しい時代の始まりであり、そこでは、顧客の関心とエンゲージメントを獲得するために、顧客、すなわち個人としての好みや、そのビジネスについて深く理解し、顧客体験に反映させる必要があります。
適切なベンダーと提携することは、購買チームにとっても、購入側の企業にとっても重要な問題です。あるベンダーに何千ドル、何百万ドルもの予算を使う購買担当者からすれば、購入に至るまでの体験が、そのまま購入後の顧客体験を最も的確に表す指標となります。これが、B2Bベンダーであってもカスタマージャーニーの質が評価につながる理由です。とはいえ、対面でのやり取りが制約され、常時接続のデジタルなタッチポイントに置き換えられた現在の状況下で、B2B企業はどのように顧客との関係を構築、維持すれば良いのでしょうか?
そのためには、クリエイティビティが重要になります。デジタル化が進むなかで、B2B企業は、拡大し続けるタッチポイントをまたいでパーソナライズされた適切な方法で顧客とつながる手段と、それを大規模に展開できる新しい方法を見つけなければなりません。デジタルファーストの新しい環境で顧客との関係を構築するには、顧客企業や購買部門との関わり方を根本的に見直す必要があります。そして、そのすべてはデータから始まるのです。
データから明確な顧客像を把握する
マーケティング担当者に、自社のマーケティングテクノロジースタックを構成するベンダーの数を尋ねると、優に100社を超えるという驚きの答えが返ってくるかもしれません。それらのテクノロジーはそれぞれ、顧客についての断片的な情報を持っています。買収を重ねて成長している企業の場合は、複数のCRMや<u>マーケティングオートメーション</u>プラットフォームの併用によってこの断片化がさらに複雑なものとなり、顧客の全体像がさらに見えづらくなります。これにより、顧客体験の質が低下するとともに、データに対する社内の信頼性も低下し、市場投入までの時間も長くなります。さらに、個人情報保護規制の変更対応といった外的要因も勘案すると、顧客一人ひとりにパーソナライズされた顧客体験を大規模展開するなど、到底不可能なことのように思うでしょう。
この状況を打開するため、アドビは、<u>Adobe Experience Platform</u>上に構築されたReal-Time CDP(顧客データプラットフォーム)を新たに発表しました。2021年の夏に提供開始予定の「Real-Time CDP B2B Edition」は、異なるシステムをまたぎ、個人と法人アカウントのプロファイルを統合して扱えるため、GTM(Go To Market)チームは、完全かつ信頼性の高い顧客像を把握することができます。この、リアルタイムに処理可能な顧客プロファイルは、B2Bビジネスを行っている企業が精度の高いオーディエンスを構築し、一貫してパーソナライズされたアカウントベースの顧客体験を迅速かつ大規模に提供するための適切な基盤となります。
B2BデータとB2Cデータを結びつける
今回の機能強化により、アドビのCDPソリューションは、あらゆる個人を対象に、単一かつ統合された、B2BとB2Cの両方のユースケースをサポートするプロファイルを作成できるようになりました。B2BとB2Cの両方のビジネスを展開する企業は、個人のデータ(電子メールアドレスや購買習慣など)と法人アカウントのデータ(勤務先に関連する取引案件など)を取り込んだうえで統一して管理することで、B2Cタイプの個人プロファイル、B2Bタイプの個人プロファイル、あるいは両方のデータを内包するひとつのプロファイルを作成することが可能になります。
例えば、通信業界のB2Bマーケターは、中小企業向けのインターネットプランに興味を示している購買担当者が、すでに個人向けのワイヤレス携帯電話プランを利用しているかどうかを確認することができます。その一方で、金融業界のB2Cマーケターは、雇用主を通じてストックを持っている人が、すでに個人の証券口座を持っているかどうかを知ることができます。このように、B2CとB2Bのマーケターは、顧客が自社のデジタル資産を個人的にも仕事上でもどのように利用しているかをリアルタイムに把握することができるようになり、既存のユースケースを強化したり、新しいユースケースを作成したり、未知のユースケースを発掘したりして、B2CとB2Bの両方のビジネスを顧客体験に反映させ、次のレベルに引き上げることができるのです。
B2Bエクスペリエンスデータモデルによる基盤の構築
Adobe Real-Time CDP B2B Editionは、アドビの柔軟でオープンソースのエクスペリエンスデータモデル(XDM)と呼ぶスキーマを基盤としてデータ管理を行います。XDMは、B2Bデータ構造をサポートするようアップデートされており、<u>Adobe Experience Cloud</u>アプリケーションだけでなく、他社製のアプリケーションでもB2Bユースケースを提供します。B2B拡張されたXDMは、アカウントの階層構造や、複数アカウントの紐付け、そしてB2Bデータオブジェクト間の多様な接続形態をサポートし、B2Bマーケターが独自のデータ管理ニーズに応じてB2B指向のデータを取り込んだり、アクティベートするために必要な柔軟性を提供します。
B2Bアイデンティティの解決とアクティベーション
さらに、B2B XDMスキーマにさまざまなツールを組み合わせることで、B2Bデータの取り込み、B2B拡張された個人や法人アカウントのプロファイルへのアクセス、B2Bデータをベースにしたセグメントの定義が可能になります。例えば、新しい<u>Adobe Marketo Engage</u>コネクタは、100以上のソースと接続先を追加し、B2Bマーケターが複数のAdobe Marketo Engageインスタンスからリード、アカウント、見込み案件、購買担当グループなどのデータを単一のビューに簡単に統合できるようにします。CRMデータについては、Adobe Marketo Engageを介して統合することも、異なるCRMシステムをまたぐダイレクトコネクタを活用して統合することも可能です。これらのB2B向けの機能強化はすべて、B2Bマーケターが今日のデジタル環境で競合の優位に立つために必要となる、魅力的なアカウントベースの顧客体験を提供し、市場への参入を早められるようにゼロから構築されたものです。
複数のソースからデータを取り込むだけでなく、データソースをラベル付けし、そのラベルごとに使用ポリシーを設定して実行できる、特許取得済みのデータガバナンス機能が組み込まれているので、責任あるマーケティング活動を行うことができます。これにより、実務担当者がデータ関連のポリシーや規制を確実に遵守することができるため、企業はデータのコンプライアンスに費やす時間を減らし、顧客体験の価値創造に時間を割くことができます。
Adobe Real-Time CDP B2B Editionの詳細は<u>こちら</u>をご覧ください。
*本記事は2021年4月27日に、アドビのプロダクトマーケティング担当ディレクターであるBrian Glover(ブライアン グローバー)が投稿したブログの抄訳です。