Adobe Analyticsユーザー会2022セッションレポート②:Adobe Analyticsデータ収集最先端

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コロナ禍で活動休止していたAdobe Analyticsのユーザー会が2022年7月8日、3年ぶりに復活しました。当日は久々の開催ということもあり、アドビから澤田、安西、児玉が登壇し、事前にいただいた質問にも回答させていただきながら、組織におけるAdobe Analyticsの活用拡大に関する様々なテーマについてユーザーの皆様と一緒に議論しました。

今回のセッションではAdobe Analyticsの最新トレンドのご紹介を中心に、製品のアップデートや事例についてご紹介させていただきました。本記事では、当日のセッションレポートの第二弾をお届けいたします。

Adobe Analyticsデータ収集最先端

スピーカー: アドビ株式会社 ソリューションコンサルティング本部 部長 兼エバンジェリスト 安西 敬介

2つ目のテーマでは、安西からAdobe Analyticsのデータ収集に関する最新のトレンドについてご紹介いたしました。

アドビソリューションのデータ計測の現状とこれから

現状アドビソリューションのデータ収集に関連する製品では、Adobe AnalyticsのAppMeasurement、Adobe Targetのat.js、Audience ManagerのDIL、それからVisitor APIといった様々な製品やサービスからデータをブラウザから収集しております。

これらのデータを収集するにはSDKと言われるJava Scriptのファイルを各ソリューション分入れていただき、それぞれのSDKからリクエストを送ってClient側で必要に応じて連携をしていく形を取っていました。この方式ですと、連携するソリューションが増えれば増えるほど、Client側のオーバーヘッドが多くなります。グローバルの調査では、大手企業のウェブサイトではサイト上に約50個のマーケティングテクノロジー関連のタグが埋まっていると言われています。このような状況に対し、アドビのこれからの計測では、収集したデータをPlatform Collection Edge Network(以下、Edge Network)という一つのSDKに集約し、それをハブとしてアドビの各ソリューションと連携してリクエスト管理をする方式になります。これにより各ソリューションのリクエストを同時に投げたり、オーバーヘッドの問題を無くすことが出来ます。

Edge Networkを使っていただくメリットは、まずパフォーマンスの向上があげられます。従来のSDKに比べて約20%ほど軽くなっています。またデータ計測の簡素化については、従来ですと、取ってきたデータを細かく実装する必要がありましたが、Edge Networkを導入すると一箇所で集中コントロール出来るようになります。またAPIを使って展開可能な柔軟なプラットフォームとなっております。ガバナンスの強化については、どこにどのようなデータを送っているかを一箇所で管理出来ることから、情報漏えいなどのリスクを低減することが出来ます。

Edge Networkをご利用いただくと、まずPlatform Collection Tags(以下、Tags)で発行されたデータをEdge Networkに流します。Edge Networkでは、Tagsの機能で様々なデータのマッピングや、各ソリューションとの連携の設定を行うことが出来ます。従来はWEBから直接各ソリューションにデータを投げる形となっていたのに対し、Edge Network経由で連携している点が大きな違いです。なお、Edge Networkは無料でお使いいただけますが、プロビジョニング申請が必要になりますので、担当カスタマーサクセスマネージャーもしくはカスタマーケアまでご連絡いただけますと幸いです。

また有償のオプションにはなりますが、Adobe Real-Time CDP Connectionsという機能をご利用いただくことで、Edge Networkで取得したデータをTagsの設定からHTTPのエンドポイントやFacebook Conversion APIなどにデータを送ることが出来るようになります。

このReal-Time CDP Connectionsのデータ処理は20msの高速で行われるため、レイテンシーが低減され、リアルタイム性の高い体験を設計することが出来ます。

従来は他のソリューションとの連携の際にはExtensionを使って直接HTTP送信をするといったケースがありましたが、Edge Networkを経由してAdobe Real-time CDP ConnectionsのEvent Forwardingを使ってデータを送ることが出来ます。さらにAdobe Experience PlatformのReal-time CDPと連携すると、購買情報DBやCRMなどのオフライン情報と連携して、Connector経由でAdobe Targetや広告といった他のソリューションに連携することが出来ます。逆に処理したものとしてHTTP APIコールをすることも可能になりますので、様々なユースケースに応じて対応することが出来ます。

アドビが考えるCookielessに対する取り組み

現状のクッキーレスに関連するトレンドとして、3rd Party Cookieがなくなっていく中で、Adobe Analyticsに関しては、すでに多くの企業様で1st Party CookieのCNAME対応を行い、自社のドメインにマッピングして運用されている状況かと思います。しかしながら、CNAME対応を行った場合でも、Safariブラウザではクッキーの有効期限が7日間に制限されてしまいます。アドビではこの影響に対応するために、1st Party Cookieの自社サーバ発行によるFirst Party Device ID対応(以下、FPID対応)を推奨しております。

このFPID対応とは、一言でいうと、サーバーサイドでクッキーを発行し、それをベースにAdobe AnalyticsやAdobe Targetでご利用いただいているExperience Cloud ID (以下、ECID)を生成出来るソリューションとなります。

先述しましたEdge Networkに切り替えると、これまで最初にコールしていたVisitor ID serviceもEdge Network経由で発行されます。ここからさらにFPID対応すると、自社サーバーで発行した1st Party CookieをEdge Networkに送信する際にOrg IDと一緒に渡すことで、それに基づいたECIDを返すことが出来るようになります。

ECID自体はこれまで通り、クッキーの有効期限による制限がかかったり、クッキー自体が削除されることがありますが、FPIDが残っていれば、一度クッキーがなくなったとしても、再度同じECIDを生成して返答するため、有効期限を延命することが出来ます。一方他社ではサーバーサイドタギングのように、aレコードのサーバーを立てて自社サーバーのクッキーとして発行するアプローチを取っています。このaレコードのサーバーで発行されたクッキーを使うという点に関しては、アドビも同じ対応を行っていると言えます。このFPID対応はEdge Networkのプロビジョニングを実施いただければ無料でお使いいただけます。今後のクッキー規制の動きに合わせて対応をご検討いただけますと幸いです。

またAdobe Analyticsに関してさらにお伝えすると、分断されたデバイスをつなぎ合わせたいという場合は、FPIDの対応に合わせて、Adobe Analyticsの最上位のバージョンであるCustomer Journey Analyticsを導入いただけますと、オムニチャネルのデータを繋いで分析することが可能になります。

なおモバイルアプリに関しては、クッキーを使った技術ではないため、クッキーレスの文脈でFPIDを導入いただく必要はございませんが、Edge Networkを利用してデータ送信をする仕組みはモバイルアプリでも同様にご利用いただけます。ぜひご利用いただけますと幸いです。

≪Adobe Analyticsユーザーグループについて≫

Adobe Analyticsユーザーグループは、日本国内のAdobe Analytics、Adobe Target及びData Insightsに関連する製品のユーザーコミュニティです。 ユーザー同士のベストプラクティスの共有、問題解決、ネットワークの構築を行うことで、製品の知識や活用を高めましょう。各回では業界のリーダーであるユーザーの方々にお越しいただき、様々なトピックを取り上げ、専門知識を共有いただきます。(詳細はこちら)