CIOが見据えるべき、プライバシー保護に対応するビジネステクノロジー

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デジタルでの顧客接点が増えるにつれ、個人情報保護の視点がデジタルデータにも向けられるようになりました。その結果として、情報システム部門の役割が広がり、顧客接点を司るマーケティング部門やビジネス部門との連携が求められるようになっています。本記事では、Adobe Experience Cloud Blog(英語)より、CIOがこれから取り組むべき、デジタルにおけるプライバシー保護を実現するビジネステクノロジーの整備について解説します。

顧客データの枠組みの必要性が明確に

近年、顧客データを適切に取り扱う枠組みの必要性が明確になってきました。CIOは他のデジタルリーダーと協力して、プライバシーを保護し、同意を強化する必要があります。

今日のデジタルファーストの経済においては、マーケティングやビジネステクノロジーの基盤に、プライバシー保護と個人情報取得に関する同意を組み込むことが不可欠です。実際、アドビの調査レポート「Digital Trends 2021年版」によれば、このことが顧客体験に必須であると考えるシニアマーケターの割合は、90%にも上ります。

13,000人を超えるマーケティングとテクノロジーのリーダーが回答した調査によると、新たに設けられたマーケティングの役割の中で、顧客データに基づく顧客体験のパーソナライズが最も重要な機会として位置づけられています。しかしながら、顧客体験管理を強化してきた企業のうち、顧客データの有効活用がブランドの差別化要素だと考えている割合は40%にとどまっています。

顧客データをどのように収集、利用しているかについて、自社が「非常に効果的に」開示できている、と答えたのは、回答者の5分の1のみです。また、回答者のちょうど半数が、計画立案においてプライバシーと同意が重要な要素であると述べています。

「私たちは『私を知って』と『私を尊重して』という、相反する期待の板挟みになっている」とアドビの最高トランスフォーメーション責任者であるScott Rigbyは言います。「顧客は自分のことを企業に知ってほしい反面、企業には、自分が提供するデータを大切に扱ってほしいと考えているのです」

この板挟みを複雑にしているのが、顧客データが複数のチームで扱われているという事実です。調査レポートによれば、4分の3の企業では複数部門で顧客データが収集されており、一般に、IT、法務、マーケティングの各チームが含まれます。

一方、ITに携わる1,400人を超える調査の回答者によると、ITエグゼクティブの60%近くが、自身を顧客プライバシーの最も重要な管理者であると考えています。

2021年を通して、顧客データについての枠組みが必要であることが明確になりました。そのパラダイムのもとで、CIOおよびその他のデジタルリーダーが顧客データの主要なユーザーであるマーケティング部門と協力して、プライバシーを保護し、同意を強化することになります。このような役割を持つことで、信頼を得ることができます。その結果、企業は許諾を得た上で顧客データを使用し、より優れた体験を提供することができるのです。

ビジネステクノロジーリーダーの役割の拡大

データに関しては、従来ITチームは銀行口座データにまつわるセキュリティリスクに重点を置き、個人データが安全に収集、蓄積され、データ侵害から保護されるように対応してきました。しかし、「Digital Trends 2021年版」でのビジネステクノロジーリーダーによる回答を分析すると、デジタル変革が加速するにつれてITエグゼクティブの役割が拡大していることが分かります。回答者の70%が、自らがビジネス変革に関する戦略の責任を負う必要があると考えているのです。

Deloitte USのCIO であるDoug Beaudoin氏によると、テクノロジーはますます、ビジネスと切り離せないものになりつつあります。「顧客データおよびプラットフォームに連携されたシステムやプロセスには、密接に関連するITとビジネス戦略に関する専門家の存在が必要です」とBeaudoin氏は語っています。

調査結果が示すとおり、2021年におけるCIOの新たな優先事項として、データ侵害などの危機を回避するため、企業が常に顧客のことを最優先に考え、将来に備え、システミックリスクを管理する準備を整えることが挙げられます。

ITに携わる回答者の90%が、顧客体験で優先すべきことは、IT部門と企業の他部門とのさらに緊密な連携を推進することであると言います。また、同様の割合の回答者が、CXテクノロジーの選択と実装に、IT部門が関与しているとしています。

ITに携わる回答者の大多数(47%)が、自分たちが顧客データ戦略を主導する必要があると述べています。ただし、そのかかわりにおいては、データシステムを管理および統合し、データを安全に格納するだけでなく、プライバシーに関する状況の変化を把握する必要があることも示唆しています。

プライバシー保護のトレンドを理解する

EU一般データ保護規則(GDPR)によって推進されるグローバルスタンダードの登場を受け、企業のマーケティング活動において、プライバシーに関する同意はますます大きな、そして非常に重要な役割を果たすようになっています。

「世界では、個人情報の取り扱いに関して、ヨーロッパの基準が事実上の世界標準であるという段階に達しました」とGartnerのリサーチ担当副社長であるNader Henein氏は語ります。「各国でGDPRと同等の新しいプライバシー法が制定されつつあります」

2018年のGDPR制定以来、インド、タイ、オーストラリア、インドネシア、シンガポールを含むアジア太平洋地域全体で、各国政府は、プライバシーやデータを保護する新しい法律の制定や法案提出を行っています。

