【イベントレポート】第3回|Adobe Experience Manager ユーザー会
5月28日、第3回Adobe Experience Manager ユーザー会(以下、AEM UG)がKDDI株式会社にて開催されました。当日は、40名14社のAdobe Experience Managerユーザーが集いました。
今回のテーマは、「AEMカスタマイズ」。
AEMはハイエンドなソリューションであるため、カスタマイズの考え方はクライアントごとに様々です。
今回は、アドビの現役コンサルからベストプラクティスを説明しつつ、早くからアジャイル開発を導入されてきたKDDI社から実際の開発現場のリアルをご説明いただきました。
その後のグループディスカッションでは、各メンバーの身近なAEMの困りごとを共有し、様々な議論が飛び交いました。
1. AEMにおけるカスタマイズのベストプラクティス:
アドビコンサルによると、AEMの活用においてカスタマイズでないと実現できない領域はごく一部で、まずは標準提供されている機能を利用した解決を図るべき、とのこと。
そのうえで、必ずしもベストプラクティス対応できない場合もあるため、ケースバイケースとのこと。

TIPS:
➀コアコンポーネント機能の恩恵享受
AEMコアコンポーネントを活用することで、以下標準機能を掲載した形での改修が可能。
Responsive / Trackable (Adobe client data layer) / Accessible (WCAG2.1 Standard) / SEO-frendly(schema.org) / AMP support etc…。
➁外部パッケージの活用
AEM向けに提供されている外部パッケージを活用することで、カスタマイズを最小化することが可能。
例:ACS AEM Commons
Shared_Component_Properties / JCR_Compare / User_Exporter / Packagers / Dispatcher_Flush_UI / Utils_&_APIs etc…。
2. auのカスタマイズの歴史:
2017年にリニューアルされたau公式サイト(au.com)では、拡大するサービス間での体験の連鎖を生むべく、当時乱立していたドメインも統廃合されています。その際、アプリ開発チームを新設し、アジャイルでの改善を推進することで、ビジネス要求とUX改善の両軸での改善が可能な環境を整えてきたとのこと。
今後は、蓄積された開発ナレッジを社内外で活用することも検討されているそうです。
ちなみに2017年以降、KDDIではAEMの利用部門が増加し、現在ではB2B領域でAEM on-premise、AEM as a Cloud Serviceを活用されており、3つのライセンス体系が使われています。
KDDI 神戸崇人さん
3. auのカスタマイズのリアル:
「社内外のナレッジをつないで、技術で新しい体験を生み出し続ける」というミッションのもと、関連会社であるKDDIアジャイル開発センター(KAG)で開発体制を再構築。直近では、AIなどの技術も活用した業務高度化が進んでいるそう。
プロダクトに責任を持つプロダクトオーナーが感じている難しさ/気を付けていること
・やり取りする相手が多い(リテラシーも様々)
・要件の明確化(ふわふわした与件をエンジニアに伝わるようにまとめる)
・具体的な完了イメージの提示
・ステークホルダーからエンジニアへの直接依頼が行かないよう、制御(防波堤)
エンジニアがカスタマイズで気を付けていることは?
・改修の影響調査には時間をかける(数万ページ)
・属人化しないようにチームとしてナレッジの共有は不可欠
・カスタマイズは最小限に抑え、かつ推奨された方法で行う
(左から)KDDI 三井詩織さん、KAG 川越真帆さん、KAG 甲田勝さん
4.グループディスカッション:
テーブルごと夫々で自己紹介をしつつ「私の身近なAEM困りごと。それってカスタマイズ?」というテーマで、意見交換を行いました。
質疑応答ではアドビコンサルチームへの質問も絶えず、各社の困りごとや課題について様々な議論が飛び交いました。
グループディスカッション
ユーザー会は自由参加でネットワーキングの時間を設けておりますが、今回もほぼ全員が残られて夫々議論を続けていました。
今後も、Adobe Experience Managerユーザー会は定期的に開催される予定です。ユーザー会はどんなユーザーにも開かれた場所です。ぜひ日々の業務で疑問や悩みを抱えている際には、ユーザー会で参加者の皆さんに尋ねてみてください。きっと何か解決の糸口が見つかるはずです。
次回のユーザー会情報は、AEM UGページでお知らせ予定です。AEM UGにメンバー登録してお待ちください。また、このユーザー会は、Adobe Experience Managerのユーザーが運営メンバーとしてイベント開催に向けて準備しています。イベント運営にご興味あるユーザーさん、ぜひご連絡ください。

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