Experience Makers Live 2021:顧客体験から事業をリデザインする

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カシオ計算機(以下、カシオ)は「創造貢献」という社是のもと、お客さまに喜んでいただける創造的な製品を生み出し世の中に貢献してきました。しかしいま、時代の変化の中で危機感を募らせているといいます。

情報があふれるデジタル社会では、どんなに優れた商品を作くっても、情報が顧客にスムーズに届きません。それにより商品情報への接触頻度が下がり購入に至らない、たとえ購入いただいたとしても、メーカーとお客さまとの情報接点が少ないことで体験価値が高まらず、愛着が深まらないという傾向が出てきているのです。このことは優れた商品を提供しているだけでは、事業拡大が望めないということです。

そこでカシオは顧客体験中心の事業へのリデザインを目指しています。個々のユーザーとの接点を通じて、ユーザーが喜ぶ体験を提供することで、選ばれ続ける企業になるということです。それによって事業が拡大し、新事業を創出するという流れを作れると考えたのです。そしてたどり着いたのがユーザー中心のバリューチェーン構築を目指すという考え方です。カシオとユーザーがバリューチェーン上で直接つながりユーザー起点ですべての事業活動が成り立つような仕組みを目指します。

例えば商品開発においてはユーザーが求める商品を次々に生み出し、改善し続けることができます。生産においては、柔軟な調達や製造によって納期などユーザーの要望にすぐに応えられます。営業現場であれば、ユーザー一人ひとりに最適な情報や製品を提供したり、提案したりできます。このバリューチェーンを実現するために、カシオでは2つの施策を実施しています。

1つはコミュニケーションプラットフォームをつくることです。これは、あらゆるユーザーに対してさまざまな接点で情報や製品を直接提供し、最高の体験をしてもらうための仕組みです。実現のためにAdobe Experience Manager、Adobe Commerce、Adobe Targetなどのソリューションを最大限に活用しました。例えば、Adobe Experience Managerにより、すべての製品や素材情報を蓄積し、適切にユーザーに届けられるようになりました。Adobe Commerceではグローバルで共通のEC基盤を導入、適切な体験ができるようになり、Adobe Targetによって日々改善し、一人一人に適切な情報を届けるウェブサイトを構築できたのです。

もう1つは、ユーザーのデータをプラットフォームにする「User Data Platform」の構築です。あらゆる接点で生まれるユーザーの行動、意識のデータをユーザー単位で統合的に管理し、最適な体験へと還元する仕組みです。ここではAdobe AnalyticsやAdobe Real-Time Customer Data Platformといったソリューションを活用しています。

このようにユーザーとカシオがつながる基盤の存在が様々な事業活動を変革へと導いていきます。プロダクトライフサイクルマネジメント改革、サプライチェーンマネジメント改革、One to Oneマーケティング、ロイヤルティプログラムに取り組むなど、カシオのデジタル変革を進めています。

こうした取り組みの成果として始まったサービスが、パーツをカスタマイズしてオリジナルのG-SHOCKをつくれるという「MY G-SHOCK」です。従来の生産体制はいわゆる大量生産型のバリューチェーンであり、メーカーとユーザー間に距離がありました。そこで、個々のユーザーが購入から利用まで“楽しく体験”できるサービスを構築したのです。

オーダーごとに一つずつ製品を組み立てる、部品在庫とECを連携してリアルタイムにオーダーを受け付け、注文から組立、配送、利用まで常に楽しくなるおもてなし、ニーズに応える幅広いバリューチェーンを用意するなど、「MY G-SHOCK」はすべてをユーザー中心につくり変えた、サークル型の新しい仕組みになりました。「カシオは今後もユーザー中心で事業をリデザインし、最良の体験と最高の価値の提供を目指します」と、力強い言葉で石附氏はセッションを締めくくりました。