Gartnerの推定では、現在のプライバシー規制で保護される世界人口の割合は、2023年には2021年比の6倍の65%にまで増加することが見込まれます。この数字は、プライバシーの領域における変革のスピードを浮き彫りにしています。

コンプライアンスに沿った使用のための構造化データ

こうしたプライバシー規制の拡大と、優れた顧客体験の提供に必須のパーソナライゼーションとが相まって、CIO、ならびに情報セキュリティとリスク管理を担当する他の経営幹部は、将来にわたって安全に使用できるようなデータの整備を重視する必要があります。

「セキュリティおよびリスク管理のリーダーは、企業が罰金やイメージの悪化による損失にさらされることなく、個人データの適切な管理を浸透させられるよう、支援していく必要があります」とHenein氏は述べています。

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オーストラリアとベトナムにキャンパスを構える高等教育機関RMITでCXO(最高体験責任者)を務めるChaminda Ranasinghe氏によると、プライバシーに対応した使用に向けてデータを構造化しなければ、企業とそのマーケティングメッセージが今の時代に合わないものになる危険性もあります。

「顧客体験をパーソナライズできないというのは、今の時代に合っているとは言えません」とRanasinghe氏は言います。「それはつまり、目の前のお客様とのコミュニケーションを諦めていると言っても過言ではありません」

RMITでは、最高データ責任者がIT、法務、マーケティングの各チームと連携して、機密性の高いグループのデータを含む顧客データが、コンプライアンスに準拠した使用に向けて管理されるようにしています。

「最高データ責任者は、構造化されたデータを最大限に活用できるよう、データの管理が適切に行われるようにします」とRanasinghe氏は語ります。

「我々が接点を持つ必要がある学生は、多くの場合、18歳未満です。こうした方々に関するリスクは、成人を対象にするのとはまったく異なると考えています」

データリスクを最小化するテクノロジーの使用

「Digital Trends 2021年版」によると、顧客がデータの共有を許可するかどうかは、信頼と相関関係にあります。信頼は顧客関係の初期の段階で形作られるものであると、多くの人が考えています。「ブランドが、最初のインタラクションにおいて顧客の同意をどのように扱うかによって、その後の信頼が形作られる」ということに、CXリーダーの2人に1人が「強く同意」しています。

アドビのScott Rigbyは、アドビではこの責任を非常に真剣に受け止めており、プライバシーに関する同意の管理を顧客体験のテクノロジーに組み込むという、あまり見られない対応を取ったと語っています。

「アドビは、プライバシーに関する同意についての課題をテクノロジーの観点から解決しようとする、現時点では数少ない企業です」とRigbyは述べています。「Adobe Experience Platformは、同意の有無に基づいてデータにラベルを付けます。これにより、データが収集される際に適切な方法で保護され、使用されます」

プライバシーと同意に関する規制が拡大し、強化され続ける中、テクノロジーとそれを管理する人員はソリューションを構成する一部になる必要がある、とRigby氏は強調しています。

「規制がさらに発展し、改訂されるにつれて、プライバシーは動く標的になりつつあります」とRigbyは語ります。「この標的は大きすぎて、手動で管理することはできません。ここで、CIOが大きな役割を果たすことになるでしょう。というのも、マーケティングが収集するデータの大部分を所有しているのはIT部門だからです」

サードパーティCookieの終焉

プライバシーと同意をさらに複雑な課題にしているのが、サードパーティCookieの廃止です。Cookieを活用することで、企業はインターネットを自由に移動する個人を追跡し、ターゲットにすることができます。Cookieの段階的廃止はGoogleなどの企業に支持されており、ファーストパーティデータを収集、管理、活用する必要性から逃れられなくなっています。

「Digital Trends 2021年版」によると、Cookieの廃止によって自社のマーケティング活動に破壊的な影響がもたらされると予測するシニアエグゼクティブの数は、60%に上ります。その一方で、カスタマージャーニーの全期間を通じて強力な体験をもたらすことにつながるファーストパーティデータの収集に、自社が「非常に長けている」と考えている企業は、わずか17%です。

データ主導マーケティングの協会であるADMAで規制関連責任者を務めるSarla Fernando氏によると、この問題によって、多くの企業がプライバシーと規制全般に、より重点を置き始めています。

「『企業』はCookieに目を向け、次はどうなるのかと考え始めます」とFernando氏は語ります。

「次いで、企業は状況の分析を始め、アドテックの透明性に伴う変化があり、プライバシーに関しても変化が起きることを理解するでしょう。これは規制に関する非常に大きな話になるのです」

この話には、IT部門だけでなくセールス、マーケティング、顧客体験の各チーム、さらには法務およびリスク部門も関係します。Ranasinghe氏によれば、マーケティングチームと体験チームは、よりリスク回避型のチームとしての姿勢と収益主導型チームとしての姿勢のバランスを取る必要があります。

「CMOとしての考えを述べると、我々の仕事は、データの収集と活用に伴うリスクと、データを活用せずに顧客体験のパーソナライズを不十分なものにするリスクとの間に、適切なバランスを見つけることです」とRanasinghe氏は語ります。

「その間にある最適な道を明らかにし、データの提供に対する顧客の意向を理解する必要があります。顧客には最終的に、自らの取り組みの見返りとして、よりパーソナライズされた体験がもたらされるのです」

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