2021年のホリデーシーズンにおける米国のオンライン消費額が、過去最高の2,040億ドル(約23兆5,348億円)を記録
アドビは本日、2021年のホリデーシーズン(11月1日〜12月31日)における米国での最終的なオンライン消費額を発表しました。これはアドビが追跡しているオンライン経済指標であるAdobe Digital Economy Indexの一環であり、オンラインでの消費者の直接取引を分析することで得られた米国のEコマースの現況を包括的に示します。この分析は、米国の小売サイトへの1兆回以上の訪問、1億個のSKU、18の製品カテゴリーをカバーするAdobe Analyticsのデータに基づいたもので、テクノロジー企業や調査機関が手がける同種の指標のなかで最も大規模なものです。
2021年のホリデーシーズンにおけるオンライン消費額は、前年比8.6%増の2,045億ドル(約23兆5,348億円)となりました。1日の消費額が30億ドル(約3,461億円)を超えた日数は、過去最高の38日間でした(2020年は25日間)。これは、消費者がサイバーマンデーなどの大型セール日以外にも買い物を分散させ、時期を前倒して消費を進めたためです。感謝祭前の週(11月1日〜11月24日)は前年同期比19.2%増、サイバーウィーク(感謝祭からサイバーマンデーまでの5日間)は前年同期比1.4%減でした。感謝祭後の週(11月30日~12月31日)は前年同期比5.6%増となりました。
貿易港の混雑、貨物の遅延、海外生産の中断など、継続的なサプライチェーンの課題に関わらず、オンラインショッピングへの需要が衰えることはありませんでした。今回のホリデーシーズンで、消費者がオンラインで目にした在庫切れのメッセージは60億件を超えました。これは、パンデミック前の2019年のホリデーシーズンと比較して253%増、前年同期比では10%増となっています。
Adobe Digital Insightsのシニアディレクターであるテイラー シュライナー(Taylor Schreiner)は次のように述べています。「サイバーマンデーやブラックフライデーのような大型セールが注目を浴びなかったホリデーシーズンは2021年が初めてです。COVID-19のパンデミック下でオンラインショッピングが日常となり、消費者はその時々の商品の在庫や価格を見極めながら柔軟に買い物をするようになりました。」
今シーズンの値引き率は、アドビが調査している主要なカテゴリーの多くで低下しました。エレクトロニクスの値引き率は-8%(2020年は-21%)、コンピュータは-10%(同-22%)、家電製品は-4%(同-14%)、スポーツ用品は-6%(同-14%)、家具・寝具は-2%(同-4%)でした。テレビの値引率は前年同期比で変化がなく(同11%減)、アパレルでは-13%(同-11%)、玩具は-19%(同-14%)と割引率が増加しました。
Adobe Analyticsから得られたその他の分析結果をご紹介します。
- カテゴリー別の売上の伸び: 今回のホリデーシーズンのオンライン消費を牽引したのは、玩具(シーズン前の2021年9月と比較して5.4倍)、ビデオゲーム(同4.5倍)、ギフトカード(同3.6倍)、書籍(同3.0倍)などのカテゴリーでした。その他では、食料品(同2.7倍)、宝飾品(同2.2倍)、エレクトロニクス(同2.2倍)、ベビー・幼児用品(同2.1倍)、家電製品(同2倍)などが注目されます。
- 売れ筋商品(フルシーズン):ゲーム機では、「Nintendo Switch OLED」、「PlayStation 5」、「Xbox Series S/X」などが上位にランクインしました。人気のあったゲームソフトは、「Call of Duty Vanguard」、「Battlefield 2042」、「Far Cry 6」、「FIFA 22」、「Halo Infinite」などでした。玩具は、「Baby Yoda」製品、「Bluey」製品、「Crystalina」人形、「Gabby's Dollhouse」、「Got2Glow Fairy Finder」など、エレクトロニクス他のカテゴリーでは、AirPods/AirPods Max、ドローン、レコードプレーヤー、Samsung TV、LG TVなどが売れ筋商品となりました。その他の人気商品としては、Air fryer(油を使わない揚げ物調理器具)、Instapot(電気圧力鍋)、スマートマグ、スマートウォーターボトル、加重ブランケット(睡眠改善)などがあります。
- 後払い決済(BNPL:Buy Now Pay Later):消費者はこの新しい支払い方法を継続的に利用しており、今シーズンは2桁の成長となりました。売上高は前年同期比27%増、注文数は前年同期比10%増となりました。BNPLを利用した消費者の平均消費額は1回の注文あたり224ドル(約26,000円)で、およそ3点の商品をカートに入れています。しかし、その成長速度は緩み始めており、一般に普及するには壁があることが示唆されています。とはいえ、2019年を基準にすれば、2年間で売上高は475%、注文数は479%増加しています。
- 店舗前受け取り:店舗前あるいは店舗内での商品受け取りを提供している小売店では、今シーズンのオンライン注文の23%でこのオプションが利用されました。目立った成長は見られない(2020年は24%、2019年は22%)ものの、店舗前受け取りの需要は持続しているといえます。買い物客は、利便性と配送遅延の回避を重視して利用しているか、あるいはCOVID-19の感染拡大時であっても安全な商品入手オプションであると考えているようです。クリスマスイブの前日(12月23日)の利用率は40%とピークに達しました。平均的な店舗前受け取りの注文額は91ドル(約10,000円)で、ショッピングカートにはおよそ2点の商品が入っています。
- モバイル:ホリデーシーズンには、オンライン販売の43%がスマートフォン経由で行われ、全体で880億ドル(約10兆1,522億)に達しました。2020年(40%)に比べての増加はわずかです。これは、消費者がオンラインショッピングの主な手段としてデスクトップPCやラップトップPCに依存しているためです。2021年、スマートフォン経由の売上が50%を超えた日は6日ありました。11/25(感謝祭)、12/18(スーパーサタデー)、12/19、12/24(クリスマスイブ)、12/25(クリスマス当日)、そして12/26です。2020年に50%を超えたのは1日(12/25)のみでした。
分析および調査方法について:Adobe Digital Economy Index(DEI)は、1兆回を超えるサイトアクセス数と18の製品カテゴリーにおける1億以上のSKUをカバーするAdobe Analyticsの分析データを利用しており、テクノロジー企業や調査会社が手がける同種の指標のなかで最も包括的なインサイトを提供します。
*本記事は、アドビが2022年1月12日に投稿したブログの抄訳です。