Experience Makers Live 2021:LTV向上のためのディップ流データ活用

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バイトルなどの求人情報サイトを運営するディップは「仕事探しにおいてどこよりも早く決まる体験」を提供するためにAdobe Targetを活用して高速にPDCAを回し、週2~3回グロース施策を実施する体制を構築し、CVRを改善中です。

一般に求人サイトのユーザージャーニーでは、希望の仕事を見つけて応募し、就業したら一定期間利用しない期間が発生します。その後、再び仕事探しをする機会が訪れる時に自社のメディアを利用してもらいたいというのが、ディップにとってのポイントであったと山下氏は話します。

仕事探しをするタイミングについて調査したところ、37%が3カ月未満、66%が1年未満に離職しており、そこで再び仕事探しをするタイミングを迎えることが分かりました。この情報と、仕事探しにどれくらいの期間をとり、何件くらい応募しているか等を掛け合わせてRF(最近の利用日、頻度)分析を実施 。来 訪しなくなったユーザーを「就業中」と定義して、それをリセットすることで「潜在顧客」として設定しました。ディップでは、このリセットした潜在顧客の利用率が低いことを課題としてセットしたのです。

そして一定期間訪問しなくなったユーザーを対象に、Adobe Analyticsのデータを活用して過去の行動を分析し、働く場所などの普遍的条件や職種などの可変的条件をスコア化し、ユーザーごとのニーズと案件情報を掛け合わせ、レコメンドを配信するようにしました。

こうすることで、ユーザーにとって検索サイトで検索することがファーストステップだったものを、メルマガから探すというアクションがファーストステップになるよう、ユーザーの行動を変容させることに成功したのです。その結果、バイトルの再利用率は向上。応募者率が185%になり、応募数のCVRは246%と大幅に改善しました。

もう1つのポイントは、ウェブサイトとアプリの利用者を比較した際に、アプリ利用者の再利用率の方が3倍高いことが分かったことです。そのため、アプリをもっと使用してもらいたいと考え、使い勝手を良くし、ユーザー体験を高める取り組みを開始します。

そこでAdobe Analyticsで定量調査から課題を抽出し、離脱場面などの仮説を立て、プロトタイピングしていきました。ユーザーインタビュー等を交えて検証し、アプリのUXを再検討。その結果、アプリの応募者率は120%に、応募数のCVRは112%に向上します。ユーザー体験が大きく向上したのです。

ディップがLTV向上に成功した要因は4つあります。1つめは課題発見を簡単に実施できる環境です。Adobe AnalyticsのGUI(Graphical User Interface)を使うことで、簡単に課題を発見できます。2つめは定性調査を気軽に実施しやすい環境です。組織横断でアルバイトや主婦などに簡単にインタビューできるようにして、仮説を立て、要因分析に活用しました。3つめは開発をできるだけコンパクトにし、早くしたことです。段階的なリリースによって影響範囲をなるべく小さくした上で、良かったものを拡張するスタイルを採用。Adobe Griffonなどのツールを活用して、開発期間を短縮しました。4つめは、新しいテクノロジーにどんどんチャレンジしたことです。機械学習などパーソナライズを進化させる手段があるため、積極的に採り入れています。

最後に山下氏は、「ディップは、どこよりも早く仕事が決まるサービスを実現するため、ユーザーが欲しいと思った情報をどこよりも早く、見つけやすく、選べる体験を求職者に提供していきます」と展望を述べ、セッションを締めくくりました。