Adobe GenStudioとは? 実際に顧客のプロジェクトを担当するエキスパートに、Adobe MAXの会場で聞く。

米国・ロサンゼルスにて開催された、クリエイターの祭典であるAdobe MAX 2023にてAdobe GenStudioという新しいソリューションが発表されました。このソリューションについて、アドビプロフェッショナルサービスのメンバーがAdobe MAX 2023の会場で説明しました。彼らは、実際にアメリカ地域の顧客のプロジェクトにおいて、Adobe GenStudioを含むプロフェッショナルサービスを提供しています。

もくじ

  • アイデアの着想、コンテンツ作成、チャネルでの配信までを生成AIを活用して効率化
  • 基礎となる環境を整備してはじめて、生成AIを活用すべき場所が見えてくる
  • Adobe Fireflyを活用してクリエイティブのバリエーションを作成
  • クリエイターが本来すべき業務に集中できるためにワークフローを最適化する

今回のインタビューに答えたアドビプロフェッショナルサービスのメンバー

左:Ash King、右:Remington Lee。いずれもAdobe MAX 2023の会場にて来場者に対してAdobe GenStudioを説明。

アイデアの着想、コンテンツ作成、チャネルでの配信までを生成AIを活用して効率化

質問:Adobe GenStudioについて教えてください。

Ash King:多くの企業が生成AIに興味を持っており、またその活用に期待されていることを感じています。ですが、実際にどのように生成AIをコーディネートして、価値あるビジネスの結果に結びつけることができるのでしょうか?

Adobe GenStudioはコンテンツ作成において、アイデア出しからクリエイティブブリーフの作成、実際にコンテンツを作成および配信し、チャネルを活性化させるところまで、生成AIを活用して効率化します。クリエイティブブリーフのレビューと承認や、コンテンツのメタデータや配信するためのプロパティ情報などの取得も含みます。結果的に、コスト、時間、リソースを削減することができるのです。

基礎となる環境を整備してはじめて、生成AIを活用すべき場所が見えてくる

質問:実際に企業はどこから、どのようにコンテンツ作成の効率化をスタートさせることができるのか?

Remington Lee :まずは、基礎づくりから始めましょう、と顧客には伝えています。Adobe GenStudioの価値が充分に発揮されるための環境づくりがまずは大切です。それつまり、コンテンツ作成における各業務をカバーする単一のプロダクトないしはプラットフォームです。ブリーフィングプロセスのためのシングルソースがあることで、リソースを管理し、業務を委任し、予算を一元管理することができます。

そこで、さまざまな異なるソースを統合する作業が必要になります。 例えばAdobe Experience Manager Assetsを通して、単一のグローバルアセットリポジトリと連携させれば、すべてのアセットが保存されている単一の場所を持つことができます。クリエイティブ担当者やマーケティング担当者は、必要に応じてそれらのアセットをピックアップして、キャンペーンやそれぞれの業務に活用することができるのです。

一度、基礎ができれば、そこから実際にコンテンツがアクティベーションされる各チャネルとコンテンツを繋いでいきます。 Adobe Journey Orchestrationを通して、Adobe Experience Manager Sites、Adobe Commerce、Adobe Campaign、Marketo Engageなど、それぞれの製品にコンテンツを配信します。

それからやっと、はじめて、全体のワークフローの中でどこに生成AIを活用すべきか?などを考え始めることができるのです。

Adobe GenStudioの全体像。コンテンツ制作の各ステップにおいてAdobe Fireflyや各アドビソリューションが活用できる。

Adobe Fireflyを活用してクリエイティブのバリエーションを作成

質問:アドビプロフェッショナルサービスで顧客に提供したAdobe GenStudioの事例はありますか?

Ash King:私たちが支援したお客様のなかで、複数の広告代理店を抱えているところがありました。組織内のさまざまな部署から予算が支出されるのですが、その結果を追跡することができないのです。Adobe GenStudioが最初にできることのひとつは、すでに起きているパターンやワークフローを明らかにして、それらを計測可能にすることです。その結果、リソース配分の最適化が実現され、本当に重要な業務によりフォーカスすることができるのです。

タイムラインはどうなっているのか、承認とレビューを何回繰り返すのか、企業全体で重複しているアセットはないのか、などを明らかにすることで、導入直後から大幅なコスト削減を実現しています。

さらに、すでに企業が保有しているコンテンツを再生産するためにお金を使っていることもありました。Adobe GenStudioを導入することで、そのような問題が解決されました。

Remington Lee :私は過去に、あるグローバルなレンタカー会社と仕事をしたことがあるのですが、彼らは主に、例えばあなたが車をレンタルしている都市や州を通して、ローカライズされたパーソナライゼーションを推進したいと考えていました。

以前は、レンタカー予約のプロセスの次のページに遷移する際に、そのランディングページ用に異なるクリエイティブのバリエーションを作成する必要がありました。100から150パターンは作成したと思いますが、それには何週間もかかりました。

生成AIであるAdobe Firefly、Photoshop、そしていくつかの実績ある製品との統合によって、私たちは文字通りその場でバリエーションを自然に作ることができるようになったのです。

オープニングキーノートにおけるAdobe Fireflyのアップデートには多くの注目が集まった。

クリエイターが本来すべき業務に集中できるためにワークフローを最適化する

質問:クリエイターの祭典であるAdobe MAXにおいて、コンテンツ作成の効率化や自動化はどのような意味合いがあるのか?

Remington Lee :我々アドビプロフェッショナルサービスは、普段は多くの場合Adobe Experience Cloud、つまりデジタルマーケティングの領域でビジネスをしています(※日本ではデジタルメディア分野でもコンサルティングを提供)。しかし、この会場で100社以上の企業から話を聞きましたが、Adobe GenStudioが実現するコンテンツ制作の最適化や自動化(=コンテンツサプライチェーン)に非常に興味を示していました。Adobe GenStudioを通して、クリエイティブチームや組織の中の関係者がより有機的に活動することができるようになると考えています。

プランナー、クリエイティブプロデューサー、デザイナーなどがクリエイティブチームにはいるわけですが、Adobe GenStudioはそれぞれの業務効率化に直接影響を与えることができます。そして、生産性が向上したクリエイティブチームはコンテンツの配信やアクティベーションフェーズにおいて、今後はマーケティングチームとより協業することができるのです。

Ash King:多くの企業に好評でした。おっしゃるとおり、我々はクリエイターの祭典に参加しています。これはイベントの文脈に沿ったソリューションということで、大いに盛り上がっています。

私たちは、あるツールでクリエイティブな業務をしているときに、他のツールを立ち上げてクリエイティブな業務が中断されることのないよう、人々がワークフローに集中できるようにします。多くの場合、クリエイターは自分にとって有意義な方法で業務に臨みます。Adobe GenStudioのようなツールに触れたことのない方の多くは、メールやウェブベースのツールを使ってファイルの共有やレビューなどを行なっています。クリエイターには自分のやりたいこと(=クリエイティブ業務)に集中してもらう。みんなファイルのアップロードなどはできるだけしたくない。

以上となります。

アドビプロフェッショナルサービスでは、グローバル規模でお客様のAdobe GenStudioの導入を支援しています。具体的な導入事例などについては、ぜひアドビプロフェッショナルサービスまでお問い合わせください。

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